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【連載】ヨコザワカイト「digる男。」Vol.42「Eyuphuroを聴きモザンビークの風を知る」

StoryWriter

お世話になっております。スクラッチの練習を始めたdigる男・ヨコザワカイトです。

最近オーディオ環境を整え始めまして、メインプリアンプやスピーカーを組み合わせて違いを楽しんでいます。今のメインプリアンプはSANSUI AU-α607 MOS Premium、スピーカーはvictor sx-f1sです。この組み合わせだと結構重心が低く落ち着く音になっているかなと思います。

そうなってくると、良い音で何を聴くのかと思考になってしまいまして、どうしても音の繊細さが要求されるジャズであったりクラシックなどを聴く頻度が増えています。しかし、音が悪いからといって悪い音楽というわけではありません。そもそも悪い音楽なんてあるのかっていう話です。

まあ、でも今までジャズやクラシックを聴いてこなかったものですから、これを機に少しずつその世界に入っていくのもいいのかなと思っています。皆さんのオーディオ環境はどのようなものなのでしょう?

そんな話はさておき、今週はそんないい音でも楽しめる1枚をご紹介します。

モザンビークのレジェンド

Eyuphuro『Mama Mosambiki』(1990)

モザンビークのレジェンド的バンドEyuphuroの1stアルバム『Mama Mosambiki』です。モザンビークで最初にCDをリリースしたバンドという記述も見かけましたが真偽はいかに。

モザンビークは、マダガスカル島のちょうど対岸にあたる場所にある国です。南アフリカやタンザニアなどと隣接しています。国名は、ポルトガル人が来航する前に北部沿岸の島を支配し交易をおこなっていたアラブのスルタン(イスラム教国の君主)の名前「Musa al bique」に由来しています。アラブの商人たちが金や象牙等の交易を通じて興隆したという歴史もあり、多種多様な民族の影響を受けた独自の文化を持っています。

Eyuphuro(エユフロ)も、そんなアフリカの伝統音楽と西洋のポピュラー音楽をミックスさせた文化的に豊潤でジューシーなサウンドが魅力です。本作『Mama Mosambiki』も有機的なリズムが病みつきになるような1枚でした。基盤はアフリカンな進行ですが、ギターとベースの音色がたまにアラビアンに組み合わさり多文化感を醸成しています。

ボーカルZena Bacar(ゼナ・バカール)の重心低めの倍音を多く含んだスモーキーな声も魅力ですね。モザンビークではかなり有名なボーカリストとのこと。

歌詞はバントゥ語系でモザンビークで最も広く話されている先住民の言語マクア語で綴られ、バンド名のEyuphuroはマクア語で「旋風」を表すそうです。まさに旋風を巻き起こすようなエネルギッシュなバンドですね。モザンビークの風はこのような心地良さを運んでくるのでしょうか。

 

この1枚は、横浜の中古レコードショップ『タチバナ』にて購入しました。初めて訪れたのですが、digが楽しすぎるめちゃくちゃいいお店でした。僕が行った時は入ってすぐの格安コーナーがなんとタイポップコーナーになっていて衝撃を受けました。ワールドミュージック~ジャズ / クラシック~7inchまで他のお店にはないような品が状態よく格安で並んでいます。バスでしかいけないという若干の立地の悪さですが、それでも何度も通いたくなるようなお店です。

ネット通販もやっているとのことなので、気になった方は是非覗いてみてくださいね。

https://www.m-tachibana.com/

※「【連載】digる男。」は毎週月曜日更新予定です。

ヨコザワカイト(よこざわ・かいと)
1997年生まれ、千葉県出身。大学では社会学を専攻している。StoryWriterで連載を担当しながら就職活動中、そして迷走中。最近は、密かに音源も制作している。

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