2016年9月に行われたBiS合宿オーディションでのニコ生投票をはじめ、2018年に2回行われた投票制度〈BiS.LEAGUE〉でも1位を獲得し続けているBiSの怪獣担当、ゴ・ジーラ。活動当初は多くを語らず、ライヴのパフォーマンスで爆発していたが、BiS創始者のプー・ルイ卒業後、BiS1stのキャプテンを務めるなど、グループを引っ張っていくような存在へと大きく変化を遂げた。そんなゴ・ジーラの2018年を振り返り、今どんなことを考えているのか話を訊いた。
インタヴュー&文:西澤裕郎
写真:大橋祐希
普通に生きていたら1位とか別にどうでもいい
──2018年は、BiSにとって激動の1年でした。ゴ・ジーラさんにとってはどんな1年でしたか?
ゴ・ジーラ:立場が大きく変わる1年でした。両国国技館ワンマンまでは、プー(・ルイ)ちゃんと(GANG PARADEからレンタルトレードでBiSに来ていたカミヤ)サキちゃんに引っ張ってもらっていたので好き勝手やれるところがあったんですけど、その2人がいなくなって新メンバーが4人入ってきたことでヤバいと思うようになって。引っ張るとかは全然できないけど、やらなくちゃいけないと思って進んでいった1年でしたね。
──〈BiS.LEAGUE〉がはじまり、BiSの中で2つのグループに分けるという前代未聞の試みが行われました。やってみていかがでしたか。
ゴ・ジーラ:言い方はおかしいかもしれないんですけど、個人的には楽しかったです。私は戦闘モードの方が気持ちの入るタイプなので、1stと2ndに分かれることによって47都道府県ライヴを2マンライヴだと捉えるようになって。毎週、自分の中で戦闘モードみたいに思っていたので楽しかったです。
──ライバルというか負けないみたいな気持ちも持ちながらやれていたと。
ゴ・ジーラ:ずっと指摘されていたんですよ。メンバーに対しても、対バン相手に対しても、BiSは「負けたくない!」って気持ちが足りないって。それを学ばせてくれたのが〈BiS.LEAGUE〉で、すごくいい期間だったなって。
──それまでは相手に勝ちたいみたいな気持ちはなかったんですか? 外から見ているとゴ・ジーラさんは秘めた闘志を持っていると思いましたけど。
ゴ・ジーラ:オーディションとかだったら受かりたいから負けたくない、みたいな気持ちはあるんですけど、グループとして1つになったときに何が勝ちで負けなのかの基準を自分の中で作れていなくて。
──そういう意味で言うと、〈BiS.LEAGUE〉は投票で順位が付けられるシステムだったので、1位を目指すっていう気持ちはあったんでしょうか?
ゴ・ジーラ:普通に生きていたら1位とか別にどうでもいいんですよ。むしろ、できるだけ目立たないところにいたいのが本心なんです。だけど全員が1位を目指さないと〈BiS.LEAGUE〉という企画そのもの自体が潰れちゃうと思って。自分の考えをまるごと変えなきゃと思ったんです。いかにお客さんが〈BiS.LEAGUE〉を楽しんでくれるかっていう意味で1位になりたい。それで、1stになりたいっていう言葉を使って自分を奮い立たせていました。
──結果、ゴ・ジーラさんは2回の投票で両方とも1位を獲得しました。それに対しては、どういう気持ちだったんでしょう。
ゴ・ジーラ:応援してくれたお客さんに対して、すごくありがたいなという気持ちでした。泣いて喜んでくれるお客さんがいっぱいいたので、あーよかったなと思えました。ただBiSとしては、いろんな答えがあったと思うので、これで本当によかったのかと思うこともあります。
──ゴ・ジーラさん自身、素直に嬉しいという気持ちはなかった?
ゴ・ジーラ:嬉しいんですけど、割と複雑で。仲間内でやっていることだから、私が1位になったら他の子が落ちる。そこを考え出すと嬉しいとか言えなくて。正直あんまりよく分からない。でも、嬉しいです。
〈BiS.LEAGUE〉はいきなり終わるだろうなって
──12月29日にZepp Tokyoで行われた47都道府県ツアーのファイナル公演で、〈BiS.LEAGUE〉の廃止と、メンバー5人に戦力外通告がされました。それに対してはどんなことを思ったんでしょう?
ゴ・ジーラ:言われた瞬間は、戦力外通告の意味がわからなくて。普通、戦力外通告って、言われたらその場でクビじゃないですか? でも、戦力外通告ということだけ言って渡辺(淳之介/WACK代表)さんがステージを降りちゃったから、ただただ焦りしかなくて。パッと舞台袖を観たら、スタッフの人が「なにかしゃべって終われ」って繰り返していて。何を!? みたいな(笑)。焦りに焦った結果発表でしたね。
──お客さん含めて戸惑いが溢れていましたよね。
ゴ・ジーラ:私もいろんなことを予想していたんですけど、斜め上の発表が来ましたね。
──ゴ・ジーラさんはどんなことを予想していたんですか。
ゴ・ジーラ:1位以外どうなるか分からないって言われていたので、1位のメンバーが好きなメンバーを選んでBiSを作れってとか言われたら残酷だなと思っていて。結果それはなかったし、渡辺さんが悪役を買ってくださって。渡辺さんは優しい方だから、メンバーが悪いようになることはさせないようにしてくださっていると思うんです。渡辺さんの采配で決めるにしても、何か理由がないと腑に落ちないお客さんがいっぱいいるから何があるんだろうってずっと考えていて。そしたら戦力外通告だった。まったく想像してなかったです。
──〈BiS.LEAGUE〉の廃止に対しては、どういう気持ちでしたか?
ゴ・ジーラ:やっぱりか…… って感じました。そこに関して嬉しい悲しいとかは特にないんですけど、いきなり〈BiS.LEAGUE〉は始まったから、いきなり終わるだろうなって予測をしていて。
お客さんの心を動かすのがBiS
──年明けの1月1日に、ネル・ネールさんの脱退が発表されました。突然の事態でしたけど、どういう気持ちだったんでしょう。
ゴ・ジーラ:ネルに関しては、たぶん心を繋ぎとめている何かがぷちっと切れちゃったのかなと思っていて。その修復が上手くいかなかったから、いなくなっちゃったのかなって。でも仕方ないし、生きているからいいかなって思っています。
──メンバーにとっても突然の出来事で、10人でスタートを切るところが9人体制に変わったわけですよね。しかも1月3日にはライヴも控えていたわけで。
ゴ・ジーラ:〈BiS.LEAGUE〉を廃止します、これから10人体制ですって言われた時点で次のライヴまで5日しかなくて。なので、Zeppが終わった日に10人の歌割とフォーメーションを作り始めたんですよ。でも、翌日にネルがいなくなっちゃったから、9人体制のものをその日に作って練習して。お正月が本当になくて、いつ年越したっけ? みたいな気持ちです(笑)。
──1月3日の〈WACKなりの甲子園〉では、WACKの全グループが出演しました。それこそ2019年を占うようなイベントだったわけですが、実際やってみていかがでしたか。
ゴ・ジーラ:私は、メンバーと過ごす時間もそうだし、戦闘態勢に入るには準備期間がかなり重要だと思っていて。だから、なんでこんな準備できないの? と悔しい気持ちもあったんですけど、それは自分の実力不足なので、何かを変えれば何か変わるかもしれないし、もっと学ばなきゃなと思いました。
──もともとプー・ルイさん=BiSみたいなところがあったと思うんですけど、今のBiSにとってのBiSらしさってどういうところにあると思いますか?
ゴ・ジーラ:BiSらしさって何なんだろうってずっと思っていたんです。全裸PVを撮ったり、アナーキーなことをやり続けたりしてきたのも、根底には曲を聴いて欲しいって考えがあるわけで。BiSの曲は本当にかっこいいし、詞もいい。私はその曲を聴いてもらうためにメンバーがいると思っていて。事件や話題を作ってくださるのは運営の方だったりするんですけど、その話題に対して一生懸命取り組んだり、自分たちで考えたりしてBiSの曲を聴いてもらってお客さんの心を動かすっていうのがBiSだなって。
もっと相手のことを理解していかなきゃいけない
──新曲の「Are you ready?」は11分24秒あって、何度も展開が変わっていく取っ掛かりが多い曲です。最初聴いた時は率直にどう思ったんでしょう?
ゴ・ジーラ:この曲全然終わらないなあ、どうしようと思いました(笑)。1回目を聴いた時は、いつ終わるのかも、どのパートに戻ってきているのかも分からなくてびっくりしました。
──WACKにとっても前代未聞で実験的な曲ですよね。
ゴ・ジーラ:10分超えの曲をやるバンドはいるじゃないですか? でもアイドルではあまり聴いたことないから、嬉しいなって思います。
──〈BiS.LEAGUE〉を経たことでメンバーの結びつきも強くなったんじゃないですか?
ゴ・ジーラ:〈BiS.LEAGUE〉があったから他のメンバーに対しての気持ちが変わったとかは特になくて。私は接触する時間が信頼に大きく結びついていると思っている。ムロ、YUiNA、ミューの3人は、今年の1月まで1回も一緒にライヴしたことがなくて、練習もバラバラだったので、ここからどんどん信頼を作っていかなきゃいけないなって。いまは接触時間も増えたから、もっと相手のことを理解していかなきゃいけないなと思っているところです。
感情がないから自分が怖いんですよ(笑)
──3月末にはWACK合宿オーディションがあります。BiSの戦力外通告のメンバーたちも行くわけで、どのような結末が待っているかはまったくわからない状況です。どんな気持ちでこれから臨んでいきますか。
ゴ・ジーラ:やるしかないです。仮に新しい子が入ってきても、メンバーの気持ちが全部BiSに向いていたら大丈夫だと思うんです。BiSに向かう気持ちをもっと考えて行動にできるようしなくちゃいけない。その中で新しく入ってくる子たちにしろ、今年から関わり始めた子にしろ、信頼関係を作って成長しなきゃいけないなって。私は人の気持ちが分からないし、そこらへんが苦手で。感情がないから自分が怖いんですよ(笑)。
──BiSというグループをどういう存在にしていきたいと思いますか?
ゴ・ジーラ:観てくれた人に希望を与えたいし、BiSがいるから頑張れますと思ってくれる人を増やしたい。お客さんの逃げ道になったらいいなと思っています。BiSの曲を聴いて毎日頑張ろうって思えたり、希望を持って生きれたらいいなって。生きてくれたらそれでいいなって、ずっと思っています。
──BiSの曲を聴いて励みになったり、気分が変わるって人もいっぱいいると思いますよ。
ゴ・ジーラ:実際、自分がそうだったので。日常が本当に嫌すぎたんですけど、音楽を聴いて「あーもうちょっと頑張らなきゃな」って思えた。ライヴに行くために仕事をやろうと思っていたんです。BiSに対して、そう思ってくれている人もいると思うので、そういう人を増やしていきたい。そしたら人生が楽しくなりますから。
──みんなストレス抱えていますからね。
ゴ・ジーラ:そうですよ、ストレス社会ですから(笑)。それをBiSが少しでも解消させられたらいいなと思います。
>>ニコ生中継「BiSなりの69フェス。~Are you ready to 69H?~」最終日完全生中継 布団監視も?
BiS PROFILE
2010年に結成し、2014年に解散、2016年9月に再始動したWACK所属グループの原点的アイドル・グループ。全裸PVや水着ライヴなど過激なプロモーションが話題となり、インディ・ロックの要素を取り入れた楽曲や非常階段とのコラボなどが評価を得た。2018年3月、「Jリーグ方式」を取り入れBiS 1stと2ndに分裂したが、12月にZepp Tokyoで行われた47都道府県ツアーのファイナルにて1つに統合。現在のメンバーは、ゴ・ジーラ、アヤ・エイトプリンス、キカ・フロント・フロンタール、ペリ・ウブ、パン・ルナリーフィ、ミュークラブ、YUiNA EMPiRE、ムロパナコ、トリアエズ・ハナの9名。
■リリース情報
BiS 『Are you ready?』
2019年3月20日(水)発売
・完全生産限定盤(豪華BOX仕様)
CD+Blu-ray+PHOTOBOOK (100P)+T-Shirts
CRZP-39 / ¥10,000+税(税込¥10,800)
・初回生産限定盤(スリーブケース仕様)
CD+DVD
・CRCP-10423 / ¥3,000+税(税込¥3,240)
・CRCP-10424 / ¥1,000+税(税込¥1,080)
2019年4月6日(土)沖縄・output OPEN 16:00 / START 17:00
2019年4月14日(日)福岡・DRUM Be-1 OPEN 16:00 / START 17:00
2019年4月21日(日)埼玉・HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3 OPEN 16:00 / START 17:00
2019年4月27日(土)神奈川・F.A.D YOKOHAMA OPEN 13:00 / START 14:00
2019年4月28日(日)香川・高松MONSTER OPEN 16:00 / START 17:00
2019年4月29日(月・祝)広島・SECOND CRUTCH OPEN 16:00 / START 17:00
2019年5月1日(水・祝)愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO OPEN 14:00 / START 15:00
2019年5月2日(木・祝)宮城・SENDAI CLUB JUNKBOX OPEN 16:00 / START 17:00
2019年5月4日(土)大阪・UMEDA CLUB QUATTRO OPEN 14:00 / START 15:00
2019年5月6日(月・祝)北海道・BESSIE HALL OPEN 16:00 / START 17:00
2019年5月11日(土)東京・マイナビBLITZ赤坂 OPEN 17:00 / START 18:00
BiSオフィシャルHP:https://www.brand
受付URL:http://w.pia.jp/t/bis/