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【密着レポート】「泥臭くても必死でやり抜けるアイドルが1番かっこいい」BLUEGOATSが100km駅伝で示した覚悟

StoryWriter

「頑張っている人たちが馬鹿にされるような時代」

青春パンクアイドル・BLUEGOATSのダイナマイト・マリンは、100km駅伝を走り切った後のステージでそう語った。

2025年12月22日、BLUEGOATSのメンバー、ほんま・かいながXに投稿した動画「今のアイドルがオワコンな理由」は、瞬く間に賛否両論を巻き起こした。そこで語られていたのは、流行りのKAWAIIアイドルを真似するばかりでいいのか、という問いかけ。アイドルのあり方が多様化している中で、自分たちが本当にやりたいアイドルをやれているのか——それは仲間たちへの、そして自分たち自身への投げかけでもあった。

BLUEGOATSには「誰もあなたを笑わない」という曲がある。かいなが作詞したこの曲には、こんな一節がある。

正攻法なんて分からずに
這いつくばり泥だらけの
あなたを汚いだなんて
死んでも思うものか

 

頑張ることが、必死になることが、馬鹿にされる。そんな時代の中で、彼女たちは自分たちの答えを示そうとした。それが、2026年1月10日から11日にかけて行われた100km駅伝だった。

メンバーのダイナマイト・マリンの地元である群馬県伊勢崎市をスタートし、東京・渋谷にあるライブハウス渋谷CYCLONEをゴールとして、そのままワンマンライブに臨むという挑戦。なぜ彼女たちは走ることを選んだのか。その答えを見届けるために彼女たちに密着した。


1月10日11:00 群馬県伊勢崎駅——100kmの始まり

左から、ソンソナ、ダイナマイト・マリン、チャンチー、ほんま・かいな

マラソン日和といえるほどの快晴。気温も温かい。伊勢崎駅には、彼女たちを応援しようと30人近くのNOMADS(※ファンの総称)が駆けつけていた。

最初の区間を走るのは、ダイナマイト・マリンとチャンチーの2人。ほんま・かいなとソンソナは中継車の中から、2人の走りを見ながらコメントをするという形でYouTubeで配信を行う。

これまでBLUEGOATSはマラソン企画を3度行ってきているが、チャンチーとソンソナは今回が初めての挑戦となる。チャンチーはメンバーの中では身体が弱く、事前に不安もあったが、スタート直後は快調に走っている。日差しが強く、10km地点で、かいなとソンソナがキャップを手渡す。笑顔で順調そうだ。

左から、ダイナマイト・マリン、チャンチー

しかし、17km地点あたりから足に痛みが出始め、ロキソニンテープを貼り始める。15時50分頃、約25km地点の籠原駅に到着。チャンチーの左足の痛みが増し、かいながアイシングでサポートする。日も落ち、気温も下がってくる時間帯へ。ゴールの渋谷まで、あと75km。

少しずつ日が落ちてきて、ペースも落ちてくる。17時10分頃、約29km地点。今回「走り切れなかったら坊主」を宣言したマリンの動きが鈍くなり、足を引きずる場面も出てきたが、弱音を吐かず再び出発する。

18時45分頃、約35km地点。ここでチャンチーが、足が動かなくなったため運営判断で無念の強制リタイア。マリンがチャンチーの襷を受け、前半のラストスパートを駆け抜けることに。

21時頃、約45km地点。途中離脱したチャンチーが復帰し、マリンと共に鴻巣駅でゴール。襷は、ほんま・かいな、ソンソナに。後半戦がスタートした。

深夜——かいなとソンソナの快走

左から、ソンソナ、ほんま・かいな

23時45分頃、約55km地点。ほんま・かいな、ソンソナ、かなり快調なペースで走っていく。2人とも笑顔で、ペースはかなり良い。

1時35分頃、約60km地点。マリンとチャンチーに迎えられ大宮に到着。自分の足のケアをしながらも、かいなとソンソナは前半戦を駆け抜けたチャンチーの足を心配してコミュニケーションを図る。

2時35分頃、約70km地点。かいなとソンソナは、まったく弱音を吐かずにペースを落とさず走る。

4時10分頃、ほんま・かいなとソンソナ、手を繋ぎながら東京に突入した。4時27分頃、約80km地点。35km近く走っているのにペースがまったく落ちず、明るく笑顔で走る2人。そんな2人を中継地点で迎え入れるマリンとチャンチー。4人一体で都心へ向かっていく。

5時20分頃、約85km地点。残りあと5kmで、この日のゴール池袋駅だ。身体はきついはずなのに、カメラを向けると笑顔でその場を明るく照らす2人。

6時5分頃、群馬県伊勢崎駅より約90kmを走り切り、ファンに迎え入れられ池袋駅に到着。残り10kmは、3時間後の9時30分頃より4人全員で渋谷CYCLONEまで走り、12時よりライブに挑むことが告げられた。

1月11日 9:43——4人での最後の10km

9時43分。メンバー4人全員で池袋駅から渋谷CYCLONEまで走り、12時からのライブを目指す。本来であれば11時にゴールし、余裕を持ってライブに臨む予定だった。

しかし、10時35分頃、約93km地点。昨日の足の痛みに耐えながら走るチャンチーの様子は、誰の目にも明らかに限界を超えていた。一歩一歩が苦痛に満ちている。それでも、彼女は前に進もうとする。

マリン、かいな、ソンソナの3人は、チャンチーのペースに合わせて走る。誰も彼女を置いていこうとしない。時折声をかけ、励まし、支えながら、4人で一緒にゴールを目指す。このままのペースでは開演時間に間に合わない。それでも誰も諦めない。4人で一緒にゴールすることが、何よりも大切だった。

渋谷の街が近づいてくる。あと少し。あと少しで、この100kmが終わる。

12時10分、渋谷CYCLONE前に到着。開演予定時刻から10分遅れ。約26時間かけて、ついにゴールへ辿り着いた。

50人以上のファンたちが、拍手と歓声で彼女たちを迎え入れる。ゴールテープが張られている。ゴールテープの手前で、マリンがチャンチーに声をかけた。そして、メンバー4人で手を繋ぐ。

4人の顔には、疲労を超えた笑顔があった。ボロボロだった。特にチャンチーの足は、もう限界を超えていた。それでも、4人は笑顔だった。4人で手を繋ぎ、一緒にゴールテープを切る。

大きな拍手が響く。100kmを走り切った。4人で助け合い、支え合い、誰一人として諦めずに走り切った。その達成感が、彼女たちの表情に溢れていた。

しかし、ゴールはまだ終わりではない。満身創痍の身体で、そのままステージに立つ。これが、BLUEGOATSの選んだ道だった。

ワンマンライブ<BOYS WITH RUN>——覚悟の証明

お馴染みの銀杏BOYZ「BABY BABY」のSEに乗せて登場した4人。100km走ったとは思えない笑顔がそこにはあった。会場は拍手と歓声に包まれる。そこに悲壮感や疲労感は見せない。

満身創痍のはずだ。チャンチーの足はボロボロで、マリンも限界を超えている。それでも、彼女たちは笑顔を絶やさない。痛みを表に出さない。その姿勢こそが、彼女たちのアイドルとしての矜持だった。

「GOOD LUCK!!」「青春時代」「春はあけぼの」「英雄の歌」「青春初期衝動」——息を切らしながらも、全力でパフォーマンスを続ける。会場は熱気に包まれ、ファンたちも一緒に拳を上げ、声を上げる。100kmを走り切った彼女たちを目の当たりにして、誰もが胸を打たれていた。

曲が終わり、マリンがマイクを取った。

「今日までここで待ってくれてたみんな、配信で応援してくれてたみんな、ずっとずっと私たちのことを見ていてくれたみんな、本当にありがとう。綺麗事抜きで、あなたが待ってたからここまで走り抜けたと思っています。本当にありがとう」

マリンは、アンチアカウントから「走りきれなかったら坊主にしろ」と言われ、自らもそれを宣言したことに触れた。

「でも正直、本当にそんなこと忘れるぐらい。この4人で走りきれたこと、本当に嬉しく思います。正直ここに私1人で立ってたら、別に何を言われたってどうでもいいんだけど、でもあなたが好きなBLUEGOATSだから、あなたが好きでいてくれる私たちだから、その思いだけで今日走り切れたと思っています」

初めて4人でマラソン企画に挑戦したこと。チャンチーが限界を超えながら、足を引きずりながらマリンのことを心配してくれたこと。かいなもソナも自分のことで精一杯だろうに、ずっと支えてくれたこと。マリンは、そんな仲間たちの姿を見て、改めて思ったという。

「やっぱり頑張ってる人のことを悪く言うやつが、私はめちゃくちゃ大嫌いだなって思いました。最近は、頑張っている人たちが馬鹿にされるような時代で、アイドルもそういう仕事の1つではあると思うんだけど、それでも私はBLUEGOATSみたいに泥臭くても、必死でなにか1つやり抜けるアイドルが1番かっこいいと思って、それだけ持って今を走り切ることができました」

マリンの声は力強い。足は痛いはずだ。それでもステージの上では一切それを見せない。アイドルとしてファンの前では笑顔で立ち続ける。それが彼女たちの選んだ道だ。

「世間の思ってる理想のアイドルになんかなれなくても、てか、なんなくていいから、私はBLUEGOATSっていうアイドルが、泥臭くてかっこいいアイドルが認められるような世の中であってほしいって、ずっとずっとずっと思っています。世間の理想にはなれなくても、それでいいっていう歌を今日歌いに来ました」

マリンの作詞した「アイドルなんて可愛いだけで良いのに」。そして、チャンチー作詞の「ガムシャラ」。その歌詞が、今この瞬間、リアルな重みを持って響く。会場全体が一体となって、彼女たちと共に歌っている。

曲が終わり、チャンチーがマイクを取った。足を引きずりながらも、笑顔を絶やさない。

「一緒にこうやって歌ってくれて、本当にありがとうございます。私、途中で走れなくなったりしちゃったんですけど、マリンちゃんが最後残り1メートルぐらいの時に『一緒にゴールしよう』って言ってくれたの。それが私はすごく嬉しくて、すごい素敵な人と出会えたなって思ったし、今も足が痛かったりして、すごくみんなに迷惑をかけてしまって。ここに待ってくれてるみんなにもちょっと遅くなっちゃったんだけど、それでも3人は、私と足並みを揃えて一緒に戦ってくれて。『ああ私、BLUEGOATSでいていいんだ』って。すごい3人を大切な存在だって」

チャンチーの足は、誰が見てもわかるほどボロボロだった。それでもステージに立ち続ける。笑顔を見せ続ける。それがアイドルとしての彼女の覚悟だった。

「私、絶対にこれからどんなことがあったって、BLUEGOATSで諦めずに私頑張っていくから。だからあなたも絶対、頑張れないなんて、そんなこと言わないでほしい。私がこのアイドル人生で、人生で証明していくから。一緒についてきてください。私たちが隣に、すぐ隣にずっといます」

会場からは大きな拍手が起こる。チャンチーの言葉が、ファンたちの心に深く刻まれていく。

「これが人生だ」「君の唄で生きていたい」、ソンソナ作詞の「私が一番カワイイアイドル」。4人の気合いと気迫が、笑顔と相まって会場に伝播していく。

そして、かいながマイクを取った。

「私たちBLUEGOATSは、炎上もしたり、世間をお騒がせしてしまったり、本当に話題の絶えないグループですけど、話題の絶えないグループだからこそ、外野の声がすごい聞こえる時があります。なんやかんや言われて、メンバーも、もうそういうことは言われ慣れてしまっているぐらい、BLUEGOATSに対して否定的な言葉が毎日のように降りかかってはきますけど、私たちはその言葉に負けず、折れずに、この4人でずっとやっていきます。ということを、今日4人で100キロ走って、改めてみんなに、てか、あなたに証明できたと思います」

かいなの言葉には、強い意志が込められている。100kmを走り切った彼女たちの言葉だからこそ、その重みが違う。

「これでだいぶ説得力あるでしょ? 私たちは何があっても言葉の通り、諦めず、負けず、折れず、腐らずやっていきますので、どうかこれからもBLUEGOATSと4人のこと、よろしくお願いします」

かいながメンバーに向けて書いた「友よ」、「YOLO」、そして「解散」へ。

「解散」のイントロが流れた瞬間、スタートからずっと笑顔だったソンソナが手で顔を隠している。大粒の涙がこぼれている。そこにあるのは、悲壮感や苦しみではない。覚悟を見せ続けたプライドの涙。100kmを走り切り、満身創痍の身体でステージに立ち続けた、アイドルとしての覚悟のあらわれだった。

痛みを押して立ち続けた彼女たち。笑顔を絶やさなかった彼女たち。その姿が、会場にいる全ての人の心を打った。

最後はファストコアチューン「TOMORROW」を4人は全力で歌い、拳を突き上げる。客席からも拳があがり会場全体が一つになって最後の瞬間を共有し、ライブは終了した。

泥臭くてかっこいいアイドルの証明

楽屋へ行くと、ソンソナの目は真っ赤だった。チャンチーの足もボロボロ。マリンはやりきった表情。かいなはそのあとの特典会に向けて気持ちを切り替えている。

この100km駅伝。スタッフはほとんど手伝わず、メンバーだけで完走した。その間、辛いし痛いだろうに、メンバー同士助け合い笑顔を絶やさなかった。弱音も言わなかった。ただひたすらゴールを目指した。彼女たちのアイドルのあり方としての覚悟、そしてプライド。

かいなが投げかけた「今のアイドルがオワコンな理由」という問いは、アイドルである自分たち自身にも向けられる言葉でもあっただろう。そんな中で見出した、BLUEGOATSというアイドルとしてのあり方。まっすぐに頑張ること、必死になること。それを身をもって証明した。

2026年は、BiSHを生み出したWACKグループが第一章を終了させること、スターダストのアイドルグループ数組の解散、フィロソフィのダンスの活動終了など、これまでライブハウスを中心に駆け上がってきたアイドルたちの解散が決まっている。ひとつの時代の終わりと転換点となる。

その中で、アイドルとしてのプライドと覚悟を示した彼女たちを見て、希望を持たざるを得なかった。

BLUEGOATSは、1月28日、東京・恵比寿LIQUIDROOMにて6thワンマンライブ「さらば青春の光」を開催する。「頑張っている人たちが馬鹿にされるような時代」かもしれない。それでも直向きに、笑顔で、アイドルであることにプライドを持ち、全力で挑む彼女たちを誰が笑うことができるだろう。

全力で頑張ることは、なによりもかっこいい。

 

取材&文:西澤裕郎
写真:すずき大すけ(マラソン前半)
Jumpei Yamada(マラソン後半/ライブ写真)


■ライブ情報

BLUEGOATS 6thワンマンライブ『さらば青春の光』
2026年1月28日(水)@東京・恵比寿LIQUIDROOM
OPEN/START 18:00/19:00
【バンドセットメンバー一覧】(敬称略)
Bass ISAKICK(175R)
Guitar 勝田欣也(ex.STANCE PUNKS)
Guitar キタムラチカラ
Drum 吉岡紘希
Keyboard 砂塚恵

チケット 超VIP30,000円/VIP20,000円/一般3,500円/当日4,000円/各+1D
https://t-dv.com/BLUEGOATS_TOUR_FINAL

■リリース情報

BLUEGOATS
1stアルバム『さらば青春の光』
発売日:2026年4月28日(火)
価格:¥2,250(税込)
品番:QARF-60368
収録曲:
1. いざサラバ
2. 流星
3. きっと輝ける
4. 印税558円
5. 新生かわいいアイドル
6. アイドルなんて可愛いだけで良いのに
7. 私が一番カワイイアイドル
8. Remember you
9. 青春初期衝動
10. くだらない日々
11. 友よ
12. さらば青春の光

 

HP https://bluegoats.jp/

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