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BLUEGOATSプロデューサー・MV監督・三川陸が語る、「さらば青春の光」MVに張り巡らされた伏線「思い出が今の君を抱きしめてくれる」

StoryWriter

取材&文:西澤裕郎
写真:すずき大すけ

BLUEGOATSのアルバム『さらば青春の光』が4月28日に発売された。タイトル曲の「さらば青春の光」は、LIQUIDROOMワンマンの公演タイトルにも冠されていたほどの象徴的な楽曲。そしてこのタイミングで、満を持してミュージックビデオが公開された。監督は、BLUEGOATSプロデューサーでもある三川陸。

今回初めて「MV監督・三川」としての取材に応えてくれた。話を聞くほどに明らかになったのは、これまでのMV、ジャケット写真、アーティスト写真にまで張り巡らされた、想像をはるかに超える緻密な伏線設計だった。


BLUEGOATS「さらば青春の光」MV


「解散」のアンサーソングを撮りたかった

――アルバム『さらば青春の光』のパッケージ版がリリースされました。そして、満を持してタイトル曲「さらば青春の光」のMVが公開されました。監督は、三川さんなんですね。

三川:今までもBLUEGOATSは基本、僕が監督をしているんですよ。

――それはどういう理由から?

三川:自分が思っている形に最も近づくというか。曲だけは僕が作れないので作家さんにお願いするんですけど、なるべく自分が思っている形に近づけるには、自分で作ることが近道なんですよね。信頼できる人にお願いするパターンもあるけど、BLUEGOATSに関しては自分でやれるのが一番いいですね。

――今まで、三川さん以外が監督されている作品もあるんですか?

三川:「これが人生だ」だけです。MVって、やっぱ時間がかかるんですよ。僕、YouTube畑なんですけど、YouTubeはある程度経験的にやれる。でも、MVはマジで時間がかかる。今回MVを撮るのは、1年越しだから作り方を忘れちゃっていて(笑)。絵コンテの書き方も忘れていて、めっちゃ大変でした。

――構想自体はだいぶ前からあったんですか?

三川:色々やっては消して、みたいな感じだったんですよ。かいなが歌詞を書くので、基本的にはそれをベースに、最大拡張できるところをベースラインにすることが多いんですよ。最初は「10年同窓会」にしようと思っていたんです。

――10年同窓会?

三川:「BLUEGOATSが解散した10年後に同窓会やったらどうなる?」っていうMVにしようと思ったんです。内容としては、マリンが油そば屋を始めてる、かいなは「印税暮らししたい」って言っていたから隠居生活しているのを想像して。でも、「チャンチーは何になっているんだろ? ソナは何になっているんだろう?」ってなった時に、まだぱっとイメージできなかった。僕がぱっとイメージできないってことは、まだやらなくていいことだなと思って、一旦ボツにしたんです。

――なるほど。

三川:あと、僕はドラマが得意なので、ドラマで行こうと思って。BLUEGOATSの「解散」って曲は解散した時を思い描いた曲なんですけど、「さらば青春の光」はその後の曲ってイメージで。今回のMVテーマが「思い出が今の君を抱きしめてくれる」だったんですよ。それを最大拡張するってなった時に、別の物語を立てようって思った。「東京タワー」のMVも僕が撮っているんですけど、それと繋げている。最後のカットで、かいながギターを始めるシーンがあるじゃないですか? 「東京タワー」にも全く同じシーンを入れていて。

 

――サラリーマンがCDを買うシーンですね。

三川:そうです。「東京タワー」でかいながアキって役なんですけど、サラリーマン役のハルと出会うところまでの物語。なぜハルとアキの出会いに繋がるのかっていうのを「さらば青春の光」で描いています。

――三川さんの監督遍歴についても伺いたいのですが、初めて作ったMVは何になるんですか?

三川:「交差点」のMVが一番最初で、ほぼ全部自分で作りました。カメラも自分で回して、色も自分で入れて。今見ると全然良くなかったんですけど、初手としてはすごい悪いわけでもないというか。

 

2作目に「スーパーヒーロー」を撮って、それも自分でカメラを回しました。そこで、カラリストっていう、色をいじれる人と出会ったんですよ。「カメラが下手でも、色がよければこんなにいいんだ」と。自分は指揮を執れるから、「チームで制作するのって、こんなにいいんだ」と思って。

 

これめっちゃいいぞってなって、次にカメラマンを入れたんです。それが「東京タワー」。カメラマンを入れたら、さらにめっちゃよくなって。ただ、あまりにもドラマを撮るのが大変で、自分的にはもっと良くできるってなった時に、次はプロデューサーを入れようって。制作進行みたいな。それで撮ったのが「解散」。

 

これが、今までで一番いいって言われて、みんなに褒められたから、勢いで「青春時代」も撮って。もう本当に「監督」だけ。自分が思っているイメージを技術が入ってちゃんと最大化することができた。「青春時代」で1回満足して、1年ぐらい辞めていたんです。それで久しぶりに、今回撮ったのが「さらば青春の光」。

 

――「青春時代」ぶりの今作で、新しく取り入れたことや追加したことは?

三川:今のアイドルとかバンドって、全体的にルック重視なんですよ。いいカメラ、いいカラリストを入れて、ちゃんとメンバーの表情を撮る、演奏シーン撮る、みたいなMVが多い。僕、世代的にドラマ世代なんですよ。「プロポーズ大作戦」とか「HERO」とか、そういうドラマを死ぬほど見てきたんで、ストーリー作るのがそんなに苦手じゃないっていうか。やっぱ自分が一番得意な形で、一番好きなものをリリースしたいってなったのが今回なんですよ。最も伝えたい形は、やっぱドラマだなって。あと正直、MVにそこまで価値を感じてなかったんですよ。でも、ちょっとファンが増えたのもあって、今MVを出すと違う感触になるかもって。それと、やっぱり「解散」を撮ったっていうのがあったんで、「解散」のアンサーソングを撮りたかった。これは誰かに任せられないと思ったんですよね。

――リファレンスのようなものはあったんでしょうか?

三川:AKBの「Everyday、カチューシャ」っていう曲があるじゃないですか。それが今までのことを全部まとめたMVで、「ポニーテールとシュシュ」の要素とか、夏系のMVが全部繋がって、回収系のMVだみたいに思ったことがあったので、今作は「これだな」と思って。別に今やんなくてもいいっちゃいいんですけど、僕の中で「節目だ」って思ってたんですよ。なんでかっていうと、青春パンク、一旦終わろうと思ってたんです。

 

――このタイミングで?

三川:「BLUEGOATS、青春パンクやってるよね」みたいなイメージが浸透したので、縦よりも横を広げたいなって思っていたんですよ。だから、青春パンクじゃない、違うロック系の感じで行こうと思っていた。どっちかっていうとダークネス系というかONE OK ROCKとちょっとダークなVaundyみたいな感じで行きたかった。それ系のアルバムが今度出るんですけど、いまこの話している時点で言うと、自分の中で青春パンクの波が来たんですよ。やっぱ改めてハルカミライがめちゃめちゃ好きっていうのもあって、1週間に1回、ライブを見ている時期があって。本当にフラットな状態で考えた時に、ONE OK ROCKみたいなことを僕らがやることって、ちょっとマーケティング的だなってなったんですよ。とはいえ、めちゃめちゃ良い曲はできたので、これはこれで BLUEGOATSの幅として素晴らしいと思っていて。

――今作では、そうじゃなく、自分たちが本来やりたいものをやるべきだ、と。

三川:本来やりたいのってこれなんだよなってなって、もう1回、青春パンクのビッグウェーブが来た。なので、<DAMN>の一番最後のUNIT公演は、青春パンクのゴリゴリのセトリで、これまでの集大成、「BLUEGOATSの青春パンク全部詰め合わせパック」、メンバーが言うように「ロックアイドル界のライブの最高地点」みたいな感じで行きたい。このMVは、その起点なんです。青春パンクという軸をぶらさないことが、今BLUEGOATSにとって一番大事ということに行き着いた。

これまで描いてる3象限を全部回収しようと思った

――「さらば青春の光」のMVには、ナツキ役のタレントさんも出演しています。重要な役割ですが、撮影時、どのようなやりとりがあったんでしょう?

三川:「君は繋ぐ役だよ」って伝えました。「東京タワー」に出てくるアキとハルの間にいるのが、ナツキちゃんなんですよ。つまり、春・夏・秋・冬になっている。春と秋はどんなに回っても繋がらないんですよ。出会うためには夏が必要。それがナツキちゃん。「だから君は繋ぐ、橋なんだよ」って。アキが音楽を始めるための橋であり、それによってハルと出会う。ハルとアキは音楽で繋がる。全部、音楽で繋がるってことをベースにしてます。

――BLUEGOATSメンバー自身の役割に関してはいかがでしょう?

三川:結局撮らなかったんですけど、マリンとかいなが最初に出会うところを撮りたかったんですよ。設定で言うと、かいなが転校生なんです。

――かなり細かく設定があるんですね。

三川:BLUEGOATSの物語って、3象限あるんですよ。まず「メンバーが17歳だった頃」。いくつかのジャケ写などで伏線を打っている。

「青春の真ん中に君がいる」ジャケット画像

で、このジャケ写(「アイラヴユー」)、かいなが1人で歌ってるじゃないですか? これは20歳のかいな。桜が散っている。「解散」にも桜が散るシーンあってマッチングしている。

「アイラヴユー」ジャケット画像

で、最後が現在進行形のBLUEGOATS。ちなみに、このジャケ写(「MELLOW」)が17歳の頃を描いたものです。かいなだけ違う制服着ているんですよ。

「MELLOW」ジャケット画像

――本当だ。色がついてる。

三川:かいなが転校生だから違う制服を着ている。卒業式の日は同じ制服を着ているんですけど、かいなだけ下を向いてるんですよ。全員前向いている中で。これ、喧嘩しているんですよ。

「ブルーミングドリーマー」 ジャケット画像

――だいぶ前から伏線が張られていたんですね!?

三川:まだあるんですよ。マリンがプール脇でギターを弾いているじゃないですか? で、かいなが見てる。これは何かっていうと、かいなとマリンが出会ったのってプール裏なんですよ。2人とも陰キャでいじめられるんで、プール裏でお弁当食べていて、プール裏のことを「オアシス」って呼んでいる。そして、マリンが好きなバンドが、Oasisです。

「ハローベイビー」ジャケット画像

――あー、なるほど。

三川:本当に撮りたかったMVは、マリンとかいなが出会う時。転校してきたかいなの最初の友達がマリンだっていうMVを撮りたかったのと、「青春の真ん中に君がいる」でも本当はMV撮りたかったんです。ソナがベースをやる企画も伏線になっていて。トークショーとかで「メンバーそれぞれ何をやりたい」って言われた時に、全員「ドラムです」「ギターです」「ベースです」って言っているのもすべて伏線になっているんです。

――「さらば青春の光」でいろんなものが回収されているんですね。

三川:AKBの「Everyday、カチューシャ」みたいに、これまで描いてる3象限を全部回収しようと思ったんです。4人で文化祭バンドをしているんですけど、結論「4人でアイドルやろう」になるんですよ。かいなは1人になって音楽をやる。でも4人になって、最終的になぜかアイドルになるっていう物語。その物語の先を今見ているっていうイメージでBLUEGOATSを作っています。

――MVだけじゃなくて、ジャケットにも伏線が盛り込まれているのが面白いですね。

三川:これ言いたくて仕方なかったんですけど、言う機会がなくて。ファンに言うのもキモいし、こっちの種の植え方が悪いかな、ってちょっと思ったりして。でも、まだキャラクター名は隠しているんですよ。チャンチーとマリンとソナの。だから、それぞれにそれぞれの物語がある。だからこの先、無限に膨らませられるんです。

――ちなみに、アー写も三川さんがプロデュースされていますよね。アー写に関しては、どういう考えで作られているんでしょう?

BLUEGOATSアーティスト写真

三川:アー写は、BLUEGOATSの3象限でいうと、一番最後に合わせています。現在進行している物語に対して合わせている。そういう意味で、あえて、時計にすると4時になる方向から光を入れているんですよ。

――受け手はなかなか気づけないくらい細かいですね!?

三川:いや、「朝4時だ」ってことに気づくわけないですよ。時計があって朝4時なら気づくけど、それに気づくやつ、もう頭おかしいですよ(笑)。

――でも、間違いなく「朝4時」であることにも意味があるわけですよね? これを機に、考察厨が増えるかもしれないですよ。

三川:でも、僕は一応、それぐらいちゃんと考察できるような種は仕込んでいて。アキとハルの話もそうなんですけど、それ系の話はめちゃくちゃ入れてはいる。でも、こんなに答えを言うことあります? 全部言っちゃったもんね(笑)。

――「見る人の解釈に任せます」とかじゃなくて、サービス精神旺盛なくらい、めちゃめちゃ全部言ってくれてますもんね。

三川:じゃあ、「見る人の解釈に任せます」(笑)。

――全部言った後に(笑)。

三川:いや、でもまだ僕言ってないことたくさんあるんですよ。多分7個ぐらいしか言ってないですよ。かなり重厚に作ってるんで、今言ったのは分かりやすいやつだけ。例えばジャケ写だったらポーズに意味もある、とか色々あるし。その程度の感じじゃないんで、あとは解釈に任せようかな。

――改めて、今作で三川さんが描きたかったメッセージを聞かせてもらえますか?

三川:BLUEGOATSは、いつか100パーセント終わる。極端な話ですけど、150歳までアイドルをやってるわけないから。必ず終わりが来るってなった時に、BLUEGOATSが、かいなが、マリンが、ソナが、チャンチーが残してくれた言葉っていうのは、思い出として永遠に残り続けるじゃないですか。僕、青春の1個の定義があって。「2度とない一瞬」なんですよ。メンバーは、同じことを2回も言ってくれない。ライブも”You Only Live Once”(※ユーオンリーリブワンスをもじってユーオンリーライブワンス=ライブは一度きりにしている)──「YOLO」って曲があって、そこから取ってるんですけど──ライブは1度きりなんで、もう2度とない一瞬を積み上げていくことが青春だ、と。このインタビューも青春なんですよね。そういうものを噛みしめながら生きていく。それが思い出として積み上がっていって、BLUEGOATSが終わった時に、音楽とか言葉とか思い出が残る。その中には「後悔」っていうものもあるじゃないですか? 後悔とか、良かったこと、悪かったこと、それを持ってちゃんと1人で歩んでいけるように、「今、私たちが背中を押すよ」っていうメッセージです。

 

――それが「さらば青春の光」に詰め込まれていると。

三川:撮ったのが深夜2時なんで、もう忘れているんですけど、本当はMVでかいなに十字架のネックレスをしてほしかったんですよ。台本にも書いてるんです。それは、かいながいじめを見ぬふりをして逃げちゃったことを、その子は許してくれてるけど、十字架のようにちゃんと持って、歌い続けるっていう意味で。最後、路上で歌っているというか、誓っているんです。今回24時間近く撮影していたので、次は、スタイリストを入れたいですね(笑)。

――次の作品はより進化していきそうですね。すごくいい話を聞けました。

三川:あ、もう1個あって。なんで「TOMORROW」をサブスクで出してないか。「TOMORROW」って、毎回ライブでやっている曲なんですけど、なんで「TOMORROW」を出してないか。ここにも、いろんな謎が仕掛けられています。

――それも、教えてくれるんですか?

三川:いやいや、これ書かれるんで教えないです(笑)。

――それは各々で考えて、と。

三川:みなさんの解釈にお任せします。ただ、答え合わせをしに来る人がいるんですよね、「これってこうですか?」って。そういうのはやめてほしいですけどね。こんだけリップサービスしているので、考察してみてください!


■リリース情報

BLUEGOATS
1stアルバム『さらば青春の光』
発売日:2026年4月28日(火)
価格:¥2,250(税込)
品番:QARF-60368
収録曲:
1. いざサラバ
2. 流星
3. きっと輝ける
4. 印税558円
5. 新生かわいいアイドル
6. アイドルなんて可愛いだけで良いのに
7. 私が一番カワイイアイドル
8. Remember you
9. 青春初期衝動
10. くだらない日々
11. 友よ
12. さらば青春の光

■ライブ情報

<INFINITE POWER 24 HOURS>
5月3日(日)〜4日(月祝)大塚Hearts+
️OPEN/START 16:40/17:00
通し15,000円/各部3,000円/当日券1セット1,000円/各チケット入場毎に+1D
https://ticketdive.com/event/infinitepower24hours
一般先着3/16(月)21:00-5/3(日)16:00

<BOYS ON THE RUN ~REVENGE~>
5月24日(日)渋谷スターラウンジ
OPEN/START17:00/18:00
前売り3000円/当日4,000円/各+1D
https://ticketdive.com/event/boysontherun_revenge
一般先着3/21(土)21:00-5/24(日)17:00

BLUEGOATS 東名阪ツアー『DAMN』ツアーファイナル
2026年6月22日(月)東京・代官山UNIT
OPEN/START 18:00/19:00
チケット 一般3,000円/各+1D
https://ticketdive.com/event/BLUEGOATS_DAMN

Official HP:https://bluegoats.jp/

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