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【連載】アセロラ4000のグルメ大将 Vol.3 「ダーク モカ チップ フラペチーノ」

StoryWriter

その日、私は渋谷スクランブル交差点にいた。午後5時、たくさんの人、人、人。「今日も渋谷で、5時」とはよく言ったものだ。これだけの人が集まっていると、私のようなロンリー・チャップリンにも出会いがありそうな予感がする。

私は、そんな期待に胸を膨らませながら交差点を渡り「スターバックスSHIBUYA TSUTAYA店」に向かった。

勇気を出して、はじめてのスタバ。いや、正確にははじめてではない。しかし、私はスタバに行くとはじめてのおつかいのように、なぜか極度に緊張してしまう。まわりの人たちに、「あいつ、スタバに慣れてないぞ」と思われてしまうのが、怖いのだ。

だったら行かなければよいのではと、私も思う。でも、行きたい。だって、なんとなくカッコいいんだもの。私もたまにはスタイリッシュにコーヒー的なものを片手にジェームス・ディーンを気取りたい。隣に大沢逸美みたいな女の子がいれば言うことなし。私はスタバ店内に入ると、澄ました顔で注文カウンターに並んだ。

「いらっしゃいませ、こんにちはー」

ついに順番がやってきた。一気に高まる私の鼓動。ふるえるぞハート、燃えつきるほどヒート。しまった、何を頼むか考えていなかった。

「ご注文は?」

笑顔で私を見つめる店員さん。よく見ると、「プロゴルファー祈子」の安永亜衣に似ている。“祈る子”と書いて祈子。 今、祈子は神に何を祈るのか……。いや、祈っていても解決しない。しかし困った。

いまだに注文の仕方がよくわからない。

トールってなんだ。ヤガミトールのことなのか。サイズを表す単位はS、M、Lでいいじゃないか。すべてのシステムはマクドナルドに倣うべき。そうだ、やっぱりマックに行ってシェイクを飲もう。昨日今日明日、変わりゆくマック。今ならナゲットが半額かもしれないぞ。

「まだ?」

背後からの声に我にかえる。チラッと肩越しに後ろを見てみると、タトゥーが入ったいかつめの男性がイラついた様子でこちらを見ている。その後ろには行列が出来ていた。ここは、若者の街・渋谷。油断するとチーマーに囲まれてスニーカーを取られてしまう。もう後戻りはできない。このまま、急いで注文を済まさなければ。

私は、目にとまった一番カッコよさげなメニュー、「ダーク モカ チップ フラペチーノ」を勇気を振り絞りオーダーしてカウンターで受け取ると2階へ上がり、窓際に腰掛けてスクランブル交差点をながめながら、ひと息ついた。

再開発が進む、渋谷。渋谷といえば、渋谷哲平。同時にひかる一平もセットで思い出す。哲平と一平、ぺい繋がりの2人。ぺいと言えばアダモちゃん。アダモちゃんといえばヒップアップ島崎俊郎。島崎といえば、和歌子。和歌子と言えば、オールスター感謝祭。全員スタンダップ。

しまった、連想ゲームに夢中になるあまり、本当に立ち上がってしまった。超恥ずかしい。みんな笑っているに違いない。だが、まわりを見ると誰も私のことを見ていない。そう、この街では誰が何をしようと知ったこっちゃない。みんな、次のハロウィンの準備で忙しいのだ。私も、周りの人のことなど気にせずにマイペースで生きて行こう。そう思った。

コーヒーの香り、チョコの味。まろやかな口あたり、そして苦味。

スターバックスSHIBUYA TSUTAYA店のダーク モカ チップ フラペチーノは、今まで飲んだコーヒーで1番美味しかった。

アセロラ4000(あせろらよんせん)プロフィール
月に一度のキャバクラ通いを糧に日々を送る元・派遣社員。嬢とのLINE、同伴についてTwitterに綴ることを無上の喜びとしている。バツイチ独身。

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