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【PIGGS連載】第5回 BAN-BAN編「もし東大生じゃなくてもアイドルをやりたかった」

StoryWriter

2020年4月19日。コロナウィルス禍の真っ只中、誕生したアイドルグループ、PIGGS(読み方:ぴぐす)。BiSの創設者で、2019年末解散したBILLIE IDLEのメンバーでもあったプー・ルイが社長兼プロデューサー兼メンバーを務め、CHIYO-P(読み方:チヨピー)、SHELLME(読み方:シェルミー)、UMI(読み方:ウミ)、BAN-BAN(読み方:バンバン)と共に活動をスタートさせた。2020年7月1日にはデビュー・アルバムの発売も決定している。

そんなPIGGSに迫る連載がスタート! 第5回のソロインタビューはBAN-BAN。現役東大生でありながら、PIGGSのオーディションに参加し、見事合格を勝ち取った。マイペースでおっとりしているように見えながら、アイドルになりたいという夢を強く持ってPIGGSの一員となった彼女はどんな人生を歩んできたのか。生い立ちから現在の考えまで、Zoomを通して話を訊いた。なお、写真はPIGGSメンバーが撮影している。

取材&文:西澤裕郎
写真:SHELLME


「アイドルになりたいから受験を辞めたい」って相談した

──メンバー5人で共同生活を始めて、もうすぐ2ヶ月経ちます。一緒に生活してみてどうですか?

BAN-BAN : 1、2回しか会ったことがない状態で共同生活を始めたんですけど、だんだんメンバーのことも分かって、いろいろ言えるようになってきたので、一緒に住んでよかったと思っています。

──YouTubeでの配信を見ていると、BAN-BANさんはマイペースな感じがするので、5人で一緒に暮らす心配とかなかったのかな? なんて思ったんですけど。

BAN-BAN : いや、全然なかったです。

──あまり人見知りはしない?

BAN-BAN : 人見知りはするんですけど、最初会った時は、自分からみんなに話しかけていました。自分の性格的に友だち作りとか得意ではないんですけど、グループのメンバーなので話せました。

──合格のドッキリ動画で「受かると思っていました」と言っていましたけど、自信はあった?

BAN-BAN : 自信というより、受かる気で受けていたので、ああ言ったんです。そういう気持ちで受けないと受からないと思っていたので。

 

──サムネイルに「東大生」と書いあって驚いたんですけど、どうして東大に通いながら、アイドルオーディションを受けようと思ったんでしょう?

BAN-BAN : 高校時代に、BiSを好きになったんです。大学受験直前にWACKオーデの募集があるのを知って、少しずつアイドルになりたいと思うようになって。受験に1回落ちちゃって浪人していた時期、将来についていろいろ考えるようになって、夏頃、母に相談したんですよ。「アイドルになりたいから受験を辞めたい」って。でも反対されちゃって。そこで受験を辞めてもアイドルになれるわけでもないし、大学に行ったら好きにしていいって言われたので、とりあえず受験をしようと思って、BiSの音楽とか聴きながら勉強していました。結果、受かって東京に来ることができて、WACKのオーディションを何回も受けるようになったんです。でも、全部書類で落ちちゃって……。そんなとき、プーちゃんのグループができるってことを知って、オーディションに応募しました。

──きっかけはBiSだったんですね。どの時期に知ったんですか?

BAN-BAN : WACK総選挙で存在を知って。最初は初期BiSの「FiNAL DANCE」をYouTubeで観ました。それで興味を持って、旧BiSばかり観ていたんですけど、2期BiSが活動しているのを知って、2期BiSも好きになっていきました。

 

──大学受験が終わって、心機一転、東大生としての生活が始まったわけですけど、アイドルになりたい気持ちは続いていたんですね。よっぽどアイドルをやりたかったんですね。

BAN-BAN : はい。周りに受験を頑張っている人たちがすごくいっぱいいて、その人たちと一緒に頑張りたいと思って東京大学を受けようと決めたんです。やりたいこととしては、大学に入ることが目的ではなかったんです。

幼稚園ぐらいの頃は、家のパソコンばっかりしていました

──ここからは遡って、BAN-BANさんの人生を訊かせてください。出身は広島なんですよね? 全然広島っぽい言葉が出ないですよね。

BAN-BAN : 高校から石川県に行ったんです。高校の友だちに指摘されたとき、これが方言なのか、と自覚して。そこから、しゃべる時にちょっと意識するようになったら、あまり出なくなりました。

──どんな子どもだったと言われることが多いですか?

BAN-BAN : 小さい時は、あまり欲がないというか。どこかに遊びに行きたいとか、何かほしいとかもないような子どもだったと思います。

──小さい頃の記憶はありますか?

BAN-BAN : 幼稚園ぐらいの頃は、家のパソコンばっかりしていました。お母さんに「「あ」ってどうやって打つのー?」って訊いて。タイピングを覚えて、ドラえもんのサイトでゲームをしたりとか、オンラインゲームとかいっぱいやっていました。パソコンでアニメも観たりしていました。

──どんなアニメが好きですか?

BAN-BAN : 1番好きなのは『幽遊白書』です。古いアニメの方が好きで、戦う、バトル系が好き。小学生の時は『ドラゴンボール』がすごく好きでした。『ハンターハンター』も好きですね。

──習い事はしていましたか?

BAN-BAN : 幼稚園の時の先生に教えてもらって合気道をしていました。幼稚園の年中から小学校2年生までは水泳をやっていました。最初はクロールや背泳ぎなどの教え方を習うんですけど、それができるようになったらタイムを測ったりするようになって。ずっと同じ泳ぎばかりしているのに飽きちゃって辞めました。小学校4年生の冬ぐらいからは、友だちに誘われてバスケを始めて、中学校もバスケやっていました。

──勉強の成績はどうだったんですか?

BAN-BAN : 小学校の時は勉強が好きじゃなくて、パソコンとかゲームばかりしていました。中学校になったら、定期試験前はちゃんと勉強するようになり、高校で初めて受験をしました。高校は結構頭の良いところに行って、勉強も頑張っていました。

──なんで広島から石川の高校に行こうと思ったんですか?

BAN-BAN : 母親の実家が石川県にあるんです。夏休みや冬休みに毎回、おじいちゃんおばあちゃんの家に行っていて。おじいちゃんとおばあちゃんのことがすごく好きだったから、一緒に住みたいなと思って。高校を逃したら一緒に住む機会がないかと思って「石川の高校に行きたい」って言ったら、行かせてもらえて。お母さんもついてきて、一緒に暮らしていました(笑)。

──環境も大きく変わったと思うんですけど、石川での生活はどうでしたか?

BAN-BAN : すごく楽しかったです。おばあちゃんのご飯はおいしいし、小さいいとこもいて。広島の時はあまり外に出なかったんですけど、石川に行ってからは、どこかに出かけたりすることも増えて。魚もおいしいし、いいところです。

──ちなみに、お母さんはどんな感じの人ですか?

BAN-BAN : お母さんは明るくておしゃべりで、喋っていないと死ぬみたいな人です(笑)。

──PIGGSの合格ドッキリの動画でお母さんに電話していますが、おもしろいですよね。プー・ルイさんが話したとき、声がいきなり変わって(笑)。

BAN-BAN : はい(笑)。

──BAN-BANさんの活動は応援してくれていますか?

BAN-BAN : はい。動画も観てくれているみたいです。

両立するという覚悟ができて受けた

──高校時代の話に戻ると、身の周りは東大を目指している人が多かった?

BAN-BAN : 結構多かったです。クラスで10人以上はいましたね。理系と文系があるクラスだったんですけど、理系では7人受けて4人現役で合格していました。

──すごい! 勉強以外にやっていたこととかはあったんですか?

BAN-BAN : 高校時代はESS部に入っていました。英語の劇とかディベートとかをする部活なんですけど、ディベートをすごく頑張っていて。高校2年生の時に全国大会に行ってディベートしました。英語ディベートは4人グループでやるんですけど、それがすごく楽しかったんです。チームで何かやるというのがすごく楽しかったのかなと思います。

──小中高含めて、友だち付き合いで苦労したこととかはないですか?

BAN-BAN : あまりないです。喧嘩とかもあまりしていないし。

──いじめられたりも?

BAN-BAN : そういうことは全然なかったです。環境に恵まれていたのでそんないじめをするような人と会ったことなくて。

 

──東京大学を目指そうと思ったきっかけは何だったんでしょう?

BAN-BAN : 最初は行きたい大学も別になくて。なんとなく京都大学を目指そうと思ったんですけど、先生に「東京大学はどう?」って言われて。乗り気ではなかったんですけど、周りのみんながすごく頑張っていたから、私もやってみようかなって感じで、そんなに深く考えずに決めました。

──高校時代にBiSを知ったと言っていましたけど、音楽とかエンターテイメントに興味はあったんですか?

BAN-BAN : 好きなアーティストというよりは、好きな曲を聴いていました。ものすごく応援していたアーティストとかはいないんですけど、歌うことは結構好きで。BiSを知ってからはBiSも歌ったし、アニソンとかも歌いました。小学校の時はボーカロイドが好きだったから、そういう曲も歌ったりしていました。

──ボーカロイドとか、ネイティブの世代ですもんね。そういう意味では、YouTuberの動画とかもよく観ていたんですか?

BAN-BAN : YouTuberは全然観てなくて。食べることが好きなので、最近になって料理のYouTuberさんとか、食べるYouTuberさんの動画は結構観るようになりました。

──大学に合格して上京してきて、東京での生活はどうでしたか?

BAN-BAN : 初めての一人暮らしが不安で。料理も全然したことはなかったんですけど、クックパッドを観ながら料理もしていました。高校からの友だちが東京にいたので結構頼っていて、途中から友だちと一緒に住み始めたんです。

──大学生活はどうですか?

BAN-BAN : 大学は男の子が多く、クラスには私ともう1人しか女の子がいなくて。友だちっていう友だちはあまりできていないです。高校の時の友だちと一緒にご飯を食べたりとかはするんですけど。

 

──学業とアイドル活動、両立できそうですか?

BAN-BAN : します! 両立するという覚悟ができて受けたので。

──エンタメの世界で、東大在学中の若い子に何度か会ったことがあるんですけど、いい意味で変わっている人も多いなと思って。BAN-BANさんは、東大に行きながらアイドル活動を始める自分自身をどういうふうに思いますか。

BAN-BAN : もし東大生じゃなくても、自分はアイドルをやりたかったんです。変わっているのかもしれないけど、自分のやりたいことをしているっていうだけなので、あまり違和感みたいなものはないです。

覚悟を決めてもう1回臨んだ

──PIGGSのオーディションは全員面接で、当日履歴書を持って参加するというスタイルでした。それはそれで勇気が必要だったんじゃないですか。

BAN-BAN : それまでのオーディションでは書類を送ったことしかなかったから、初めての面接だったんですけど、そこまで深くは考えてなかったかもしれないです。PIGGSはオーディションを2回していて、私は両方参加して2回目で受かったんです。1回目のオーディションはダメだったんですけど、ダメだった理由を自分なりに考えたとき、やっぱり迷いがあったというか。それで自分自身で考えてみたら、やっぱりやりたいと思って、覚悟を決めてもう1回臨んだんです。

──一次面接は、10人近い子たちが一同に介して、すごく短い時間の中で自己アピールをしました。BAN-BANさんは、どんなアピールをしたんでしょう。

BAN-BAN : 印象に残らないとダメだと思って、腹筋を割っていこうと思ったでんす。面接に向けて腹筋をすごく鍛えていっていたんですけど、割れなくて……。自分の前にアピールしていた子が結構個性が強烈でやばいと思ったから、言わないつもりだったんですけど「東大生です」ってことを言って。そしたら、えー! みたいな反応が来て、まず覚えてもらえたのかなと思って。私が二次面接まで行けたのは、面接官の1人の方が、東大生でアイドルというストーリーを気に入ってくれたみたいなんです。なので、あのとき言ってよかったのなって思います。

──逆に、どうして最初は言わないでおこうと思ったんでしょう?

BAN-BAN : ちょっと嫌だったんですよ。そこじゃない部分で自分に注目してもらえたらいいと思っていた。でも、東大生であるってことも自分の個性かなと思ったので、言おうかなって思いました。

──高校時代から観ていたプー・ルイさんを目の前にして、どんな感覚でしたか?

BAN-BAN : 最初は「あ、プーちゃんだー」「かわいいな」と思って。でも、面接だから、「うわー!」っていう感じよりは、面接を真剣にやっていました。

──合格を告げられた時は、どんな気持ちでしたか。

BAN-BAN : すぐに実感できなかったんですけど、嬉しかったです。ずっとやりたかったことができると思って嬉しかった。でも、あまり現実味というか、実感が湧かなくてふわふわしていました。

──他のメンバーの子を見たときは、どんなことを思いましたか?

BAN-BAN : 最初はCHIYO-Pとかに結構人見知りされて(笑)。大丈夫かなと思ったけど、一緒に住んでみて、みんなすごくいい子だなと思って、よかったです。

めちゃくちゃかっこいいライヴをしたい

──話していて、BAN-BANさん自身、肝が据わっているなという印象です。何かに対して不安になったり、逆にものすごく浮かれたりとかは、ないですか?

BAN-BAN : 自分は、あまり不安とか焦りとかがなくて。『I HATE PIGGS』の課題も、嫌だとか、やりたくないと思ったことが本当にないんです。全部が楽しいわけではないかもしれないけど、振り返るとよかったなとか楽しかったなとか、そういう思い出になっていて。この前、夜中にみんなで話していたとき、不安とか焦りがないのは、自分の経験がないからとか、考えが足りてないからとか、分かってないからなのかもと思って。プーちゃんとかSHELLMEとかUMIちゃんとか、これまでの経験の中で悔しい思いもしたりしてきていて、いろいろな思いがあって活動していると思うんです。そういう部分での考えが足りてないのかなっていう不安はあります。だからもっと考えたりしないといけないなって。

 

──今の話を聞くと、すごく考えていると思いますけどね。高校生の時からやりたかったアイドルになるという目標を達成したわけじゃないですか? ここからの目標みたいなものはありますか。

BAN-BAN : 私はまだアイドルになれてないのかなと思っていて。そういう不安もみんなに話したんです。自分が好きだったアイドル、見てきたアイドルに自分がなれている感覚がまだない。みんなは「BAN-BANのことを好きって言ってくれている人がいるからアイドルだよ」「なれているよ」って言ってくれて。だから、自分はアイドルだと思ってやらないといけないなと思っています。今は『I HATE PIGGS』でいっぱいいっぱいというか。その先の目標も考えなきゃいけないと思いながらも、ステージに立つ想像ができなくて。でもずっと憧れてきたのは、ステージに立っているアイドルなので、ステージに立ってみたいです。

──新型コロナウィルスの感染拡大の影響でまだライヴができていない状況ですが、振り付けやダンスの練習はしているんですよね。実際、ダンスをやってみていかがですか。

BAN-BAN : ダンスを初めてやったんですけど、他のメンバーはダンスの経験がある子も多いので、ついていくのに精一杯で。いつもSHELLMEとか、みんなに教えてもらっています。とにかく今は遅れを取らないよう、踊れるように頑張っています。

──PIGGSのクラウドファンディングを見ていても思いますが、かなり期待値が高いと思います。そういう中で、どんな初ライヴをしたいと思いますか?

BAN-BAN : 今は、かっこいいというよりは、おもしろかったり楽しい部分を見せてやってきているので、めちゃくちゃかっこいいライヴをしたいと思っていて。そのためにはスキルも必要だと思っています。もちろん、それが全てではないと思うけど、大切な部分なので磨いていきたいです。あと、ライヴができない状況を共有しているからこそ、普通のお披露目ライヴとは違った感情が生まれると思うんです。今やっている『I HATE PIGGS』とか、1つ1つのこと全部を大事にし、この時間の思いとか感情も共有して全部積み重ねて、全部持ってライヴに挑みたいです。

──初ライヴ、楽しみにしています。

BAN-BAN : この前、『I HATE PIGGS』のスクショとか写真を見返していたときに、いつか、これが終わってしまう日が来るんだなと思ったんです。よく分からないこともしているとは思うんですけど、それも大事な時間で、思い出になるから、全部大切にして、頑張りたいなと思います。

プー・ルイ率いるアイドルグループ『PIGGS』応援プロジェクト

■PROFILE

PIGGS(ぴぐす)

プー・ルイ、CHIYO-P、SHELLME、UMI、BAN-BANからなる5人組アイドル・グループ。Produce IDOL Go to world is Good Society= PIGGS。とても良いグループです。

チャンネルURL
https://www.youtube.com/channel/UCJD9kdqH1hRyCOFpGxfyFjQ

グループHP
https://2952053.amebaownd.com/

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