日本人ソロ女性アーティストxiangyu(読み方:しゃんゆー)が、初のEP『はじめての○○図鑑』を孔雀倶楽部から5月22日にリリースした。南アフリカ発祥の暗黒ハウスミュージックGqomにナンセンスな歌詞を載せた楽曲など、音楽愛とユーモアにあふれた全7曲入り。そうした音楽が生まれた背景には、水曜日のカンパネラを手がけるタッグーーサウンド・プロデューサーのケンモチヒデフミとマネージャーのDir.Fこと福永泰朋ーーがいることは大きいが、水カンとは似て非なるアーティストになっていくことは間違いないだろう。
StoryWriterでは、xiangyuがデジタルシングルをリリースするたびに行われる謎の配信インタビューに密着し続けてきた。いままでは配信されっぱなしでアーカイブ化されてこなかったが、4月26日に配信された「ヒューマンエボリューション」を経て4月28日に行われた公園でのインタビュー生配信を今回初めてテキスト化。渋谷の公園にもかかわらず、子どもたちが魚や虫を撮り続けて話しかけてくるというアットホームな中で行われたインタビューの様子をお届けする。
インタヴュー&文:西澤裕郎
構成:横澤魁人
子どもたちが走り回る公園でインスタ公開生中継
xiangyu:今日はinstagramで生配信をしています。とある公園に来ていまして、さっきまで子どもたちと遊んでいて、子どもたちが採った生き物を見せてもらったりしていて。
なんで公園にいるかというと、数日前(4月26日)に新曲「HUMAN EVOLUTION」がデジタル・リリースになったのを記念して、久しぶりに生配信をやろうかなという感じです(笑)。
(配信用のカメラの前を、子どもたちが走って横切る)
xiangyu:元気なちびっこ、8歳のお友だち(笑)。
──元気に走り回ってますね(笑)。そんな中でインタビューを始めたいと思うんですけど、先日、新曲「HUMAN EVOLUTION」のMVも公開されましたね。
xiangyu:そうですね。MVが公開されたので……
(子どもたちが、カメラの前に笑顔でピースサインのアピールをする)
xiangyu:ちょっとごめんね(笑)。
──今ね、お姉ちゃんが配信しているんですよ(笑)。
xiangyu:そうだよ! 配信してるの! 何ニヤニヤしてるの、かわいい(笑)。
──毎回リリースの度に生配信をしていますが、今までどんな場所で配信したのかを振り返ってもらえますか?
xiangyu:初めてのデジタル・リリース「プーパッポンカリー」のときは9時間歩いて、Spotifyさんとかいろいろなところへ訪ねたりしてインタヴューをしてもらうという企画でした。
2回目の「31」のデジタル・リリースの時は、そのときめちゃめちゃ卓球にハマっていたので卓球をやりましたね。そしたらまさかのスタッフの人たちの方が全然強くて、私はボロ負けだった。
3回目は何の曲でしたっけ? あ、「菌根菌」だ! 「菌根菌」のときは…… 凧揚げって「菌根菌」でしたっけ?
──「菌根菌」ですね。
xiangyu:凧揚げをやって、あまり上がらず(笑)。4回目は「風呂に入らず寝ちまった」で、私のおすすめの山に登って。今回はEPを出すという事で、久々にちゃんとしたインタヴューをやろうかなと思っています。
嬉しいのとドキドキのハーフ・アンド・ハーフ
──初めてEPのリリースとなりますが、タイトルは何でしょうか。
xiangyu:初めてのEPのタイトルは『はじめての〇〇図鑑』です! やったー! 5月22日に出まーす!
──ついに発売になりますね。
xiangyu:ついに。すごくドキドキですね。
──デジタル・リリースとはまた気持ちが違いますか?
xiangyu:かなり違いますね。嬉しいのと、ドキドキのハーフ・アンド・ハーフって感じで。緊張もします。単純に自分たちのチームで作った作品がお店に並ぶわけじゃないですか。デジタルで曲を出す時も、もちろん緊張はしているんですけど、まとまった7曲とかパーンって出るので、緊張が倍増している感じではありますね(笑)。
──今までデジタル・リリースした曲が全て入っていますね。
xiangyu:今までのデジタルの曲は全部入っていますね。あとはEPを出すときに初めて公開になる曲も2曲入ってます。
──今までライヴに来ていた人からすると、ついにxiangyuさんの1枚ができたという喜びがあると思います。
xiangyu:やっぱりライヴで聴くのと、音源で聴くのはかなり違うと思うので。ライヴにいつも来ていただいている方もあらためて別の聴こえ方がするかな。別の楽しみ方ができたかなとは思っています。
──逆に最初に音源からxiangyuさんを知った人は、ライヴに来てかなり印象が変わると思います。
xiangyu:たしかにたしかに! かなり違いますよね。いい意味で違うと良いんですけど(笑)。
(子どもたちが捕まえたウシガエルを見せてくる)
子ども:ウシガエルいたよ!
xiangyu:ウシガエルいた? かわいいね、ウシガエル。
──本当にのどかな公園ですね。
福永(マネージャー):今回のアー写はなんで証明写真なのですかって、instagramの配信を見てくれている人から質問が来ています。
xiangyu:今回のEPが『はじめての〇〇図鑑』ということで、図鑑をテーマにEPを作っているんですけど。xiangyuという人を1つの生き物として捉えて作っていて。なので1番生き物っぽく撮れる写真って何かなと考えた時に、証明写真が相性いいかなと思って。なので証明写真をそのままカメラのキタムラさんで撮って、採用しました(笑)。
──生き物をテーマにしようと思ったのは、何かきっかけがあったんですか?
xiangyu:「菌根菌」を作った時に、きのこ狩りに行って、それが興味の入口でした。そこからどんどん生き物にハマって、生き物を知ることにハマっていったんですけど、どんどん生態とかが……。
(子どもたちがxiangyuの横に座り、池で捕まえた生き物を水槽に入れて見せてくる)
xiangyu:ね(笑)! かわいいんだよ、この子(笑)。そういう所からすごく興味が出てきて、今かなり生き物に関連した曲が作りたくなっていっているんですけど。見せてくれるの? ありがとう!
──まさに生き物がこの水槽の中にいますね。
xiangyu:ここにちっちゃい亀がいるんだよね。これさ、ヤゴ? これ何の海藻だろうね。
子ども:うん!
xiangyu:会話になってないけど(笑)。かわいいね、人懐っこい(笑)。さっき急に話しかけたばっかりのに。
──自分も、生き物の中の1人だと。
xiangyu:一部だからなと思っていて。そういうこととか日々考えていることを曲にしてみたという感じですね。
──タイトルの『〇〇図鑑』というのもそこに関連しているんですね。
xiangyu:もともと図鑑がすごく好きなので。こういう公園とかで、この花と、近くに生えた似たような種類の花とで、形とか見た目が似てて、雌しべとか雄しべとか形状似ているけど、仲間かなあみたいなのを図鑑で見たり。
(子どもがxiangyuに花を渡す)
子ども:あげる。
xiangyu:くれるの? ありがとう。何の話してたか忘れちゃった(笑)。
──タイトルの話ですね。
xiangyu:小さいときから、何か気付いた時にいつも図鑑を見て調べていて。それで図鑑が身近にあったんです。今回初めてのEPを作るってなった時に、xiangyuという生き物について誰も何も知らないと思うし、どこにも全然情報が出ていないから、それを解説して、今のxiangyuという生き物をより多くの人に知ってもらいたいなという風に思ったので、図鑑に関連づけて作ろうかなと決めました。
──収録されている7曲は、xiangyuさんがどういう人かを表しているような曲になっていると。
xiangyu:やっぱり私も生き物なので。たくさんの細胞からできている生き物なだけで、明日とか明後日とか数カ月後にはまた新たな中身に変わっていくと思うんです。半年後のxiangyuもどうなっているか分からないですけど、現段階での私がすごく興味のあるものとか自分のこととかを、EPでかいつまんで解説しているという感じですね。
──同年代の女の子も「風呂に入らず寝ちまった」に反応していました。自分のこと言われているのかと思ったって(笑)。
xiangyu:やったー! うれしい(笑)。かなり実体験で私の日常生活の歌ですね。
子ども:いえーい!
xiangyu:元気だね(笑)。今日何時に起きたの?
子ども:4時半くらい。
xiangyu:4時半に起きたの(笑)!? 眠くなるよ、ほんとに(笑)。というね、楽しいお客さんが来てね(笑)。お姉ちゃんになった気分ですけど。だって年10何個違うのよ。16くらい違いますね。
子ども:10歳!
xiangyu:私今ね、25歳だよ(笑)。
子ども:……。
xiangyu:黙っちゃった(笑)。
子ども:だから何?
xiangyu:だから何って感じだよね(笑)。
──彼らを見ていると、「風呂に入らず寝ちまった」っていうのはちょっと罪悪感がありますね(笑)。
xiangyu:たしかに(笑)。何かのコメントで「いや、まず風呂入れよ」って書いてあって、たしかにー! と思って(笑)。ほんとそれなって思ったんですけど。でも私の日常のゴミ捨てなきゃとか風呂入らなきゃというのは完全に私の日常の歌ですね。
──「風呂に入らず寝ちまった」で、2018年3月10日という日付がでてきますが、あれは何の日付ですか?
xiangyu:あれはその日に作っていて、それについて実はEPの中でちょっと解説しているんですよ。だから詳しくはEPを聴いていただけると、結構分かると思います。
福永:instagramの配信を見ている人から、早く異常気象の曲出してとコメントが来ました。
xiangyu:それ結構言われるんだよな。異常気象の曲が出るかどうかは神のみぞ知るという感じですね。私の方からはなんとも言えないんですけど、現段階では、異常気象の曲はライヴでしか聴けないので、みなさんぜひライヴに来て、聴いていただきたいなと思いますね。
やっぱりやるからには腹をくくってやるべきかなと
──基本的なところを振り返っておきますと、xiangyuさんはどういう経緯でこの活動をスタートさせたんでしょう。
xiangyu:私は音楽歴が去年の9月からなので、まだ1年も経っていなくて。もともとアパレルの仕事と服飾の仕事をしていて。6年ぐらい前に、デザインフェスタに私が自分の作った作品を出展しているときに、今のマネージャーさんから声をかけていだいて。そこから6年間は何もなかったんですけど、去年の9月から音楽やってみようかなという気持ちになり、今活動を開始したという感じです。xiangyuという名前の由来は私の本名が「あゆみ」なんですけど、名字が川系の名字で。川っぽいなと思って。魚の鮎は中国語で言うと、香魚って書いてシャンユーって読むんですね。それですごくピッタリだなと思って。xから始まるアーティストさんもあまりいらっしゃらないし、いいかなと思ったので、こういう名前で活動しています。というわけなんですよ!
──その6年の中で、マネージャーさんからずっと口説かれていたわけじゃないですか。本格的にやろうと思った決め手みたいなのは何だったんですか?
xiangyu:そもそも私は音楽やってきていなくて。服の専門学校で洋服を作って作品を展示していたところに「音楽をやらないか?」って声をかけてくださったんですけど、すごく嘘っぽいじゃないですか。怪しいおじさんに急に音楽をやらないかって言われても、信用できないなと思って。でも、定期的に「今どうしてるの?」と連絡をくれて。「なんか一緒におもしろいことやりたいね」とは言っていたんですけど、その一緒にやるおもしろいことが音楽で着地するとは私も思っていなくて。というのも、そもそも歌うことにコンプレックスがあったので。でも結構気にかけてくださっていたので、いいおじさんだなという風に思ってきてはいました。
専門学校を卒業した後に、1度新卒で就職して、衣装のアシスタントの仕事もしていた時があって。仕事をしている時にいつもラジオを聴いているんですけど、阿川佐和子さんが「自分もまだ気づいていない他の才能も自分にあるかもしれない」ということを仰っていて。そのとき私24歳だったんですけど、自分の今後のことを考えたときに新しいことをやりたいなとか、もしかしたら自分自身も気づいていないけど自分にもやれることがあるかなと思ったときに、今のマネージャーさんのことを思い出して。24歳のときにちょうど年女だったので、やり始めるにはいいタイミングかなと思って、そんな理由で新しいことをやり始めたという感じです。
──トラックメーカーはケンモチヒデフミさんだと発表されましたね。制作陣とマネージャーが所謂水曜日のカンパネラチームですが、その中で一緒にやるということをどのように捉えていますか?
xiangyu:うーん……。特に重たくは考えていないというか、何も思っていないというとそれは嘘になりますけど。いろいろ言われているほどは深刻には考えていなくて。私は私でしかないし、水曜日のカンパネラさんは水曜日のカンパネラさんでしかないので。どう頑張っても同じものは作れないので、すごく尊敬しているアーティストさんの1人ではありますけど、そんなに意識をしないようにはしています。
──水曜日のカンパネラのコムアイさんとは会いましたか?
xiangyu:1度だけお会いしましたけど、生まれた場所も育ってきた環境も信じているものも好きな食べ物も何もかも違うので、どう頑張っても同じような人にはなれないじゃないですか。それはコムアイさんだけではなくて、私が聴いているいろいろなアーティストさんも自分がどれだけ真似しようと思っても、動きとか歌い方は真似できたとしても、そもそも人間が違うのでにじみ出る深みみたいなものはどう頑張っても一緒にはならない。それでいいかなという感じです。
──マネージャーさんに誘われ続けた6年間の先に、やろうって始めたということで、アーティスト活動に対する覚悟を感じますよね。
xiangyu:歳も歳ですしね。新しいことを始めるのに年齢は関係ないなと思いつつ。自分のいろいろに対して責任を持たなくてはいけない歳なので、生半可なというか、中途半端な気持ちで何かをやるのは私はあまり好きではないし。やっぱりやるからには腹をくくってやるべきかなと思っています。
──初ライヴはすごく緊張していましたね。
xiangyu:めちゃめちゃ緊張しました。緊張しすぎてマイク持っただけで、ヴォイトレの先生に褒められました(笑)。「マイク持てた! えらいー」って。泣いてましたね(笑)。
──最近のライヴでは自信がついてくるようになりましたか?
xiangyu:相変わらずまだかなり緊張はします。ライヴが終わった後、前はマネージャーさんの前とかでガン泣きしていましたけど、最近は泣くと動画を録られるので、それが嫌で家に帰って泣いています(笑)。
──結局泣いてしまうんですね(笑)。
xiangyu:でも前よりももっとライヴが楽しくなりました。お客さんとコミュニケーションがとれている気がして、わーすごい楽しい!! って感じになります。お客さんの顔が見えて、楽しそうにしているところとか。この人、今楽しんでくれているんだなというのを感じると、自分の歌っている曲とかを通して会話できている気がして。そういう時にすごくいいなって思いますね。いつもみなさん協力していただいて、ほんとに感謝感謝です。ありがたいです。
あまり意味のないことをひたすらやっていました
──活動を始めるにあたって、どんな方向性にしていこうかとかは決めていたんでしょうか。
福永:あー決めてたかも。資料作ったもんね。
xiangyu:あーそうだ! 作ってもらったわ。こういうアーティスト像みたいな(笑)。
福永:何組かの海外のエスニック系なアーティストを何組か置いていましたね。
──ちなみに本名ではなく、xiangyuさんとして、普段の自分とはまた違う人格でやっているという感覚はありますか?
xiangyu:いや、いいのか悪いのか分からないけどずっとこのまま変わってないかもです。
──普段もですか?
xiangyu:うん。でもxiangyuで居るときの方がテンション高めではあるかもですね。だけど人格が全然違うところにいっている感じはなくて。普段はね、街中で会ったら「よ!」って言ってくれていいんですけど、テンションがもうちょっと低いかもです(笑)。「あ、おはようございまーす」みたいな(笑)。友だちといるときもこんな感じですね。
──今、instagramで「自身で考える1番の魅力はなんですか」と質問が来ました。
xiangyu:誰とでもすぐ仲良くなれるところですかね。
──人見知りしないタイプ?
xiangyu:人見知りはあったんですけど、音楽の活動を始めてからすごく薄まりました。音楽を始めてから、前よりもものをポジティブに考えられるようになったので。さっきのちびっこたちもそうですけど、年齢とか性別とか何も関係なく、そのへんにいるみんなとすぐ仲良くなれる方なので、そこが1番いいところじゃないですかね。
──素晴らしいですね。家で1人でいるときは、思い悩んで暗くなっちゃうときとかありますか?
xiangyu:ありますあります。でも最近そうなったら、ベランダにハンモックを張っているので、乗ってアイスを食べて好きな音楽を聴いていれば、すぐに元気になります(笑)。ハンモックおすすめですよ。本当に(笑)。思い悩むことあります?
──ありますよ。考えると、どんどん不安になっていきます。
xiangyu:ありますよね。そういうとき。でもある方が自然かもですけどね。そうなったら、どういう風に発散をするかを知っておけば、いいかなとは思っていますね。不安になったり、思い悩んだりすることがダメだと思わないし、そういう時間も大事だとは思っているので。それはそれで「あ、来たな」と思って、ハンモック乗るかみたいな感じで楽しむようにはしています。
──xiangyuさんの歌詞にはかなり簡潔に言うと、ナンセンスな歌詞が結構ありますけれど、それには理由があるんですか?
xiangyu:もともとすごくしょうもないんですよ、中身が(笑)。考えていることがすごくしょうもなくて。あまり物事を深く考えていないんですよね。
──でも、結構本を読みますよね。
xiangyu:本を読んだりとかはしていますけど、でも別にそれをすごく重たい方向に考えることはそんなになくて。もともと根がしょうもないので、そういうくらいのところでしか物事を考えられていないので、そういう歌詞になっているのかなとは思います。
──方針があるというよりは、普通に書くとああいう歌詞になると。
xiangyu:そうですね。今回もしょうもないのでいくか! みたいなのはあまりなくて。自分がそういうちょっとバカだなって思うことの方が、自分の中にはすっと入ってくるというか。そのまま発信しているというか、世に出しているというところはあります。音楽に限らず、10代ぐらいのときから、こういうテンションでいろいろ作ったりとかしていますけどね。
──それこそ服とかもですか?
xiangyu:そうですね。真面目にかっこいいものとかは作れないと思います(笑)。自分でもあらためて見るとよく分からないんですけど、ブルーシートで作った服を着て、ブルーシートを買いに行くだけの一連の流れを撮ったやつとか。そのときはホームセンターにハマっていたので、軍手で作った服を着て、軍手を買いに行くだけとか。そういうあまり意味のないことをずっとひたすらやっていましたね。
「1人でも誰とでもいれる」というスローガンはちょーすごい
──再びinstagramの質問にいきますね。憧れや目標とするアーティストはいますか?
xiangyu:人物像というか、音楽関係ないところで言うと、西加奈子さんみたいな方が私はすごく好きです。西加奈子さんの本ってすごくメッセージ性が強いんだけど、あの人のキャラクターで書いているから、書き口調も切り口もポップで。そんなに本を読まない人でもすっと受け入れられるところがあって、でも自分の言いたいことは言えているみたいなのがすごくかっこいいなと思って。私もそういう風に物事を発信できるようになりたいなと思ってます。普段ライブパフォーマンスとか歌い方とか立ち振舞いとかをよく動画で観ているのはMØとかビリー・アイリッシュとか、M.I.A.とかもそうかな。そのへんの海外の女性アーティストのライヴのステージ上での立ち振舞いとかは動画で観ています。
──ビリー・アイリッシュは10代で世界中のアイコンになっているわけじゃないですか。何か共感する部分とかはありますか?
xiangyu:あの人もキャラクターを作っている感じがしないじゃないですか。ナチュラルですごく自然体な感じ。でも普段はすごくおちゃらけていて、すごくかわいらしくて。ステージ上になるとあれだけかっこよくてというのがキャラクターとして私はすごく好きなので、いいなと思って。あんなの好きになっちゃいますよね。
──ビリー・アイリッシュはダーク・ポップという言われ方もしていて、生きづらさみたいなものを身の回りのツールを使って音楽で表現しようとしている面もあるじゃないですか。今の若者はどこか閉塞感みたいなものも感じているのかなと思ったのですが、xiangyuさんは今の時代に対して閉塞感のようなものは感じますか。
xiangyu:私も小学校、中学校、高校、専門学校とわりとずーっと自分がどこにもはまらない感じがして。それを、悩み悩み続けた青春時代を送っていて。自分で表現するということをやりたいなと思ったのも、そういうことがあったからなんですよ。小学校とか中学校とかで1番嫌いだったのが、移動教室とかで「じゃあ仲良し同士でチーム組んでください」みたいな。特別ひどいいじめを受けていたわけでもなんでもないんだけど、特定の誰か仲良しがいるみたいな青春時代を送っていなくて、すごくきつかったんですね。私は1人でも大丈夫だしみたいな、1匹狼面をしていたけど、実際のところはすごくさみしい思いをしていたりして。でもこれを誰にも言えない謎のプライドで自分のことをガチガチに固めていた。高校生のとき、ごくごくたまに放課後カラオケ行こうみたいなのがあったけど、私はあまり音楽を聴いてなかったし、まず人前で歌うことにコンプレックスがあるから、その誘いにのれないんですよね。そういうコミュニティの中で本当の自分らしくいられないとか、仲良い人ができないとかでちょー悩んでいたんです。
音楽を始めてから、これはケンモチさんに言われたんですけど、「街の小学校とかってあんなの同じ歳に生まれた、そのエリアに住んでいる人たちがバッて集められて、1組とか2組とかに分けられただけで。あんなの普通に電車と変わらないじゃん」って。「同じ時間帯の同じ車両でたまたま居合わせた子の中から、仲良しの人を見つけるのってむずくない」ってことを言われて、すごいそれだ!! って思って、私は結構救われました。それから、今までの自分の人生の中の小学校、中学校、高校、専門学校、会社とか仲良くなった人と今でも数人連絡が続いていて。それだけで全然奇跡じゃない!? という風に思うようになりました。
──音楽を始めてから生きづらさみたいなものが解消されてきたと。
xiangyu:ちょっと解消されましたね。自分が悩んでいたことはそんなにそこまで大きなものでもなかったなとか結構思うようにはなりました。
──そんなxiangyuさんが作品を作って活動をすることによって、受け取る人にどんなことを感じてほしいと思いますか?
xiangyu:私はまだ、普段考えていることとかを直接歌詞には書いていないので、いずれそういう曲もできたらなとは思っています。今思えば、昔中学校のときとかに「1人でもいれるし、誰とでもいれる」という学校のスローガンみたいなのがあって。そのときは、そのスローガンに対してなんとも思っていなかったんですけど、今思えば「1人でも誰とでもいれる」というスローガンはちょーすごいなって思って。今の時代、こうやってみんなと一緒に同じ時間を共有するのもいいけれど、今日はちょっと1人でお弁当食べたいなとか、1人で出かけたいなとかを大事にするべきだと思う。私は学生のときにそういうことでめちゃめちゃ悩んでしまったので。どんな生き方をしてもいいんだよ、というのを発信したいなとは思いますね。本当にまじでめっちゃ泣いていたので、昔(笑)。私の弟も同じく人付き合いで悩んでいるので。10代ってそういうのあるよなってすごく思ったりして。弟にも言ってあげたいし、自分より若い子たちも言いたいなって思いますね。なんか急に真面目な話をするとちょっと笑っちゃいますね(笑)。あまりそういうことを言ってこなかったので、しかも外で。
──xiangyuさんは、4月20日のクリトリック・リスの野音でのライヴに来ていましたね。
xiangyu:そうそう。すごく思い悩んでいることがあっても、スギムさんのライヴを観たら、なんか頑張ろうって思うようになると思うんです。明日も頑張れるわみたいな。自分が表現したものを観た人がそういう気持ちになるってちょーすごいじゃないですか。自分もそういう存在になれたらなとは思いますけどね。すごいっす。スギムさん。
──このリリースを機に、この先決まっているイベンドやライヴなどで何か発表できるものはありますか?
xiangyu:あ、インストアがあったりとか。今年は初めての県外遠征がありまして。7月20日は加賀に石川県の温泉フェスがあって、8月10日にスギムさんも出る沖縄のサーキットイベントに参加をさせていただきます。夏の沖縄ですよ! 最高でしかないですよね(笑)。今年はいろいろと目白押しです。より一層頑張りたいなと思っています。
──この活動を通して、やりたいこととか成し遂げたい野望はありますか?
xiangyu:いい作品をいっぱい作りたいですね。今はそれが1番です。今年は特に歌詞に力を入れているので、それをすごく頑張りたい! 沖縄とか加賀とか行きますけど、いずれはもっと沢山いろいろなところに呼んでいただけるようになりたいなと思っております。
xiangyu
2018年9月からライブ活動開始。 日本の女性ソロアーティスト。
読み方はシャンユー。 名前はVocalの本名が由来となっている。
10月26日に初のデジタルシングル「プーパッポンカリー」をリリース。Gqom(ゴム)をベースにした楽曲でミステリアスなミュージックビデオも公開中。5月22日に初のEP『はじめての○○図鑑』をリリース。
■EP情報
xiangyu『はじめての○○図鑑』
発売日:2019年5月22日(水)
価格:2,200円+税
品番:KJKC-0002
収録曲:
1. Go Mistake
2. プーパッポンカリー
3. 菌根菌
4. 31
5. 風呂に入らず寝ちまった
6. ヒューマンエボリューション
7. 餃子
Apple/iTunes
https://itunes.apple.com/jp/album/1459596753
Spotify
http://open.spotify.com/album/5z7fwv3NL6LLIIeuKXzOwA
LINE MUSIC
https://music.line.me/launch?target=album&item=mb00000000018a216c&cc=JP&v=1
レコチョク
http://recochoku.jp/album/A1011867016/
■イベント情報
2019年5月24日(金)20時〜 ヴィレッジヴァンガード渋谷本店
2019年6月1日(土)18時〜 タワーレコード名古屋近鉄パッセ店
2019年6月14日(金)20時〜 タワーレコード横浜ビブレ店
2019年7月19日(金)21時〜 タワーレコード新宿店
内容:ミニライブ+サイン会
特典対象商品は、対象店でご購入のEPになります。
詳細は各店舗オフィシャルサイトをご確認ください。
■xiangyu・初主催イベント
香魚荘827(読み方:シャンユーソウ827)
2019年8月27日(火)渋谷O-nest
開場:18:30 / 開演:19:00
料金:前売 2,500円 / 当日 3,000円 +1ドリンク
出演:xiangyu(主催 / 音楽ユニット)
テニスコート(コントユニット)
半澤慶樹(PERMINUTE)
チケット
(1)オフィシャル先行:5/24(金) 18:00 〜6/9(日)23:59
URL : http://w.pia.jp/t/xiangyu/
(2)一般発売:6/29(土)10:00〜各種プレイガイド
お問合せ:03-5712-5227(エイティーフィールド)