watch more

【GO TO THE BEDS 連載】Vol.8 キャン・GP・マイカ編「格好つけるのをやめた」

StoryWriter

BiSHや豆柴の大群らが所属するWACKが手がけるGANG PARADE(以下、ギャンパレ)が2つに分裂して生まれたアイドルグループ「GO TO THE BEDS」。ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソンの5人で、2020年4月より活動をスタートさせた。

2020年7月にはグループ初となるフルアルバム『GO TO THE BEDS』をリリース。9月には1週間無人島でのサバイバル生活を行う企画を行い、2021年元日から10日連続ワンマンライヴを中野heavysick ZEROで開催、年間200本ライヴの目標を掲げた。1月には1st EP『REINCARNATION』をリリースし、3月には都内10箇所を巡るライヴハウスツアーを実行中だ。

そんな彼女たちに迫る個別インタビュー連載が2周目に突入。第3回目となる今回は、ダンスや振り付けの中心を担うキャン・GP・マイカにインタビューを実施。昨年末の振り返りから、2021年現在のGO TO THE BEDSまで、話を訊いた。

取材&文:西澤裕郎
写真:まくらあさみ


何かが吹っ切れた

──10日間連続ワンマンライヴ〈GO TO THE 10DAYS!! ~From 2021〜〉初日公演で、GO TO THE BEDSは年間ライヴ200本を宣言しました。コロナ禍の中、かなり意思を持った宣言だったと思うんですけど、どういう想いから発表した宣言だったんでしょう。

関連記事:GO TO THE BEDS、2021年幕開け元日ワンマンで“年間200本ライヴ”を宣言

マイカ:GO TO THE BEDSを始動してから、SLEEPER(※ファンの総称)に、支えてもらうことばかりだったんです。今年は自分たちからSLEEPERにたくさん会いに行き、その中でよりその輪を広げていかないと駄目だと感じたのと、この時代だからこそやらなければという想いを持って、年間200本という目標を掲げて動き出しました。

──2021年頭からスタートダッシュを切るんだ、という気持ちも強かった?

マイカ:強かったですね。去年末に「マジ神」の可愛いVer.を出して、ハッピーニューイヤーの瞬間にダークVer.を出したんです。そこから10日間連続ライヴをして一気に攻めようというところで、またグループとして自由に活動し辛い状況になってしまって。GO TO THE BEDS最初のEPリリースやアルバムリリースのタイミングに第何波って感じになることが多くて。本当はもっとリリース・イベントをやらせてもらう予定だったんですけど、なかなか上手くいかない日々が続いてしまったんです。

 

──何度も出鼻をくじかれて、へこたれたりはしなかった?

マイカ:へこたれはしなかったですね。緊急事態宣言前にスタッフさんが動いてくださって、EP『REINCARNATION』を出させてもらえたし、へこたれている暇がなかったです。またこういう状況になっちゃって、ライヴ200本を有限実行できなかったらどうしようという心配はありましたけど、前だったらどうしようと焦って終わっていたのが、今は、じゃあどう動くか、ちょっとずつ考えられるようになってきて。やることは常にあるなと考えて動いています。

──昨年9月にMV「現状間違いなくGO TO THE BEDS」の撮影で103回連続パフォーマンスをしたとき、マイカさんがヘロヘロになったことに対して落ち込んでいたと、ドクソンさんのインタビューで聞きました。

マイカ:西澤さんが密着してレポートを書いてくださったじゃないですか。それが嬉しくて、こういうことあったなと読んでいたら、「20回目にしてキャン・GP・マイカの声がでなくなり」みたいに書いてあって。自覚はあったんですけど、改めて文字で見て、大事なMVだったのにヘタレてしまったとちょっと落ち込んだんですよ。逆に、他の4人は103回の時に本当に強くて。ちょっと目が合ったら頑張ろうという眼差しをくれたり背中から伝わってくるものがあったのに。

関連記事:全裸、うんこ、103連発…… GO TO THE BEDSゲリラMV撮影24時間密着レポート

──その後行った1週間に渡る無人島生活では、マイカさんがみんなにガッツを与えていたとドクソンさんが話してくれました。

マイカ:私は何を言われてもメンタルは病まないというか。もともと病みの部分が自分にあまりない陰キャとはほんとにかけ離れている人間なんですよ。無人島生活を1週間やらせてもらって、最後のイカダで脱出の時、みんながしんどそうだったんです。マイカ的にもしんどかったけど、イカダの時にみんなが小さくなって声も出ないみたいな状態を見て、体力面ではみんな同じぐらい疲れていたと思うんですけど、心的なところでいけたんですよ。ここでみんなに恩返しをと思って、3時間ちょっとイカダを漕ぎながら「オーエス! オーエス!」って言ったり「まだいけるよー!」とか、みんなの好きな食べ物を言ったりしていて。無人島生活が終わったあと、みんながそれに助けられたと言ってくれて。最後のチャンスと思って心の中を一新して諦めない気持ちで臨んだんですけど、もう何歩か頑張ればなんでもできるっていうことを身にしみて感じて、そこから何かが吹っ切れたというか、結構すっきりして生きています。

爆発的にヒットするかどうかは自分たち次第

──さっき話に出た「マジ神」のかわいいVer.を発表したときは、どんな心境だったんでしょう。アイドル然としたフリフリの衣装でしたよね。

マイカ:あれは『マジカミ』のタイアップもあってのキラキラだったんですけど、SLEEPERは不安になるだろうなと思っていました。103回連続パフォーマンスのMVを撮って、無人島に行って、かわいい路線にいって…… さすがに迷走していると思われたらどうしようと思ったんですけど、Twitterの反応とかを見ていると意外と嬉しいみたいな声が多くて(笑)。あんなキラキラの衣装は、まだギャンパレ時代のココユユドクが入る時以来だったので、記念ですね(笑)。

アイドル然としたフリフリの衣装のGO TO THE BEDS

──久しぶりにキラキラの衣装を着て、どういう気分でしたか?

マイカ:ここまで来て、こんなフリフリで、きゅぴ!キュン! みたいなのをやると思ってなかったので、ぎこちない感じがありました。それが嫌ではなかったんですよ。アー写が公開されるまで、みんなでソワソワしていたんですよ。大丈夫かな、ギャグに振り切る? みたいな。いろいろ話していたんですけど、フィッティングの時にそってぃーさん(外林健太 / WACKの衣装・写真を手がける)が意外といけるって言ってくれて。それで大丈夫かって思ったんですけど、マネージャー陣がみんな爆笑していて(笑)。

──上記の流れは初期BiS時代の「IDOL騒動」をなぞっているわけじゃないですか。「現状間違いなくGO TO THE BEDS」のMVもBiSやBiSHの歴史をモチーフにしたものなわけで、WACKの歴史をトレースしていることに関しては、どのように感じていますか。

 

マイカ:WACKで活動している人間としてはすごくうれしい気持ちはあるんですけど、その企画をやってドカーンと爆発的にヒットするかどうかは自分たち次第だと思っていて。同じこととか、パロディをやらせてもらっている分、プレッシャーとまでは言わずとも、自分たちの実力がまだまだということも感じます。

イノシシとかゴリラモードの方が自分たちの思いが届く

──1月にリリースした1st EP『REINCARNATION』は生まれ変わりがテーマになっています。2021年になって、心機一転GO TO THE BEDSとしてやっていくんだというスタンスが作品からも伝わってきますよね。

マイカ:今、WACKのグループも増えて、かっこいいとかかわいいとか色々な路線がある中、私たちは全ジャンルやらせてもらっていて。ギャンパレの時もそうだったけど、かわいいものから、いかついもの、お笑い的なことまで全部やってきたので、1個に囚われずできることは全部やって楽しんでもらえたらなと思っています。

──EPはGO TO THE BEDSにとってどんな作品になりましたか?

マイカ:『REINCARNATION』には生まれ変わりという意味があるんですけど、このタイミングでEPのタイトルにつけてもらえたのが嬉しくて。1個前のアルバムは、生き返らない的な歌詞が多かった印象があって。今回のEPには「赤ちゃん」の生まれ変わりとか、「マジ神」は「もう死んでない」とか「ずっと強いから」というフレーズがあって。前のアルバムとはちょっとずつ変わって前に進めるような歌詞が増えたなと思っているんです。メンバーの作詞でも希望が見える歌詞が多かったので、すごくいいなと思っています。

──振り付けは、マイカさんが軸となって考えたんですか。

マイカ:私が土台を考えて、そこにみんなからのアイデアをもらっていきました。ただ、意見をもらうことがプラスになる時とマイナスになる時があって。これまで、それによってブレちゃうことがあったんです。無人島以降ぐらいから、振り付けを作るにあたっての向き合い方もちょっと変えて。「赤ちゃん」の振り付けは4、5回くらい変わったりしています。

──なぜ4、5回も変わったんですか?

マイカ:そのぐらいの時期から有観客ライヴができるようになってきて。お客さんは椅子の前で声を出せない状態だったので、最初に考えた振りだと、いまいち観ている方の気持ちが乗り切れないと思ったんです。あと、新人グループだったら最初の振りでよかったかもしれないけど、キャリアの長いメンバーの多いGO TO THE BEDSがやる振りじゃないよねって意見をもらったりして、結構試行錯誤しました。既存の曲もブラッシュアップさせて、声を出せない状況で、よりお客さんが一緒に楽しめる振りにしたり、ライヴを重ねていろいろ試していったんです。そうやって振りをアップデートさせていきました。

──環境や時代にあわせて振りに対する考え方を変えるのは大変でしたか。

マイカ:大変でした。GO TO THE BEDSは歌詞をちゃんと届けたい気持ちもあって。私の作る振り付けは、結構複雑だと言われるので、もっと分かりやすくした方が、お客さんに届きやすいかもとか、いろいろ考えていたんです。こういう魅せ方をしたいという自分もいたので、そこが難しいところで。松隈(ケンタ/サウンドプロデューサー)さんが作ってくれた曲が振り付けで台無しになっちゃう可能性もあるじゃないですか。そこは結構悩みました。こんな陽キャ人間でも悩むことがあるんですよ(笑)。そういうときは、マネージャーさんに電話したり、メンバーのみんなに相談して。ここで諦めない方がいいんじゃない? って言ってくれたので、最後まで諦めずに作ることができました。

──ホールや広いステージでライヴがある一方、中野heavysick ZEROのようなコンパクトなステージでライヴをすることもありますからね。

マイカ:ライヴハウスだったらギュッとした動きでいいけど、幅のあるホールのステージとかだと大きく動いた方がいいとか、会場によってフォーメーションを変えたり、その時に応じて変更していますね。ライヴ配信のときもあるし、どういう状況で観ても楽しいようにしなきゃなっていうので、すごく難しいです。

──そういう臨機応変な対応がマイカさんの強みというか糧になるんじゃないかなとも思います。

マイカ:GO TO THE BEDSが始動した時は格好つけていたんです。でも、うちらはやっぱり格好つけきれないよねって悟ったときがあって。ギャンパレ時代からのイノシシとかゴリラモードの方が自分たちの思いが届くなと思ったんです。GO TO THE BEDSのダークなビジュアルに囚われすぎていたというか。それじゃあ、うちらの届けたいものも届かないし良さが出ない。どこのグループよりも足を太ももから上げるとか、高く飛ぶとか。その姿を見て元気になってもらえたらと思うし、バカなことを一生懸命やりたい。無人島で死にそうなところも観て楽しんでもらうのがうちらだよねってなって、かっこつけるのはやめました。

──たしかにそっちの方が、GO TO THE BEDSのメンバーらしさがありますよね。

マイカ:そう、らしさ。表面上だけで格好つけるのは違うってことに気がついたんです。

未来に繋がるツアーにしたい

──元旦から10日間連続で行ったワンマンライヴ、振り返ってみていかがでしたか。

マイカ:ライヴハウスにお客さんがいる状況が本当に久しぶりだったのと、10人限定ということもあってSLEEPERとの距離が近かったんです。最初はちょっと恥ずかしかったんですけど、試行錯誤しながらやっていくうちに、前こういう感じでやっていたよねっていう感覚が取り戻せていきました。メンバーでライヴの内容を企画したり、セットリストを考えたりさせてもらって純粋に楽しかったんです。もちろん自分たちがやりたいことばかりやるんじゃなくて、何をしたら喜んでもらえるか、楽しい思い出になってくれるかをすごく考えました。

──体力的にはどうでしたか? 1日2公演の10日連続ワンマンという部分で。

マイカ:体力的には、もっとやばいかなと思っていたんですけど、SLEEPERもぶつかってきてくれたから、へこたれている場合じゃないなと思ったし、楽しくてアドレナリンがめちゃめちゃ出ていて疲れはなかったです。毎日違う内容でやっていたから発見もあったし楽しかったのもあります。「現状間違いなくGO TO THE BEDS」を17回やった日があったんですけど、マネージャーさんが間違えて1回多くやっちゃったんです。うわー久しぶりに、私たちが知らないサプライズが来た! とか思って(笑)。MV撮影で103回やっていたので、体力的には全然平気だったし、アットホームな雰囲気で楽しかったですね。今後10人規模が何人規模になっても、この空気感をライヴハウスでもホールでも作れたら最高だなって。

──その後再び緊急事態宣言が出てしまい、当初の計画通りにいかない部分もあると思いますが、今も年間200本は目標に掲げてやっているんですか?

マイカ:こういう状況だけど、周りの方々がたくさん動いてくれて、なんとか都内ツアーができることになって。今まで行ったことない、はじめましての会場ばかりなんです。都内で全くライヴをやっていなかったので、都内の人にもっと会って地盤を固めていきたいなって。ただ、200本やることが目標になってはいけないなと思って。ただ数をこなすのじゃ意味ないから、1本1本ちゃんと成長できるようにしたいし、ちゃんと未来に繋がるツアーにしたいなと思います。

──ギャンパレ時代から考えるとキャリアの長いメンバーが多いですが、今後GO TO THE BEDSをどんなグループにしていきたいですか。

マイカ:年内にどこでライヴをしたいとか、今年までにここまでいきたいねって話はメンバーでしているんですけど、何周か回って格好つけるのをやめて、常に初心でやるのが1番だなと思うんです。でも、それってすごく難しくて。初心って言っているけど、本当の新人の子たちみたいにやればいいわけでもないし、ただがむしゃらにやっていたら何も届かない薄っぺらいライヴにもなっちゃうし。お客さんも私たちも人間だから、気持ちをちゃんと込めれば伝わるなって思うんですよ。等身大の自分たちで積み重ねてきたものは少なからずあると思うので、それを信じたい。私たちが弱気になると周りもそういう雰囲気になるから、いい雰囲気を出していきたいなと思っています。自分たちが楽しんでやるのが1番。WACKツアーも始まっているんですけど、ライヴができるのが当たり前じゃなくなった世の中だから、1本1本がすごく楽しいです。

──GO TO THE BEDS自体、昨年はもがいているときが多かったので、今年に入ってから前を向いて走り始めた感じがありますよね。

マイカ:いい意味で吹っ切れたじゃないけど、本当にやりたいことをちゃんとやるっていうマインドになったんです。これをやったらこう言われちゃうとか、気にするけど、気にしすぎず、うちらだからできることがあると思っています。

──現在〈FEAR OF THE DARK TOUR〉を開催中ですが、どんなツアーにしたいですか。

マイカ:グループが始動してから全くと言っていいほど都内でライヴができていなかったので、背伸びしすぎずに1個ずつしっかりライヴをして、未来に繋がるツアーにしたいです。GO TO THE BEDSの現場は楽しい、というのをファンの方にも、この先ファンになってくれるかもしれない方にも、ちゃんと思ってもらえる、そんなツアーにしたいと思っています。楽しみたいです!


■イベント情報

〈FEAR OF THE DARK TOUR〉※ALL SOLD OUT
2021年2月27日(土)@東京・四谷アウトブレイク
2021年3月2日(火)@東京・LIVE HOUSE FEVER
2021年3月5日(金)@東京・立川 BABEL
2021年3月6日(土)@町田 The Play House
2021年3月7日(日)@東京・吉祥寺 Planet K
2021年3月10日(水)@東京・新宿 MARZ
2021年3月13日(土)@東京・池袋 RED-Zone
2021年3月14日(日)@東京・新大久保 CLUB Voice
2021年3月15日(月)@東京・下北沢 SHELTER
2021年3月20日(土)@東京・八王子 Match Vox
料金:立ち位置指定 3,500円(税込)
【受付URL】http://w.pia.jp/t/gttb

GO TO THE BEDS PROFILE

ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソンの5人からなるアイドルグループ。読み方は“ゴートゥーザベッツ”。

2020年3月、所属する音楽事務所WACKが主催するオーディション合宿「WACK合同オーディション2020」最終日に事務所代表の渡辺淳之介より「ギャンパレ」を2つに分ける形で結成がアナウンスされた。

2020年4月1日に同日結成した「PARADISES」とのスプリットアルバム『G/P』をリリース。

同年7月22日に初のフルアルバム『GO TO THE BEDS』、2021年1月13日に1st EP『REINCARNATION』をリリース。

https://gotothebeds.com/

PICK UP