BiSHやBiS、豆柴の大群が所属する音楽プロダクション・WACKの次世代アイドル育成グループ、WAgg。これまで、ナルハワールドがGANG PARADE(現在・PARADISESで活動)に、ハナエモンスターが豆柴の大群に昇格するなど、合計5名の昇格者を輩出している。
そんなWAggに新しく加入を果たしたベル・ナルド。2021年3月、1週間に渡り開催された「WACK合宿オーディション2021」に参加し自信をつけた彼女は、2021年5月30日に新宿LOFTで堂々とお披露目ライヴを行った。それに満足することなく、昇格を見据えて歩み始めたベル・ナルドの初インタビューをお届けする。
取材&文:西澤裕郎
写真:まくらあさみ
そこまで何かを頑張ると世界が変わるのかなと思った
──5月30日の新宿LOFTでのお披露目ライヴ、振り返ってみてどうでしたか?
ベル・ナルド:出る直前も、ステージに立った瞬間も、めちゃくちゃ不安で緊張していたんですけど、1曲目の「STUPiD」が始まってからは本当にあっという間で。間違えたところもあったし、悔しい部分もあったんですけど、本当に楽しかったです。
──いきなりの3部制でしたが、体力的にはどうでした?
ベル・ナルド:体力は大丈夫だったんですけど、腕の筋肉が全くなくて。本編ラストの「CURTAiN CALL」で全然手が上がらなくなっちゃった。足だけでも、顔だけでもと思って必死でした。
──合格してからお披露目までの2ヶ月間は、長かった?
ベル・ナルド:長かったです。学校が終わった後も、休みの日も、ずっと歌って踊っていたんです。それをやってないと本当に焦っちゃって。ずっと動いていました。
──合宿オーデに向けても準備をしたり、デビューまでもずっと練習をしていたり、勉強など普段からしっかり予習するタイプですか。
ベル・ナルド:全くしないです(笑)。勉強は全くできないし、コツコツやることもできない人で。テストも、いつも前日とか1週間前に焦ってやる感じなんです。
──それは、すごく意外ですね。
ベル・ナルド:合宿に参加するまでの自分は、めちゃくちゃ心配性で。いろいろなことが怖いから、ずっと遠くから見ていたり、逃げているような性格だったんです。今は新しいことがいっぱい始まっていて、「次何があるんだろう?」って、新しくできることがすごく楽しみになりました。
──そもそもアイドルに興味を持ったきっかけはなんだったんでしょう?
ベル・ナルド:姉がきっかけで、でんぱ組.incを好きになったんです。夢眠ねむさんが笑顔で活動しているところがめちゃくちゃ好きで。私は、愛情だったり、元気をくれるアイドルがめちゃくちゃ好きなんです。だんだんライヴにも行くようになって、自分でもいろいろなアイドルを調べたり、YouTubeをいっぱい観るようになりました。
──WACKはどうやって知ったんですか。
ベル・ナルド:それも姉の影響で。中でも、映画『世界でいちばん悲しいオーディション』と『IDOL -あゝ無情-』を観たとき、今まで自分はそういう厳しいところにいったことがなかったから、すごく焦ったんです。自分でもWACKについて調べるようになるうちに、どんどんステージに立ってみたいなと思い始めて。
──『IDOL-あゝ無情-』は2期BiSの崩壊の様子が描かれています。アイドルになるのに躊躇するわけでなく、なりたいと思ったのはすごく興味深いですね。
ベル・ナルド:衝撃的だったんです。候補生の子たちもみんな必死になって、ボロボロになっていた。デスソースを必死で食べていたり、早朝マラソンを泣きながら走っていたり。そこまで何かを頑張ると世界が変わるのかなと思ったんです。2期BiSさんたちも、どんどんボロボロになっていって。映画の内容はすごく重いしドロドロな感じだったんですけど、最後のシーンで3期BiSが始まるじゃないですか。映画も「STUPiD」で終わる。最後はもう次に進んでいるんだなと思って、そこに惹かれたのかもしれないです。
小学校4年生のときに言えた自分の気持ち
──学校などでの友だち付き合いや、人との接し方はうまくできるほうでしたか。
ベル・ナルド:小学校のときはしょっちゅう喧嘩をしていて。クラスに怖い女の子とかが何人かいて、なんでか分からないけど、その子たちと同じグループになることが多かった。それが嫌で、小学校2年生ぐらいのとき、本当に学校に行きたくなくなっちゃったときがあったんです。でも、休むのも怖くて休めなくて。
──喧嘩するというのもすごく意外です。
ベル・ナルド:自分から「ごめんね」って言うことが多かったんですけど、小学校4年生のときに、どう考えても自分は悪くない出来事があって。そのときに全部言ったんです。そこで1回、自分の気持ちを言えたら、それ以降も言えるようになって。そのときのおかげで、ちゃんと言えるようになりました。
──部活は何かやっていた?
ベル・ナルド:小学校は音楽部でアルトホルンをやっていて、中学は合唱部で、高校はマーチングバンド部です。
──本当に音楽中心の生活だったんですね。アイドル以外でよく聴く音楽は?
ベル・ナルド:いくつかあるんですけど、大森靖子さんとかクリープハイプとかも聴きます。つらいときとか、ボロボロになって泣ける音楽が好きなんです。そのアーティストが好きというより、曲が好きになってその人に興味を持つことが多いです。
──音楽以外で、好きなものはありますか?
ベル・ナルド:映画がめちゃくちゃ好きです。中でも『アベンジャーズ』がすごく好きで。あと、お父さんの影響なんですけど、ジャッキー・チェンもめちゃくちゃ観ていて。好きになって自分で借りに行って全部観ました。アベンジャーズも1人1人に物語があるじゃないですか。全部借りて観ました。アクション系が好きですね。
自信を持ってその人になりきってやるのが大事だと学んだ
──WACKオーディションはどうして応募しようと思ったんでしょう。
ベル・ナルド:将来のことを考えたときに、親にお金を払ってもらってまで本当に進学するべきなのかと思って。自分がやりたいのはなんだろうと思っていたときに、ずっとやりたいと思っていたWACKオーデの募集があったので、試しに書類を送ってみたんです。書類で落ちたら諦めて勉強しようと思ったんですけど通って。通った…… と思ってビックリしたんですけど、最初は進路に迷っていたことがきっかけでした。
──合宿終わって最後に話を訊いたとき、「この合宿で私は最初ビクビクしていた」って話してくれましたよね。
ベル・ナルド:めちゃくちゃビクビクしていました。渡辺(淳之介/WACK代表)さんだ……!と思ったり、合宿に来ている……! と思ったり、歌唱審査で周りの子がすごく上手かったり、かわいい子もたくさんいて、やばいどうしようってずっとビクビクしていて。歌唱審査も緊張して思ったより歌えなくて、すごく怖かったです。
──同時に、このままじゃいけないなって気持ちもあった?
ベル・ナルド:ありました。目立たないといけないし、その中で埋もれていたら絶対ダメだと思って。最初のグループで審査をしたとき、一緒になった4人の中で目立ててないなと感じたんです。そのグループでパフォーマンス審査1位をとれたんですけど、その1位は私の力ではないと思って。そこからは自分も目立つようにならなきゃと思って、緊張するとか、ビクビクするとかはなくなった気がします。
──ちゃんと自分で状況を把握して、客観的な判断を見出せるのはすごいことです。
ベル・ナルド:そのあと、グループの入れ替えがあったんですよ。そこで、自分もできるんだっていうのをどうしても見せたくて。結果、新しいチームでも高い順位をとれたんです。それがちょっとだけ自信になって。そこからWACKメンバーの方々が合流して、いろいろな話とか教えていただいていくうちに、もっと自信を持って頑張ろうと思うようになりました。
──BiSのチャントモンキーさんから「自信を持つことが1番大事、根拠のない自信が1番かっこいいから」と言われたことも大きかったと話してくれましたよね。
ベル・ナルド:それは、すごく大きかったですね。チャントモンキーさんとのグループは、それまでの進め方とちょっと違って。歌割りはパッと決まったんですけど、立ち位置とか振りが全然決まらなくて。みんなで振りを決めたり案もたくさん出したんですけど、焦っちゃっていた。ラスト30分くらいまでめちゃくちゃ悩んでいて。どうしようってなったときに、チャントモンキーさんが「自信を持ったら、どんなにダンスも歌も下手くそでも本当にかっこよくなるから」ってたくさん話をしてくれて。それで、自分はGO TO THE BEDSさんなんだって気持ちでやろうと思って。それまでとは違う気迫を出すことを目標に課題曲を「現状間違いなくGO TO THE BEDS」に決めたので、自信を持ってその人になりきってやるのが、すごく大事なんだなと学びました。
──結構大きい転換ポイントですよね。これまでの人生は心配性で、事前に大丈夫なように体に叩き込んで臨んでいたけど、気持ちとか気合いだけで臨んだわけですもんね。それまでのと真逆の考え方ですけど、それをやり切ったことで手応えを感じましたか?
ベル・ナルド:やっているとき、めちゃくちゃ楽しくて。今までは楽しむというより、見られている気持ちが強くて。目の前に渡辺さんもいらっしゃって、他の人たちも見ているのが気になっていたというか。でもそのときは、こんなに自信ありますって感じでやっていたから本当に楽しくて。終わった後も達成感があって、今までとは全然違いました。
追い越したいなってすごく思ったんです
──今年の合宿では、合格者発表の直前に「自分への手紙」という課題がありました。前日の夜から書き始めたわけですが、書くのに苦労はありましたか。
ベル・ナルド:最初は一言目が何も思い浮かばなかったんです。もともと国語がめちゃくちゃ苦手で、古典も現代文も文章を書くのが本当にできなかった。いつも点数がめちゃくちゃ低くてどうしようと思っていたんです。本当に考えられなくて、ずっと手が止まっていたんですよ。だけど、ココ(・パーティン・ココ)さんに「本当に正直に書かないと絶対伝わらないから思ったことをそのまま書けばいいんだよ」って言っていただいて。今私が思っていることはなんだろうと考えたんです。教えていただいたこととか、パフォーマンスをして感じたこと、これからどうしたいか、自分の頭にあったので、それを書こうと決めて。そこからはスラスラ書けるようになりました。
──すごくいい手紙だと思いました。改めて今、自分で読み返して、どう思いますか?
(しばらく読み返す)
今の私へ(テラタイリク・ユウカ)
あなたは最初合宿オーディションに参加してすぐのとき、ずっと不安で、すべてのことが怖くて、一歩前に出る勇気が出せなかったことを後悔していると思います。あなたはもともと、人から教えてもらったことしかできなくて、辛いことから逃げてきて、何事もすぐ諦めるような人間でしたね。でも私はあなたはどこまでも変化し続けてくれると今でもずっと信じています。あなたは何かに期待することと信じることで自分の苦しみから逃げてきたと思います。そんな呆れてしまうような気持ちのままオーディションを迎えたと思います。あなたは本当に自分に自信がなくて、でもそれでも誰か1人にでも心に残るパフォーマンスをするために、WACKのメンバーの方々やスタッフさんにヒントをもらいたくて、声をかけてお話をいただいたからこそ、いまのあなたがいると思います。
あなたははじめマラソンのとき、後ろから越されることを心配していたと思います。でもいまは、遠くにいるWACKのメンバーの方々を追い越そうとついていくのに必死になっていますね。いつの間にか諦めないで変わろうと、常に目標を探しているあなたは、きっともう昔のあなたより少し成長していると思います。あなたはきっともっとあなたらしいパフォーマンスができると思います。目標に立ち向かわずに諦めるのはもうこりごりですよね。そんなあなたを私ももう見たくありません。私はあなたが、自分に自信をたくさん持って、たくさんの人の心を動かすような、誰にもできないあなたらしい何かをみつけて、変わり続ける姿が見たいです。お願いだからみせてください。たくさん失敗してください。ずっと根拠のない自信を持ち続けてください。
自信のなかったあなたに声をかけて笑顔にしてくださった方、あなたのために涙を流してくださった方の一つ一つの言葉をずっと大切にしまっておいてください。もっと期待される存在であってください。たくさん想像して、たくさん悩んでほしいです。あなたは人から嫌われやすいけど、そんなことを気にするのはもうやめて、飛び込み続けてください。あなたの周りには応援してくれる人がいます。しっかり受け止めて感謝を忘れないでほしいです。あなたはもっと変われますよね? 絶対に諦めないでください。私はもう、あなたを信じることしかできません。私はあなたがステージの上で輝く姿が見れることを願います。全てを楽しんで、力に変えてください。できるはずです。見せてください。楽しみにして待っています。
私より
ベル・ナルド:合宿のこと、すごく思い出しました。本当にいろいろな刺激を受けたから言葉が思いついたんです。それまでは、上手く話したり綺麗な言葉を並べて話すことしかしていなかったけど、あのときは綺麗な言葉だけ並べるのをやめようと思って。ほとんど内容を忘れていたんですけど、今読んだら合宿のことを思い出しました。
──「遠くにいるWACKのメンバーの方々を追い越そうとついていくのに必死になっていますね」と書いているように、背中を見ているだけでなく、追い越したい気持ちになっていたんですね。
ベル・ナルド:ココさんユユさん月ノさん3人の「pretty pretty good」を観たとき、私もこれがやりたかったんだって強く思ったんです。その後のマラソンで、最後にココさんを抜いたんですよ。めちゃめちゃ走ってココさんを追い越せた。それはマラソンだけなんですけど、これからもちゃんと目標を見つけて、先輩方のいいところをたくさん見て、それを追って、追い越したいなってすごく思ったんです。
私が引っ張ってやるんだぐらいの気持ちでいます
──合格発表の瞬間はどんな気持ちでしたか?
ベル・ナルド:全部出しきったので、もし落ちても合宿でちゃんと学んだことがあったから、それが絶対に活かせると思っていました。でも、やっぱり受かりたい気持ちでした。どんどん名前が呼ばれていって。最後に、WAggで名前を呼ばれたんです。最初は、うわーやったー! っていうのはなくて、あ、WAggに入ったってなって呆然と思っていて。だんだん実感が湧いてきたんです。WAggは研修生グループなので、ここからもっと頑張らなきゃいけないというか、本当にこれからだなって感じていました。合宿後のコメントでも話したんですけど、リンリンさんから「今の気持ちを忘れないで」って言葉をいただいて。本当に忘れちゃダメだなと思ったし、今、手紙を見て思い出したことが何個かあったので、そのときの気持ちは忘れないようにしたいです。
──WAggの雰囲気自体はどういうふうに感じましたか?
ベル・ナルド:みんな本当にやさしいなと思って。メンバーと合流するまでずっと練習はしてきたんですけど、合わせたときに私の実力がなさすぎて。体力もないし、覚えるのも遅いし、すごく迷惑をかけたんですけど、それでも「ちゃんと覚えてきてくれてありがとう」と声をかけてくれたり、ずっと支えてくれて。「もっとこうするとよくなるよ」とか、常にウサギちゃんもみんなを引っ張ってくれていた。ウサギちゃんはPARADISESに戻るから、そういう意識もちゃんと他のメンバーたちは持っていて。ウサギちゃんにだけ頼るのをなくそうって話をして。最初はちょっと不安だったんですけど、このグループでいっぱいいろいろな経験を重ねて頑張ろうと思いました。
──お披露目ライヴでは、第3期BiSはじまりの楽曲「STUPiD」、第2期BiSはじまりの楽曲「BiSBiS」、初期BiSの1stアルバム1曲目「Give me your love 全部」と、歴代BiSのスタート時をかざった楽曲を3連続で歌いました。
ベル・ナルド:その3曲は、すごくうれしくて。「BiSBiS」は私だけじゃなく、聴いているお客さんもきっと思い入れがあるんじゃないかと思っていたから、曲の雰囲気をちゃんと表現できるようにたくさん聴き込みました。YUiNA EMPiREさんにもいろいろ話を聞いたりしました。練習しているときから、すごく楽しかったです。
──MCで、「WAggのみんなの背中を追いたいし、絶対に追い越します。(中略)もっとWAggのよさをたくさん見つけて、それを引き出して、昇格して、もっともっとたくさんの人に見てもらいたいし、大きなステージに立ってデカくなりたいです」と語っていました。WACKでの活動を通して、どういうことを達成したいですか?
ベル・ナルド:私は1番新人だけど、メンバーが互いに刺激し合って引っ張っていかなきゃいけない。WAggの目標は昇格なんですけど、先輩グループのいろいろな曲ができたり、WAggだからこそできることもたくさんあって。それをしっかり表現したい。あと、練習しているときに、ウサギちゃんの背中を見ているので、もっと吸収して、私が引っ張ってやるんだぐらいの気持ちでいます。今は練習とか、進め方とか、どうやったらみんなの意識が高くなるのかとか、観察しているので、この先のグループのことを考えて吸収しようと思って見ています。
──ベル・ナルドさんは、どんなアイドルになっていきたいですか?
ベル・ナルド:私自身、WACKの曲を聴いて、やらなきゃとか、いろいろ思うことがたくさんあったから、もっとたくさんの人にWACKの曲を聴いてほしいんです。アイドルはダンスと歌といろいろ伝えられる機会があるので、そういうチャンスを全部使って、1つ1つの曲の思いをちゃんと伝えたい。ライヴに来て本当によかったなとか、応援していてよかったと思ってもらえるように、愛やエールを届けられるようなアイドルになりたいです。
■公演概要
〈WAggs〉
出演:WAgg
2021年6月13日(日)@愛知 名古屋栄LIVE HOUSE CIRCUS
1部公演 open/start 12:30/13:00
2部公演 open/start 15:00/15:30
3部公演 open/start 17:30/18:00
[問] 名古屋栄LIVE HOUSE CIRCUS 052-265-5639
2021年6月20日(日)@大阪 ESAKA MUSE
1部公演 open/start 12:30/13:00
2部公演 open/start 15:00/15:30
3部公演 open/start 17:30/18:00
[問] ESAKA MUSE 06-6387-0203
2021年6月27日(日)@東京 duo MUSIC EXCHANGE
1部公演 open/start 12:30/13:00
2部公演 open/start 15:00/15:30
3部公演 open/start 17:30/18:00
[問] duo MUSIC EXCHANGE 03-5459-8716