【PIGGS連載】第3回CHIYO-P編「この日々を過ごした先のライヴは頑張ってよかったと思える気がする」

2020年4月19日。コロナウィルス禍の真っ只中、誕生したアイドルグループ、PIGGS（読み方：ぴぐす）。BiSの創設者で、2019年末解散したBILLIE IDLEのメンバーでもあったプー・ルイが社長兼プロデューサー兼メンバーを務め、CHIYO-P（読み方:チヨピー）、SHELLME（読み方:シェルミー）、UMI（読み方:ウミ）、BAN-BAN（読み方:バンバン）と共に活動をスタートさせた。2020年7月1日にはデビュー・アルバムの発売も決定している。

そんなPIGGSに迫る連載がスタート！ 連載第3回のソロ・インタビューは、CHIYO-P。幼稚園から中学3年生までチアダンスを続けてきた彼女。学校生活にあまり馴染むことができなかったというCHIYO-Pは、どうしてアイドルに興味を持って、そしてなぜアイドルオーディションを受けたのか？ これまでの彼女の歩みを辿るインタビューを行った。なお、前回と同じく写真はメンバーが撮影している。

取材＆文：西澤裕郎
写真：SHELLME

チアばかりやっていました

──メンバーとの共同生活をはじめて約1ヶ月経ちますけど、いかがですか？

CHIYO-P : 最初は、仲が悪くなったりするのかなと思っていたんですけど、YouTubeの生配信企画「I HATE PIGGS」を毎日みんなで頑張ったりしているおかげで、あまり喧嘩とかもないし、仲良く生活できている気がします。

──CHIYO-Pさんがモデルとなって「元・下着屋店員が教える「おっぱい大きく見える」下着の付け方」という動画企画も公開しています。ああいう企画自体は抵抗ない？

CHIYO-P : あれは自分的にもやりたかったので、すごく嬉しかったです。

https://www.youtube.com/watch?v=UHtwARNtClY&t=13s

──CHIYO-Pさんのやりたい企画だったんですね（笑）。

CHIYO-P : SHELLMEが下着屋の店員をしていたという話を聞いて、「どうやって付ければいい?」って話になったとき、動画にしちゃえばいいんじゃないかなと思って。PIGGSの中でも、そういうことをやるキャラはいなかったので、実際にやってみようという感じでやりました。

──合格発表ドッキリの動画もアップされています。嬉しさもあって、言葉が出てこない感じの映像がリアルでした。

CHIYO-P : あのときは緊張がすごくて……。合格と言われてびっくりしたのもあるし、父が結構厳しいというのもあって、どうやって伝えようか考えてしまったんです。母からは「好きにやれば?」と言われていたんですけど、受かるとは想像していなかったと思うんです。そんな状況の中で本当に受かってしまって、やばいぞという気持ちも若干あり、あんな感じになっちゃいました。

──そういった家庭環境なども含めて、CHIYO-Pさんの人生を遡って訊かせてもらえたらと思います。ご出身はどちらですか?

CHIYO-P : 生まれたのは北海道なんですけど、父の転勤で埼玉で育ちました。

──小さい頃はどんな子どもだったと言われることが多いですか?

CHIYO-P : 幼稚園の頃は、友だちも多かったと母が言っていました。取り合いになったりするぐらい人気だったよと言われたんですけど、あまり記憶がなくて。幼稚園の年中ぐらいからはダンスもやっていました。

──ダンスはどうして習うことになったんですか?

CHIYO-P : その時にチアがすごく流行っていて。1番仲良かった友だちの子と一緒にやりたいって言って近所のダンス教室に通いました。幼稚園の年中から小6までそのスタジオに通って、中学から3年間、別の教室に通っていました。

──それだけ長く続けたというのは、ダンスとの相性がよかった？

CHIYO-P : 最初は遊びみたいな感じだったんですけど、だんだん順位づけされ、クラス分けもされていって。たまたま上のクラスになってからは、大会でちゃんと結果を残したいと思ってガチガチにやるようになって。本気で取り組むようになりました。

──学校生活はどうでしたか?

CHIYO-P : 学校にはあまり友だちがいなくて。勉強も全然しなかったし、チアばかりやっていました。先生からしたら、あまり良い印象ではなかったと思います。

──チアの友だちと学校の友だちは、また別ということ?

CHIYO-P : 小中高と私立に行っていたので、地元の子とほとんど遊ぶことがなくかったんです。電車で私立に行っていたので、チアの練習時間に遅れてしまうことも多くて。だから、実際友達自体がほとんどいなかった。大会の時のお昼ご飯もいつも1人で食べたりしていました。

──お父さん、お母さんはどんな人たちでしたか。

CHIYO-P : 父がわりと厳しくて。私の兄が地元の小中に行ったんですけど、すごく学校が荒れていて。ここに私を通わすのは嫌だなと思ったらしくて、私立に行きなさいってことになったんです。

──学校自体は、そんなに楽しいって感じでもなかった?

CHIYO-P : 楽しくなかったです。何度も仮病を使って休んだりしていました。元から熱を出しやすかったりもして、休みがちだったので。

──勉強はどうでした?

CHIYO-P : 勉強は、なんでするのか分からなくて(笑)。いいやって感じで、あまり真剣にやっていませんでした。

自分がやりたいことってこんなんだっけ？ と思って

──アイドルに興味を持ったのは、いつぐらいのことですか?

CHIYO-P : 小学4、5年生のときに、AKB48が流行りだして。最初はアイドル自体全然興味がなかったんです。自分の中で、アイドルって口パクで、ダンスもガチガチにやっているイメージがなくて。あまり好きじゃなかったんですけど、友だちと話していくうちに若干興味が出て、観るようになりました。この人かわいいなとか思うようになっていき、アイドルを観るようになりました。

──自分がダンスをやっているからこそ、アイドルのダンスへの見方も厳しくなりますよね。そんな中、いいなと思えるグループに出会えた?

CHIYO-P : YouTubeを観ていた時、私立恵比寿中学が出てきたんです。エビ中の映像を観ていた時に、廣田あいかさんがすごく目に入ってきて。歌もすごいし、ダンスもすごいし、ファンを楽しませようという気持ちがすごく伝わってきて、かっこいいと思ってハマっていきました。

──ちなみに、アイドル以外で興味のあるものってありましたか?

CHIYO-P : AKBを見始めてから、音楽が気になり出して。YouTubeとかネットを使えるようになってから、いろいろな動画を観るようになって、たまたまおすすめみたいなので出てきたのがクリープハイプだったんです。最初、声が女の人か男の人か分からなくて。男の人って知った時に衝撃を受けて、クリープハイプに急にハマり出しました。

──自分で歌を歌うことへの興味はありましたか?

CHIYO-P : 自分が歌うことにはあまり自信がなくて。うちの母がバンドのヴォーカルをやっていたというのを訊いていて、歌が上手いのは知っていたんですよ。逆に、自分は別に歌う人間には向いてないだろうなって勝手に思っていたし、聴く方が楽しいし、カラオケも全然好きじゃなくて。

──お母さんはダンスや音楽に関しては応援してくれたんじゃないですか。

CHIYO-P : お母さんはバンドを仕事にしようというわけではなくて、趣味みたいな形でやっていたので、アイドルを始める時に、仕事にするのはすごい大変だよっていうのは言われました。

──中学高校時代はどんな日々を送っていたんでしょう。

CHIYO-P : 中学の時に、1、2ヶ月、若干不登校気味になって。その後から友だちがいなくなってしまったんです。なので、中高の方が学校に行きたくない気持ちが強かったです。

──不登校気味になってしまった理由はなんだったんでしょう?

CHIYO-P : 小中高一貫校だったので、4年、4年、4年で分かれていたんです。なので中3の時に、中学受験で入ってきた子たちと合流するんですよ。私は小学受験なんですけど、中学受験で入ってきた子と中3で合流して、新しく友だちを作るところから始まった。でも、私はコミュニケーション取るのが苦手で、怖いと思っちゃって。周りの子はみんなと仲良くなっていくうちに、自分だけ置いてけぼりになった気持ちになってしまったんです。

──ダンスは、高校に入る前にどうしてやめてしまったんですか？

CHIYO-P : 辞めた理由は、自分がもう伸びないなと思ってしまったからなんです。周りがどんどん練習して上手くなっているのを見て、自分はそれ以上練習したんですけど全然成長できなくて。この子に負けたくないと思っていた子たちに抜かされちゃったときに、私には成長する見込みがないなと思って辞めてしまった。そこから、何をすればいいか分からなくて。高校になって自分が頑張ったものがなくなってしまったんです。なので、友だちを作ろうと思って、クラスの子とわりと仲良くなっていきました。みんな派手めな子ばかりだったので、その波に飲まれて、いろいろなところで遊んだりしていて、お母さんに「ダンス辞めてから変わった」みたいに言われました。

──変わったというのはポジティブ面かネガティブ面かで言うと、どういうニュアンスで言われたんですか?

CHIYO-P : たぶんネガティブだと思います。

──CHIYO-Pさん的には、友だちと遊んだりする経験はいかがでしたか。

CHIYO-P : その時はすごく楽しかったんですけど、1人になってふと我に返る時とかに、自分がやりたいことってこんなんだっけ？ と思って。

──髪の色もその時に明るくした?

CHIYO-P : 本当は染めちゃいけなくて。結構校則が厳しかったのでダメだったんですけど、1回茶色にして。先生に目をつけられたときも、必死に「日焼けです、日焼けです」って言っていました(笑)。その後、黒の方がかわいいなと思い始めて、黒染めしてみたんですけど、黒に染めたせいで余計に髪色が抜けちゃって。茶色くなっちゃって怒られてみたいなことが結構ありましたね。

──今の髪色にはいつしたんですか?

CHIYO-P : 最近です。ここまで明るくしたのは初めてです。

好きなことも嫌いになりそうなぐらい、自分が嫌になっちゃっていた

──高校を卒業してから環境は変わりましたか?

CHIYO-P : アイドル好きだったので、アイドルの衣装を作って、裏方をやろうと思ったんです。それで服飾系の学校に入ったんですけど、本当に知り合いがいない環境に行った時、やっぱり友だちを作れなくて。グループワークとかも授業であって、その時に1人になって、何をしたらいいか分からないみたいになって。最初の2ヶ月は行っていたんですけど行かなくなっちゃったんです。

──そんな中で、どうしてプー・ルイさんがやっているオーディションに出会って、受けようと思ったんですか?

CHIYO-P : 結局自分は何をしたいんだろうって考えた時に、やっぱりアイドルが好きで。裏方が無理なら自分がなればいいんじゃないかって、ちょっと投げやりな感じで思っちゃって。それでTwitterとかを見てオーディションを探していた時に、たまたま検索をかけたら出てきたのがプーちゃんのオーディションで。プーちゃんのことはめっちゃ詳しいわけではないけど、有名だったので知っていて。知っている人のオーディションだったら、怖いことはないかなと思って、受けるだけ受けようかなと思ったんです。正直、本当に受けようって決めたのは当日の朝くらいで。だから、オーディション用紙も空欄だらけでした。正直、落ちたなって思っていました。

──よく当日行こうって決心できましたね。

CHIYO-P : 好きなことも嫌いになりそうなぐらい自分が嫌になっちゃっていたんです。ずっと親のスネかじって生きていくような未来が見えちゃって、変わらなきゃと思って、決心してオーディションを受けました。

──全員面接は、10人ぐらい横並びになって短い時間でアピールをしていきましたよね。オーディションの手応えはどうだったんでしょう?

CHIYO-P : 失敗したんですよ、私。一緒に受けていた子たちは、私は何々を頑張っていますみたいに、まっすぐハキハキ喋っていて。これは私のいる場所じゃないかもしれないなって、ちょっと思っちゃいました。終わったなと思って帰りました。

──一次審査通過の連絡が来た時はどんな気持ちでした?

CHIYO-P : 次の日の朝に連絡が来たんですよ。電話がかかってきたとき寝ぼけていて、はいって出たら「プー・ルイ」ですって言われて。ええっと思って、びっくりしました(笑)。

──うれしい気持ちもありました?

CHIYO-P : めちゃめちゃうれしかったです。

──二次面接では、もう少しゆっくり自分のことをアピールできたのかなとは思うんですけど、そこではどんなことを話したんですか?

CHIYO-P : 大学の話をしたり、歌も歌いました。エビ中の曲を歌った時に褒められてうれしかったです。すごく緊張しました。

ライヴをしたいという気持ちが大きい

──その後が合格のドッキリ動画ですけど、動画のサムネイルに素直な良い子って書いてあるじゃないですか。どうしてそういう言葉が出てきたんですか?

CHIYO-P : 緊張して何を言えばいいか分からなくて、急に「素直な良い子です」って言ってしまった(笑)。何を言えばいいか分からなくなっちゃって。パパパって出たのが「素直な良い子です」でした(笑)。

──たしかに今インタビューで喋っていて、素直そうだなとは思います。ご両親は応援してくれていますか？

CHIYO-P : 生放送を観てくれたりしていているみたいで、昨日鼻からうどんを食べる企画をやっていたんですけど、おもしろかったって（笑）。応援してくれていて嬉しいです。

──CHIYO-Pさんは、今やっている活動自体、やりたかったことだ！ みたいな手応えというか実感みたいなものはありますか?

CHIYO-P : やっぱりライヴをしたいという気持ちが大きくて。今コロナでライヴができてないから仕方ないんですけど、何をやっているんだろうって思うことも結構あったりするんです。でも、この日々を過ごした先にやるライヴは、頑張ってよかったなって思える気がして。今は本当にYouTuberみたいな感じですけど、頑張ってやっていきたいです（笑）。

──小さい頃からやってきたダンスは、PIGGSの中でも頑張ってやりたい部分なんじゃないですか?

CHIYO-P : ダンスはSHELLさんがずっとやっていて。自分はチアだったので、アイドルとは若干踊り方とかが違うというか。なので、ダンスに関してはSHELLさんに教わったりすることが多くて。プーちゃんが「CHIYO-Pの歌が好き」って言ってくれたのが嬉しかったので、歌を伸ばせるように頑張っています。歌は習ったことがないので、頑張ってみようかなと思っています。

──PIGGSのアルバムは、幅広くいろいろな曲があると思うんですけど、CHIYO-Pさん的にはどう感じていますか?

CHIYO-P : アイドルらしくない、アイドルが絶対歌わないような曲がいっぱいあって、おもしろいなと思っています。

──アルバムのクラウドファンディング（プー・ルイ率いるアイドルグループ『PIGGS』応援プロジェクト）もだいぶ応援してくれる人が多くて、期待の高さみたいなのも感じるんじゃないですか?

CHIYO-P : びっくりしました。嬉しい気持ちとともに、ありがたいなって思う気持ちと、頑張って期待に応えなきゃなって思う気持ちがあります。

──早くライヴできるような世の中になってほしいですね。期待値が上がった中でのライヴだから、貴重な初ライヴになりそうですね。

CHIYO-P : 絶対に失敗できないので、今から緊張しています。いつライヴできるか分からないですけど、早くライヴがしたいなって思います。

https://www.youtube.com/watch?v=GbWQJdkdWk8

──PIGGSをどんなグループにしていきたいなと思いますか?

CHIYO-P : 曲がかっこいいので、アイドルが好きじゃない人というか、全然興味がなかった人も好きになってもらいたいです。

──CHIYO-Pさん個人的に挑戦してみたいこととかはありますか?

CHIYO-P : 海外にも興味があって。グループとしても最初に掲げていたことなんですけど、海外でもライヴができるくらい大きくなりたいです。