泉谷しげるや曽我部恵一をはじめとしたミュージシャンのポートレート撮影を中心に、CD、書籍、広告、webや雑誌などの撮影を手がけている写真家のJumpei Yamadaが、写真をもっと自由に捉えてほしいという想いをもって、7月3日(火)よりスタートした新連載「illusionism」。公募で募ったゲストモデルを撮り下ろし、その写真を元にゲストライターが想像した文章を自由に執筆、写真と一緒に掲載していく。毎週火曜日更新予定。
「illusionism」Vol.4
少し重くなった頭で雑に畳まれた服を並べたけれど、
ふさわしい服がない。
流行りの中古通販サイトを狂ったように一晩中眺めた。
ワンピース一着分の値段でそこそこ気に入った服を三着買う。
鏡の前でだけ姿勢を正して
腹を凹ませる自分の姿を見る頃には、
さっきまでの自信は消えていた。
世話焼きな友人が贈ってくれた似合わなさそうな服が
袋に入ったままでリビングの端に置いてある。
いつか着てみようのその日はきっと来ないし、
眠ってしまえばまた大事なことが溢れていくんだろう。
薄化粧をし、似合わないその服を着て外に出る。
真っ暗な夜は静かで優しくて、無関心だから好きだった。
「夜を越えて明るくなった瞬間は見える景色を独り占めできるし、世界のだれよりも早起きでしょう?」と、昔好きだった人が言った。あの時はずいぶん、変わった人だと思った。
またぼーっと記憶を辿る。
記憶の中の深い川を越えても
今日はただ、懐しかった 許すことのほうがずっと難しい。
匂いや声が鮮やかなほど、
戻れないことを思い知らされて
いつの間にか、川の反対側まで来た。
ミー ンミー ンミー ン
急にあの人の顔が浮かぶから、おかしくて笑いそうになる。
どうでもいいと思っていた何かがわたしを助けた。
恥ずかしいくらい単純だ。
ずっと欲しかったものは
ずっと焦がれていた答えは
あの川じゃなく、いつもわたしの中にあった。
「illusionism」Vol.5へ続く
Text = ヒナタミユ(ヒナタとアシュリー)
ヒナタとアシュリーのボーカルギター。
3月、初のタイアップソング「朝のにおい」を配信限定リリース(ドラマ 「# ハッシュダグ」書き下ろしED曲)。7月25日(水)には、映画「東京ブラフ」主題歌・挿入歌の配信がスタート(iTunes / spotify等、各サイトにて)!
挿入歌 「longing(MV)」も16日に公開。https://youtu.be/2euexl0O5UQ
Web : http://hinatatoashley.com
Twitter : @hinatamiyu
Model = 阿部しい奈
Twitter : @sheena112_
Photograph = Jumpei Yamada(じゅんぺい・やまだ)
1987年富山県生まれ。
2007年より関西にて活動。
活動拠点を東京へ移し、2014年独立。
ミュージシャンのポートレート撮影を中心に、CD・書籍・広告・webや雑誌等各種媒体の撮影を手がけ、並行して自身の作品制作も行う。
2015年2月 写真集「ギミ!ギミ!ギミ!ダーリン!」発表。
2018年2月写真展「immanent」at 高円寺FAITH
Web : https://jumpeiyamada.com/
Twitter : @jumpeiyamada_
illusionismに被写体として参加して頂ける方を募集中です。経験不問。興味のある方は「氏名」「年齢」「バストアップ写真、全身写真(3ヶ月以内撮影)」「芸能活動されている方は芸歴・活動歴」を明記・添付の上、件名:被写体募集にてillusionism.wanted@gmail.comまでご連絡下さい。応募者多数の場合、採用させて頂く方にのみご連絡させて頂きます。