中国の名匠映画監督、賈樟柯(ジャ・ジャンクー)最新作の『帰れない二人』が9月6日より公開される。
中国で唯一、映画関係の人材を養成するエリート大学・北京電影学院文学系に入学。卒業制作として、初長編映画『一瞬の夢』を監督、ベルリン国際映画祭最優秀新人監督賞を受賞したジャ・ジャンクー監督。最新作『帰れない二人』は、大きな変化を迎えた21世紀中国を背景に、総移動距離7700kmを移ろいゆく景色や街、それでも変わらない想いを抱えた、一組の男女の17年に渡る姿を映し出す作品となっている。
ジャ・ジャンクー監督の出身地である山西省を舞台に、社会の変化に適応できない人々が、それでも日々懸命に生きる姿を映し取る作風が人気のジャ・ジャンクー監督。『帰れない二人』は、北京五輪開催が決定した01年から始まる。三峡ダム完成間近の06年、08年の北京五輪、10年の上海万国博覧会、そしてやってくる2018年――。日々変わりゆく中国社会のなかで、時代の波に飲み込まれ、取り残されてゆく二人を見つめる。
アメリカに並ぶ世界の映画市場となった中国では、映画作品政府の厳しい検閲の中で認可が下りる映画を製作するか、国内での上映は諦めて国外に向けて映画を製作するかの選択に迫られている。その中で、社会を鋭く切り取りながらも、高いレベルでエンタメ性を両立させた傑作を生みだし続け、新たな道を切り拓くのがジャ・ジャンクー監督の最新作に期待が高まる。(エビナコウヘイ)
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■映画情報
『帰れない二人』(原題:江湖儿女)
公開日:2019年9月6日(金)
Bunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
監督・脚本:ジャ・ジャンクー(『罪の手ざわり』『山河ノスタルジア』)
撮影:エリック・ゴーティエ
音楽:リン・チャン
出演:チャオ・タオ、リャオ・ファン、ディアオ・イーナン、フォン・シャオガン
2018 年/135分
第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品
第54回シカゴ国際映画祭 監督賞/女優賞
第12回アジア太平洋スクリーン・アワード 女優賞 第25回ミンスク国際映画祭 監督賞/女優賞 第19回ダブリン国際映画祭 審査員特別賞
第13回アジア・フィルム・アワード 最優秀脚本賞 第39回マナキ兄弟国際撮影監督映画祭 シルバーカメラ賞 第41回デンバー映画祭 特別賞
第10回華語十佳頒奨典禮 監督賞/主演女優賞/主演男優賞/トップテン映画 第27回上海映画批評家協会賞 優秀賞