新型コロナウィルスの感染拡大に伴う映画館の上映自粛要請により、存続が危ぶまれている小規模映画館(ミニシアター)を守るために、有志の呼びかけ人、賛同者により「#SaveTheCinema 『ミニシアターを救え!』プロジェクト」が4月6日、発足した。
同プロジェクトは、Change.Orgによる賛同者の募集(http://chng.it/Sk6V6Vhc7g)、政府への要望書提出、クラウドファンディングなどを活用した具体的な施策を断続的に実施していく予定。またすでにスタート準備に入っている「ミニシアター・エイド基金」とも連携しこの困難な状況を打開すべく総力をあげた活動をしていく。
要望書全文は、以下の通り。
日本政府、国会議員の皆さまへ。
現在、新型コロナウィルスによる影響は、芸術文化の一翼を担う映画の企画、制作、配給、上映などに関わるすべての映画人にも甚大な被害を与えています。
とりわけ、映画文化の多様性を担うインディペンデントの小規模映画館(ミニシアター)は存続の危機を迎えており、私たちは大きな危機感を抱いています。
新型コロナウィルスが大きな社会問題となり、まず映画館の集客は30~50%以上減少しました。3月26日にイべントや不要不急の外出の自粛が要請されて以降は観客の減少は急激に加速し、集客80%減や観客ゼロでの上映という悲鳴のような声も聞かれるようになりました。ミニシアターの上映を支えている良質な映画の配給者も、このような状況の中で配給を延期せざるを得ず、ミニシアターの今後の状況はさらに悪化してゆくものと思われます。
この状況のもと、映画館や上映事業者は、感染防止の観点から、あくまで自らの責任で運営や活動の休止を決断するよう迫られています。しかし、何の経済的補償もない中での「休館」は、そのまま「閉館」に繋がってしまうことになりかねません。今の状態が 6 月まで続けば、夏を待たずに閉館する映画館が続出することか予想されます。
ドイツの文化相は「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ。特に今は」と述べ、文化機関や文化施設を維持し芸術文化によって生計を立てる人々の存在を確保することはドイツ政府の文化的、政治的最優先事項である」と明言しました。地域やコミュニティに根ざし、日本の映画文化の中核を担うミニシアターは、単なる娯楽施設ではなく、地域に多様な文化芸術体験を提供し、コミュニティの「文化権」を確保する重要な文化芸術拠点であり、美術館、劇場、音楽堂等の公立文化施設や劇団、楽団、美術家、音楽家等と同等に民主主義社会に欠くことのできない存在です。
いま、「映画」を人々に届ける文化芸術拠点が地域から消滅してしまう危機に瀕しているのです。
私たちは映画文化に関わる映画人として政府に対して以下の支援が得られることを強く求めます。
・緊急的な支援として 新型コロナウィルス感染拡大防止のための自粛要請・外出自粛要請、また、拡大防止対策 (時短営業や客席数を減らす等)によって生じた損失(観客数の大幅な減少)を補填することによる支援を求めます。
・終息後の支援として 集客を回復させるための広報活動の充実、ゲスト招聘、特集上映などのイベントに対する支援を求めます。
2020年4月6日
呼びかけ人# SaveTheCinema(50音順)
荒井晴彦(脚本家 映画監督)
井浦新(俳優)
井上淳一(脚本家 映画監督)
入江悠(映画監督)
岩崎ゆう子(一般社団法人コミュニティシネマセンター事務局長)
上田慎一郎(映画監督)
枝優花(映画監督)
柄本明(俳優)
大高健志(プロデューサー MOTIONGALLERY代表 POPCORN共同代表 Incline)
上村奈帆(映画監督)
是枝裕和(映画監督)
佐伯俊道(脚本家 協同組合日本シナリオ作家協会理事長)
志尾睦子(シネマテークたかさき支配人・高崎映画祭総合ディレクター 一般社団法人コミュニティシネマセンター理事)
白石和彌(映画監督)
諏訪敦彦(映画監督)
想田和弘(映画監督)
田井肇(大分シネマ5代表 一般社団法人コミュニティシネマセンター代表理事)
塚本晋也(映画監督)
土屋豊(映画監督 独立映画鍋)
寺井隆敏(CINEMA PLANNERS代表)
西原孝至(映画監督)
濱口竜介(映画監督)
深田晃司(映画監督 独立映画鍋)
藤井道人(映画監督)
舩橋淳(映画監督 独立映画鍋)
北條誠人(ユーロスペース支配人 一般社団法人コミュニティシネマセンター理事)
松本正道(アテネ・フランセ文化センター 一般社団法人コミュニティシネマセンター理事)
馬奈木厳太郎(弁護士 プロデューサー)
森達也(映画監督)
一般社団法人コミュニティシネマセンター(代表理事 田井肇)
太秦(配給会社 代表 小林三四郎)
NPO法人独立映画鍋
賛同者
青木基晃(プロデューサー)/青山エイミー(プロデューサー)/穐山茉由(映画監督)/浅井隆(アップリンク)/浅沼直也(映画監督)/足立晃子(自営業)/足立紳(映画監督)/荒井南(シネマコリア)/石坂健治(東京国際映画祭「アジアの未来」部門ディレクター/日本映画大学教授)/石田健司(照明)/磯見俊裕(美術監督)/今泉力哉(映画監督)/今関あきよし(映画監督)/芋生悠(俳優)/上野遼平(プロデューサー)/臼井勝(録音)/大内靖(あまや座 支配人)/大久保賢一(映画評論家)/大崎章(映画監督)/大島葉子(俳優)/大西信満(俳優)/岡本英之(Inclineプロデューサー)/小川直人(せんだいメディアテーク学芸員)/小川茉侑(コミュニティシネマセンター)/奥山大史(映画監督)/梶谷由里(パブリシスト)/片岡礼子(俳優)/片嶋一貴(映画監督)/加藤一枝 邑の映画会)/加藤ひとみ(編集)/金子修介(映画監督)/川瀬陽太(俳優)/河原大輔(同志社大学)/川村健一郎(立命館大学映像学部教授)/川村岬(Inclineプロデューサー)/神田麻美(映写技師)/韓英恵(俳優)/北原豪 Incline プロデューサー)/金原由佳(映画ジャーナリスト)/櫛桁一則(みやこ映画生活協同組合理事)/熊谷睦子(株式会社ムービー・アクト・プロジェクト)/小泉徳宏(映画監督) /古賀太(日本大学芸術学部映画学科教授)/後藤睦文(ゆふいんこども映画祭)/小中和哉(映画監督)/小宮山芽以(スタイリスト)/小柳大侍(東北新社)/近藤笑菜(俳優)/近藤恭代(公益財団法人としま未来文化財団/豊島区立芸術文化劇場)/坂本安美(アンスティチュ・フランセ日本)/坂本英紀(20世紀アーカイブ仙台)/佐藤貢三(俳優)/澤佳一郎(映画監督)/汐田海平(MOTIONGALLERY STUDIOプロデューサー)/(汐巻裕子(米アカデミー財団/株式会社ピクチャーズデプトプロデューサー)/篠原哲雄(映画監督)/下向拓生(映画監督)/尚玄(俳優)/杉原永純(Inclineプロデューサー)/鈴木徳至MOTIONGALLERY STUDIOプロデューサー)/瀬々敬久(映画監督)/曽我真臣(俳優)/戴周杰/高木悠衣(俳優)/高田聡(Inclineプロデューサー)/髙間賢治(撮影監督)/高見亘(二十代映画欲求プロデューサー/ディレクター)/田口トモロヲ(俳優)/武石昂大(映画監督)/立木祥一郎(合同会社teco llc代表)/田中俊介(俳優)/田中要次(俳優)/田辺高英(とさりゅう・ピクチャーズ)/蔦井孝洋(撮影監督)/土田環(早稲田大学)/寺門義典(310+1 cinema project)/戸田彬弘(株式会社チーズfilm映画監督)/とちぎあきら(フィルムアーキビスト)/長久允(映画監督)/夏目志乃(俳優)/鍋島淳裕(撮影監督)/西嶋憲生(映画研究者)/西原多朱/根矢涼香(俳優)/橋本つむぎ(俳優)/長谷川葉生(俳優)/髭野純(プロデューサー)/菱沼康介(映画監督)/平井諒(映画監督)/平見優子(撮影)/蛭田智子(編集)/深作健太(映画監督)藤井誠二(ノンフィクションライター)/福田浩三(シネマテーク茅ヶ崎)/藤本美津子(鎌倉で映画と共に歩む会)/古舘寛治(俳優)/穂志もえか(俳優)/堀越謙三(ユーロスペース代表)/堀三郎(アテネ・フランセ文化センター)/松尾豪(映画監督)/松倉大夏(映画監督)/松永大司(映画監督)/三島諒(有限会社ハーモニック・俳優)/道川昭如(撮影)/光岡愼二(neoアジア映画祭 in あさひかわ)/三留まゆみ(イラストライター)/湊本陽夫/峰川佳子/宮嵜善文(NPO松本シネマセレクト代表理事)/宮島真一シアタードーナツ)/宮嶋風花(映画監督)/村田唯(映画監督・俳優)/村山匡一郎(映画研究者)/森厚)/森宗厚子)/山内敬(トランシネマ)/山口吉則(一般財団法人福岡ユネスコ協会事務局長)/山崎紀子(シネ・ヌーヴォ大阪支配人)/山田笑子(撮影)/吉村元希(映画監督・脚本家・俳優)/リム・カーワイ(映画監督)/足柄製作所/アテネ・フランセ文化センター/アンスティチュ・フランセ日本/アップリンク渋谷/アップリンク吉祥寺/飯田橋ギンレイホール/上田映劇/映画ランド株式会社/ガーデンズシネマ(鹿児島)/金沢21世紀美術館/鎌倉市川喜多映画記念館/川崎市アートセンター/川崎市市民ミュージム/KAWASAKIしんゆり映画祭/京都シネマ/京都みなみ会館/グリーンイメージ国際環境映像祭/高知県立美術館/神戸映画資料館/神戸文化ホール/コピアポア・フィルム株式会社/埼玉映画ネットワーク/桜坂劇場/札幌映画サークル/シアターエンヤ/シアターキノ/静岡シネ・ギャラリー /シネ・グルージャ/シネコヤ/シネ・ヌーヴォ/シネ・ピピア/シネマ・アミーゴ/シネマイーラ/シネマヴェーラ渋谷/シネマ尾道 /シネマ・クレール/シネマ・ジャック&ベティ/シネマスコー/シネマ・チュプキTABATA/シネマテークたかさき/シネマトーラス/シネマ5/シネモンド/有限会社 鈴木映画/生命誌を考える映画鑑賞会/せんだいメディアテーク/第七藝術劇場/シアターセブン/高崎映画祭/高田世界館/ちば映画祭/出町座/Denkikan(熊本)/名古屋シネマテーク/新潟市民映画館 シネ・ウインド/兵庫県映画センター/広島市映像文化ライブラリー/フォーラム仙台/フォーラム盛岡/フォーラム山形/深谷シネマ/福山駅前シネマモード/ホール・ソレイユ/ほとり座/前橋シネマハウス/松本CINEMAセレクト/みやこ映画生活協同組合 /宮崎キネマ館 /元町映画館/山形国際ドキュメンタリー映画祭/山口情報芸術センター/ユーロスペース/横浜キネマ倶楽部/横浜シネマリン/ヨコハマ・フットボール映画祭
SaveTheCinema公式Twitter : https://twitter.com/save_the_cinema
Change.Org :URL:http://chng.it/Sk6V6Vhc7g
【資料】他国の芸術文化への支援状況 2020年4月1日現在
・ドイツでは、新型コロナウィルスの影響を受けたカルチュラル、クリエイティブ、そしてメディアを含む中小企業や個人への支援として、個人の自営業者(従業員のいない自営業者)、個人のアーティスト、および最大5人の従業員を持つ中小企業は3か月間、最大9,000ユーロ(約107万円)、従業員最大10人までの中小企業は、3か月間、最大15,000ユーロ(約180万円)の一括払いの助成金(返済不要)を受け取ることができる。
・アメリカでは、米国芸術基金が非営利の芸術団体を支援することを目的に、運営費に充当できる助成金7,500万ドル(約80億円)を用意している。
・イギリスでは、月額2,500ポンド(約33万円)を上限に、従業員の賃金の80%が支給され、加えてアーツ・カウンシル・イングランドが文化芸術に関与する個人や組織の保護を目的に、1億6,000 万ポンド(約213億円)の緊急資金を提供する。
■連携企画「ミニシアター・エイド基金」について
映画監督の濱口竜介と深田晃司が発起人となって、ミニシアター支援のためのクラウドファンディングをMOTIONGALLERY(https://motion-gallery.net)で準備しています。コロナ禍による自粛要請が続く中、世界的に経済が落ち込む中で、映画業界もまた危機に瀕しています。そうした中でも小規模映画館からの悲痛な声は日々強まってきています。映画の多様性を絶やさないためにも、私たちはできることから始めるために、クラウドファンディングサイトを立ち上げることを決めました。
準備が固まり次第、数日中にはクラウドファンディングサイトを立ち上げる予定です。詳細は順次FACEBOOK及びTWITTERで情報を公開していきますので、ご確認お願いします。
公式サイト:https://minitheater-aid.org
公式SNS:https://www.facebook.com/minitheateraid/