
取材&文:西澤裕郎
2026年5月4日、ASPは解散する。ラストシングル『Pipe Dream』をもって、全国5都市を巡るファイナルツアー<This is ASP’s final tour>へと臨む。メンバーの脱加入、ナ前ナ以の活動休止と復活――解散発表までに積み重なった変化は小さくなかった。それでも5人の口から出てくる言葉に悲壮感はない。ツアー開幕直前、彼女たちのいまの想いを聞いた。
※本記事は、分冊百科型フリーペーパー最新号〈3月号・Vol.32〉に掲載されたものに加筆修正したものです。
ラストツアー直前の想い
――ASP最後のライブまで2カ月を切りました。率直に今どんな心境でいるか、聞かせてもらえますか?
ナ前ナ以:ラストライブだからといって悲しいとかは現時点では思っていなくて。今まで応援してくれて、最後のライブを見に来てくれる“ならず者”に向けて、感謝の気持ちを伝えられるツアーができたらいいなと思っています。最後にこういうライブを組んでいただけたことにすごく感謝してるので、ハッピーですよって、いい気持ちで臨みたいと思っています。
ウォンカー:ASPの音楽は、配信とかCDとかで残り続けるものでもあって。自分も、解散したグループを後から好きになることが結構あるんです。だから、ASPは終わっちゃうかもしれないけど、何かのきっかけでASPに触れたり、また戻ってくる人がいるかもしれない。そう思うと、解散というものをいろんな方向から見られるようになる気がして。今は悲しいとかマイナスな気持ちよりも、お客さんに感謝を伝える方に気持ちを向けたいし、今後ASPの音楽が誰かに触れるきっかけになるように、今を頑張りたいなと思っています。
マチルダー:最後のツアーが始まっちゃうんですけど、私はいい意味で、いつも通りのかっこいいライブをならず者とやりたいと思っていて。ASPを始めてライブハウスという場所がめちゃくちゃ好きだなって知ったし、ならず者からライブというものを教えてもらったなって思うんです。最後まで思いっきり歌いたいし、感情のままにライブをしたい。悲しい気持ちが消えちゃうくらいならず者にもめちゃくちゃ楽しんでほしい。解散までにASPにはいろいろ変化があったんですけど、それでもついてきてくれたならず者も、以前応援してくれていたならず者も来てくれるツアーになると思うので、会った時期とか関係なく、みんなが一緒に感情をいっぱい出し合えるツアーにしたいなと思っています。
イコ:私はまだ実感が湧いてなくて。いつ自分が悲しくなっちゃうのかわかないので、ちょっと怖い部分もあります。以前所属していたBiSの解散を経験したとき、後悔ないようにしようと思っていても終わった後にこうすればよかったっていうのが絶対出てきちゃうことはあったので。それでもできるだけ後悔がないようにしたい。1回1回のライブを噛みしめて、最後まで駆け抜けたいと思っています。
リオン:イベントとかで、もしかしたらこれが最後になるならず者もいるかもしれないなと思って、1回1回をすごく大事に過ごしています。残り5回しかASPの曲を歌えないってちゃんと理解できる時もあるし、本当に終わるのかな?っていう気持ちになる時もある。気持ちは日によって違ったりするけど、自分たちがやってきたライブにはすごく自信があるので、今は楽しみな気持ちが勝っているというか。今はすごく明るい気持ちです。

――さっきマチルダーさんが、「ASPにはいろんな変化があった」とおっしゃってましたが、5人体制になって、グループとしての雰囲気はどう変わったんでしょう?
リオン:グループの雰囲気自体がめちゃくちゃ変わったというより、人数が減った分、1人1人と関わる時間が増えて、繋がりが濃くなった気はします。楽屋で過ごしていても、前よりもっといい意味で家みたいというか。リラックスして、素を出している感じがします。
ナ前ナ以:リオンが1番変わったよね? 話すことが増えた。ちょっと遡るんですけど、自分が活動休止してて、活動休止が終わった後に、楽屋の雰囲気だったりみんなの練習への姿勢だったりが、めちゃくちゃ力強くなっていて。びっくりしました。リオンはめちゃくちゃリードしてくれるようになったし、イコはまだコミュニケーションが取れてなかったけどBiSにいた時よりすごいフランクだなって思うし、ツインズも自分たちから積極的に動いてくれるようになったし。
――イコさん自身は、自分で変化を感じますか?
イコ:明るくいこうとか意識は全くしてなくて。BiSの時は逆に先輩に任せよう任せようって感じで、自分は何もできないからって勝手に任せちゃってる感じがして。気持ち的に「後輩ですわたし」みたいな感じでいたんですけど、ASPに入って、ちゃんとしなきゃなって思って。そしたら自分を出せるようになって、色々主張できるようになった感じがします。
――周りのメンバーはイコさんの変化を感じますか?
ウォンカー:すごく喋れるようになった。楽屋で元気で、口数も増えて。
ナ前ナ以:返答が早いよね。
イコ:考えないで言葉が出ちゃうから。
リオン:理解する前に話すもんね(笑)。
――ツインズの2人は、自分たちで感じる変化はありましたか?
ウォンカー:メンバーが抜けてから、いろんなものを残してくれていたんだなって思って。もし自分が今辞めたとしても、何も残してないなってすごく思ったんですよ。それで、しっかりしなきゃっていうのはすごく思うようになりました。抜けたユメカ、チーチーとかモグちゃんは、いろんな個性や武器があって。それがなくなった時に穴がわかりやすく開いてしまった。じゃあ今の自分は何をするべきだろう?っていうのを思うようになって、自分もコミュニケーションを増やそうとしました。曲の煽りとかでも、もっと自分を出せるところを見つけたいなとか、そういう風に思って臨んでいます。
マチルダー:私も、抜けたメンバーが楽屋でもすごくコミュニケーションをとってくれていたので、改めてコミュニケーションってすごく大事なんだなって実感したし、振り付けを作ってくれていたメンバーもいたので、こんなところからやってたんだって抜けた後に知ることも多くて。ありがたみを感じつつ、自分もやらなきゃいけないなってすごく感じて動くようになりました。

――ナ以さんは、活動休止前と復帰してからで、ASPと向き合う姿勢や考え方に変わったことはありますか?
ナ前ナ以:ASPへのモチベーションみたいな部分は変わらないです。ASPはめっちゃかっこいいし、ずっと売れる!と思って活動しています。個人的に変えたところでいえば、人に頼ることをちょっと覚えました。今までは、初期メンということもあって、勝手にフロントマンを私がやんなきゃみたいな気持ちがあったんですけど、活動休止から戻って蓋を開けてみたら、そんなことしなくても、めちゃくちゃグループのことを考えてるメンバーたちで。自分だけのグループじゃないって改めて思いました。ASPは、みんなのグループだって。
――4人は、ナイさんが頼ってくれるようになったなと感じることはありますか?
リオン:確かに、前はなんでもできる人、すごく強い人みたいな印象があったけど、ちょっと弱い部分も見せてくれるようになった気がします。頼ってくれるようになったなって。
ウォンカー:弱さを見せてくれるようになったのは本当に最近すごく感じるし、それを見せる勇気もかっこいいなって思います。自分も結構恥ずかしいって思っちゃうし、なかなか自分を出せない部分もあるので。あと、最近ハグを要求してくれるようになって(笑)。やってる時にこっちもホッとするというか、大丈夫だよっていう気持ちになったりします。
イコ:私は加入してからの日が浅いので、前のナイちゃんはあんまりわかんないんですけど、頼られてるっていう感覚はあまりないかも。逆にこっちが頼ってるぐらいの気持ちでいちゃってます。ずっと強い人だなって思うし、ハグとかそういうのも好きなので。ウィンウィンって感じで(笑)。
一番赤裸々なラストシングル「Pipe Dream」
――ラストシングル「Pipe Dream」についても聞かせてください。MVでみんなが競技場のトラックを走っているシーンがありますが、あれはどんな状況だったんですか?
イコ:400メートルトラックを100周するっていう企画で、6時間半ぐらい、スタートの瞬間から足を止めずに走り続けたんです。
リオン:MVは3分しかないのにね(笑)。
――完成したMVを見てどう思いましたか?
リオン:感動した。やっぱり本物の表情だから。
イコ:走っている時はみんなの表情が見えなかったから、MVでみんなの強い顔とかが見れて。作り物じゃないなって感じました。
――ラストシングルには3曲収録されていますが、どんな作品になりましたか?
ナ前ナ以:今回のシングルはASPの変化球というか、いろんな揺らぎがある中でできたんです。このシングルは集大成というよりも、本当にASPの今までの変化を凝縮したようなシングルになっていると思います。制作者の方たちとディスカッションして、自分たちの思いも詰め込んでいて、結構うねっている。聴けば聴くほど、いろんなものが詰まっている。一概にこういうシングルですって言えないけど、めっちゃ最高です。
ウォンカー:「Pipe Dream」はPecoriさんたちとお話して、今のASPがどう思っているかを汲み取って作ってくださった歌詞で。いろんな変化があったけど、今この5人で歌えていることにすごく意味があると思うし、感情も入るし歌詞が好きですね。ネガティブな感情も歌詞の中にあるんですけど、その中にASPらしい諦めない気持ちとか反骨する気持ちが書かれていて。聴いている人にもASPが味方になるような曲だなってすごく思います。ライブでも振り付けも曲も光っている感じがしてすごく好きです。
マチルダー:私は、このラストシングルは今までで一番赤裸々だと思っていて。今までASPが出してきたアルバムやシングルって、新しいASPの一面を見せるとか、スタイリッシュなかっこよさを集めたものが多かったんですけど、このシングルはすごくリアルが詰まっていて、本当にいろんな感情が混ざり合ってできたシングルなので、思い入れがものすごく強い。リード曲の「Pipe Dream」は歌詞が本当に素敵で。最初に<叶わない><できない>っていう言葉があって、すごく悲観的な言葉だなって思うんですけど、サビではメンバーがみんなで<一生それでいい>って歌っていて、今のASPを肯定してくれているように感じて。それをライブで歌えるのもいいし、<一生それでいい>をならず者に向けてライブで歌っている時に幸せだなって感じるんです。最後に肯定できる言葉があることがすごく嬉しいし、ウォンカーが言ってくれたみたいに残り続けるものだと思うので、これからもたくさんいてほしいと思っています。
イコ:3曲全部のメッセージ性が強いんですけど、ライブで歌う時、お客さんに向けて歌っているっていうのもあるけど、自分に向けて歌っているという感覚もあって。聴いてる時も、歌ってる時も、すごく気持ちがこもる。あと5回ライブハウスで歌えるんですけど、めちゃくちゃ楽しみたいと思っているし、これからも残り続けるので聴いてほしいなって思います。一言で片付けたらよくないけど、本当にエモエモソングって感じ。
リオン:ASPが最終的にこの5人になった時、この5人で1枚のCDを残せたのがすごく嬉しいというよりも安心したというか、本当によかったなという気持ちで。今まで出してきたCD、どれも大事だけど、この1枚は、ASPはこの5人で活動していたっていう記憶がちゃんとある証拠みたいな。だから、すごく特別で大事な1枚になったなと思っています。
ならず者へのメッセージ、メンバーにとってのASPとは
――インタビューを読んでくれているならず者に向けて、メッセージをいただけますか?
リオン:今もこうやってASPを見続けてくれたり、応援してくれたり、曲を聴いてくれたりするのがすごく嬉しいし、ASPの曲をいいって言ってくれるあなたは、すごい最高だよっていうのを伝えたいです。私もASPのこといいと思っています。
イコ:何をするにも全力で楽しんでくれていて、ライブで一緒に戦っているような感覚がすごくあるのが独特で。そんなならず者が、すごく好きです。会いに来てくれる人がいたら、めちゃくちゃ楽しいんで、最後までバチバチでやろうぜ!って思います。
マチルダー:ならず者とASPの性格ってすごく似ていて。シャイだけど、ライブになったらめちゃくちゃ熱狂的でいてくれる。そういう人間臭いところがならず者にいっぱい見えるのがすごく好きだし、そういう人たちと一緒にライブが作れているのが本当に嬉しい。最後まで一緒にライブできたら嬉しいし、ASPが解散した後でもASPの音楽を聴いていて幸せな思い出が蘇るぐらい、私もこの残りのツアーを頑張りたいなって思っています。
ウォンカー:私はASPをやってきた5年間で、家族よりも話したり、いっぱいのものをもらったのがならず者だったと思う。ならず者にいろんなことを教わってきたなと思います。思い返すと、ならず者と作ってきた思い出ばかりなので、残りの時間も一緒に楽しめたらなと思っています。
ナ前ナ以:私は唯一、ならず者が誕生した時からならず者を知っているんですけど、人間ってこんなに優しいんだ!と思うくらい、ずっと私たちのことをリスペクトして、信じて応援してくれていたなって思う。馬鹿にしないし、ずっとかっこいいって言ってくれる。それを言ってくれるあなたたちにすごく救われてきました。私は好きなアーティストを応援するときに現場に行くタイプじゃなかったから、現場に来ていないならず者も、今まで会ったことないならず者もいると思っていて。それもずっと考えながら活動してきたんです。それも含めて本当にいい人たちだったし、かっこいい人たちだったなって。感謝しかないです。

――最後の質問です。あなたにとって、ASPとはどんな存在ですか?
リオン:どう思われるかわからないけど、私の人生における通過点みたいに思っていて。めちゃくちゃかっこいいし、本当に特別なことをやらせてもらったからこそ、ここを人生の最大値にしたくないなと、すごく思っているんです。ここを超えるくらいの目標で、残りの人生も歩んでいきたいなって思います。
イコ:私は、自分を強く育ててくれた場所って感じがして。私は1年と1日がASPとしての活動期間になるんですけど、1年と1日とは思えないくらい大きくなれた、変われた場所なので、これからもどんどん強くなっていきたい。1年と1日で強くなれたってことがすごく自信になっているので、これからも自信を持って人生を頑張ります。
マチルダー:初めて自分がやりたいって思ったのがASPだし、人前でステージに立ちたいと思ったのもASPの楽曲を歌いたかったからで。ASPがなかったら今頃もう子供部屋おばさんだったと思うし、本当にASPに出会えてよかったなって思います。すごく人生を面白くしてくれた。ASPをありがとうございます、って感じです。
ウォンカー:今の段階では、「戦」です。いろんなものや自分と戦ってきた場所だったし、武道館とか野音とか大きなステージのためにいっぱいツアーを回ったりとか、日本全部回ったり。頑張ったというよりも、戦ってきたという方が自分的には似合う気がして。みんな必死だったし、めちゃくちゃボロボロになりながらも、同じところを目指していけたのがすごくかっこいいなって思っているので、この歴史の中に、戦いを感じます。
ナ前ナ以:一概に言えないんですけど、1人の人間として、自分はどういう人なのかをこの5年間でASPに教えてもらったなって。この先、芸能をやるにせよやらないにせよ、人との関わり方を教えてもらって、自分についてすごく考える時間だった。それを生かしたい。ASPに入って、自分の本質だったり本性みたいなのがすごく見えました。生きるのってむずいなって思わせられることもあったけど、ASPは本当に大事で、自分のすべてを出してくれた場所です。
■商品情報

「ASP分冊百科型フリーペーパー」
売価:各500円(税込)送料込み
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価格:2,000円(税込)
販売方法:SW通販サイトにて販売中
SW通販サイト:https://storywriter2.thebase.in/
■リリース情報

ASP
Major 6th Single『Pipe Dream』
発売日:2026年1月14日(水)
各ショップリンク:https://avex.lnk.to/asp_6thsg
Downloads & Streaming:https://avex.lnk.to/asp_pipedream_str
■ライブ情報
This is ASP’s final tour
2026年4月4日(土) [福岡] DRUM SON
2026年4月11日(土) [愛知] JAMMIN’
2026年4月25日(土) [宮城] LIVE HOUSE enn 2nd
2026年4月29日(水・祝) [大阪] OSAKA MUSE
2026年5月4日(月・祝) [東京都] Spotify O-WEST



