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【LiVS Road to リキッドルーム】Vol.13──リキッドルームワンマン前最後にして、4人体制初ワンマンで示した、揺るがない想い

StoryWriter

取材&文:西澤裕郎
写真:伊藤洸太

“人間最高”をコンセプトに活動を続けるアイドルグループ、LiVS。元WACK代表・渡辺淳之介から出資を受けたALL INc.主催によるアイドルオーディション「THE LAST CHANCE PROJECT」を経て、2023年8月13日にデビュー。2024年には下北沢シャングリラ、SHIBUYA WWWXでのワンマンライブを成功させた。

2025年8月18日、LiVSはグループ史上最大規模となる東京・恵比寿リキッドルームでのワンマンライブを開催する。StoryWriterでは、恵比寿リキッドルーム公演という大きな挑戦に向けてスタートを切ったLiVSの軌跡を、さまざまな角度から記録していく。

第13回目となる今回は、2025年8月10日(日)に東京・下北沢SHELTERにて開催された<LiVS in SUMMER2025>ファイナル公演のレポートを掲載する。


4人体制初のライブにして、リキッドルームワンマン前最後のライブ

午前11時30分。大粒の雨が降りしきる下北沢。階段を降りた先にあるSHELTERは、蒸すような空気に包まれていた。

8月8日、同日をもってユニセックスの脱退が発表された。グループ史上最大規模となるリキッドルームワンマンまで、残り10日という段階でのメンバー脱退。なにより、独自性のある歌声と存在感で強い個性を放っていたユニの脱退に、SNSは戸惑いと失意に満ちた投稿で溢れていた。

発表後初となる4人体制のステージに、会場には言葉にならない不安と期待が同居しているようだった。

11時40分、ステージ脇から漏れる大きな掛け声が漏れ聞こえた。それに対し、目撃者(※LiVSファンの総称)たちは胸を突き上げるような歓声で応えた。まるで、胸の中に抱えたモヤモヤした気持ち、煮え切らない想いを自ら払拭させようとするかのような大きな歓声だった。

オープニングSEとともに、ステージに登場した、コンニチハクリニック、スズカス・テラ、ミニ・マルコ、ランルウの4人。「ここにいるみんなと、最高に生きたライブをしにきました」。ランルウの宣言とともに、轟音の「RとC」で幕を開ける。頭を振り、拳を掲げる目撃者たち。いつも以上に声が張り裂けるほどの大きさで響く。スズ・カステラの「ツアーファイナルよろしくお願いします!」の叫びを合図に、「Shooting Star」へ。ギターリフが空気を切り裂く「JUST ONCE」へと続き、熱は上がっていく。

この日のセットリストは、「僕の声、跳ね返る」や「He meets」といった、最近のワンマンでは定番となっているアクセントになる楽曲を除いた構成で行われたのが特徴的だった。その中でも、ロック色の強いナンバーが並び、LiVSの原点そのものといえる初心を改めて見つめ直そうというような楽曲が並んでいた。4人は、その音の塊を全身でぶつけるように歌い、跳び、叫んだ。

1人ずつ自己紹介を終えると、ランルウが「ライブははじまったばかりです。このあとも一緒に楽しんでもらえますか?」と煽り、場内はさらに熱を帯びる。「Believe」では一斉に目撃者たちのコールが響き、「ときとき☆めきめきガガーリン」ではもえもえきゅんコールが炸裂。「ZOMBiES→」では、マルコが「もっともっと笑顔みせて、涙もみせて」と清濁まぜこぜになった感情を爆発させるよう煽ると、フロアがひとつの生き物のようにうねった。

ランルウが「あらためてツアーファイナルありがとうございます。各地で目撃者に会えて嬉しかったです」とツアーの感謝を述べたあと、1人ずつ想いを語った。

ランルウ

ランルウ「何回も言ったと思うんですけど、本当に全員に、あなたたちの人生が幸せになってほしいなって思いながら歌っております。今はうまく笑えないかもしれないけど、大丈夫。私は大丈夫。みんなも絶対大丈夫。MCを用意してきたんですけど、全然違うこと言っちゃっています。今の気持ちです。マジで大丈夫。無責任でバカみたいな言葉かもしれないけど、信じてください。私は、ここでLiVSとして歌い続けさせていただきたいです。よろしくお願いします。8月18日に恵比寿リキッドルームで2周年ワンマンをさせていただくんですけど、そこはLiVSチーム全員と目撃者全員で最高な1日を作りたいって本気で思っております。だから、これからもよろしくお願いします」

スズカス・テラ

スズ・カステラ「正直、今日時を迎えるまで、悔しさだったり、いろんな感情があって。でも来てくれた、ここに今いる人は、私たち以上に色んな気持ちを掲げて、心にいっぱいあってきたと思うんですよ。本当に来てくれてありがとうございます。悔しさや、悲しさ、いろんな感情があるけど、私たちは絶対にLiVSを守るし、目撃者と一緒にいれる環境をずっとずっと守りたいって思ってます。目撃者の顔を見たら泣いちゃうから、見ないで、って思っちゃうぐらい、みんなのことが大好きだし、大好き! 大好きだから、これからも目撃者と一緒に、LiVSの未来を描いていきたいなって思います。これからもLiVSをよろしくお願いします」

ミニ・マルコ

マルコ「みんなのことが本当に大切で、大好きです。でも、今日は、正直に言うと、みんなの前にどうやって立っていいか、どういうふうに歌ったらいいか、わからないまま来ちゃったし、みんなにも、私自身にも、前を向いてって真っすぐは言える気がしない。ネガティブとかではなくて、ポジティブでもないけど、頑張れることはいっぱい私にもあるし、みんなは辛いから休憩って感じかもしれないけど、ちゃんとみんなが幸せになることを私は願っています。私自身も、今は無理かもしれないけど、大丈夫!って言えるくらいに頑張ってもがいてやってこうかなと今は思ってます。だから、みんなも自分のペースで歩いてほしいなと思う。みんなのことをめちゃくちゃ信じてるし、みんなも信じていてほしいなって思います。私はこのステージで、絶対に何があっても立って歌うから、場所はライブハウスじゃないかもしれないし、YouTubeの画面かもしれないけど、それを見ていてほしいなって思います。今日は本当に来てくれてありがとうございました。これからもLiVSをよろしくお願いします」

コンニチハクリニック

コンニチハクリニック 「今回のツアー、いろんな新しいところに行って、新しい目撃者と出会えて、本当に楽しかったです。みんなありがとう。ほんとにみんながいてくれたから、私はここに立っているし、みんながこうやって笑顔で迎えてくれるから、私はまだ頑張ろうと思っています。いつもみんなが「LiVSに支えられてるよ」って言ってくれるけど、私も目撃者に支えられてるなって思います。まだまだまだかもしれないけど、これからも頑張るのでついてきてほしいです。あと数曲で絶対にみんなを笑顔にして帰ります」

こぼれそうな涙をこらえてコンニチハクリニックが語り、タイトルコールをしたのは、「BACKLiGHT」。連載インタビューで、スズ・カステラは、この曲に関してこんな発言をしている。

「私自身、気分が落ち込んでいるとき、前向きな曲を聴くと逆にしんどくなっちゃうことがあって。でも、「BACKLiGHT」を聴くと、「今の自分はダメダメかもしれないけど、それでもちょっと頑張ってみようかな」って思えるんです」

メンバー自身も、まだ4人体制になった今を受け止めきれてないだろう。自分たちにも響くような楽曲を精一杯歌う。

<ほろ苦い辛い景色 迷わないで洗い流せglory 譲れないからこそ何色でもなれるよ>

そんな歌詞が、この日の空気に沁み渡る。

そして、バラードからロック調へと変化する「LIVE FOREVER LOVE FOREVER」、目撃者たちの力強いジャンプがメンバーへのエールにも感じられる「CONNECT」、活動初期から歌い続ける「ONE」「MUSIC」「Preserved」と、最後まで熱狂を上げ続けていった。

「ツアーファイナルに来てくれる選択をしてくれてありがとうございました!」。コンニチハクリニックの言葉を合図に、メンバー同士、目撃者同士が手を繋ぐ。そして、LiVSというグループのコンセプトでもある「人間最高!」を大きく、力一杯に叫び、手を挙げた。4人体制初のステージは、別れを経ても揺るがないメンバーたちの想いを鮮明に示し、リキッドルームへの最後の助走を全力で駆け抜けるライブとなった。

LiVSは、8月18日の恵比寿リキッドルームへと向かっていく。

4人体制でのインタビューで、ミニ・マルコは、「生き残るかどうか、のライブになると思います」と語った。そして他の3人も、この日のライブがLiVSのターニングポイントになると語っている。LiVSの2周年にして、この先の未来が掛かったリキッドルームワンマン。「人間最高」を掲げる彼女たちのライブを目撃しに足を運んでほしいと切に願っている。


■ライブ情報

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