“人間最高”をコンセプトに活動を続けるアイドルグループ、LiVS。元WACK代表・渡辺淳之介から出資を受けたALL INc.主催によるアイドルオーディション「THE LAST CHANCE PROJECT」を経て、2023年8月13日にデビュー。2024年には下北沢シャングリラ、SHIBUYA WWWXでのワンマンライブを成功させ、現在はコンニチハクリニック、スズカス・テラ、ミニ・マルコ、ユニセックス、ランルウの5人体制での活動を行なっている。
2025年8月18日、LiVSはグループ史上最大規模となる東京・恵比寿リキッドルームでのワンマンライブを開催する。StoryWriterでは、恵比寿リキッドルーム公演という大きな挑戦に向けてスタートを切ったLiVSの軌跡を、さまざまな角度から記録していく。
第6弾からは、メンバーの個別インタビューを実施。第5回目となる今回は、ミニ・マルコへのインタビューを敢行した。〈Revenge Shangri-La〉にて涙とともに語られたMCも強く印象を残したマルコに、LiVSでの活動2年間を振り返ってもらうとともに、リキッドルームへの想いを語ってもらった。
取材&文:西澤裕郎
写真:大橋祐希
本当はあのMCで「ごめんなさい」って言うつもりじゃなかった
──マルコさんは、2024年1月21日の東京・中野heavy sick ZEROでのワンマン公演〈LiVSなりの再結成ライブ〉でお披露目ライブ、新メンバーとして加入しました。LiVS結成2周年という節目ですが、これまでの日々は長かったですか? 短かったですか?
全体をばっと見たら早かったなって思うんですけど、遅く感じる時期も、早く感じる時期も両方あったなって思います。あまり表には出てなかったかもしれないけど、精神的な浮き沈みも自分の中ではいろいろあって。だから、全体的には早かったけど、ある時点の自分から見たら、「あの時期は長かったな」とか「一瞬だったな」とか、そういう感覚ですね。
──ここがターニングポイントだったなと思うタイミングを挙げるとしたら?
今が変わるチャンスだと思っていて。だからこそ、今をターニングポイントにしたいと思っています。シャングリラは埋められなかったけど、そこから8月18日のリキッドワンマンまでの期間、LiVSとしての行動すべてがターニングポイントになるんじゃないかなって。
──リキッドまで、あと1ヶ月弱くらい(※取材の時点)ですよね。今の心境としては、どんな感じですか?
え〜、もうそれしかないんだ!っていう感じですね。
──確かに、この連載をはじめたときは、まだ3ヶ月くらいありましたからね。
ほんと、すぐに来ちゃいますよね。シャングリラが終わってからも、あっという間に時間が過ぎていて。毎日やるべきことを欠かさずやっているけど、それだけじゃダメだと思っているので、自分でできることを考えて、どんどん行動に移していきたいです。1回1回の練習やダンスレッスン、ライブも全部無駄にしないようにしたい。定期公演や普通のライブ、土日のライブとかにも新規の人が来てくれたり、いつも来てくれている人たちにも「また行きたい」って思ってもらえるライブをして、恵比寿リキッドルームにつなげたいし、その先もずっと応援してもらえるような時間を届けたいなって思っています。
──5月7日に下北沢シャングリラで開催した〈Revenge Shangri-La〉、チケットのSOLD OUTが達成できず、マルコさんがMCで、「ごめんなさい」と語ったのが強く印象に残っています。今振り返ってみて、あの「ごめんなさい」には、どんな気持ちが込められていたんでしょう?
シャングリラを埋められなかったことに対しても、自分自身というか、LiVSに対しての気持ちもあったかなって思います。うまく言葉にするのが難しいんですけど、いろんな感情が詰まりすぎていて、悔しくて、本当に申し訳ないっていう気持ちで、全部がそこに詰まっていた気がします。本当はあのMCで「ごめんなさい」って言うつもりじゃなかったんです。スタッフさんに送ったシャングリラのMC内容にも「ごめんなさい」なんて言葉はなかったんですよ。でも、あの場に立ったら自然と出てしまって。謝るのはよくないって自分でもわかってたんです。目撃者のみんなに謝ったら、絶対に悲しい思いをさせてしまうって。ちゃんとわかってたのに、ステージに立ったら思わず出てしまった。心の底からそう思ってたのかもしれません。
──「メンバーに対しても」って言っていましたけど、それはどういう気持ちからですか?
もちろんメンバー全員で頑張ってきたし、みんなでひとつのチームだと思っているんですけど、それでも私個人でもっとできることがあったんじゃないかって。もっと違う行動をしていたら、もっとたくさんの人にLiVSのライブを観てもらえていたかもしれない。それも含めての「ごめんなさい」でした。
──6月16日に渋谷LOFT9にて開催した初のトークイベントで、メンバーと目撃者とともにあのシーンを観返しました。自分の姿を映像で観て、どんな気持ちになりました?
【AFTER MOViE】
2025.05.07
「2nd EP WARMiNG Release Tour FiNAL”Revenge Shangrila”」
@下北沢シャングリラDirected by @hassyi_r #LiVS#人間最高#LiVSリベンジシャングリラ#LiVSリキッド pic.twitter.com/tayxsCwRd4
— LiVS (@LiVS_idol) May 8, 2025
もう、頭を抱えていました(笑)。映像が公開されたときも、自分のMCのシーンは本当に怖くて。映像自体は見ていたけど、「自分の声、聞きたくない!」って感じで。なので、ああやってみんなと一緒に観たとき、すごく恥ずかしかったです。それと同時に、みんなが真剣に観てくれていたのも伝わってきて。自分がステージでMCしている時って、目撃者のみんなの顔を見ながら喋っているけど、あとから映像で自分の声を聞きながら周りの人の顔を見てると、体感が全然違うんですよね。「ああ、こんな真剣な目で見てくれていたんだ」って。
──悔しさが残る一方で、全員インタビューでは、ライブ自体はすごく楽しかった、って言っていましたよね。
緊張はしたけど、やっぱりみんなで頑張ってきたし、2回目のシャングリラっていうこともあったので。1回目は、自分のステージングが正直ひどかったなって思っていたんですけど、2回目は、ステージ全体をしっかり使えたし、メンバーの表情も、目撃者のみんなの表情も、1回目よりずっとたくさん見えたから、すごく楽しかったです。
うまい/うまくないって基準とはまた違うところで、ちゃんと届くような表現がしたい
──マルコさんは、メインヴォーカルを担うことが多いですよね。以前、声に対するコンプレックスについて話してくれたこともありましたが、最近気持ちに変化はありますか?
みんな声が違って、それぞれに魅力があってこそ全体でひとつのLiVSだなって思えてきた部分はあります。でも、自分の声が好きじゃないって気持ちは、まだ心の底にこびりついてるんですよね。完全には落とせないというか。ただ最近は、好きとまではいかなくても、意外といいかもと思える瞬間も出てきていて。そうやって思えるようになるためにも、表現とか基礎とか、全部もっともっと磨いて、いずれは自分の声を好きになれたらいいなって思っています。
──マルコさんの歌は聴いていてとても心地いいと思います。自分の中でどんな部分が好きじゃないと感じるポイントなんでしょうか?
感情があまり乗らない声だなと思っていて。まっすぐすぎるというか。もちろん、「そのまっすぐなところがすごくいいね」って言ってもらえることも多くて、それは本当にありがたいし、自分でも「いいかも」って思える時もあるんですけど、思えない時はやっぱりうまく歌えないし、逆に思えている時も「ちゃんと歌えているのかな?」って不安になったりして。うまい/うまくないって基準とはまた違うところで、ちゃんと届くような表現がしたいって最近は強く思っています。
──作曲家の井口さんとエンジニアの沖さんは、マルコさんのことをすごく褒めていましたよ。「スコーンと抜ける声で、ライブでも全然ブレないし、ピッチも安定してる。レコーディングでも驚くほど安定してて、あの精度でライブができるのは本当にすごい」って。そのあとに「褒めすぎると調子に乗っちゃうかも」って笑っていましたけど(笑)。
いや、褒めてくれてる~って思いました(笑)。ありがたいですよね。
>>【Road to リキッドルーム】Vol.3 作曲家・井口イチロウとエンジニア・沖悠央が語る、LiVSサウンドの裏側
──井口さんも「弾ける声」って表現していて。サビの安定感もすごいし、歌が上手いとされる要素を全部持っているうえに、表現力まであるって。それでも、マルコさんの中では、まだ「もっとこうしたい」って思う部分があるんですね。
うーん、めっちゃわがままかもしれないですけど……。でも、すっごく嬉しいです!
ライブで「BACKLiGHT」を歌うたびに、この曲を歌える喜びをすごく感じます
──LiVSも曲数がかなり増えてきたと思うんですが、マルコさんの視点で「最初に聴くならこの1曲!」というおすすめの曲を挙げてもらえますか?
これは……他のメンバーと、かぶっても大丈夫ですか?
──もちろん大丈夫です!
「He meets」がいいかなって思います。今のLiVSの雰囲気にすごく合っているなって思うし、最近は目撃者のみんなも振りも覚えてくれて、一緒にやってくれるのがすごく楽しくて。あと、初めてLiVSを聴く人にも、歌詞の内容がすごく当てはまるんじゃないかなと思うんです。私自身、初めて音源で「He meets」を聴いたとき、「もしこの曲がLiVSじゃなくて、他のアーティストの方が歌っていたとしても、私はライブに行きたいな」ってストレートに思ったんです。MVも、すごくLiVSっぽい雰囲気が出ているんですよね。「これがLiVSです!」って胸を張って言えるようなMVになってると思うので、ぜひ見てほしいし、初めて観た人にも「いいな」って思ってもらえるんじゃないかなって思っています。
──あのMVは、どこで撮ったんですか?
茨城の山奥で撮影しました。めちゃくちゃ寒かったんです。それもあって、メンバーみんな、あまりテンションが高くないというか……。
──ランルウさんも「元気がなかった」って言っていました。
山奥のロケーションで、シャボン玉を飛ばしたり、振り付けも何もなしで撮るMVで。その時だけは、なんだかすごく明るい気持ちでいられて。私だけかもしれないけど、精神的にすごく楽しかったんです。そのときの気持ちがMVにも出ている気がして。あと、メンバーで豆電球みたいなライトをくるくる巻いて、一か所に集まっておしゃべりするシーンがあるんですけど、そのときにコンニチハクリニックがめちゃくちゃ面白い話をしてくれて(笑)。LiVSの素の部分が映っているというか。あの撮影がなかったら、私はもっと気持ちが落ち込んでいたかもしれない。そんな大事な思い出でもありますね。
──マルコさん個人として、すごく思い入れがあったり、これは絶対に聴いてほしい!っていう曲を挙げるとしたら?
いっぱいあるんですけど、「BACKLiGHT」ですかね。思い出もあるし、純粋に好きな曲で。レコーディングの時に、「絶対に落ちサビを歌いたい!」って強く思っていたんですよ。実際に、自分のパートとしてそこが来た時は、本当に嬉しくて。普段、レコーディングで「ここ歌いたいな」って思っているパートが自分に回ってくることって、そんなにないんです。もちろん「全部歌いたい」って気持ちはいつもあるし、どのパートも本気で歌いたいって思っているんですけど、「BACKLiGHT」では、初めて「ここ歌いたい」って思っていたパートが本当に自分に来たから、すごく思い出深いし、大好きな曲ですね。ライブでこの曲を歌うたびに、「この曲を歌える喜び」みたいなものをすごく感じます。
──先ほども少し話に出ましたが、初めての目撃者の前でのトークイベント。マルコさんにとってどんな体験でしたか?
難しかったです。「何を話そうかな」とか、「これ話したら面白いかな?」とか、いろいろ本番前に考えていたんですよ。でも結局、考えてたことは全部飛んじゃって(笑)。本番では普通にご飯を食べながら、幸せな気持ちで話していた気がします。自分はあまり言葉がポンポン出てくるタイプじゃないし、「話すのは好きだけど苦手」っていう感覚があって。だから「うまくできるかな」って不安もあったんですけど、「もう1回やりたい!」って思いました。もっと目撃者の皆さんを巻き込めるような、みんなで楽しめるトークイベントっていうのを、やれたら、すごくいいなって思いました。
目撃者にはめちゃくちゃ激重な感情を抱いてます(笑)
──LiVSの歩みって、目撃者との歩みでもあると思うんです。あらためて、マルコさんにとって目撃者って、どんな存在なんでしょうか?
めちゃくちゃ大きい存在ですね。住んでいる場所がすごく遠かったり、生きてきた年数も考え方も私とは全然違う人たちばかりだと思うんですけど、精神的な距離はすごく近いって感じます。ライブで会えるのもあるし、SNSでつながっているけど、それ以上に「心のつながり」がいちばん強い。毎日、目撃者のことを思い出しているんですよ。「あの時ああ言ってたな」とか、いろんな人の言葉をふと思い出すことがすごく多くて。私にとって目撃者はもう人生の一部です。いつまでも、絶対に思い出すし、ずっと会いたいなって思う存在になると思う。応援してもらえることって、当たり前じゃないって、すごく思うんです。でも、目撃者の存在って、すでに自分の生活の中で当たり前になっている部分もあって。だからこそ、ふとした時に「いなくなったら寂しいな」とか、「怖いな」って思うことがあるくらい、大きな存在です。もう、めちゃくちゃ激重な感情を抱いてます(笑)。
──活動を重ねるなかで、その思いもどんどん強くなってきたんですね。
ライブをするたびに話せる機会があるし、手紙を渡してくれたり、自分の思いをぶつけてくれたり。そういうのにすごく救われるし、あらためて出会えてよかったなって思います。
──全国各地にも目撃者がいますよね。LiVSもこれまで何度か全国ツアーをやってきていますが、全国を回るツアーは、マルコさんにとってどんな体験ですか?
すごく遠くに住んでいる人は、ツアーの時しか会えなかったりするので、「やっと会える!」っていう気持ちがすごく強いです。Xとかで「行くよ!」「すごい楽しみ!」って書いてくれているのを見ると、「ああ、もうすぐ会えるんだ!」って私もすごくワクワクします。もちろん、何もつぶやいてなくても、ライブが始まった瞬間に「あっ、来てくれている!」って見つけて、目が合って笑い合えた時の感覚っていうのが、本当に私にとっての救いというか。自分にとっても大事な存在だし、来てくれた人にとっても、私たちがそんな存在になれているのかなって、少し感じられる瞬間でもあります。だからツアーは本当に毎回楽しみです。あとは、美味しいものも食べられるし(笑)。それもツアーの楽しみのひとつですけど、やっぱり一番はライブ。普段は東京中心に活動しているから、遠くに住んでいる人はなかなか来づらいこともあるし、そういう人たちにとって「この日、この場所でしかできないライブ」を、全力で届けたいっていう気持ちで毎回臨んでいます。
誰かの記憶に残るようなライブにしたい
──LiVSが掲げている「人間最高」というテーマについて、マルコさんの連載でも追い求めていますが、どういうふうに受け止めて活動していますか?
正直、私自身、「人間最高!」って思えない日もあるんです。でも、そう思える日もちゃんとあって。言葉にするのがちょっと難しいんですけど……いろんな人間がいる。それってすごくいいなって思うんです。考え方も、好きな食べ物も、好きなものも違っていて、でもそれがすごくいいなって。みんな違うから、ぶつかっちゃうこともあるけど、違うからこそ、補い合えると思うんです。私はもともと「人間最高」なんて思ってなかったし、どっちかっていうと「人間嫌いかも」って思っていた時期もあったくらいで。でも、LiVSに入ってから、目撃者のみんなやメンバーと関わっていくなかで、「いろんな人がいていいんだ」って心から思えるようになってきた。本当に、メンバーの考え方も全然違う。そんなみんなが一緒にライブを作って、目撃者もそれを楽しんでくれている。その光景を見ていると、「人間最高」をちゃんと体現できているんじゃないかなって、最近は思います。
──マルコさんにとってリキッドルームとは、どのような場所なんでしょう?
実は私、リキッドルームに行ったことがないんです。逆に「思い入れがある場所にしたい」ってすごく思っています。8月18日を、みんなと一緒にその場所で過ごして、自分にとって「大切な場所だったな」って思えるような、そんな1日にしたいです。
──どんなライブ、どんな一日にしたいと考えていますか?
もう、悔しいとか言ってられないくらい、めちゃくちゃエキサイトしたライブにしたいです。心の底から「めっちゃ楽しかった!」って思える日。いい意味でぶっ飛んじゃうぐらいのエネルギーで臨みたい。それくらい、目撃者のみんなにも楽しんでほしいし、メンバー全員で「楽しかったね」「よかったね」って言い合えるような1日にしたいなって思っています。もちろん、リキッドルームが終わったら「次のライブではこれを超えなきゃ」って思うんですけど、それでも、「あのライブ、マジで良かったよね」って、何年経っても言ってもらえるような日にしたいです。2025年8月18日のLiVS、ほんとマジかっこよかったよね、って。誰かの記憶に残るようなライブにしたいです。
■ライブ情報
<LiVS夏の全国ツアー>
7月5日(土)@仙台BIRD-LAND
時間:OPEN 17:00 / START 17:30
7月12日(土)@千葉LOOK
時間:OPEN 17:00 / START 17:30
7月13日(日)@浦和ナルシス
時間:OPEN 17:00 / START 17:30
7月19日(土)@大阪LIVE SQUARE 2nd LINE
時間:OPEN 17:00 / START 17:30
7月20日(日)@新栄DAYTRIVE
時間:OPEN 17:00 / START 17:30
7月27日(日)@F.A.D YOKOHAMA
時間:OPEN 17:00 / START 17:30
8月10日(日)@下北沢SHELTER
時間:OPEN 11:00 / START 11:30