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StoryWriter

こんにちは。

先日、中堅レベルの某出版社の面接がありました。1次面接だけど既に残っているのは50人ちょっと。就活掲示板を見ると個人面接で、しかも優しい面接官とのこと。そろそろイケるんちゃうボク? って半分イキりながら面接に向かったんです。

御社に到着しまして意気揚々と会議室のドアをノック。「どうぞ」の一声を合図にドアを開けると、恐らく編集長かそれ以上レベルのおじさま&おばさま6名が軽く囲むように出現。

かたやこちらは炎天下にスーツを着ているせいで汗びちょの僕。まさかの面接官の多勢っぷりに輪かけて発汗が止まらない僕。基本的な質問はともかく、矢継ぎ早に粗を見つけるような質問攻めが6方向から…… 面接終了後にこんなに落ち込んだのは初めてかもしれません。逃げるように御社を後にして帰宅、スーツを投げ捨て枕に顔をうずめて脚をバタバタさせる25歳。どの世界にこんなに惨めな25歳がいるもんですかね……

明日は何故かIT企業の面接がありますが、中国語と英語で面接するらしく、今日の深手の傷を負ったままなので相当な苦戦になることでしょう。人生とんでもねーなオイ!!!

さて、夏だというのに家からあまり出たくない25歳。

ちょっと前までは夏というだけでウェイウェイできていたのに、四半世紀も生きると人は変わるみたいですね。最近は時間があると久しぶりにギターを引っ張り出してきて何か弾こうかな~と思うんですが、夏ということで弾きたくなるバンドがあります。それが“ Base Ball Bear”。

中学生の頃、チャットモンチーのライヴを観てロックバンドという文化に感銘を受けたのは以前お話したのですが、同時期にTOKYO FMのラジオ「SCHOOL OF LOCK!!」を毎日聴いていたんです。色んな若いバンドが時折ゲストで登場していて、チャットモンチーもコーナーを持っていたんですが、彼女らと親交があってよく出演していたのがこのBase Ball Bear

その中で初めて聴いた彼らの楽曲「ELECTRIC SUMMER」を聴いて、これまた衝撃を受けました。チャットモンチーとは何か違うなと思って調べていたんですが、彼らの特徴は独特で新鮮なコード感だと。確かにチャットモンチーは割と単純で分かりやすいコード進行が多かったんですが、スコアを見るとBase Ball Bearは聴いて先が予想できないような和音が多いな、と。ギター駆け出しの頃には細かい和音感とかどうしても分からなくて、それが逆に「Base Ball Bearってすごいんだ! もっと聴きたい」って思えるキッカケだったのかな。

 

Base Ball Bear、歌詞が何よりステキです。ほとんどの作詞・作曲を手掛けるギター / ボーカルの小出祐介さんは、何よりも詩的な表現を用いた女性という生き物への賛美や、ポカリスエットのCMにありそうな青春っぽい恋愛の描写がすこぶる上手いと思います。特に顕著に表れているのがBREEEEZE GIRLというこれまた名曲(実際SEA BREEZECMソングでした)。

 

一秒で十分なんだ デスティニー感覚
ハッカの味の午後にすれ違う君に 黒い髪をなびかせて
釘付けのMy eyes 君はそう女の子の最高傑作
消せそうな気がしないんだ レモンスカッシュ感覚
きっとそう君のせいだよ 一生もののローファーをすり減らして 追いかけた初恋
これももう男の子の代表文学

これに加えて〈夏い〉、〈刹那ってる〉という若者らしい表現まで現れます。これぞ正に小出文学! こういった若い子が思わず「ん?」って意識を向けてしまうような言葉選び。加えて、女の子の初恋に駆け出してしまう様子をローファーをすり減らすだなんて、中高生の時に聴いてドキっとしてしまいました。この曲での彼の言葉選びは、中高生のワイシャツに学ランのズボンを履いている男の子が海沿いを自転車で勢い良く駆けていくシーンが想像できますよね。女性という存在を神聖視する歌詞、やもすれば聴いてるだけで恥ずかしくなってしまうようなロマンチックでキザな描写…… これを歌ってカッコが付く男になりたいと思って、歌もギターもめちゃくちゃ練習していた時期がありました、8年くらい前の夏。

歌詞に共感できる、それで感動を与えられるのって多感な中高生には特に大事な要素だと思います。自分の状況と照らし合わせてみて憧れのあの子を連想させたりしてみて勝手にドキドキする…。毎日ポータブルプレイヤーで曲を聴きながら中高に通っていたので色んな音楽に思い入れがあるのですが、今聴き直してみて淡い気持ちが蘇ってくるのは、カッコ良くて憧れた曲よりは、歌詞に共感できた曲の方が多いです。

ダウンタウンの浜田雅功さんがかつて小室哲哉プロデュースの下、H Jungle With t名義でリリースした名曲「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~」の歌詞で思えばLove song なんて歌ってみるとき必ず目当ての誰かがいた様なとありましたが、正にその通り。僕にとって青春時代に聴いていた曲を聴き直すとその歌詞になぞらえたあの子が思い返されます。Base Ball Bearの爽やかな歌詞に思い馳せて当時思っていたあの子、一体今は何をしているかな……。と聴く度に思い出されるのはあの子。それだけBase Ball Bearの歌詞が印象的で思い出に刻まれているんだなあ、と部屋でギターを弾いていて思った25歳の夏でした。

今年は平成最後の夏ですね。どうにか明るく、楽しい心持ちで送り出してやりたいものです。早く夏の予定を立てて謳歌する準備します…… もうちょっとギター弾いてから!

今週はここら辺で。また来週。よしなに。

※「【連載】なにが好きかわからない」は毎週木曜日更新予定です。
エビナコウヘイ(えびな・こうへい)
1993年生まれ、青森県出身。進学を機に上京し、現在は大学で外国語を専攻している。中国での留学などを経て、現在では株式会社WACKで学生インターンをしながら就職活動中。趣味は音楽関係ならなんでも。
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