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【LIVE REPORT】ZOC、鎮目のどか加入後初ワンマンで表現した「2021年の音楽」

StoryWriter

現在、全国22会場42公演に及ぶライヴハウスツアー〈ZOC FOR PRAYER TOUR 2021 SUMMER〉を開催中のZOC。大森靖子がプロデューサー兼“共犯者”としてメンバーを務め、西井万理那(ex. 生ハムと焼うどん)、藍染カレン、巫まろ(ex. 福田花音 / アンジュルム)、舞踊家のrikoこと雅雀り子に、3000通を超える応募の中からオーディションを勝ち抜いた15歳の新メンバー・鎮目のどかが加わった6人体制の初ライヴにして、ツアー初日となった2021年6月10日のTSUTAYA O-EAST公演を、ライターの宗像明将がレポートする。


ガールクラッシュへの日本からの回答

新メンバー・鎮目のどかの歌声が会場に響く。独唱にしてアカペラだ。その声は感極まったかのように震え、目からは涙が溢れていた。15年の人生を絞りきるかのように、彼女の声は揺らぎ続ける。鎮目のどかが「family name」のサビをひとりで歌いきったとき、会場のファンからは拍手が沸き起こった。

鎮目のどか

2021610日、ZOCのワンマンライヴツアー〈ZOC FOR PRAYER TOUR 2021 SUMMER〉の初日はこうして幕を開けた。2枚組アルバム『PvP』のリリース翌日、渋谷TSUTAYA O-EASTでのことだ。渋谷駅前にはZOCの大型広告が貼りだされ、アドトラックが走っていた。

この日は新体制のお披露目ライヴだったが、鎮目のどかは最初の「ZOC序曲」からステージにおり、約90分のステージの全曲を歌い踊ってみせた。オーディションに受かると思っていたと豪語するだけあって、強烈であろうプレッシャーも跳ね返してしまった。この公演では、彼女が落ちサビを歌う場面すらあったのだから。

PvP』収録の新曲「①④才」では、他の5人のメンバーのフォーメーションの間でソロを踊る雅雀り子が素晴らしかった。そして、「①④才」が終わるとメンバー全員がステージに倒れ、ファンからの拍手が起きないほど見る者を飲んでしまった。そして、「①④才」から「DON’T TRUST TEENAGER」へと「10代」をテーマにした楽曲が続いたのは、持続する刹那を歌うZOCらしい演出とも感じた。

雅雀り子

PvP』の新曲群もすべてキャッチで、ポップスとしての強度が高すぎるほどだ。そして、ライヴ会場で改めて生で聴くと、「SHINEMAGIC」や『PvP』の新曲「LiBiDo FUSION」が現在の欧米のR&Bを通過しているトラックであることにも気づかされる。

藍染カレン

西井万理那

巫まろ

そして、この日の会場も多くの若い女性がフロアを埋めていた。女性に支持されるK-POPの女性グループは「ガールクラッシュ」と表現されるが、ガールクラッシュへの日本からの回答はやはりZOCなのではないだろうか。ただし、ZOCはより複雑に心の襞を描きとる。「A INNOCENCE」の〈誰にも言えない人生〉とは何なのか。「AGE OF ZOC」における〈一億二千万の多様性が美しいだろ / 美しいと言え〉という歌詞には、圧も切迫感もある。「陰のガールクラッシュ」という表現がふと頭をよぎる。

MCでは、メンバーの多くが大森靖子の音楽を信じていると発言していた。そして大森靖子はこう続けた。

大森靖子

「私も大森靖子という人が神様と思っている人なんですよ。自分も。それは私ではないかもしれない、みたいな感じで。その下にみんなでいるみたいな気持ちで。なんかこの期間、すごくメンバーになれたなっていう感じが勝手にしていて」

大森靖子は自身を神と言いながらも、「それは私ではないかもしれない」と、自己とは異なる「大森靖子」の像を定義している。誰のためか? それはメンバーやファンの人生を抱えるという覚悟の表れだろう。ZOCが本質的には、大森靖子による社会運動の意味を持つ所以である。

202128日の日本武道館公演から約4か月が経過した。その間に離れたファンもいるかもしれない。しかし、価値観やポリティカル・コレクトネスが曖昧に変化していき、さまざまな基準値も曖昧であるこの国で、ZOCは活動の勢いを増そうとしている。2枚組アルバムのリリースという過剰さに象徴されているように、音楽でしか実現しえない「何か」をZOCは探求しようとしている。ZOCが「2021年の音楽」として機能していることを証明するかのようなライヴだった。

取材&文:宗像明将
写真:Masayo

 

『ZOC FOR PRAYER TOUR 2021 SUMMER』東京・TSUTAYA O-EAST公演 アーカイブ映像配信ページ
詳細はこちら:https://eplus.jp/zoc-610-st/
※購入受付期間:2021年6月16日(水)18:00まで


■ライヴ情報

“ZOC FOR PRAYER TOUR 2021 SUMMER”(※終了分は割愛)
2021年6月19日(土)@千葉 柏PALOOZA ※2部公演
2021年6月26日(土)@新潟LOTS ※2部公演
2021年6月27日(日)@栃木HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2 ※2部公演
2021年7月4日(日)@愛知ボトムライン ※2部公演
2021年7月10日(土)@松山サロンキティ ※2部公演
2021年7月11日(日)@高松MONSTER ※2部公演
2021年7月17日(土)@神奈川F.A.D YOKOHAMA ※2部公演
2021年7月22日(木)@札幌ペニーレーン24 ※2部公演
2021年7月25日(日)@茨城mito LIGHT HOUSE ※2部公演
2021年8月1日(日)@広島LIVE VANQUISH ※2部公演
2021年8月7日(土)@熊本Django ※2部公演
2021年8月8日(日)@福岡BEAT STATION ※2部公演
2021年8月9日(月)@福岡 BEAT STATION ※2部公演
2021年8月14日(土)@宮城 仙台darwin ※2部公演
2021年8月15日(日)@盛岡CLUB CHANGE WAVE ※2部公演
2021年8月21日(土)@神戸VARIT.  ※2部公演
2021年8月22日(日)@大阪umeda TRAD ※2部公演
2021年8月28日(土)@群馬 高崎club FLEEZ ※2部公演
2021年8月29日(日)@静岡LIVE ROXY SHIZUOKA ※2部公演
2021年9月9日(木)@Zepp Haneda(TOKYO)

詳細はこちら:https://www.zoc.tokyo/schedule/tour/detail.php?id=1001984

HP:https://www.zoc.tokyo/

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