
取材&文:西澤裕郎
2021年末の解散から約4年。SUNNY CAR WASHが岩崎優也(Vo/Gt)の1人体制で復活する。ユウノスケ(Ba)、細川千弘(Dr)という新たなサポートメンバーを迎え、2月20日の東京・新代田FEVER公演を皮切りに全国7都市を巡るワンマンツアー〈溢れるほどの愛を返しに行くから待っててねツアー〉を開催。岩崎が「命を削って好きなことをやれる場所」と語るSUNNY CAR WASHへの思い、「絶対今じゃないとダメ」という切迫した感覚、復活に至るまでの経緯と、新体制への手応えを訊いた。
SUNNY CAR WASHは命を削って好きなことやれる場所
――SUNNY CAR WASH解散後に行ったZINEのインタビューで、岩崎くんに「またいつか再開しそうですね」と質問したら、「するかもしれません」って答えていましたよね。いつかまた始まるみたいな気持ちはあったんですか?
解散しておいて変な話なんですけど、ずっとSUNNY CAR WASHはやりたかったんです。羽根田(剛/Ba)くんが抜けた時、羽根田くんはもう音楽をやらないかもって言ってて。僕も1人じゃSUNNY CAR WASHじゃないと思って解散することにしたんです。でもその後、ソロとかズットユースでもSUNNY CAR WASHの曲をやっている自分がいて。正直、SUNNY CAR WASHは命を削って好きなことやれる場所だったんです。
――このタイミングで再開しようと思った理由は?
なんでこの時期かはあまり自分の中で明確にないんですけど、これはいつまでもできるバンドじゃないかもしれないと思い始めて、このタイミングになりました。
――このままだと、初期衝動みたいなものを感じられなくなるかもしれない、と。
自分の気分的な問題もあるんですけど、絶対今じゃないとダメだみたいな感覚があるんです。
――その感覚はいつぐらいからあったんですか?
正直ずっと焦っていましたね。SUNNY CAR WASHが続いていたらリリースしていたであろう曲がいっぱい自分の中でできてるし、ずっとやりたいけど1人じゃできないなって。ちょっともたもたしていました。
――羽根田くんと、ドラムのうね(畝狹怜汰)さん、3人のヒリヒリ感みたいなものを岩崎くんはすごい大事にしていましたもんね。
2人にはすごいリスペクトを感じていて。緊張感を感じるというか、そういう空気でしかSUNNY CAR WASHはやりたくない。命を削ってどこまでもやってる人たちみたいなバンドっていうか。
――そういう気持ちがあるからこそ、ソロは意識的にSUNNY CAR WASHっぽくない作品にしている印象がありました。ずっと頭の片隅にはSUNNY CAR WASHがあったんじゃないですか?
片隅というか、根底にずっといる感じでした。ちょっとうまく言葉にできないですけど。ソロを始めて1発目とかは全部新曲で切り替えるぞって無理やりみたいな気持ちでやっていたんですけど、それもちょっと自分らしくないなっていうのもあったりとか。反動でやっていたっていうのもあって、どこまで違う自分を作れるんだろうって。
――ソロでは、ザ・クロマニヨンズのギタリスト・真島昌利さんと「それでいい」を共作しました。一緒に作ることで感じるものもあったんじゃないですか?
多分、自分を貫いている人なんだろうなと思って、「どうやったらかっこいいロックバンドになれますか?」って、会ったからには聞きたいなと思って聞いてみたんです。そしたら「自分になることだよね」って一言言っていて。
――その「自分になること」が、岩崎くんにとってSUNNY CAR WASHをやることだった。
SUNNY CAR WASHを最初やっていた時より、いろんな曲は作れるようになっているんですけど、どんどんピントが自分の感覚でもずれてぼやけてく気がして。それでも、あの頃のその衝動感っていうのは消えなくて。それをSUNNY CAR WASHでやってみたいなって思ったんです。
生半可な気持ちで復活できると思うなよっていうのは感じてます
――SUNNY CAR WASHの曲は、かなり特別なものなんですね。
バカみたいにこだわりが強かった時期に作った曲たちなので。みんなが聞いて絶対いいって思うような、青春の景色に刺さっている曲を作りたいってめっちゃ強い思いで作った曲たち。それ以外はもうレコーディングしたくないっていう意識で、厳選して作って。そういう思いで曲を作っていた曲たちです。
――新しい曲をやるのは、正直、勇気がいるんじゃないですか?
正直めっちゃ怖いとは思っていて。復活して新曲出して、「変わっちまったな」みたいなこと、多分言う人は言うんだと思うんです。でも、羽根田が「やりたいことやれよ」って言ってくれて。去年なんですけど、背中を押されて。かなり勇気が出て。まだだいぶ緊張してドキドキですけど。やろうって思って。
――解散以降も、羽根田くんとは連絡を取っていたんですね。
SUNNY CAR WASHは3人でやるのが僕の中で理想だったんで、何度か「一緒にやろうよ」ってことを連絡させてもらったり。会った時に言ったんですけど、何回も振られて。
――羽根田くんっぽいですね(笑)。
それでも一緒に遊んでくれたり、ドライブしてくれたりするってことは、嫌われてはないんだなって感じで。羽根田くんの気持ちは一緒にやっていた頃から読めないんです。「音楽やらない」って言っていたけど、新しいバンド始めたみたいで。めっちゃかっこよくて、ほんとに負けないぞって気持ちで聞いているんですけど。
――羽根田くんの中でもSUNNY CAR WASHは特別なんだと思うんですよね。岩崎くんが、サポートメンバーと一緒に始めるって伝えるには、躊躇とかありましたか?
ありました。ほんとにちょっと自分勝手なように聞こえるかもしれないけど、って言って。「どうしてもちょっと今じゃなきゃダメだと思うんだよね。ちゃんとSUNNY CAR WASHのこと理解してくれているメンバー集めてやってみようと思う。よかったら応援してくれ」って。そしたら、「ファイト」って感じで。結構あっさりとした感じでしたね。
――それを伝えたのはいつぐらい?
去年の8、9月ぐらいだったかな。その前から何回も一緒にやりたいってずっと僕は言っていたんですけど。ちょっと振られまくって(笑)。
――ラストライブではうねさんが叩いていましたけど、うねさんにはコンタクトはとりました?
結構会ったり、連絡もとったりしていて、ドライブしたり、ご飯行ったりとかして。「SUNNY CAR WASHは羽根田がやらないんだったら、やらない」みたいに言われました。
――でも岩崎くんがやるんだったら、頑張れよって。
そうですね。多分、あの頃のSUNNY CAR WASHを知っている人はみんな思っていると思うんですけど、生半可な気持ちで復活できると思うなよっていうのは感じてます。
全力の愛を受け取ってほしい

――その中でも、今やらないと復活を逃しちゃうかもしれないという思いがある。
絶対に今だって思っています。サポートの千弘くんは、前やっていたバンドで対バンさせてもらったり何回もあって、3人のヒリヒリ感とか、すごいライブのぐちゃっとした感じとかも見ていてくれていて、すごい理解がある感じで。ユウノスケくんは、結構前にSUNNY CAR WASHを見ていてくれたみたいで。2人ともすごいリスペクトできるメンバーだなと思っていて、やっと納得いく形かなと思っていて。あとは自分がやるだけだなって思って。
――初めて3人で合わせた時はどうでした?
もう最高!っていう感じ。理解してくれているし、1発目からどこまでもいけるなと思って。嘘みたいですけど、最初からうまく3人でしっかり合うような演奏ができるとは思ってなかったんです。ちょっとびっくりするぐらい2人とも理解というか、感覚が一緒にやっている感じで結構びっくりしました。初めて合わせる曲なんですけど、やっぱりこの2人に頼んでよかったって、リハの時からちょっと泣きそうになって。絶対いいライブできると思います。今のところ何も言葉が「最高」以外見つからないですっていう。2人とも笑ってました。
――ちなみに、最初にどの曲で一緒に音を出したんですか?
「それだけ」だったと思います。前からライブの1曲目でやっていた曲なので。
――それは熱いですね。復活ライブでは、持ち曲全曲やるぐらいな感じなんですか?
全曲やるかわかんないですけど、全曲から選曲できるように全曲練習しています。
――新曲もできていると言っていましたけど、岩崎くん的にSUNNY CAR WASHの曲としてこれはやろうっていう新曲ってのはどれくらいあるんですか?
最初のライブで絶対やりたいなっていう曲は3曲ぐらいあって。解散の後から作ってきた曲もありますし、これSUNNY CAR WASHでできるのかなっていう曲もあったり。
――「これSUNNY CAR WASHでできるかな」っていうのはどういう意味で?
ちょっと意外な曲というか。SUNNY CAR WASHは疾走感があって泥臭い感じじゃないですか。でも、活動していた頃も、ちょっと意外な曲は作りたいなと思って。「週末を待ちくたびれて」みたいな曲は自分の中でその頃意外な曲だったけど、SUNNY CAR WASHのものになっていたんで。これからもみんながどう聞こえるかわかんないドキドキの部分なんですけど、新しいSUNNY CAR WASHにもなっていけるのかなって。前の曲は前の曲、僕は大好きで、みんなも好きでいてくれたら嬉しいです。
――これが新しい1曲目のSUNNY CAR WASHの曲だみたいな曲は決まっている?
決まっています。
――曲名は?
タイトルまだできてないです。友達に「1人でやっていく上で1発目になるんだったら、お前はそのこと歌えよ」みたいなアドバイスもらったりして、絶対そうだなって。1人になってまた始めていく、どこまでもやっていくぞっていう気持ちを、復活の時に聞いてもらえたらなって。
――SUNNY CAR WASH復活を発表したときの反響は大きかったと思うんですけど、どんなふうに思いました?
めちゃくちゃ嬉しいなって。ほんとにありがとうって思ったし、すごい怖いなって思いました。緊張、ドキドキというか。
――確かにプレッシャーもありますよね。なにより、SUNNY CAR WASHはメンバー同士の緊張感や、殴り合いみたいな雰囲気が大事というか。
切りつ切られつみたいなのはかなり僕はあります。自分の中で自分も本当にやんなきゃっていう覚悟なんですけど、2人も多分そういう緊張感があって。
――それがないとやっぱSUNNY CAR WASHにならない気がします。同じ曲をやるにしても、ソロでやるのと、SUNNY CAR WASHと名乗ってやるのではまた違うわけですもんね。
なぜか違うんですよね。SUNNY CAR WASHっていう名前だけでも全然それは自分の中では違うことで、演奏も違うと思います。うまく言葉にはできないんですけど、そういう感じ。
――ファンの人たちに伝えたいことはありますか?
SUNNY CAR WASHのファンは良い意味でひねくれてて、辛辣な、「私は違うし」みたいな人たちばっかりだと思っていて(笑)。多分めっちゃ厳しい目で見に来ようとしてチケット買ってくれている。どんなにいいライブしても「私は手を上げないし、声出さないし」みたいな人たちが来ている感じがして。「キルミー」って曲も<殺してくれ>って言っているし、そういう人たちのアンテナがキャッチして来てくれている。日常に慣れて鈍感になってくとか、そういうのが怖いんじゃないですか。みんなそうだと思います。僕も絶対嫌だし。
――ヒリヒリしていたいというか中指立てたいっていうか。そうじゃないと自分がなくなっちゃうみたいな不安。そんな想いがSUNNY CAR WASHを聴いていると呼びおこされます。
僕もそういう気持ちで生きているんですけど、それは音楽でやんなきゃいけないし、僕はそのヒリヒリを消化できるのはSUNNY CAR WASHしかない。もうほんとに変なバンドだと思うんです。変なバンドで、変な人たちが見に来てくれている感じですよね、多分。あまり理解はされてないと思います(笑)。
――どういうライブを見せたいですか?
全力の愛を受け取ってほしい。来てくれたみんなが最強になるライブをします。

■ライブ情報

溢れるほどの愛を返しに行くから待っててねツアー
東京 2月20日(金)新代田FEVER
京都 3月3日(火)京都nano
大阪 3月4日(水)心斎橋Pangea
福岡 3月14日(土)福岡Queblick
名古屋 3月18日(水)名古屋HUCK FINN
名古屋 4月18日(土)札幌VyPass.
名古屋 4月29日(水祝)FLYING SON



