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【LIVE REPORT】鈴木実貴子ズ、魂の叫びと深い感謝、鶯谷ダンスホール新世紀ワンマンで<危機一発>

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取材&文:西澤裕郎
写真:上保昴大

鈴木実貴子ズが2025年12月13日(土)、ワンマンライブ<危機一発>を東京・鶯谷ダンスホール新世紀にて開催した。

2012年に結成され、名古屋を拠点に活動する、鈴木実貴子(Vo./Gt.)とズ(高橋イサミ/Dr.)による2人編成のバンド、鈴木実貴子ズ。

今年9月に行ったインタビューで、ズは、今回のワンマンに対して、「(会場の)下見もさせてもらったんですけど、絶対埋まらないだろうなって(笑)。でもだからこそ、やりたいって思ったんです」と語っていた。ある意味で挑戦でもある今回のワンマン。そんな心配を他所に、会場には500人近い観客たちが詰めかけていた。

16時1分。映画「Shall we ダンス?」のモデルとなったダンスホール新世紀に合わせて「Shall We Dance?」のBGMが流れると、ステージ上手にある舞台から2人が登場。大きな拍手の中、階段を降りてステージに到着すると、実貴子はアコースティックギターを、ズはドラムのセットをチューニング。簡単に自己紹介をすると、ズが「残念なことがありまして」と、3日前に名古屋から物販を送ったがまだ届いていないエピソードを明かした。お客さんから「投げ銭の箱を置いたらどうか?」と提案されたが、「恥ずかしいじゃないですか? なので箱は置かなかったんですけど、よかったら机の上に置いて行ってください」と笑いをとり、ハイハットのカウントから「暁」でライブがスタート。跳ねるビートに荒々しいアコースティックギターの調べ。2人とは思えない迫力に満ちた演奏が終わると大きな拍手が起こった。

静かに一礼した鈴木実貴子は、ギターの弾き語りから「正々堂々、死亡」へ。力強く歌う2人の音楽に同じくらい真剣な眼差しで見つめる観客たち。鈴木実貴子ズが魂を込めて歌っているように、観客たちも同じくらい魂を込めて聞いている様子が伝わってくる。

ライブのたびに実貴子との相性を占っているというズは、この日の2人の相性が37%であったことを語り、朝から窓をあけて運気をあげようとしたがホテルの窓が開かなかったことを明かす。実貴子の部屋の窓は開いたとのツッコミに、笑いに包まれる客席。多くの観客でいっぱいの客席を見た実貴子は、「こんなに人が来てくれていて、する話とちゃうで!」と笑いながらツッコむ。会場いっぱいの観客の光景を見た実貴子は「やばくない? 感動した」と感慨深く語り、「チャイム」「都心環状線」「夕やけ」と、これまで何度も歌い続けてきた定番曲でもある3曲を披露した。

2026年1月28日にメジャー2ndアルバム『あばら』をリリースすることに触れ、「(メジャーで)1年持った。すごくない?」と心情を語る。また、同作のリリースツアーが2月からはじまることを発表し、現在47都道府県を巡る路上ライブ「いばらのみち」に言及。そして、『あばら』から「ゆれる6弦」と「イッキ」を披露。さらに実貴子のギターリフとミニマルなズのドラムで始まる「ブルース」へ。サビでは<ブルース>と劇場的に叫び、疾走感が増していく印象に残る楽曲に観客は耳を傾けた。

続く、「坂」を力一杯演奏している途中、実貴子のギター弦が切れてしまうハプニングが。同楽曲を歌い終え、弦を張り替えている間、実貴子の骨の話題へ。よく「骨が折れたかもしれない」とズに伝えるという、実貴子。最初はズも心配していたが、毎回無事で実際は折れていないことに触れ、「もし今回折れていなかったら、「鈴木実貴子」と「ズ」の間に半角スペースを入れてもいいか?」と提案。和やかな雰囲気に包まれた。

実貴子は「坂」が生まれたときのことを語る。歌っても歌っても届かないようなライブをした時期があり、イベントの途中でライブハウスを出てしまったことを振り返った。「あの日は無駄だったかもしれないけど、今日の有難さはめっちゃ思う。高いお金を払って、これだけの人がきてくれて。みんなすごい。おかしいと思うよ」と実貴子なりの言葉で感謝を伝え、「違和感と窮屈」「かかってこいよバッドエンド」「ファッキンミュージック」と、彼女たちの強い想いと信念が込められた楽曲を歌い上げた。

MCで、2月19日に新代田FEVERで、竹原ピストルと2マンを行うことを伝えると大きな歓声が。同時に、ここまで大きな場所でワンマンをするが大変なことだった告白すると、「これだけお客さんが来てくれたことで「危機一発」セーフといえるんじゃないか」と語った。実貴子は「一人でも来てくれたら嬉しい気持ちがめちゃめちゃあるし、数字じゃないという想いはめちゃあるのと同時に、数字が大事という気持ちもある。もちろん、お客さんの人数が増えることで、その気持ちが薄まるわけではない」と、たくさんのお客さんが足を運んでいることを改めて感慨深く語った。

最後は、2ndアルバムに収録される「ががが」を披露。実貴子の怒りがエネルギーへと昇華したような同楽曲を歌い上げた。

大きな拍手が起こる中、実貴子はステージを降りることなく「アンコールで」と微笑みながら伝えると、観客たちの顔が明るく照らされる中、一人一人の観客に向けて投げかけるように「私、天使だっけな」を力一杯歌い、颯爽とステージを後にした。2人がステージを去っても、しばらく拍手は鳴り止むことはなかった。


ワンマンライブ「危機一発」セットリスト
2025年12月13日(土)@鶯谷・ダンスホール新世紀
1. 暁
2. 正々堂々、死亡
3. チャイム
4. 都心環状線
5. 夕やけ
6. ゆれる6弦 ※新曲
7. イッキ ※新曲
8. ブルース ※新曲
9. 坂
10. 違和感と窮屈
11. かかってこいよバッドエンド
12. ファッキンミュージック
13. ががが ※新曲
EN. 私、天使だっけな


■リリース情報

鈴木実貴子ズ
メジャー2ndアルバム『いばら』
2026年1月28日(水)リリース
CRCP-20619 / 価格:¥3,300(税込)
収録曲:
1. ががが
2. ゆれる6弦
3. イッキ
4. 四月の風
5. ブルース
6. 0月0日
7. パンダ
8. 止まるな危険
9. ハックオフ
10. ちいさなうた

■ライブ情報

「いばら」リリースツアー
2026年2月19日(木)東京・新代田FEVER w/竹原ピストル
2026年3月8日(日)愛知・名古屋CLUB QUATTRO
2026年4月10日(金)福岡・INSA
2026年4月21日(火)大阪・LIVE HOUSE Pangea
2026年4月22日(水)岡山・CRAZYMAMA 2ndRoom
2026年5月8日(金)北海道・KLUB COUNTER ACTION
2026年5月10日(日)宮城・LIVE HOUSE 仙台FLYING SON

-オフィシャルサイト先行-
受付期間:12/13(土)18:00 〜 12/22(月)23:59
受付URL:https://eplus.jp/suzukimikiko2026-hp/

鈴木実貴子ズ Official HP:http://mikikotomikikotomikiko.jimdofree.com

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