
取材&文:西澤裕郎
写真:大橋祐希
WACK所属の11人組グループ、GANG PARADEが2026年10月29日、Zepp Hanedaで行われるラストライブをもって解散する。
2025年12月、WACKが第1章の終了を発表したことにともない、グループは2026年内での解散を表明。4月18日の栃木公演を皮切りに、約半年をかけて全国28公演をまわる国内ラストツアー〈GANG PARADE SO LONG TOUR〉を開催し、6月17日にはラスト&ベストアルバム『GANG FINALE』をリリース。8月には、最初で最後となるイギリスツアー〈GANG PARADE in the UK Tour〉でマンチェスター、ブリストル、ロンドンの3都市を巡るなど、各地の遊び人たちと遊び場を作り続けてきた。
StoryWriterではこれまでメンバー個々へのソロインタビューを継続して掲載してきた。本連載はその最後として、ラストライブを約2週間後に控えた10月中旬、11人それぞれに話を聞いたものだ。ラストツアーを終えて今思うこと、解散を目前にした日々の心境、メンバーや遊び人(GANG PARADEファンの総称)への思い、そしてラストライブに向けて。「みんなの遊び場」を掲げて活動してきた11人の言葉を、WACKへの入所が若い順に掲載していく。
メンバーの各公演のMCが、今の自分の気持ちを作ってくれた

──ラストライブまで2週間を切りました。いまの率直な心境を教えてください。
2週間か……って最近思いました。あっという間だった気もするけど、過去最多の公演数でラストツアーを回らせていただいたことや、半年ぐらいかけて全国に行かせてもらったことを思い出すと、そんなにあっという間でもなかったなって。いろいろ思い返しています。
──あと2週間でGANG PARADEが終わる、という実感はありますか。
理解はしているけど、まだある状態だから。なくなったときの気持ちは全部終わった次の日とかに来そうです。ラストライブのあとも特典会があるので、最後の特典会が終わったら、多分何かしらの気持ちが来るはず。
──今は、寂しさを感じることはありますか?
いろいろありますよ。こんなに好きなもの、場所、好きなことを10年以上ずっといちばん大事だって思って続けてきたから、それを他でできるのかって思うと今は難しそうだなって。結構前ですけど、それを見つけなきゃいけないって思っていた時期があって。でも見つかる気もしなくて、すごくしんどかったんです。でも、見つけなくてもいいや、って思えたんですよ。ツアーのMCで、メンバーみんなが等身大の本音を話すことが多くて。ココ(ココ・パーティン・ココ)がMCで、「それ以上に好きなものなんて、別になくていい。そんなの簡単に見つかるわけない。こんなに好きだから」って言っていたのを聞いて、見つからないぐらい好きなんだなって思えたんです。そう思えることも幸せなことだなって、そっちの側面を感じられて、どうしようっていうしんどさがなくなりました。
──ココさんをはじめ、メンバーのMCがきっかけになったんですね。
それぞれのメンバーの各公演のMCが、今の自分の気持ちを作ってくれたっていうのはあります。
誰かの最後を、最高にする

──ドクソンさん自身は、MCでどんなことを話したんですか。
私は今回3回MCをやらせていただいて、それぞれテーマを決めていました。最初は、「寂しさと愛しさ」の話。その時々で気持ちも変わっていくだろうなと思っていたので、最初はちょっと自分にも言い聞かせるような気持ちで。遊び人は絶対に寂しいし、自分も寂しい。私も、解散が決まってまだ言えなかった時期はすごくしんどかったから、それが今みんなに来ているんだろうなと思って。自分がそうだったみたいに、何かしらの言葉が、ちょっとでも心が楽になる考え方のきっかけになったらいいなって。それで、愛しくないと寂しくない、だからこんなに愛しているんだなっていう実感をしたっていう話をしました。
──2回目は?
「始まりと終わり」の話です。始まりと終わりって、いろんなことにあって、これまでもそれを積み重ねてきている。細かく見ても大きく見ても、人生は始まりと終わりを繰り返してきたし、今も始まって終わろうとしているし、これからもきっとそう。その中の1つの始まりと終わりだけど、自分にとってはいちばん大事な人生の中の1つの物語だった、っていう話をしました。
──最後は?
「ハッピーエンド」の話です。あんなにしっかり話させてもらえるのは最後の機会だと思ったので、改めて感謝と、遊び場がいちばん大好きだっていう気持ちを全部詰め込みました。あれこれ考えずに、今伝えたいことを言葉にさせてもらって。最後は、みんなでハッピーエンドを作るぞ!絶対にハッピーエンドだ!っていう話をしました。

──全国ツアーが終わった後の打ち上げは、ドクソンさんが幹事だったと聞きました。
なんちゃってですよ(笑)。お店はマイカ(キャン・GP・マイカ)とメイ(キラ・メイ)が調べてくれて、私は電話で予約しただけ。特典会が押していたので、その最中に「お店に電話しなきゃ」って、今何時ですか?ってスタッフさんに確認しながら(笑)。打ち上げは、もうイエーイでした。ラストツアーで自分も気持ちを整理できたし、遊び人の思いとか、あったかさとか愛ばっかりいただいて、大事なものがより一層増えた。そういうムードでした。
──ツアーで遊び人と接する中で、印象に残っていることはありますか。
「これで最後なんだ」っていう言葉を、思いがけないところで聞くことがあって。自分はラストライブまで、ってもちろん思っているけど、それぞれの人生の都合や場所や事情があるのを実感したとき、はっとしたんです。常に今日が最後の人がいるんだって。だから、「最後の遊び場を最高にしよう」じゃダメだなと思ったんですよね。それぞれの最後の遊び場が、それぞれでいちばん最高じゃないと。誰かの最後を最高にする。それを届けさせてもらうラストツアーなんだって思いました。
──ドクソンさんにとって、「みんなの遊び場」とはどういうものですか?
拠りどころ、ですかね。日常とはちょっと違う、日常をなんとか乗りこなすための拠りどころ。なくても生きていけるけど、あるとすごくいい場所。それがみんなの遊び場です。誰も置いていかない場所です。
「わかんない」のその先を考える

──ツアーを回る中で、過去のことを思い出したりはしましたか?
ライブの景色もそうだし、これまでやってきたことも、辛かったことも、おもろかったことも、思い出そうと思って思い出していました。思い出す作業を丁寧にすると、その時間を噛みしめられる気がして。
──先日、『SiS消滅の詩』(ドクソンとココが所属していたアイドルグループ・SiSの結成から消滅までの裏側を追ったドキュメンタリー映画)を見返したんです。いま振り返っても衝撃的な内容ですけど、ディレクターズカットのオーディオコメントを聞いていると、当時からドクソンさんのコメントは面白くて、ココさんとの掛け合いも最高でした。
今見たら本当に私自身はクソみたいなもんだなって思ってしまいそうですけど(笑)。何年経っても、あの日の打ち上げ(SiS解散の日の打ち上げ)の記憶がずっとあるんです。そこでもらった言葉を、ずっと無意識に大事にしている。いろんな場面で、自分は支えてもらってきたんだなって思います。
──思い出す言葉とは、どんなものですか?
渡辺(淳之介/WACK代表)さんが言ってくださった、「それは絶望じゃない」っていう言葉です。今私たちがいる状況は絶望じゃないよって。あと、岩淵(弘樹/『SiS消滅の詩』カメラマン)さんにも直接的な指摘をもらって。本当に感謝しているんです。何も知らなすぎる自分がアホみたいなことを言って、ダメダメな心構えだったのに対して、まっすぐ言ってくれる人って年々いなくなるじゃないですか。時代もあるかもしれないけど、そういう機会も失われつつある。あれがあって、自分を省みられた。励ましてもらったのか、どういう思いで言ってくださったのかはわからないですけど、私は励みになりました。叱咤も激励も、全部。
──あの夜が、原点になっている。
原点です。カオス(笑)。

──カオスといえば、GANG PARADE 200km対抗駅伝(2016年12月3日~12月5日に開催されたカミヤサキ1人vs後輩メンバー6人の200km対抗マラソン)もありましたね。あのとき、並走して走っている中、ドクソンさんの上着を落としてなくしてしまったのは、今でも申し訳なく思っています。
いやいや、それはなくしますよ。だって、しんどいもん(笑)。スタッフさんが自転車で200キロ並走してくださって、記録はメンバーが配信して。本当にDIYでしたよね。でも、体力勝負なことも、精神勝負なことも、もしかしたら令和じゃ許されないって言われるようなことも、やって強くなるっていうのを、めちゃくちゃ実感しています。
──GO TO THE BEDS時代には、無人島にも行っていましたね(2020年9月に1週間に渡って実施された企画「現状間違いなくGO TO THE BEDS in 無人島」。無人島に丸腰で降り立ったメンバーがキャンプ地を開拓し、火を起こし、食料を確保し、イカダを作って島を脱出するという様子を生配信した)。
無人島は本当におもろすぎて、もう1回行きたい(笑)。活動していてくじけそうになったランキングのトップに入っているのが、手作りの筏で海を渡ったこと。潮に流されて、マジで進まなくて、心が折れると思いました。それも今となっては、どこで話してもおもろい。
──活動を続けてきて、自分が変わったと思うところはありますか。
いちばん、この先の糧になりそうだなって思うのは、「わかんない」のその先を考えられるようになったことです。考え事をして壁に当たって、もう上がれない、わかんないってなった先に、さらに考える。前はそれができなかったんです。わかんないものはわかんない、って。答えを探すのって苦しいし。でも、自分が納得できるところまで、わかんないのその先を考える。考えることの諦めの悪さ、ですかね。そこが変わった気がします。
──わからない、のその先まで考えるというのは、自分と向き合うことでもありますよね。
どうしたらいい? わかんない。じゃあ、わかんないからどうする?って、1個1個紐づけて、なんとか自分の納得できる落としどころを見つける。それが結構役立っていて。解散決定で本当に辛くなっちゃった状態から、今、寂しさの側面にある幸せを見られたり、感じられたりしているのも、それがあったからな気がします。
ギャンパレの血でつながっている

──ドクソンさんにとって、メンバーはどんな存在ですか。
これだっていう単語はないんですけど、気持ち的には心強い。支えてくれるし、支えたいと思うし、尊敬している。でも、戦友とかでもないんです。もうちょっとギャンパレの血でつながっているみたいな感覚。戦友って、ちょっと限定的な感じがして、今の私がメンバーに感じている気持ちとは違うんですよね。見えないつながり、ギャンパレの血なのかなって感じます。
──同期のココさんは、ドクソンさんにとってどんな存在ですか。
大きいです。実際、ココがいなかったら潰れていたときもあったんです。辛いことも一緒に辛いし、楽しいことも一緒に楽しい。どんなときも、1人じゃないぞって思わせてくれた存在です。
──潰れていたかも、というのは?
私、辞めたいとか思ったことはなかったんですよ。でも1度だけ、解散を自分が覆すことはもうできないって思ったときがあって。本当に解散が決まった最初の頃ですけど、終わりゆくものをどう過ごせばいいのかわからなくて、受け入れられず、もうダメだって思ったんです。考え込んで、わあってなったときに、ココとベビ(チャンベイビー)が話を聞いてくれて。2人が引っ張って引き戻してくれたんです。
──ギャンパレは、特に初期、「負け犬じゃない」「ひっくり返すんだ」という精神でやってきたグループですもんね。覆せないものをひっくり返す精神が根底にあるというか。
そうなんです。上を目指すんだって、ずっと思い続けてきた代償が自分に来ちゃったというか。解散イコール、もうこれ以上を目指さない、って思っちゃったんです。今は、そうではないよって思えるんですけど、そのときはもう頑なになっちゃって。寂しさも、最初は辛いから嫌だったんです。でも、寂しさを感じられてよかったって思えるところまで来られたのは、ココとベビだけじゃなく、他のメンバーの言葉や、遊び人からもらった言葉、見せてくれる涙があったから。あのとき投げ出さなくて、本当によかったなって思います。

──この場を通して、メンバーに伝えたいことがあれば聞かせてください。
結構直接言えているんです。ゆあぴっぴ(ユメノユア)が、MCで遊び人に感謝を伝える中にメンバーも含めて言葉をくれたことがあって。それを聞いて、自分も伝えたいって思ったんです。ココも、ちょいちょいそういうのをくれるんですよ。「本当にいてくれてよかったよ」とか、改まって言うのもなっていう言葉でも、改まらずにくれる。私は多分、そういうのが言いづらいタイプなんですけど、ココが振ってくれるから、自分も出せるんです。
──ドクソンさんにとって、遊び人はどんな存在ですか。
遊び人のおかげで今ここまで来られたし、今ここにいられることに、すごく大きな感謝があって。私がここにいられる理由と機会をくれたのは、遊び人と、メンバーと、渡辺さんやスタッフさんのおかげです。遊び人からは、どんなときも乗り越えられる力をもらいました。日によって、体調も気持ちもぐらついたりするもんだから、落ち込んでいる夜でも、次の日のライブを「楽しみ」って言ってくれている声を見ると、頑張るぞってパワーになった。ギャンパレをやるパワーであり、ギャンパレでいさせてくれる存在です。
史上最強の、世界最高のハッピーエンドを

──ラストライブは、どんなライブになりそうですか。
最強最高の遊び場にします。何曲やっても足りない。きっと自分もヘロヘロになりながら、それでも足りないんだろうな(笑)。
──ドクソンさん自身は、どんなライブにしたいですか。
走馬灯に出てくるようなライブにしたいです。あと、これはツアーの1公演1公演でも思っていたことですけど、遊び人が感じてくれている寂しさが終わったあと、今以上に遊び人たちを支えるような、鮮烈な記憶になるものにしたい。この先も長く、それぞれを支える時間を一緒に作りたいです。
──活動初期の頃から思うと、このインタビューも感慨深いですね。
私も毎日思い返すんです。昨日も歩きながら思っていて。10年以上続けさせてもらえるなんて、あの頃は思っていなかった。なんなら、3、4年ぐらいで、誰が見ても売れたっていうところまで行けなければ、なくなっちゃうものだと感覚的に思っていたんです。めっちゃ売れたかと言われたら、そうではなかったと思う。それにもかかわらず、10年以上させてもらえたことに本当に感謝しています。続けさせてくれた渡辺さんと、支え続けてくれた遊び人の思い、全部ありきです。大感謝です。

──改めて、遊び人へのメッセージをいただけますか。
いつの時代からでも、GANG PARADEを知ってくれて、好きになってくれて、ありがとうございます。特にコロナ前とかは、自分たちも模索していた時期があったけど、ギャンパレにしかできない遊び場を作るぞ、それはこれだ、っていうものを見つけるために、ずっと模索しながら来て。遊び人がすごく楽しんでくれる笑顔や、心が動いたときの涙、全力でギャンパレの音楽と遊び場の空間を楽しんでくれる姿があったから、これが遊び場だって思えるものを一緒に作ってこられた。本当に大事なありがたい存在です。最後の日、多分いちばん最高の遊び場を作るんですけど、それは、これまでが1つでも欠けていたらできなかったもの。だから、その場にいなくても、あなたのおかげです。史上最強の、世界最高のハッピーエンドを作るための物語を紡いでくれた人たちだから。ありがとうございます。
──最後に、ドクソンさんにとってGANG PARADEとは?
私の人生史上、いちばん大好きで、いちばん大事なもの。ギャンパレがある人生で、本当によかったなって。最初にオーディションを受けたとき、「おもろい人生にしたい、それがWACKならできると思いました」みたいなことを言ったんです。それは、本当に達成させてもらいました。多分、これ以上おもろいことは出てこないっていうぐらい、おもろい人生をもらったから。いちばん大好きで、大事な、自分がいさせてもらえた場所です。
──これだけおもろいことをやってきたわけで、ギャンパレが解散した後が心配です。
抜け殻になりそうだなって不安だった時期もありました。でも今は、11月から無職っていうのがおもろくて(笑)。ガチの終わりの始まりが始まる。おもろ、って感じちゃって。これを感じちゃったら、もうダメです(笑)。
──おもしろさの基準が極致までいってしまっている気がします(笑)。
自分でもやばいなって思います。本当は「今後はこれをやります」って言いたいし、焦っていた時期ももちろんあったんです。でも、やっぱりおもろくはしたい。最高におもろかったけど、生きているうちは満足しちゃダメだと思うので、この先も人生のおもろさを追求したいです。

■ラストライブ開催情報
LAST LIVE「GANG PARADE LAST SAY HELLO!!」
2026年10月29日(木)@Zepp Haneda(TOKYO)



