お世話になっております。digる男・ヨコザワカイトです。
価格、それは物の値打ちを表した金額のこと。
現在、CD / レコードの価格の下限は100円が基準になっています。しかし、レコ屋の隅に追いやられた100円コーナーには熱狂を生み出す無限の可能性が秘められているということをご存知でしょうか。
それを改めて思い知らされたのが、先日開催されたイベント〈DJ PIGEONの知らない音楽〉。出演者は、DJ PIGEON、柴崎祐二、数の子ミュージックメイト、珍盤亭 娯楽師匠、デラという超濃厚なメンツ。
「100円CDコーナーは、狩猟採集の文化」という名言を僕に託したデラさんを始め、ジャンクを極めた猛者たちの狂宴を覗いてきました。
DJ PIGEONの知らない音楽
もし100円コーナーが化けて出たとしたら、こんな風に襲ってくるのでしょうか。
Mr.マリック〜素人カラオケまで(これがどの範囲を指しているのかは分かりませんが)とにかく最初から最後まで「なんだその盤!?」というdig心をくすぐられる4時間。
新たなCD / レコードがかかるたびに、diggerたちがDJブースになんだなんだと群がる異様な光景が続きます。dig=掘るとはよく言ったもので、大型掘削機5台によって発掘された神秘の数々が渋谷の地下を揺らしました。
本記事では、会場内に設置されていた100円コーナーでdigった2枚をご紹介。
1枚目:RinneRadio and Wimme『File Under: Finnish Ambient Techno Chant』
邦題は『ユーロ・テクノ・チャント』。帯には、「神秘の国 北欧から到来した、たゆたいのテクノ・アンビエント」とあります。ちなみに、北欧は国ではありません。
フィンランド出身のRinneRadio / Wimmeが参加している曲のコンピレーションでした。ジャンルはアンビエント〜ワールドミュージック〜ジャズの融合といった感じ。ユーロでもテクノでもチャント(聖歌)でもないかな……?
もう何もかもあっていませんが、言葉にしづらいけれどもどこかしっくりくるという不思議な1枚。ここで巡り合わなかったら、一生出会わなかったかもしれません。
https://youtu.be/BeEzHGmskCE
2枚目:横山智佐『恋愛の才能』
『サクラ大戦』真宮寺さくら役などでも有名な声優・横山智佐、本作はOVA版『天地無用!』のエンディングテーマ「恋愛の才能」を収録したアルバムです。デラ氏いわく、100円コーナーにあったら絶対に買うとの触れ込み付きでしたので即購入。
可愛らしい声優声がクセになるのですが、それより何よりバックの演奏が素晴らしすぎます。うねるようなベースは、大瀧詠一や井上陽水のバックをつとめた長岡道夫(ミッチー長岡)、ドラムは松山千春のサポートもおこなった岡本郭男、2人のコンビはバンド・SHOGUNのコンビですね。さらに、サウンドプロデュースは藤原いくろうがクレジット。音がいいはずです。
そんな2枚を聴きながら、踊り狂った宴を思い出すのでした。100円コーナー、恐るべし。
DJ PIGEON:https://twitter.com/deejaypigeon
柴崎祐二:https://twitter.com/shibasakiyuji
数の子ミュージックメイト:https://twitter.com/cand_chewz
珍盤亭 娯楽師匠:https://twitter.com/Waterdamage1972
デラ:https://twitter.com/derax456
昨夜ラストに回した曲は、似たジャケに見覚えのある方がいたかもしれません。やっとお披露目できました。私が固定ツイートにしている若年層デュエットアンセム「空想世界」のアーティストが1994年にリリースしていた別アンセムをついに発掘。若年層シティポップの「雨ものがたり」でありました。 pic.twitter.com/BtoLt02PjK
— デラ (@derax456) September 13, 2020
※「【連載】digる男。」は毎週月曜日更新予定です。
1997年生まれ、千葉県出身。大学では社会学を専攻している。StoryWriterで連載を担当しながら就職活動中、そして迷走中。最近は、密かに音源も制作している。