“人間最高”をコンセプトに活動を続けるアイドルグループ、LiVS。元WACK代表・渡辺淳之介から出資を受けたALL INc.主催によるアイドルオーディション「THE LAST CHANCE PROJECT」を経て、2023年8月13日にデビュー。2024年には下北沢シャングリラ、SHIBUYA WWWXでのワンマンライブを成功させ、現在はコンニチハクリニック、スズカス・テラ、ミニ・マルコ、ユニセックス、ランルウの5人体制での活動を行なっている。
2025年8月18日、LiVSはグループ史上最大規模となる東京・恵比寿リキッドルームでのワンマンライブを開催する。StoryWriterでは、恵比寿リキッドルーム公演という大きな挑戦に向けてスタートを切ったLiVSの軌跡を、さまざまな角度から記録していく。
第6弾からは、メンバーの個別インタビューを実施。第3回目となる今回は、スズカス・テラへのインタビューを敢行した。以前の単独インタビューでは、7年間の引きこもり時期を経てLiVSとしての活動をはじめるまでを語ってくれた彼女。今回はLiVSで活動をはじめてからの2年間を振り返ってもらうとともに、リキッドルームへの想いを語ってもらった。
取材&文:西澤裕郎
写真:大橋祐希
今がターニングポイントになる時なのかもしれない
──今回は「Road to LIQUIDROOM」の単独インタビューになりますが、改めてLiVS結成からの約2年間を振り返ってみて、長かったですか? それとも短かったですか?
長かったです。これまでの人生では、目新しいことなんてほとんどなくて、毎日が同じことの繰り返しみたいな日々だったんです。でも、LiVSに入ってからのこの2年間は、日々やっていることも、起きることも、すごく予想外なことばかりで驚きの連続でした。
──これまでの人生をすべてひっくり返すくらいの、密度だったと。
本当にこれまでの十何年の人生よりも、この2年間のほうが、ずっと長く感じています。
──いろんなことがあったと思いますが、特にご自身の中でターニングポイントだったなと思える出来事やタイミングはありますか?
今がターニングポイントになる時なのかもしれないなって思っています。もちろん、現体制になるまでにも、いくつかそういうタイミングはあったんですけど、3年目に入るにあたって、焦りも感じていて。メンバーそれぞれに課題があったり、抱えていることがあったりして。それぞれが、これまで以上にLiVSのことをちゃんと考えている時期なんじゃないかと思っています。だからこそ、今がすごく大きな転換期に差しかかっているんじゃないかなって。
──そういう意味では、リキッドルームっていう場所は象徴的なライブになりそうですね。今どんな気持ちで日々を過ごしていますか?
今本気でリキッドルームまで走り抜けられなかったら、きっとこの先も本気で走れないんじゃないかって思っています。この1ヶ月半を全力で頑張れなかったら、きっと後悔が残るし、その後もどこかでまたつまずいちゃうんじゃないかなって。だから、残りの日々、今以上にギアを上げて全力で取り組んでいきたい。パフォーマンスもそうだし、告知なども含めて、やれることは全部本気でやる。運営のチームもメンバーも、全員が本気で走っていかないといけないと思っています。
──2025年5月7日に下北沢シャングリラで開催した〈Revenge Shangri-La〉。いま振り返って、スズカスさんにとってどんな1日になりましたか?
あの日は、メンバー全員がチケットの売上がよくないっていうことは知っていたんですけど、ステージに立つ前から「やってやるぞ!」って、すごく前向きな気持ちで臨んでいて。悔しい気持ちはもちろんあったけど、楽屋ではみんな明るかったんです。ただただステージを全力で届ける、やることは変わらないっていう気持ちで、しっかり向き合えていた。そういう心持ちでいたからこそ、「悔しかったけど、楽しかったよね」っていうマインドに持っていけたし、自分としても、できることをすべてステージにぶつけられたんじゃないかなって思っています。
──MCでマルコさんが涙ながらに「ごめんなさい」と語って、会場が静まり返った後、いちばん早く「よろしくお願いします!」と声を出したのはスズカスさんでした。あのとき、どんな気持ちでいたんですか?
マルコに「ごめんなさい」って言わせてしまったこと、一緒に頑張ってくれた目撃者を悲しませてしまった想いが、「よろしくお願いします!」っていう一言に気持ちを込めたら、少しでも届くんじゃないかと思って。それで「よろしくお願いします!」って言ったんですけど、誰も言ってなくて、「あっ、やば」って思って(笑)。
あのときの自分より、今のほうが圧倒的に充実しているなって思います
──ああいうところに、スズカスさんらしさが出ていていいなと思います。LiVSも曲数が増えましたが、「これからLiVSを知ってくれる人にまず聴いてほしい1曲」と、「個人的に特に思い入れがある好きな1曲」を、それぞれ教えてもらえますか?
「BACKLiGHT」が個人的にすごくおすすめです。LiVSって、前向きな曲も多いんですけど、「BACKLiGHT」はそんなに明るくないというか、どちらかというと落ち着いた雰囲気の曲で。私自身、気分が落ち込んでいるとき、前向きな曲を聴くと逆にしんどくなっちゃうことがあって。でも、「BACKLiGHT」を聴くと、「今の自分はダメダメかもしれないけど、それでもちょっと頑張ってみようかな」って思えるんです。
──たしかに、ダメなときに無理に明るくすることで辛くなるときもありますよね。
きっと、LiVSにまだ出会っていない人の中にも、前向きすぎる曲がちょっと辛いって感じるタイミングってあると思うんです。だからこそ、「BACKLiGHT」は、そういうときにも寄り添ってくれる曲として、まず聴いてほしいです。曲調もすごく綺麗で、歌詞も刺さるので、この曲をきっかけにLiVSを知ってもらえたら嬉しいなって思ってます。
──個人的に思い入れが強かったり、すごく好きな曲はありますか?
「Preserved」にすごく思い出があります。ライブで落ちサビを歌っているんですけど、目撃者のみんなが大声で歌ってくれるんです。その瞬間、「生きててよかったな」って心から思えて。今でも忘れられないのが、新体制になる直前にその曲を歌ったときのことで。客席ではたくさんの人が泣きながら、それでも大声で歌ってくれていたんです。きっと悔しさや虚しさ、いろんな感情があったと思って。今までLiVSを好きでいてくれて、でも悲しい思いもさせちゃったりして。それでも泣きながら歌ってくれているのを見て、もう絶対にこの人たちを悲しませたくないって思いました。あと、歌詞の中にある<音楽というタイムマシーンに乗って君の元へ>というフレーズがすごく好きで。音楽を通して、聴いてくれている人のそばにちゃんと寄り添えているような気がする。だからこの曲は、本当に特別な1曲です。
──ステージ上から見る客席やフロアの景色は輝いているんですね。
めちゃくちゃ、目に焼きついています。
──LiVSのライブはエネルギッシュな空間だなって感じるんですけど、ステージの上から見るとどんな景色が広がっているんでしょう?
思っていたより後ろまで全部見えるんですよ。私もともとは見る側だったから、「後ろの方とかきっと見えてないんだろうな」って思っていたんですけど、後ろの人たちもちゃんと見えていて。もう本当にキラキラしている。みんな一緒に汗をかいてくれているのがちゃんと見えるし、すごく幸せな景色が広がっています。
──最初の個別インタビューで引きこもり時代のことを話してくれましたが、外に出ることは、スズカスさんにとってすごく大きな一歩だったんだろうな、改めて思います。あの頃の自分と今の自分を比べてみて、どう感じていますか?
あのときの自分より、今のほうが圧倒的に充実しているなって思います。こうやって好きなことを仕事にして、ステージに立たせてもらっているってことが、本当に幸せだなって。同時にこの2年間で「自分はまだまだだな」って思うこともすごく多くて。だからこそ、もっともっと頑張らなきゃっていう気持ちも強くなりました。
──活動を始める前の自分からしたら、今の状況は信じられないんじゃないですか?
そもそもこんなふうに2年も同じことを続けているなんて、それだけでも当時の自分からしたらびっくりすると思います。
目撃者のことはすごく信頼しているし、絶対に悲しませたくない
──さっき目撃者の話もありましたが、スズカスさんにとって、目撃者はどんな存在なんでしょうか?
目撃者のことはすごく信頼しているし、絶対に悲しませたくないって思っています。おこがましいかもしれないけど、幸せにしたいなって。
──どうして、そこまで強い思いが生まれたんでしょう?
目撃者が正面からぶつかってきてくれるからかなって思います。ライブに来るのだって、お金もかかるし、時間も必要だし、仕事や学校の合間をぬって来てくれている。それって本当にすごいことだと思うし、休みを使ってまでLiVSのために時間を割いてくれてることが、すごく嬉しいんです。だからこそ、もっと楽しませたいし、幸せにしたい。幸せにしなきゃって言うのはおこがましいのかもしれないけど、この人たちと一緒に、大きな景色を見たいなって、心から思っています。
──スズカスさんも、活動を始める前、アイドルのライブ現場に足を運んでいた経験があるからこそ、行く側の気持ちもすごくわかると思うんです。
自分が行っていたとき以上に、もっと遠い場所から、もっと頻繁に来てくれてる人がたくさんいて。本当にありがたいなって思ってます。LiVSに人生を捧げてくれているんだなって感じる瞬間がすごく多くて。もちろん、私たちもLiVSに人生を注いでいるんですけど、それと同じくらい目撃者の皆さんもLiVSに人生をかけてくれているっていうのをすごく感じるんです。だからこそ、感謝の気持ちでいっぱいです。
──6月16日には、渋谷LOFT9にて初のトークイベントも開催されました。目撃者のみなさんが目の前にいて、ご飯食べながら話を聞いてくれる、ああいったスタイルのイベントは初めてだったと思うんですけど、やってみてどうでしたか?
めちゃくちゃ緊張しました。今まで、LiVS全員でMCをすることはあっても、トークイベントだけは初めてだったので。しかも、チケットを買って来てくださっているわけじゃないですか。だから、「楽しんでもらえてるかな」って、ずっとドキドキしながら喋ってました。
──改めて、目撃者を楽しませたいっていう気持ちがスズカスさんはすごく強いんだなって、話を聞いていて感じました。ちなみに、落ち込んだりすることってありますか?
めちゃくちゃあります。多分、LiVSの中でも落ち込みレベルは上位のほうかもしれません(笑)。
──こうやって話していると、そういう部分をあまり感じないです。
それは、自分が今まで好きだったアイドルやアーティストが、そういう姿をあまり見せてこなかったからっていうのがあって。自分もステージに立つなら、ちゃんとそういう姿は見せないようにしないとなっていう気持ちはあります。でも逆に、その分だけ落ち込んでいるときに、メンバーに迷惑をかけちゃったりすることもあって。だから、そこもちゃんとしなきゃなっていう思いは、最近すごく強く持つようになりました。
──前回の全員インタビューの時、〈Revenge Shangri-La〉の直前は、みんな本当に余裕がなかったからこそ、お互い本音をぶつけ合えたって話してくれましたよね。そういう意味では、ぶつかり合ったからこそ得られたものもあったのかなと。
それぞれが、ちゃんとLiVSのことを考えていたからこそ、ぶつかってでも、いい方向に持っていきたかったんだと思います。
その光景を見るたびに、「生きててよかったな」って、心から思うんです
──そして、8月18日のリキッドルームワンマンに向かっていくわけですが、スズカスさんにとって、リキッドルームはどういう会場なんでしょう?
リキッドルームって、売れていくアイドルやアーティストの方たちがワンマンをやる場所っていう印象が強くて。普段アイドルのライブ告知とか見ていても、リキッドルームでワンマンしますって書いてあったら、「すごい!」って思うし。なので、正直、自分たちがそのステージに立つって聞いたときは、「今のLiVSで大丈夫かな……」って不安がなかったわけではなくて。チケットの売れ行きとか不安なこともあるけど、チームとして本気で走れば絶対に後悔のない日にできるはずだと思っています。必ず成功させたい。2年間やってきたことはもちろん、このリキッドのステージで「今のLiVSはここまできたんだぞ」っていうのを多くの人に見せたい。まだまだ足りない部分はあると思うけど、3年目に向けて、パフォーマンスのレベルも含めて、自分自身もっともっと上げていけるように頑張りたいです。
──「今のLiVSで大丈夫かな」とおっしゃっていましたけど、パフォーマンスも向上しているし、表現力も増していると感じています。でも、それでもまだまだだなって思うのは、どういう部分なんでしょう?
パフォーマンスも、他の売れている人たちと比べたらまだまだだなって思うし、2年間やってきたとはいえ、全然足りてないなって思っちゃうんです。例えば、1年目の下北沢シャングリラのワンマンも、〈Revenge Shangri-La〉も、「絶対に埋めたい」っていう目標はあったのに、それを達成できなかった。そういう中で、こんなに大きなステージに挑んで、本当に大丈夫なのかなって不安になることもあります。だからこそ、頑張らなきゃって思ってます。
──LiVSは「人間最高」を掲げて活動していますが、スズカスさんは「人間最高」という言葉を、どういうふうに受け止めて活動していますか?
最初に「人間最高」って聞いたときは、まだメンバーやスタッフさんのこともよく知らなかったから、「人間最高なんて思えないよ」って正直思っていたんです。でも、LiVSとして活動していくうちに、LiVSでいる自分のことを好きになれて。それまでの人生、家族以外と深く関わることがなかったけど、メンバーとかと深く関わっていくなかで、ぶつかることもあるけど、いろんな性格の人がいて、「人間って面白いな」って思うようになったんです。だからこそ、LiVSで「人間最高!」って叫んでいる時は、本当に「この瞬間、人間最高!」って思っていて。実はその瞬間、こっそり目撃者の皆の顔を見るようにしていて、その時の表情がすごく好きなんですよ。みんなキラキラしていて。その光景を見るたびに、「生きててよかったな」って、心から思うんです。
──ちゃんと目撃者の顔を見渡しているんですね。
「人間最高!」って叫ぶ時、上を向くんですけど、その合間にちゃんと顔を見ています。その瞬間の顔が、ほんとに好きです。
──そういうときに、この活動、やっていてよかったなって思うんですね。
思います。めちゃくちゃ。「一生ここにいたいな」って。
──LiVSを始めたことで、スズカス・テラさんの人生も大きく変わりましたよね。
本当に、大きく変わりました。
──LiVSにいる時の自分が好きになれたと話していましたけど、ライブをしていない時でも、“スズカス・テラ”として生きている感覚なんでしょうか?
はい。LiVSのことを考えない日はないし、ライブがない日でも、SNSで目撃者からリプやメッセージをもらうし、自分の中ではLiVSとしての時間のほうが濃くて、本名の自分の人生はすごく薄っぺらいなと思うんですよ。友達もあんまりいないし。だから、東京にいる間の私は、ずっとスズカス・テラなのかもしれません。
──リキッドルームまであと約1ヶ月です。どんなライブにしたいですか?
来てくれた人が「来てよかった」「最高だった」って思って帰ってもらえるような日にしたいです。いろんなアーティストのライブに行って、「今日来れてよかったな」って感じることってあるじゃないですか? ああいう気持ちを、来てくれた全員に感じてもらえるような日にしたいし、この先、LiVSを知った人にも「あのときのリキッド行きたかったな」って思ってもらえるぐらい、すごくいいライブにしたいって思っています。
■ライブ情報
<LiVS夏の全国ツアー>
7月5日(土)@仙台BIRD-LAND
時間:OPEN 17:00 / START 17:30
7月12日(土)@千葉LOOK
時間:OPEN 17:00 / START 17:30
7月13日(日)@浦和ナルシス
時間:OPEN 17:00 / START 17:30
7月19日(土)@大阪LIVE SQUARE 2nd LINE
時間:OPEN 17:00 / START 17:30
7月20日(日)@新栄DAYTRIVE
時間:OPEN 17:00 / START 17:30
7月27日(日)@F.A.D YOKOHAMA
時間:OPEN 17:00 / START 17:30
8月10日(日)@下北沢SHELTER
時間:OPEN 11:00 / START 11:30