
取材&文:西澤裕郎
GANG PARADEの最初で最後のイギリスツアー〈GANG PARADE in the UK Tour〉2日目が、2026年8月20日(木)、ブリストルのThe Fleeceで行われた。
マンチェスターで初日を終えた11人が、次に降り立ったのは英国南西部の港湾都市。ブリストルは、運河と丘の上の街並みが独特の起伏を描く街だ。かつての波止場を再生したハーバーサイドには水辺のパブが並び、路地を歩けば、この街出身のバンクシーに連なるストリートアートが、そこかしこの壁を彩っている。マッシブ・アタックやポーティスヘッドを生んだ低く沈むベースの音楽から、いまも続くサウンドシステム文化まで、音そのものが街の空気に溶けている土地でもある。

ブリストルの街並み



3時間ほどバスに揺られて会場入りしたメンバーたち。The Fleeceは天井の高い、雰囲気のあるライブハウスだ。バーカウンターには会場オリジナルのTシャツが並び、メタル風、インディロック風とデザインの異なるものが並ぶ。早速購入して着てリハーサルに臨むメンバーの姿も。前日の音響トラブルを踏まえ、PAとともに入念に音をチェックしていく。

会場のThe Fleece

スケジュール

GANG PARADEを発見!

バーカウンター。壁にTシャツが掲げられている

左から、キャン・GP・マイカ、月ノウサギ、チャンベイビー

メタル風

インディロック風


現地のライブスタッフ・キャリングと話すユメノユア
オープニングSEが流れると、フロアの遊び人たちからは前夜を上回る歓声が上がった。「KIMI☆NO☆OKAGE」「Happy Lucky Kirakira Lucky」「Gang Gang Disco」と冒頭3曲を畳みかけるあいだにも、メンバーの名前を呼ぶコールが場内のあちこちから飛び、その声は初日よりも明らかに大きい。

「私たち、みんなの遊び場、GANG PARADEです! よろしくお願いします!」という挨拶に続き、ココ・パーティン・ココが英語と日本語を行き来しながら語りかける。「今日はUKツアー2日目、ここブリストルに来られて嬉しい」──英語でそう呼びかけながら、初めてのブリストルに「チョッピリ nervousだった」と正直な胸の内も明かす。それでも、みんなに会えて本当に嬉しい、距離が近いから全員とアイコンタクトしよう、と客席との近さを英語で喜んでみせる。そして「最高でとびきり強い思い出を一緒に作ろう」と呼びかけると、「Are you ready?」のコール&レスポンスでフロアの温度をさらに上げていった。

ココ・パーティン・ココ
自己紹介ソング「So many members」、KOTONOHOUSEによる「躍動」と続けると、6曲目は「Doubters」へ。作詞を草野華余子とGANG PARADE、作曲を草野華余子が手掛けた、メジャー3rdアルバム『GANG RISE』収録曲だ。“信じるな、疑え”をテーマに、メンバー全員が持ち寄ったフレーズを草野がつなぎ合わせて一曲に仕立てた、活動10年以上の彼女たちが今だからこそ歌う楽曲だ。ヘヴィなロックサウンドに乗せて、11人はフォーメーションを目まぐるしく入れ替えながら、激しい振り付けで畳みかけていく。続く「FOUL」では、フロアにメンバーのフォーメーションに合わせ輪ができるほど遊び人の熱も高まっていった。



ユイ・ガ・ドクソン
ユイ・ガ・ドクソンのMCが、その熱をさらに押し上げる。「来てくれてありがとう、私たちはとても幸せ」──英語と日本語で感謝を伝えると、「もっともっとパワーをちょうだい!」と英語で客席を煽り、コール&レスポンスで一体感を高めていく。「次はみんなで手を繋ぐ曲」と英語と日本語で告げ、その言葉から、躍動感と一体感の強いロックパートへとなだれ込む。「CAN’T STOP」でメンバーと観客が手を繋いで飛び跳ね、「BREAKING THE ROAD」「GANG RISE」で会場の熱を一気に高めて駆け抜けた。

左から、ナルハワールド、ユメノユア

ヤママチミキ

チャンベイビー
「今日は最高の夜をありがとうございました! ラスト! 一緒に歌って、踊って、笑いましょう! Let’s sing together! ロックを止めるなー!」というナルハワールドの一言から、「ROCKを止めるな!!」へ。遊び人たちの歌声と重なり合い、フロアがひとつになった。

キャン・GP・マイカ

月ノウサギ

キラ・メイ

キャ・ノン
鳴り止まない拍手とブルーの照明のなか、アンコールに応えて11人が再び姿を現す。アイナスターがMCで客席に語りかける。「アンコールありがとう、みんな楽しかった?」という英語の問いかけに、フロアからは大きな歓声が返る。「今日が初めてのブリストルで、遠くから駆けつけてくれたみんなに本当に感謝している」。そう英語で伝えたあと、アイナスターはこう切り出した。「でも、10月にGANG PARADEは解散します」。フロアから「No〜〜!」と声が上がる。それでもアイナスターは、まっすぐに言葉を継いだ。「これが最初で最後のUKツアー。今日ここに来てくれた一人ひとりを、私は忘れない」。客席を1人1人指さしながら、あなたも、あなたも、あなたも、と英語で告げ、「みんなのこと忘れないよ! ありがとう!」と感謝を重ねた。

アイナスター
何度もコール&レスポンスを交わしてフロアの熱を高めると、解散前最後の新曲「GANG PARADE SO LONG!!」、そしてプラニメ時代から歌い継がれてきた「Plastic 2 Mercy(GANG FINALE ver.)」で、2日目のステージは締めくくられた。月ノウサギの「アイラブブリストル! 明日はロンドンで会いましょう!」という声でライブは大団円を迎えた。

6曲目が「Doubters」に替わったほかは、前日を踏襲したセットリストではあるが、この夜のライブは、初日とは手触りの違う、ロックで激しいものになっていた。初めての街に立つメンバーの心持ち、そこに集まった遊び人たちの熱、そして音の鳴る場所そのもの──そのどれかが違えば、ライブはまるで別の生きものになる。ブリストルの一夜は、ライブが生ものであることを、あらためて確かめさせてくれた。
翌8月21日、ツアーはファイナルの地・ロンドンへと向かう。




