WACKに所属する10人組アイドルグループ、GANG PARADE(以下、ギャンパレ)。2020年1月29日に前山田健一と松隈ケンタが強力タッグを組んだ配信限定ダブルA面シングル『涙のステージ/FiX YOUR TEETH』をリリース、4月からは初のホールツアー〈MY FIRST HALL TOUR〉も決定している彼女たちのソロ・インタビュー・シリーズ、第2周目がスタート。
第5回目は、ギャンパレの前身グループであるPOP時代から活動を続けるヤママチミキ。2019年3月にはWACK合宿オーディションにグループ代表で参加し頼もしい姿を見せた彼女は、もともとカミヤサキに憧れてPOPのオーディションに参加し合格を果たした。5月22日の〈MY FIRST HALL TOUR〉中野サンプラザ公演をもってカミヤがグループ脱退を発表した現在、どのようなことを思い活動を続けているのか。2019年末からの近況とともに話を訊いた。
取材&文:西澤裕郎
写真:宇佐美亮
言葉では形容しがたい存在なんです
──ギャンパレの2019年は、グループのあり方を模索していた1年だったと思うんですけど、次へ向かって進むべき光は見えてきましたか?
ヤママチミキ(以下、ミキ):年末にみんなで話すことが多くなって。話し合いで、初心を忘れていた部分があるんじゃないかという話がたくさん出てきたんです。そこから意識の変化がすごくあったかなと思いますね。特にサキちゃんの脱退の話を聞いたあと、メンバーの意識が変わった感じがあります。
──話し合いの中で、ミキさんが1番メンバーに伝えたかったことは?
ミキ:話し合いの中でマイナスな部分が出てくることもあるんですけど、それをプラスにとらえて前向きに持っていきたいなという意見を話すようにしていて。特別これをすごく伝えたいというよりは、話し合いの中で出たものに対して、こうしていこうよ! みたいなことを伝えられたらと思って話していました。自分が考えてきたものプラス、そこで思ったことを伝えていきました。
──1月3日の〈WACKなりの甲子園〉でサキさんの脱退発表がされました。そこから1ヶ月ちょっと経ちました。今はどんな気持ちでしょう。
ミキ:決まってしまったものだから仕方がないという言い方もあれなんですけど…… あまりそこにとらわれてしまうと空気感が良くなくなるというか。10人いるので誰かしらが沈んでいても大丈夫かもしれないんですけど、何かのきっかけでグループがその子の雰囲気に持っていかれちゃうことも考えられる。だからこそ、サキちゃんの脱退に対して嫌だなとかネガティブな感じはあまり持たないようにしています。
──ミキさんの中で消化はできている?
ミキ:できている時と、できていない時がまだあります。できたなと思っても、ふとした瞬間に「あーやっぱり無理だ」と思ったりとかはありますね。
──極端な話、脱退したとしてもサキさんとは連絡できるわけじゃないですか? 同じグループにいることがミキさんにとって大事なことなんですね。
ミキ:一緒に活動をしていることが、私にとってはすごく大きかった。5月22日が近づけば近づくほど、そういう喪失感を感じるのかなとは思っています。
──ミキさんは、カミヤさんに憧れてギャンパレの前身グループのPOPに加入したわけですけど、5年近く一緒にいたら憧れとは違う感情に変わっていったりもするんじゃないか。
ミキ:もちろん抱いている感情は最初の頃に比べて全然違うけど、やっぱり私にとっては特別…… という言い方もちょっと違うんですけど、言葉では形容しがたい存在なんです。もちろん同じメンバーだし、大切な仲間ではあるけど、ずっと他のメンバーとは違った何かがある人には違いないですね。
──正直、続けてほしいという気持ちはあった?
ミキ:そうですね。いずれはこういう時が来るだろうとは思っていたんですけど、もうちょっと一緒にできるかなと勝手に思っていたんです、私が。
次に行くための模索をしている段階
──2020年1月3日の〈WACKなりの甲子園〉のMCで、月ノさんが「今1番失ってはいけないものを去年の私たちは見失いました。だから2020年一発目〈WACKなりの甲子園〉、私たちは失くしたものを全部取り返しに来ました」と宣言しました。それがメンバーの話し合いを経て導き出した総意だった?
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ミキ:2019年末のツアーを回っていった中で何かが足りない感じがずっとあって。それはメンバーも一緒に回ってくださっていたスタッフさんもずっと感じていたことで。みんなで話した時に、最初の頃の気持ちが足りないんじゃないかという話になって。今年はそれを取り戻そうという総意を、月ノがあそこで喋ってくれたんです。
──ギャンパレは、メンバーの加入時期がかなりバラバラのグループでもあるので、そこを統一するのは大変ではありますが大切なことですよね。
ミキ:メンバーそれぞれ入った時期が違うんですけど、それぞれが出来ることや考えられることが増えてきた一方で、なくしてしまったものもあったよねって。あの頃はめちゃくちゃライヴをやることに対して必死だったけど、それよりも今はお客さんをどう楽しませようという気持ちのほうが先立ってしまっていて。もちろんそれも大事だけど、1個1個のライヴに対する熱量を思い出さなきゃいけないというのは思いましたね。
──ミキさんはこれまで現状に満足しないように自分で自分に問いかけてやっているようには見えましたけどね。
ミキ:もちろん今も満足はしていないんですけど、昔の頃とは変わってしまっている部分もあると思うんですよ。そういう意味で今も模索中ですね。メンバーの話し合いで意見がたくさん出るので、そこでちょっと光が見えるんです。暗闇を模索というより、次に行くための模索をしている段階かなと思います。
──WACKに所属するグループ数も若いスタッフも増えましたよね。第3期BiSとCARRY LOOSEのマラソンは、POPとBiSHの対抗駅伝を思い起こさせるような企画だったりもしました。下の世代のことは意識しますか?
ミキ:新メンバーや若い子が入ってくる度に、自分が先輩というか長くやっている方に入っているなっていうのはすごく実感しますね。負けたくないって最近めっちゃ思うんですよ。3期BiSとかめっちゃ勢いあるじゃないですか? 今しかできないようなパフォーマンスもあるだろうけど、単純にライヴもめっちゃいいので、すげーなと思いつつ、BiSめっちゃいいという評価を聞くと、ちょっとくそう……! と思ったりもします。
これだけ想いが込められている曲を歌えるのが、すごく嬉しかった
──そういう意味で、配信シングル『涙のステージ/FiX YOUR TEETH』は、ギャンパレの現状をガラッと変えようとしている楽曲のように感じました。POP時代の1stシングル「Happy Lucky Kirakira Lucky」のときに似ているというか。あのときも曲調が変わりすぎてビックリしたのを覚えています。
ミキ:私も初めて聴いた時にインパクトがすごすぎて。本当に久しぶりにこういう感じの曲で、絶対ライヴ映えする曲だなと思ったので、ライヴが楽しみになりました。「Happy Lucky Kirakira Lucky」の時も、お客さんは最初戸惑っていたとは思うんですけど、やる回数が増えるごとにお客さんの「Happy Lucky Kirakira Lucky」への盛り上がりも大きくなっていったから、今回もそれぐらいのインパクトを残せる曲だなって思ってワクワクしました。
──「涙のステージ」の作詞作曲は松隈さんで、編曲が前山田健一さんです。松隈さんだけの作詞は初めてですが、曲を聴いたときどう思いましたか?
ミキ:まず歌詞が良すぎるなって思いました。いつも松隈さんが仮歌を歌っているデータをもらって、自分たちで歌詞を書いてるんですけど、今回は松隈さんの想いがすごく込められていて感動しました。これだけ想いが込められている曲を歌えるのが、すごく嬉しかった。POPを始めて5年ぐらいずっと松隈さんとやらせてもらっているけど、松隈さんだけの詞を歌うことってなかったので、このタイミングで歌えるのは自分の中でも大きかったですね。サキちゃんの脱退の話を聞いた後に聴く「涙のステージ」という言葉に、最初からズドーンっと何かが突き刺さった感じがして。ステージに立つ時って大体笑顔じゃないですか。そこに涙がつくのは自分的には来るものがあったというか。
──「FiX YOUR TEETH」も女川のライヴで観ましたが、すごい曲ですね。
ミキ:めまぐるしいんです(笑)。曲自体もスピード感がある。今回もサキちゃんが振りを作ってくれたんですけど、見る場所が多すぎて、あっという間に嵐のように過ぎ去っていく曲です(笑)。
──前山田さん作詞作曲ですが、レコーディングの際などに言われたことで印象に残っていることはありますか?
ミキ:本当にはじめましてってご挨拶する時に、「ギャンパレのファンは歯ある?」って言われて(笑)。
──どういうことですか(笑)?
ミキ:歯がない人の曲なので。「たぶんある方だと思います」ってメンバーみんなで答えたのは、ちょっとおもしろかったです。
ある程度の覚悟だったり心持ちはあります
──ミキさんは無類のディズニー好きじゃないですか? ディズニーのパレードは、エンターテインメントとしていろいろ見どころがあるわけで。ギャンパレは今10人いて、曲調もいろいろあって、振り付けも自分たちで考えられるわけですけど、そういうエンターテイメントに近づきたいと思うことはある?
ミキ:あまり自分では意識してないんですけど、メンバーからミキちゃんはディズニーっぽいって言われることが時々あって。自分的にも、そういうエンターテインメントを見せられるようになったら、よりおもしろくなるのかなっていうのは思ったりしますね。
──POPを始めた頃にはディズニー好きだったじゃないですか。その前を含めると、もっと長く好きなわけですけど、それだけ観にいっても全然飽きない?
ミキ:同じショーを観ても全然飽きが来ないです。それこそ、見どころがたくさんある。私たちと違って、感情を出すというよりは綺麗なものを見せるという表現が多いんですけど、それでも違いがあるし、そのちょっとした違いを気づきたい自分もいるから通っちゃうのもあるかもしれない。ダンサーさんも自由なパートとかもあって、そこで1人1人全く違う動きをしていたりもするので楽しいですね。本当にみんなに観てほしい(笑)。
──自分がステージに立つ時に、パレードを観て学んだことで取り入れることとかはありますか?
ミキ:決めポーズ1つとってみても、これめっちゃかっこいいとか、こういう動きしたらもっと大きく見えるかもしれないとか考えることはあります。キャラクターは表情が変わらないんですけど表情があるように見える。それって、すごいことじゃないですか? 動きだけで表情を見せてるってことだから。そういうところから何か盗めないかっていうのは考えて観ていたりもしますね。
──3月にはWACK合宿オーディションがあります。今年はギャンパレから月丿さんが代表で行くわけですけど、毎年何かしら発表があって、結果何があるか分からない1週間になると思います。今は、どんな気持ちでいますか?
ミキ:私は一昨年まで合宿に参加したことがなかったので、行った子の気持ちがリアルには分からない状態だったんです。去年自分が行って、いろいろ経験をさせてもらったので、月ノの立場でより考えられることが多くなったし、サポートできることがあれば、随時連絡をしたりできたらいいなとは思っていますね。
──合宿中どんなことが、ミキさんの支えになりましたか。
ミキ:連絡をくれた時はやっぱり嬉しかったですね。グループから1人で行っているので、自分がやっていることが正しいのか分からなくなる瞬間があるんですよ。本当にこれが最善なのか相談できる人もいないので、悩んでいる時にメンバーからLINEが来てすごく助かったというか。自分的にも、あーこれでいいんだって思えたし、その場は1人だけどメンバー全員でやっている感覚になれたのがすごく嬉しかった。それは今年もやっていきたいなって思いました。
──2019年はナルハワールドさんの加入、2018年が月丿さんとハルナさんの加入、その前はサキさんのレンタルトレードの発表と、何かしら変化が起こってきていますが、そういう変化に対する怖さみたいなものはありますか?
ミキ:ある程度の覚悟だったり心持ちはあります。何かが変化することはあるだろうし、それが今のギャンパレにとって必要なことで最善なことだっていうことを渡辺さんが考えてやってくれたことなので。そういう変化に対して、楽しめたらいいなって気持ちは1番強くあります。
最後だと思わないでほしい
──4月からは初めてのホールツアー〈MY FIRST HALL TOUR〉が始まります。サキさんとの最後のツアーでもありますが、どういう気持ちでしょう?
ミキ:サキちゃんと一緒に回る最後のツアーだという感覚は、それほどないかもしれないですね。どっちかと言ったら、初めてのホールを回れる嬉しさだったり、ホールということに囚われすぎないようにしないとと思っていて。遠いところから来てくださるお客さんもたくさんいると思うので、その人たちに対して、今までよりもより良いものや楽しいものを届けなきゃいけない。とはいえ、お客さんはサキちゃんの脱退を感じて、ちょっとさみしくなってしまうと思うんですね。そういう人たちのさみしい気持ちを払拭させられるツアーにしたいなって、最近すごく思います。
──それはミキさん自身が次に進むためにも必要なことなんでしょうね。
ミキ:そこで悲しんで終わったら、もったいないじゃないですか? せっかく楽しみにして来てくれてたのに、あー最後なんだなって思っちゃったら、さみしい気持ちが勝っちゃうと思うので。その後もギャンパレは続くし、その場所にきっとまたギャンパレは戻ってくると思うので、最後だと思わないでほしいなっていうのはすごく思います。
──どんなステージにしていこうかは考えている?
ミキ:今、WACKのツアー〈WACK FUCKiN’PARTY〉が始まっていて、そこに対して、まずやらなきゃいけないねっていうことをみんなで話していて。これだけ新しいお客さんに観てもらう大きなチャンスってないので、そこを成功させないと、グダグダなままホールツアーも回り始めてしまうと思うので。WACKのツアーをいかに自分たちのものにできるかを考えていますね。
──〈WACK FUCKiN’PARTY〉には、WACK所属グループ7組が出演します。どういうツアーにしたいですか?
ミキ:負けたくない。勝ちに行かなきゃいけないライヴなので、その闘志は存分に出していいのかなと思いますね。7組いるので、そこでいかに印象を残せるか。全組のライヴをお客さんが観終えた後に、やっぱり今日はギャンパレが1番良かったとか、1番楽しかったとか、1番の何々になったら絶対勝ちだと思うので。それは目指したいですね。
──ミキさんとしては何の1番になりたいですか?
ミキ:楽しんでもらいたい。BiSHとかEMPiREは格好いいが先行して出ると思うんですけど、ギャンパレのライヴは楽しいを1番の感想として持ってもらいたい。1番楽しかったのはGANG PARADEのライヴだったなっていうのを、お客さん全員に思ってもらえるようなライヴにしたいですね。
──2020年最初のGANG PARADE連載なので、2020年のミキさんの抱負を最後に訊かせてもらえますか?
ミキ:前向きにいきたいです。去年は模索して上手く結果を出していけないことが多かったので、今年はちゃんと結果を出して、もっといっぱいのお客さんと楽しむ1年にしたい。もっと前向きに考えられたら、また雰囲気も変わるかもしれないし、そっちの方向にグループも傾くと思うので、そういう1年にしたい。全部に結果を残したいです。これから先の未来に繋げなきゃいけないので。それは、いかに私たちができるかにかかっていると思うので、1つ1つ命がけでやっていきたいですね。
GANG PARADE PROFILE
「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、カミヤサキ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、テラシマユウカ、ユイ・ガ・ドクソン、ハルナ・バッ・チーン、月ノウサギ、ナルハワールドの10人からなるアイドルグループ。2014年に結成されたプラニメが前身ユニットで、2度の改名とメンバーの増減を経て、その翌年4月17日にワーナーミュージック・ジャパン内新レーベル「FUELED BY MENTAIKO」よりシングル『ブランニューパレード』でメジャーデビュー。 同年5月に東阪野音ツアーを成功させ、5月26日より同事務所所属グループWAggよりナルハワールドが加入し、現体制での活動をスタートさせる。PCゲーム「マジカミ」の主題歌および挿入歌を担当し、その楽曲を収めた配信限定EP『THE MUSIC AND THE GAME CREATES MAGIC』を6月19日にリリース。9月より全国ツアー〈PARADE GOES ON TOUR〉を開催、中野サンプラザ公演をソールドアウトで成功させる。2020年4月に初の全国ホールツアー〈MY FIRST HALL TOUR〉を開催予定。
■ツアー情報
〈MY FIRST HALL TOUR〉
2020年4月12日(日)埼玉 三郷市文化会館
時間:Open 15:00 / Start 16:00 [問]KM MUSIC 045-201-9999
2020年4月26日(日)愛知 名古屋市公会堂
時間:Open 17:00 / Start 18:00 [問]ジェイルハウス 052-936-6041
2020年5月2日(土)兵庫 あましんアルカイックホール
時間:Open 17:00 / Start 18:00 [問]サウンドクリエーター 06-6357-4400
2020年5月5日(火・祝)北海道 道新ホール
時間:Open 17:00 / Start 18:00 [問]WESS 011-614-9999
2020年5月16日(土)宮城 仙台銀行ホール イズミティ21
時間:Open 17:00 / Start 18:00 [問]G/I/P 022-222-9999
2020年5月22日(金)東京 中野サンプラザ
時間:Open 18:00 / Start 19:00 [問]SOGO TOKYO 03-3405-9999
2020年5月23日(土)東京 中野サンプラザ
時間:Open 16:00 / Start 17:00 [問]SOGO TOKYO 03-3405-9999
チケット料金(税込)
NORMAL TICKET 5,800円(税込)
CHEAP TICKET 3,800円(税込)
年齢制限 / 未就学児童入場不可
◆チケット一般発売日
2020年1月18日(土)AM10:00〜