1997年に多くの自殺者まで出した韓国の通貨危機の裏側を赤裸々に暴き、政府を痛烈に批判する映画『国家が破産する日』が、11月8日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開となる。
監督に『パーフェクト・ボウル 運命を賭けたピン』のチェ・グクヒを迎え、政府の対策チームの中で国民の側に立って孤軍奮闘する韓国銀行の通貨政策チーム長ハン・シヒョン役にはキム・ヘス。経済危機をキャッチし、人生を賭ける青年ユン・ジョンハク役には『バーニング 劇場版』のユ・アイン。また、工場と家族を守ろうとするガプス役に『シルミド』のホ・ジュノ、シヒョンと対立する財政局次官役に『1987、ある闘いの真実』のチョ・ウジン。そしてIMF専務理事役にはフランスの俳優で韓国映画初出演のヴァンサン・カッセルを起用している。(横澤魁人)
コメント:
森永卓郎(経済アナリスト)
この物語は日本人にとっても他人事ではない。韓国ほどではないにしても、小泉構造改革によって、同じような変化が日本経済にももたらされたからだ。人間性を否定し、金を奪うことしか眼中にない金融資本主義の悪辣さを、迫真の映像のなかから、ぜひ学び取ってほしい。本作は、経済を扱った映画のなかで、最高傑作と呼んでも過言ではない。
真山仁(小説家)
危機を隠す愚か者が、権力者である悲劇だが、それは対岸の火事ではない。いつでも、どこでも起きる!
深町秋生(ミステリ作家)
悔しい。妬ましい。またもやられた。本作には激しい嫉妬すら覚えた。国の統計すら疑わしい不信の時代を生きる者にとって、国家のペテンに激烈な怒りを叩きつける韓流映画界の力強さはあまりにまぶしい。羨ましい。
辺真一(コリア・レポート編集長)
ある日突然、「大丈夫!」の神話が崩れ、経済破綻に陥った隣国から「経済大国」であるが「借金大国」でもある。日本は何を学ぶべきか?「日韓貿易戦争」最中の公開とはグッドタイミングである!
荻原博子(経済ジャーナリスト)
韓国経済の破綻を、丁寧に描いた作品。そのころ韓国を取材し、IMFによってミニアメリカに変貌する様を見て、明日の日本だと感じました。今、韓国の若者は、自国を“ヘル朝鮮”と嘆きますが、その地獄が始まったのは、1997年、ここからでした。
藤井道人 (映画監督)
とても他人事とは思えない、今観るべき映画。韓国の史実を、冷徹に、そしてドラマティックに徹底して描きっており、キム・ヘスの瞳に映る、怒り、絶望、そして憂いに私たちの未来を重ねる。このままでいいのだろうか、余韻の中で自分に問い続ける。
■映画情報
『国家が破産する日』
監督:チェ・グクヒ 出演:キム・ヘス、ユ・アイン、ホ・ジュノ、ヴァンサン・カッセル
2018年/韓国映画/114分/カラー/5.1chデジタル/ビスタ/日本語字幕:福留友子/字幕監修:浜矩子/原題:국가부도의 날/提供:ツイン、Hulu/配給:ツイン
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<STORY>
韓国が経済の好景気を信じて疑わなかった1997年、韓国銀行の通貨政策チーム長ハン・シヒョンは通貨危機を予測する。しかし政府が非公開の対策チームを招集したときには、国家破産までわずか7日間となっていた。対策チームでシヒョンは、国民にこの危機を知らせるべきではないという驚くべき主張にぶち当たる。同じ頃、危機の兆候を独自にキャッチした金融コンサルタントのユン・ジョンハクは、一世一代の大勝負に出る。一方、経済情勢に疎い町工場の経営者ガプスは、大手百貨店からの大量発注を手形決済という条件で受けてしまう。