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【LIVE REPORT】ASP、解散――渋谷に響き渡った最後の「Hyper Cracker」、5人とならず者で描いた最終章

StoryWriter

取材&文:西澤裕郎
写真:外林健太

ASPが2026年5月4日(月・祝)、全国5都市を巡るファイナルツアー<This is ASP’s final tour>の最終公演を、東京・Spotify O-WESTにて開催した。

本公演をもってASPの解散が決まっており、チケットはSOLD OUT、会場いっぱいのならず者(※ASPファンの総称)たちが駆けつけた。本公演のレポートを掲載する。


<This is ASP’s final tour>ファイナル公演

会場は溢れんばかりのならず者たちの熱気で満ち溢れていた。開演1分前。ステージ脇から、メンバーたちが気合いを入れる掛け声がフロアにまで漏れ聞こえると、客席からは大きな拍手が湧き起こった。

16時、ナ前ナ以、マチルダー・ツインズ、ウォンカー・ツインズ、リオンタウン、イコ・ムゲンノカナタの5人がステージに登場。「ASP最後の日、楽しむ準備できてますか?」というナ前ナ以の掛け声から、「TOXiC iNVASiON」でライブをスタートさせた。続く「Tokyo Sky Blues」では、リオンのロングトーンにならず者たちの歓声が呼応。ヘヴィなドラムリズムが鳴り響く「Black Nails」では、ならず者たちが頭を振り、手を前後に振り、その場で飛び跳ね、フロアに大きなうねりを生み出した。

「私たちも今日は楽しむ覚悟してきました。みなさんの気持ちもステージまでめちゃめちゃ届いています。ここからもっと上がっていけますか? もっともっといけますか? 渋谷いけますか? 最後までよろしくお願いします!」とリオンがが叫ぶと、「TOTSUGEKI!!!!!」へ。ならず者たちのミックスとともにフロアの歓声の熱は、さらに増していく。デジタルロック「MAKE A MOVE」、跳ねるビートを中心に構成されたサイケデリックなドラムンベース「darma」、キャッチーな高速デジタルハードコア「ジャ・パ・ニーズガール」と攻撃的な楽曲を続けると、メロウなサウンドの「Heaven’s Seven」、ヘヴィなトラックとキャッチーなメロディが交わる「BA-BY」を一気にパフォーマンスした。

リオンタウン

「はじめまして、私たちASPです。よろしくお願いします!」と挨拶し、一人ずつ自己紹介。ウォンカーが「今日が本当に最後のライブになります。昨日の夜はなにしてすごしていましたか?」とメンバーに問いかけると、眠れなかったというリオンに対し、イコは「どか寝した」と対照的なエピソードで笑いを誘った。前日のタワレコイベントを欠席したナ前ナ以は、「今日のためにお休みをいただいていました」と語りつつ、「ちっちゃいときから遠足前日などはグッタリ系だった」ことも明かした。イコは「ASPに1年と1日しかいなかったけど、180度人が変わった。明るくなった。こんな元気もりもりじゃなかった」とASPでの活動を振り返った。ツインズの話題では、マチルダーがいまだに双子を疑ってくる人がいることに言及。お客さんの中にも本物の双子がいて、一緒にチェキを撮ったというエピソードや、街で双子じゃないのにおそろいの服を着ているのを見て冷笑界隈になってしまった時期もあったことを振り返りつつも、自分たち以外の双子と出会えたことがよかったと語り、「私たちは”上位双子”です!」とユーモアある言い回しで会場を沸かせた。

ウォンカー・ツインズ

「いっぱい思い出があるけど、ここにいるみんなと思い出を作りたいです。いまのASPだから歌える曲なので、一緒に手を上げて楽しんでいってください」というウォンカーの言葉から、「JUSHO」へ。「I won’t let you go」を感情を込めて歌い上げると、ウォンカーの「みんな一緒に歌って踊って楽しんでいきましょう!」というならず者への投げかけとともに「I HATE U」へ。「Blueberry Gum」では、ならず者たちによる<ちゅっちゅっちゅ>というコールが響いた。一転、インダストリアルなドラムンベース「SEXUAL CONVERSATiON」、ハードさとメロディアスを兼ね備えた「Anyway」を全力で披露した。

ここで、マチルダーが5人体制での日々をならず者に向けて語った。

マチルダー・ツインズ

「ここまでライブをしてきた通り、ASPにはライブでならず者と一緒に育ててきた楽曲が本当に山ほどあるんですね。そのならず者と一緒に育ててきた楽曲を歌うのが今日で本当に最後になりました。こんなに格好いい楽曲たちを歌えなくなるのかという気持ちと同じくらい、ならず者の声も聞けなくなるのかという気持ちもあって。ライブになるとならず者の声が乗っかって、ASPの歌に魂が宿る感覚があるんです。そんなならず者にもっと感情をぶつけたいとか、ならず者ともっとめちゃくちゃ楽しみたいという思いが、今日ここまでマイクを握らせてくれたと思います。ここまで歌えてこれたのは、みんなのおかげです。本当にありがとうございます。どの時代のASPでも、ずっとステージに立つ選択をし続けてきた私たちだからこそ、誰よりも何よりもならず者の格好いいところを知っているつもりだし、最後の最後のならず者の姿を見届ける特権は私たちにしかないなと思います。だから今日も、最後の最後まで私たちは悔いのないよう全力で歌いきるし、みんなも全部受け取って、この時間楽しんで過ごしてくれたら嬉しいです。今日は最後までよろしくお願いします」

イコ・ムゲンノカナタ

アコースティックギターの音色と力強いビートが陰影を浮かび上がらせる「PLEASE!!!」を、しっとりと一言一言丁寧に歌い上げる。エレキギターの響きが気持ちいいロック曲「Warp!!」では、メンバー5人とならず者たちの拳が一斉に突き上がった。イコの「最後まで一緒に楽しみましょう!」という掛け声から、「Too young to get it, too fast to live.」、そしてイコ加入後初の楽曲となったロックソング「Get New ミライ」へ。ならず者たちのミックスが響き渡るなか、ロックチューンを立て続けに披露した5人は、ステージを後にした。

客席からは間髪入れずアンコールの声が起こる。大きな歓声の中、再びステージに戻ってきた5人。「なんでこの曲もってきたかわかるよね? 右に左に飛んでいこうぜ!」。ナ前ナ以がそう叫ぶと、「NO COLOR S」へ。色とりどりのサイリウムが光るなか、ならず者たちは右に左に移動しながら、一体感とともに盛り上がりをみせた。

ナ前ナ以

そしてここから、5人それぞれが、ならず者へ向けて最後の言葉を紡いでいく。フロアの至るところで、ならず者たちが頬を濡らしていた。それでも誰もが、その目だけはまっすぐにステージ上の5人を見つめ続けている。最後まで、しっかり見届けるのだという強い意志が、客席のひとりひとりからステージに返されていた。

イコ・ムゲンノカナタ「解散の実感がないまま今日迎えてしまいました。でも解散はやっぱりすごく悲しいもので、今日が終わった後に実感するんだなって思います。だからこれから少し寂しい時間を過ごすことになると思います。でも絶対いつか必ずあの時ほんとに楽しかったってASPの曲聴いて心から思える日が来るので、それまでは絶対お互い元気でいましょうね。イコ・ムゲンノカナタになって、ほんとにたくさんの人に出会って、ほんとに色々なことを経験して、目の前のことに夢中で必死に過ごしてた日々がほんとに心の底から楽しかったです。ずっとずっと大きな背中を見せ続けてくれてたメンバー、ずっとかっこいいASPはやっぱり最高でした。ASPを大好きな居場所にしてくれて、出会ってくれて、ほんとにありがとうございました」

リオンタウン「ASPに新メンバーとして途中で入ってきたんですけど、今日でASPに加入して4年間が経ちました。もう4年も経ったんですけど、この4年間は私の人生の中で間違いなく私が1番輝いてた4年間だったなと思います。けど、別に今日で何かが途絶えたわけでもないし、私が何かを見失ったわけでもなくって。私はまた明日になったら、どんなワクワクが待ってるんだろうなって思えるんですよ。私、自分なら絶対今日のこととか、また別のスタートに変えられるって思ってるし、私はASPに本当に強くしてもらったなって思います。そして、ならず者みんなのおかげで、私は自分のことをすごく好きになりました。そして、ASPに関わってくれた皆さんのおかげで、ほんとに人生を生きるのが楽しくなりました。みんな出会ってくれてほんとにありがとうございました」

ウォンカー・ツインズ「この5年間振り返ると、めちゃめちゃライブをしていたなってすごく思います。大きな場所を目指してみんなと戦って、ASPっていうグループを大きなところに押し上げていくのが、私の本当の誇りでした。私は楽しいこととか、ワクワクすることがすごく大好きなんですけど、やっぱりASPのライブに勝るものは何1つなかったです。今日は最後のライブだったけど、みんながめっちゃ声出してくれたりとか、すごい目も合わせてくれて、こんなに笑顔が見れるなんて、ほんとにこんな幸せなお別れはないなと思います。最後の最後まで私はならず者に惚れて、ならず者に刺激を受けていました。もしみんながこの先ASPに触れたら、もう1発食らって、何度も何度も好きになってくれたら、私は後悔がないです。最高の最高のASP人生を本当にありがとうございました」

マチルダー・ツインズ「今日のライブ楽しんでくれましたか? 私もめちゃめちゃ楽しみました。解散までの期間は全部に対して『最後』ってつくことがほんとに多くて、その最後と私はずっと向き合って、みんなとの思い出をかみしめて、解散前の期間を過ごしてきたんですけど、私たちの最後のMVは5時間も競技場を走るっていう、すごい過酷なMVを撮影したんですよ。それを振り返ってみたら、私はずっと最初から最後までASPでハードな生き様を探してきたなってすごく思うんですけど、でもなんだかんだ言ってそういうのが1番楽しくて、そういう過酷さと向き合ってる時が1番ASPしてるなって思うし、あの時ASPに飛び込んだ自分にナイスだなって思います。私はほんとにASPに喜怒哀楽全てを経験させてもらって、ようやく一人前の人間になれて、ASPから旅立つ気分でこの期間はずっと過ごしていたんですけど、やっぱりASPが出会わせてくれたならず者とかこのライブっていうのは絶対に忘れられないものだから、私はこれからもあなたとの思い出を引きずって生きていくんだろうなって思います。本当にASPに出会ってくれてありがとうございました」

ナ前ナ以「ナ前ナ以です。5年前に変な事務所が変なオーディションやってるなと思って受けたら、受かってしまって。でも蓋を開けてみましたら、ちゃんと変な事務所で、変なグループに入れられてしまいました。それがASPでございますね。そんなASPに私は今いるんですけど、自分はいかんせん普通の人生を送ってきたもんですから、変なグループに入れられて、変なグループに追いつかないとって思って、ずっとトゲトゲトゲトゲしてたら、だんだんその変なグループがかっこいいなと思うようになって、なんでASPってまじ最強なのにみんな気づかないんだろうって、”地球きっしょー”みたいな。今日も最後まで思うと思うんですけど、ずっと思ってました。だから普通に解散は悲しいですね。でも、いいんですよ。解散。いいっしょ? だって、考えてみなさいよ。じゃあ80歳に私たちがなったといたしましょうか。おばあちゃんね、『Blueberry Gum』なんて歌えないって。厳しいって。『はじめてのKissが思い出せなくなってて』なんて歌詞、違う意味に聞こえてきてしまいますから(笑)。おじいさん、それはないじゃん、みたいな。永遠なんてないですから。いつか終わりは来ますから、このタイミングでいいんじゃないでしょうか。私たちも覚悟があって解散をいたします。覚悟があって解散するっていうことを、もし、なんだこの野郎と思っている人がいましたら、ASPたちは初めてのキスって多分80歳で歌えないんだろうなみたいな、そんな適当でいいんで、そんぐらいで納得していただけたら嬉しいです。そんぐらいでいいんだ。あんま深く考えていかないでいこうぜ。ほんと、私ASPに入ってよかったです。初めからいて、今日までいて、まじ生き残り。生き残った。ASPはこれから先も、自分の人生で1番金ぴかだなと思います。本当に私に金ぴかな人生をくださって本当にありがとうございました。5年間本当に応援してくれてありがとうございました」

そしてナ前ナ以は残り2曲であることを明かし、「5時間走って、もっといけんじゃんって思わせてくれた曲と、最後はASPがほんとにその曲のおかげで上向けたなって感謝してる曲で、どっちらも最後歌うの今日が最後なんですけど、精一杯歌うんで、皆さん一緒に楽しんでくれたら嬉しいです。よろしくお願いします」と告げ、ラストシングル「Pipe Dream」を歌い始める。<叶わない><できない>という言葉から、サビでは5人が<でも一生それでいい それでいい それがいい>と歌い上げる。解散を選んだ5人の声が、ならず者の前で響き渡った。

そして最後の最後、メジャーデビュー曲「Hyper Cracker」へ。ならず者たちが手にしたサイリウムが揺れるなか、5人は最後の一音まで全力で歌い上げた。

5人で深くお辞儀をすると、続いて手を繋ぎ、その手を高く上げて、マイクを通さずに「ありがとうございました!」と叫ぶ。会場を包み込む拍手のなか、5人はステージを後にした。こうして5年間続いたASPの歩みは、東京・Spotify O-WESTにて幕を閉じた。

ASPは、解散した。けれど、5人とならず者が積み重ねてきた楽曲は、これからも残り続けていく。解散直前のStoryWriterのインタビューで、ウォンカーは「ASPの音楽は、配信とかCDとかで残り続けるものでもあって」「ASPは終わっちゃうかもしれないけど、何かのきっかけでASPに触れたり、また戻ってくる人がいるかもしれない」と語っていた。今日この場にいなかった誰かが、ふとした瞬間に初めてASPの音楽に触れることがあるかもしれない。あるいは、今日この場にいたならず者が、何かをきっかけにまたASPの音楽に戻ってくることがあるかもしれない。

そして、5人のメンバーそれぞれもまた、ASPで得たものを抱えて、ここから先の道を歩いていく。同インタビューでリオンは、ASPを「人生における通過点」と位置づけ、「ここを人生の最大値にしたくない。ここを超えるくらいの目標で、残りの人生も歩んでいきたい」と語っていた。ナ前ナ以は5年間でASPに「1人の人間として、自分はどういう人なのか」を教えてもらったと振り返り、マチルダーは「すごく人生を面白くしてくれた」、イコは「大きくなれた、変われた場所」、ウォンカーは「戦」と、それぞれの言葉でASPの5年間を捉えていた。

今日のSpotify O-WESTで5人が刻みつけた最後のステージは、まだ見ぬ誰か、そしてまた戻ってくる誰か――そして、これから新たな一歩を踏み出していく5人自身に向けて、確かにここに刻まれた。

 

セットリスト
1. TOXiC iNVASiON
2. Tokyo Sky Blues
3. Black Nails
4. TOTSUGEKI!!!!!
5. MAKE A MOVE
6. darma
7. ジャ・パ・ニーズガール
8. Heaven’s Seven
9. BA-BY
10. JUSHO
11. I won’t let you go
12. I HATE U
13. Blueberry Gum
14. SEXUAL CONVERSATiON
15. Anyway
16. PLEASE!!!
17. Warp!!
18. Too young to get it, too fast to live.
19. Get New ミライ
EN1. NO COLOR S
EN2. Pipe Dream
EN3. Hyper Cracker

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