WACKのアイドルグループ・ASPが2022年2月21日(月)、ワンマン公演〈ANTi SOCiAL PAiNS〉を東京・Zepp DiverCity(TOKYO)にて開催した。
昨年11月24日に行われたリキッドルーム公演でナアユが脱退し、双子の新メンバー、マチルダー・ツインズ、ウォンカー・ツインズが加入。1月5日には2ndアルバム『PLACEBO』をリリースし、東名阪ツアー〈REDO BEGiNNiNG TOUR〉を開催するなど、ものすごい勢いで前へ進み続けるASPのグループ史上最大キャパでのワンマン公演をレポートする。
グループ史上最大規模でのワンマン
18時34分、ASPマネージャーでWACK代表の渡辺淳之介がステージに登場。「ASPの〈ANTi SOCiAL PAiNS〉にようこそ! 今日1200人くらいキャパあるんですけど、見てもらえばわかる通り、半分もいっていないです」とこの日の状況を語り、“ならず者”(※ASPファンの総称)を立ち上がらせ、「このまま行きましょうよ!」と会場を温めた。「リキッドが即完して、Zeppが即完して、とんとん拍子にいくと思っていたんですよ。なにがよくなかったか考えたんですけど、1stアルバムの名前(『ANAL SEX PENiS』)がよくなかったなって。もうちょっと健全にやっていきたいと思いますので安心してください。売れなかったとはいえ、最大規模で、最大のお客さんに見てもらえることに変わりなくて。ユメカ・ナウカナ?、モグ・ライアン、ナ前ナ以、ツインズ(マチルダー・ツインズ、ウォンカー・ツインズ)、すごく粒揃いです。とにかく楽しんでほしいなと思います。今日売り切れなかったというのが、次のZeppで満員だったらユメカは泣きますから。また帰ってきますので。よろしくおねがいします」。そんな素直な気持ちをならず者に伝え、渡辺はステージを後にした。
18時40分。ステージ脇からメンバー5人の掛け声が聞こえると、ならず者たちから大きな拍手が起こった。会場が暗転し、2ndアルバム『PLACEBO』の冒頭を飾る「HATRED of LOVE」のイントロが流れ、ユメカ・ナウカナ?の「いっちゃいますよー!」という煽りが聞こえると、新衣装に身を包んだ5人が走って登場。「HATRED of LOVE」を力強く歌うと、「レリゴ」ではメンバーが作った騎馬にウォンカー・ツインズが乗るなどエネルギッシュな姿を見せ、ハードロック調の「DiVE」へと続け3曲を披露。
「はじめまして、私たちASPです!」と挨拶すると、5人がそれぞれのキャッチコピーとともに自己紹介。ユメカが「初のZeppワンマンということでASP全員クッソ楽しみにしてきました。ならず者のみなさん、楽しむ準備はできてますかー?」と呼びかけ、「楽しすぎてやばいライヴにしていきたいです。Zeppいくぞー!」とタイトルコールをすると、中指を立てた振り付けが印象的な「いつでもファッ️キュー❤️」へ。メロディアスなサビで一気に開けるパンク曲「ITSUMO KOKOKARA」、「WAiT and WASTE」と続け、デジタル・ハードコア曲「NO REASON」をサビのユメカのデスボイスとともに歌い上げた。
ナ前ナ以が、「私今日、まじで、まじで、まじで死んでいいと思ってます。私、ASPしかなくて、だから生きる理由も、死ぬ理由も、いつでもなんでも理由はASPがいいです。ASPでの1年間がいままでで一番楽しくて、いままでで一番苦しくて、いままでで一番幸せでした。私、ドMなので、痛いこととか辛いことがあると気持ちよくなっちゃうんですけど、そうじゃなくて、ASPが大切だから痛みすら心地いいのかなと思います。ASPになれて本当に幸せです。本当にありがとうございます。今日、最後の最後の最後まで、ここにいる全員引き連れて死のうと思うので、最後までよろしくおねがいします」と思いの丈を語ると、「GAZE」へ。「You don’t say」、「日々是虚無也」と攻撃的な楽曲を続けると、ウィンターソング的楽曲「The Emperror’s New Clothes」をじっくりと歌い上げた。細かいギターのカッティングで勢いを増すファストパンク曲「BE MY FRiEND」、「WARRiES」、「Just do it」、「GO STRAiGHT」と立て続けに披露、ならず者たちもメンバーの振りに合わせて客席で盛り上がりを見せ、一体感を生み出した。
マチルダー・ツインズが「みなさん、必ずどちらかついていると思うんですけど、拍手で応えてください」と語り、「ちんの人―! まんの人―! どっちもついているって人―!」とならず者とコール&レスポンス。「どちらもついてもおかまいなしです。最後まで楽しんでいきましょう!」と「the MAN CALLiNG」へ。「被害者ぶるな」、「TRUST MY SELF」、「マジ無いです。」、「NOW or NEVER」、「Let’s go as a weirdo」と、休むことなく全力で新旧織り交ぜて楽曲を披露した。
「私たちに会いにきてくれたこと本当に本当にうれしいです。みなさんがこうやって一緒に踊ってくれたり、楽しんでくれたり、大きな愛をくれるから、私たちは死にものぐるいでがむしゃらに歌い続けられるんだと思いました。その愛に私たちはまだ愛では返せないかもしれないけど、精一杯の歌で返します。私たちのいまをどうか見ていてください」とモグが気持ちを語りタイトルコールをし、「I wanna live」へ。サビでは5人で横並びになり手を広げながら感情を乗せてパフォーマンス。〈涙をふけ〉と歌う「WASTED TEARS」では涙を拭く振り付けをナ前ナ以が誰よりも強く行いインパクトを与えた。モグとマチルダー・ツインズが中央で手をつなぎ歌い始めるメロディアスな「SAKEBE」、リズミカルなポップロック「M」をステージを縦横無尽に動きパフォーマンスし、最後は「A song of punk」を堂々と歌い上げ、本編26曲を披露し、5人はステージを後にした。
ならず者たちの拍手に応えアンコールに登場したメンバーたち。1人1人、MCを行った。
ナ前ナ以「今日のライヴ、超楽しくて、改めて、この場所は誰にも譲りたくないと思いました。この髪型とか、『ANAL SEX PENiS』とか、超意味わからなくて、超格好いいです。私、ASPの音も歌詞も全部大好きです。格好よくて本当に大好きです。いまは笑う人がいるかもしれないけど、私たちは、これを常識にしてみせます。というか、この世の常識をぶっ壊してみたいです。だから私、まだこの場所を絶対に誰にも譲ることできません。今日のライヴ、本当に本当に楽しかったです。ありがとうございました!」
モグ・ライアン「私、今日ライヴしていて気づいたことがあるんですけど、今まですっごい無意識にめっちゃ格好つけて生きてきたなと思って。私はWACKのメンバーさんみたいに格好よくなりたくて、ここに来たので、自分を殺して格好いいところ見せていれば格好いいのかなと思って、そうしてきたんですけど、そんなの全然ダメで。私はASPに本心を捧げたいし、こんな自分を出したくないみたいな硬い感情はもう嫌で、私は今日みなさんとライヴをしていて、一人一人顔が見えて、一瞬一瞬に勇気をもらって、ここに全部嫌な自分は置いて帰りたいなって思いました。みなさんは、私たちの心をすごく動かしてくれるから、これからは私たちがみなさんの心を動かるようになりたいし、私たちだけができることを探し続けていきたいです。あと、もう格好つけるのはやめて、ただひたすらみなさんと、今日みたいにずっと笑い合っていたいです。これからもよろしくおねがいします」
ウォンカー・ツインズ「毎日、飯食って、風呂入って、なんの楽しみもないまま、部屋で引きこもりのまま本当に死んでしまうんじゃないかと思っていたときにWACKに出会って、ASPに出会いました。私の初めての人生の希望で、私が唯一やりたいものです。ASPに入ってから、人生の楽しみがいっぱい増えました。その中でも一番は力強いメンバーと格好いい音楽を歌って踊って大切なならず者と一緒にいるこのライヴです。私に生きている理由と、生きている楽しみを教えてくれたASPとならず者にこれから先たくさんの愛を、たくさんの恩を返していきます。本当にありがとうございました」
マチルダー・ツインズ「今日ライヴしていて思い出したんですけど、私、半年前まで子供部屋でWACKの楽曲を歌って踊っていました。でもある日、歌って踊っていたら、その歌声がカーテンや窓を通り越して、外にいる親にまで聞こえちゃって。しかも、歌声は奇声だと勘違いされて、めちゃめちゃ怒られたんです。近所迷惑だってすごく怒られて。そのとき私は、なんでこんな好きなものを隠しているんだろうと思って。好きなものをもっともっと解き放ちたいと、もどかしい気持ちになったんです。でも半年後のいまは、ステージというなんでもさらけ出せる場所に立っていて、その姿を見てくださるみなさんに出会いました。本当にありがとうございます。子供部屋なんかじゃ比にならないくらい大きな場所で必死に生きているって、胸を張って言えるようになります。これからもよろしくおねがいします」
ユメカ・ナウカナ?「結成してから1年立っていない私たちが、ここZepp DiverCityに立たせていただくのは本当にありがたいことで、それは渡辺さん、スタッフさん、なんといってもここに来てくれたみんなに感謝しきらないくらいのありがとうございますです。本当にありがとうございます。この間、UFOキャッチャーでほしいものをみつけてやったんですね。1万500円くらいつかっても取れなくて、あと200円くらいやろうと思ったらとれたんです。そのとき私は、絶対ギャンブルはダメだなというのと、諦めが悪いなってことを感じて。欲しいもののためなら何千回もやっちゃうんですね。何度も間違えたり、失敗したりするんですけど、なんとしてもほしいならず者の笑顔のためなら、何千回でも踏ん張って、つかんでやろうと思っているので、これからもASP、ユメカ・ナウカナ?に期待してほしいです。これからも諦め悪くいかせていただきます。本日はありがとうございました。愛しています!」
そして「4月13日に発売される2ndシングルの曲を持ってきました」とウォンカーが語り、「BOLLOCKS」を初披露。これまでのギター中心だったサウンドとはまた違った、跳ねるビートが軽快で歌い上げる新規軸の楽曲をパフォーマンスした。「次で本当に本当に最後の曲です。一人残らず無茶苦茶になりましょう!」とユメカが叫び、「拝啓ロックスター様」を披露。会場のならず者たちもこれまで以上に手を上げ、振りを一緒に行い、この日一番の一体感の中、ASP初のZeppワンマンは幕を閉じた。
結成わずか1年経たずに挑戦したZepp DiverCity(TOKYO)でのワンマン。満員のならず者で埋めることはできなかった。その現実を経て、再びこの会場に戻ってきたときに、どのような景色を生み出すのか。その未来へと繋がる、繋げるための重要な1日となった。
取材&文:西澤裕郎
写真:Kenta Sotobayashi
〈ANTi SOCiAL PAiNS〉
2022年2月21日(月)@東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
セットリスト
1. HATRED of LOVE
2. レリゴ
3.DiVE
4. いつでもファッ️キュー❤️
5. ITSUMO KOKOKARA
6. WAiT and WASTE
7. NO REASON
8. GAZE
9. You don’t say
10. 日々是虚無也
11. The Emperror’s New Clothes
12. BE MY FRiEND
13. WARRiES
14. Just do it
15. GO STRAiGHT
16. the MAN CALLiNG
17. 被害者ぶるな
18. TRUST MY SELF
19. マジ無いです。
20. NOW or NEVER
21. Let’s go as a weirdo
22. I wanna live
23. WASTED TEARS
24. SAKEBE
25. M
26. A song of punk
EN.1 BOLLOCKS(新曲)
EN.2 拝啓ロックスター様