【REPORT】大橋裕之原作のアニメーション映画『音楽』舞台挨拶、声優陣は作品にどう向き合ったのか

2020年1月11日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開が決定したアニメーション映画『音楽』。大橋裕之の自費出版漫画を長編アニメーション化した本作は、楽器を触ったこともなかった不良たちが思いつきでバンドを組むところから始まるロック奇譚となっている。

ほぼ独力による製作期間7年以上、作画枚数は実に40,000枚超、71分を全て手描き、クライマックスの野外フェスシーンをダイナミックに再現するため、実際にステージを組みミュージシャンや観客を動員してのライヴを敢行。分業制やCG制作が主流のアニメーション制作において、何もかもが前代未聞の長編アニメーションプロジェクト。オタワ国際アニメーション映画祭では、長編コンペティション部門でグランプリを受賞した。

映画の公開を記念して、1月11日(土)東京・新宿武蔵野館にて公開初日舞台挨拶が行われ、監督・岩井澤健治を始め、原作者の大橋裕之、ヒロインの声優を担当した駒井蓮らが登壇した。本記事では、本イベントの様子をレポートする。


映画を見終えた観客から温かい拍手が贈られる中、声優を担当した前野朋哉、芹澤興人、駒井蓮、平岩紙、そして原作者の大橋裕之、監督の岩井澤健治が登場。1人1人挨拶をすると会場から「映画、最高だったよ!」との声が。岩井澤監督もはにかみながら「ありがとうございます」と感謝を述べた。

ヒロインの亜矢を演じた駒井は、役作りについて訊かれると「監督に、スケバンのビジュアルを気にせずにやってくださいと言われて。そこからは、可愛らしく見た目とのギャップを出して、“青春”を意識してやっていました」と話した。

 

原作の大ファンだったという太田役の前野は、Twitterで映画『音楽』のプロジェクトが始まったことを知り「激アツじゃん!」と思っていたときに、監督から声優の誘いがあり、手が震えるほど感激したのだという。役作りについて訊かれると「特に役作りはしてないです(笑)」と笑い、太田の動く姿を見た時にその場で自然に声を出せたと話した。また、主人公の声優を担当した坂本慎太郎について訊かれると、坂本は声のリップが完璧に合うほど練習してきたことに驚いたというエピソードを披露。その情熱に感動し主人公の研二に映画と同じようについていこうと思ったと話した。

また、主人公のライバル大葉役の竹中直人のキャスティングは前野がきっかけになったという。竹中直人が前野の楽屋に遊びにきていた時に、前野が持ってきていた大橋の『ゾッキA/B』を読んだのをきっかけに興味を持つようになり今回の出演につながったのだと明かした。

朝倉役の芹澤は、アニメの声優が初で難しかったと声を漏らす。一方で岩井澤監督は、映画を作る上で一番最初にイメージしたのが朝倉役の芹澤であり、その前提で本も書いていたのだと告白すると、芹澤は「ありがとうございます」と嬉しそうに感謝を述べた。

森田を演じた平岩紙は、男子高校生の役を演じたことについて、「役者って色々なイメージを持たれると思うんですけど、その中でこの役を当ててくださったことは、震えるほどうれしかった」と話した。また森田というキャラクターについても、「やってもやっても、まだこう言えるんじゃないかとか貪欲になれた役で。帰り道でも練習しちゃって、まだまだやらせてもらいたい大好きな役となりました」と話した。

自身の漫画の長編アニメ化が初だという大橋は、「7年以上徐々に徐々に出来上がっていくのを見ていたので、完成して大きいスクリーンで見て、すごいものができたなと思いました。原作が2005年にぱっと描いたものだったので、こっちの方が本物みたいな感じです」と話す。監督が悩んでいたときは、連絡をとりコンビニでビールを買って外で飲みながら語り合ったという。

そして、7年5ヶ月の月日をかけて映画を作り上げた岩井澤監督は、舞台からお客さんを見て「感無量です」と一言。一番印象に残っているのは、実際にステージを組んで動画を撮影しそれを元にアニメ化したフェスシーンだと話した。その舞台裏は、劇場で購入できるパンフレットに詳しく書かれている。

関係者を代表して最後に挨拶を任されたのは、監督ではなくまさかの前野朋哉。「無茶振りも無茶振りじゃないですか!」と突っ込むも観客の温かい拍手に応え、「最高の映画です。言葉にできない感情が渦巻いて、爆発させたいけどどうすればいいのかわからない衝動が収められていています。今何かしたいんだけど何もできていない人とか、何したらいいかわからない人に見て欲しいです。その人が大人になった時に、この映画が影響するんじゃないかと。そんなパワーを持った映画だと思っています」と熱い思いを語り、イベントを締めた。

映画『音楽』は新宿武蔵野館ほか絶賛公開中。(横澤魁人)


■作品情報

アニメーション映画『音楽』

監督:岩井澤健治 原作:大橋裕之「音楽完全版」(カンゼン)
プロデューサー:松江哲明
アソシエイトプロデューサー:九龍ジョー、迫田明宏
配給:ロックンロール・マウンテン 配給協力:アーク・フィルムズ
2019/日本/カラー/ビスタ/5.1ch/71分
©大橋裕之・太田出版/ロックンロール・マウンテン

2020年1月11日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開決定

公式サイト:on-gaku.info
Twitter:@eiga_ongaku

あわせて読みたい