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【連載】Times O’ Youth Vol.5 ジャストなサイズ感で着こなすヴィンテージ──“短丈”を提案する渋谷・神宮前の古着ショップ「muddler」

StoryWriter

音楽、アート、ファッションなど、様々なカルチャーの中で活躍する若きアーティスト・クリエイターを取り上げて紹介していく連載『Times O’ Youth〜次世代カルチャーの担い手〜』。第5回は、渋谷・神宮前にある古着ショップ、muddlerを取り上げる。

有名ブランドショップから若者に人気のショップやカフェ、個性的なアイテムを揃えたセレクトショップなど様々なカルチャーの中心地である神宮前エリア。そんな流行の発信地にひっそりと隠れ家のように佇むmuddler。古着ファッションを愛する人なら思わず立ち寄ってしまうような不思議な雰囲気の店がまえだ。店のスタッフはmizuki、hiroto、kaiya、maoの同世代4人で、スタッフの1人がバイヤーとして海外に滞在する体制を取っている。

muddlerがセレクトする古着の一風変わったところは、イギリスやアメリカから取り寄せたヴィンテージ古着を日本人の体にぴったりなサイズ感で提供していることだ。私もそうだったのだが、古着ファッションと聞いて思い浮かぶのは、オーバーサイズでダボっとした格好というイメージだった。しかし、muddlerが提案するヴィンテージ・スタイルは小さめでジャストなサイズ感。

今回、muddlerのスタッフであるmizukiとkaiyaにインタビューを行い、“短丈”と呼ばれる70sヒッピー文化に由来する着こなしとは何なのか? また、サイズ感にこだわった貴重なアイテムの数々についてなど深く話を訊いてみた。

取材&文 : 北村蒼生
写真 : 田中輝光


4人が好きなものを“混ぜる”という意味でのmuddler

──ショップ名、mudllerの由来は何なんでしょうか?

mizuki : 俺らが好きなイギリス、アメリカ、スペインとか、色々な海外の古着を全部混ぜちゃおうよって意味でmuddlerにしました。あとはhirotoが建築をやってたり、kaiyaがサッカーをやってたり、俺は靴の仕事とかもやってて、そういう色んな仕事とかも混ぜてやっていけたらいいなっていう意味もあります。

──muddlerのロゴデザインはどう作られたんですか?

mizuki : 俺のデザイナーの兄貴と一緒に相談して作りました。最初にステッカーを作ることが決まっていて、文字数、幅、フォントを携帯サイズを想定して作りました。

kaiya : このロゴデザインはバランスとかを含めて凄く調子いいですね。一番分かりやすいのが携帯の後ろにロゴステッカーを入れてくれる人が多いことです。サイズがピッタリなんですよね。

mizuki : 結果論だけど、muddlerっていう名前、めっちゃいいなって思います。被らないし、覚えやすいし。

エキゾチシズム感じさせるこだわりの店内

──スタッフは何人で、どういう経緯で今のメンバーになったんですか?

mizuki : 今は4人です。男性スタッフ3人と女性スタッフが1人。もともと俺は公務員をやっていたんですけど、その頃から古着屋をやりたいとは思っていて。それから公務員を辞めて1人で店を開こうと思った時に、hirotoが必要だと思い、誘ったら「やろう」ってことで2人で立ち上げることになりました。kaiyaはずっとアメリカの学校に通っていて、アメリカで現地の古着をバイイングしてよってことでスタッフになりました。今はhirotoがイギリスから、kaiyaがアメリカに戻った時にはアメリカから古着を取り寄せています。horitoが帰ってきたら、今度は俺がアメリカ、イギリス、スペインなりに行ってバイイングしようと思っています。

──スタッフとの関係性はどういったものなんですか?

mizuki : もうファミリーですね。

kaiya : ファミリーだね。だからプライベートも一緒にいることが多いです。

mizuki : でもプライベートがちょっと仕事みたいなところはあるよね。例えば今日だったら、店の内装を変えるのにランプシェードが欲しいから家具屋を見にいこうよみたいな。

──仕事とプライベートの境界線があまりないような感覚でしょうか?

mizuki : 俺は仕事だとは思ってなくて、遊びの延長戦上でお客さんともここで遊んでるみたいな感覚です(笑)。

──なぜ渋谷という立地で、家のような佇まいのこのテナントにしたんですか?

mizuki : もし綺麗なテナントだった場合、誰でも入れるお店になってしまうと思いました。隠れ家的な佇まいのmuddlerに興味を持つ人は、本当に服が好きな人。だから、あえてこの場所を選んでいますね。そういう人がお店に入ってくれれば、絶対に刺さる服に出会えるっていう自信の表れでもあると思います。

バッグや革小物なども販売している

──下北、高円寺じゃなく、どうして渋谷を選んだんですか?

kaiya : 下北とか高円寺で古着を見にいく時って、各店舗を目当てに行くというより、そこのエリアにいくイメージの方が強くあると思います。ここ渋谷だったらmuddlerという一つの古着屋を目当てに来てくれる人が多くいるかなと思い場所は渋谷にしました。

──客層はどういった年齢の人が多いんですか?

mizuki : 20代から30代が多くて、たまに10代の人も来てくれる。あとは、40、50代の本当に古着が好きな方も来てくれます。

──muddlerで取り扱っている古着は系統で言うとカジュアルに分類されるのでしょうか?

mizuki : カジュアルですね。けど俺自身もどんな系統も着るから、アイテムとしては無色透明なもの、どのジャンルでも着れるようなものがコンセプトとしてあります。接客にしても、お客さんの好み、系統に合わせてバチっとハマるものを選ぶ姿勢ではあるから、この系統のものは置かないとかはないですね。強いて系統で言うとシティ寄りではあると思います。

フラットな関係性での接客

──2人のルーツ、今まで影響を受けてきたカルチャーについて教えてください。

mizuki : 影響を受けたものは、服、じいちゃん、サッカーですね。服は小さい頃から本当に好きでした。誕生日プレゼントとか幼稚園の頃からずっと服でしたね。じいちゃんが元々アメリカのプロドラマーで、実家にジャズのレコードが沢山あったのでジャズばっかり聴いていました。あと、すごい好きなのが歴史。もともと洋服は好きでしたが、歴史と紐付いて服について知っていくことで、もっと好きになりました。muddlerを経営をする中での人との関わり方は、サッカーから学んだ部分が大きいとは感じますね。

kaiya : 19の時にアメリカに行った経験は、ガラッとその後の人生が変わったって言えるくらいかなり大きいです。 mizukiとは中学からの付き合いだけど、その時の俺と今の俺は、またかなり違うと思います。あとは、アメリカから戻った後に日本人と話して逆カルチャーショックを受ける部分はありました。USと日本の文化で一番違うと感じたのは、日常のコミュニケーションの中で上下関係を意識すること。最初に会って年齢を聞くこととかないですもの。だから接客においても、それ以上の関係になれないようなコミュニケーションの仕方はしないようにしています。

左からkaiya、mizuki

mizuki : ぶっちゃけ、うちはスタッフの年齢を公開したくないくらい、フラットな関係でお客さんと話したいと思っています。フラットな関係性での接客は大事にしているよね。

kaiya : mizukiと俺はよく上に見られることが多くて、同い年の子とかにも年上に見られたり、年上の人たちからも上に見られちゃったりする、それが一番悔しい。

mizuki : 年齢は聞かずに、お客さんに対して「それめっちゃいいっすね!」とか「それ着てみてよ!」とか言えるくらいフラットな関係性でいたい。接客をする上で、売りたいってことより、その人が一生着るものを見つけて欲しいって方が大きいです。どこで買ったとか、誰の接客を受けて買ったかとかがお客さんにとってはすごく大事だと思う。muddlerはそんなお店にしたいですね。お客さんとのコミュニケーションでは、服以外の雑談が6割くらいなんじゃないかな。何気ない会話がその人の素の部分を引き出す手段として大事だと思っています。

──ECで売ることだけでなく、実店舗でお客さんとコミュニケーションをすることを大事にするのはやっぱりこだわりとしてあるのですね。

mizuki : 一着一着に深いストーリーがあるから、それをお客さんに伝えたいってのもあります。

kaiya : 言葉でどれだけ上手く書かれていたとしてもオンライン上で見るだけだと伝わらない、実際に着てみないと分からない部分ってあるんですよね。

mizuki : 一人一着は絶対にハマるアイテムがあるから、時間があるのなら一回うちに足運んでみてほしいとは思いますね。一回来てくれたことがあるお客さんがインスタのDMとかで「今インスタに載ってるTシャツってサイズ感どれくらいですか?」みたいに聞いてくれれば、その人のサイズ感を思い出しながら、オンラインでやり取りをしたりはしています。DM上にはなるけど、オンラインでも出来るだけお客さん一人一人のことを考えた接客は心がけながらECはやっています。

ジャストなサイズ感の古着を

──買い付け(バイイング)をする上でどんなこだわりがありますか?

mizuki : 混ぜるとは言うものの、入れる商品の年代だとかはこだわりますね。他の店では珍しいラインナップだと、J.C.Penney、SEARS、TOWN CRAFTとかのアメリカの百貨店系ブランドの古着があることですかね。Felix、home depotなどの企業ネタも好きです。あとは、サイズ感はバイイングする上で一番のこだわりかもしれないです。

kaiya : お客さんにとってぴったしのサイズで服を提供できることがmuddlerの一番の強みですね。人それぞれ好きな着方はあると思うけど、muddlerが提供できるサイズ感はかなりその人にとってドンピシャにハマるものだと思います。

mizuki : 単純に海外のブランドって大きいサイズが多いんですよね。だから、日本人に合う小さめのサイズを集めることって結構難易度が高いんですよ。100ある中で20も多分ないわけだから。

kaiya : 今USから古着を取り入れている店とか多いけど、ほぼXLくらいのサイズ感ですよね。みんなそれしか無いが為に、デザインが好きなのを選んで着てるけど、自分が想像しているサイズ感じゃないと思うんですよ。自分に合うサイズより上の方が許容範囲が大きいから、妥協した感じでみんな買っていくじゃないですか。でも本当に求めてるのはもっと小さめのジャストなアイテムだと思っていて。、muddlerではその人が求めているサイズのものがある自信はあります。

kaiya : 大きめに着たいこだわりがあるなら全然それはいいと思うけど、“短丈”を探しているのにちょっと大きめのものを妥協して買うんだったら、一緒にジャストで着れるアイテムを選ぼうよって感じですかね。

mizuki : 古着の印象って結構デカめ、オーバーサイズで着るっていう印象がかなり世間に浸透していると思ってて。muddlerは、そのイメージを払拭するような店ではあると思います。色やデザインを後回しにするくらい、サイズ感って重要。だからこそ、それをお客さんにも伝えたいですね。サイズ感を意識した接客の結果、パンツが一番売れます。値が張るものでもジャストフィットしたら買っていく人が多いですね。だからバイイングの時は試着して、自分が履いてみたサイズ感を見て決めることが多いです。

kaiya : スタッフ全員、みんなお互いのサイズ感を把握しているから、バイイングの時はみんなが着た時のサイズ感を想像して買うこともあります。

70sヒッピーファッションの象徴、“短丈”とは?

──先程、話にでた“短丈”と呼ばれる着方とはどういったものなんですか?

mizuki : そもそも“短丈”っていうのは、70年代ヒッピーのサイジングのことを指しています。僕は、もともと70年代の音楽がすごい好きで、そこから派生してヒッピーのことを知りました。今、みんなが思ってるヒッピーと当時のヒッピーって全然違っていて、パンツがフレアになっているのはキリスト反対、大統領反対を表す“反り返る”という意味から来ていたり、襟が尖っているのも“尖っている”とか“反対”という意味が由来だったりする。今、日本の若者が選挙に行かない、政治に無関心みたいなことがよく言われるけど、当時からすればありえない。権力とか政治に対抗する精神が当時の若者にはあって、それをファッションにして表現してるのがめちゃめちゃカッコいいなと思い、“短丈”が好きになりました。muddlerでは、俺たちスタッフが今好きなファッションを提供している面が大きいと思います。マスなファッション、多くの人が好きなものを提供しているよりは、俺らが好きな丈感、サイズとかを共感してくれる人たちが集まってくれているとは思いますね。

──年代の話だと、ヴィンテージの定義はよく曖昧だと言われることがありますよね。60、70年代のアイテムがヴィンテージと呼ばれていれば、最近だと90年代、2000年代のアイテムもヴィンテージとして扱われることが出てきた中で、2人が思うヴィンテージと言えばこの年代っていうのは具体的にありますか?

mizuki : 世間では80sとか70sでヴィンテージだとみなされることが多いと思いますけど、俺個人としてはヴィンテージと聞いてしっくりくるのは60sの後期までのイメージがあります。それか、70s頭まで。70年代だったら全部が全部ヴィンテージ、だとは思っていないですね。でも、それは人それぞれだと思いますね。

kaiya : どの年代のファッションにも、その時代のカラーを反映した象徴的なアイテムがありますよね。だから、今俺らがヴィンテージものに惹かれる理由として、その時代、その歴史自体に面白さを感じているからっていうのもあると思いますね。

mizuki : あとは70年代や60年代とかってギリ俺らの親世代が生まれた時代。俺らの親が生まれた時のファッションって俺らの親でも実際には知らない。俺が思うヴィンテージは、親が知る時代のちょっと前、70s頭、60s後期までなのかなって思います。だから、それぞれ自分の年齢によってヴィンテージの解釈は変わってくるとは思いますね。30代の人からすれば70sってそこまで古いとは感じないだろうし。

店内にはVintage Capや海外製のお洒落なマグカップも売られている

──ヴィンテージの解釈が個人の年齢によって違うのに加えて、自分たちの親の生まれた時代が一つの基準になっているという捉え方はとても面白いですね。

mizuki : 俺らが生まれた2000年くらいだって2022年の今から考えてもう20年以上経っている。じゃあ、今から生まれてくる子供たちが10年後古着とかに興味持ち出して2000年のコピーライトが入ったTシャツとか見たら「うわ! すげえ2000年だ! 古いな」みたいになると思いますよ。

kaiya : 確かに今の小学生、中学生からすれば、2000年って聞いてもピンとこないと思う。俺らで言う90年代みたいな感覚。でも、俺らは生まれた年でもあるからちょっと親近感があるし、成長する中で感じ取ってきた時代なわけで、そういうのも含めてヴィンテージの捉え方は年齢で決まると思いますね。

mizuki : そうだね。あとは70sの商品がうちには多いから、50s、40sのものとかが入ってきた時の方がヴィンテージだ!っていう感動はあるかな。

──イギリス古着、アメリカ古着、それぞれにまったく違う個性がありますか?

mizuki : 全然違いますね。イギリスから入ってくるシャツとかは超綺麗目にも着れる。イギリスっていう国のイメージのまま、ジェントルな着こなしもできる。

──その国のお国柄みたいなものが古着には色濃く出るんですね。

kaiya : 出ますね。逆にUSは様々なカルチャーが入ってくるところ。多種多様な文化の国。要するにカルチャーの分母が多い。そういう意味で、ヨーロッパの国の方がその国の特性が分かりやすく出る印象はあります。

mizuki : 結構Tシャツとかファニーなものはアメリカの方が多かったりするよね。逆にイギリスはバンTだとかシックだけどめっちゃかっこいいみたいな。

──イギリス古着とUS古着を組み合わせた着こなしだったりとか、それこそスタイリングを考える上でもmuddlerのコンセプトである“混ぜる”っていうところに回帰になってきますよね。

mizuki : そうですね。あとは古着だけど古着っぽくない着こなしをして欲しいなって思うこともあります。例えば、70sのEddie Bauerのチェックのテーラードなんだけど綺麗目だから一見70sに見えないみたいなそういう着こなしをしたいです。

気分によってその時代を着る感覚

──新品ではなく古着を着ることに良さは何なのでしょう?

mizuki : 俺らがよく着るボーダー、チェックシャツやデニムだとかは、結局そのものに意味があって、その形になっている。例えば、デニムでよくあるインディゴブルーは、あの色に染めることでヘビが匂いを嫌がって近寄らないとか。当時のものって意味があってその形だったりデザインになっている。古着の良さは、自分が生きていない時代のことを少しでも古着から理解できるところでもあると思います。本当に古着の深みにハマると、「この汚れは何をしていた人なんだろう」とか「ここ直してあるな、前の人がかなり大事に着ていたんだな」とか想像を膨らませるのもすごく面白いんですよ。

kaiya : 俺が古着を選ぶ理由としては、古着ってその当時の情景、着ている雰囲気、ストリートで歩いている姿とかを思い浮かべることができる。だから、気分によってその時代を選ぶっていう感覚。日々70年代の格好が好きで毎日ヒッピーな格好をしているのもそれはそれでめちゃめちゃかっこいいと思うけど、僕は日によって時代を選んで雰囲気を変えたいとは思いますね。

mizuki : 正直、最初古着は安いものを買っていた時期はありましたね。でも後々やっぱり古着でも良いものは高いなって気づきました。だから古着が本当に好きな人は値段で見ないで欲しいですね。そのもの自体が残っていることが貴重だし、それは古着に限らすアンティーク家具とかでも同じ、残っていることへの付加価値をもっとみんなに分かって欲しいとは思います。

Tシャツや半袖シャツなど、夏アイテムのラインナップも充実

──今の日本人、特に若い人たちに向けて古着、ファッションに関連して何か伝えたいことはありますか?

kaiya : アメリカから日本に帰ってきた時に感じた逆カルチャーショックの一つで、日本人は服装や見た目、好きなものとかの傾向がマスなもの、メジャーなものに偏ることが多いなとは感じましたね。だから、「自分はみんなとは違ってこっちの方が好き」みたいなのがもっとあっても良いんじゃないかなとは思います。難しいのは、もっと個性を尊重することが大事だと思う反面、それを全員に押し付けたいわけじゃなく、マスなものが好きって言うのも全然ありだとは思います。ただ、日本でも色々な価値観を許容する空気はもっとあってもいいなとは思いますね。

mizuki : 僕は値段ですね。僕は周りより早い段階で値段で服を買わなくなりました。安いものを簡単に手に入れてしまったら何回も着ることがない。「この服はあの思い出の店で高かったけど頑張って買ったやつだ」っていうその時の感情を含めて一生着る。若い人に伝えたいことは、安い物を買ってすぐに着なくなるより、高くても一生物を買った方が結果的に安い。muddlerがそういう体験を提供できる店でありたいとは思っています。

──どんな人にmuddlerを知ってもらい訪れてほしいですか?

mizuki : 服を大事にする人、服が好きな人であればどんな系統の人でも来てほしいです。それは年齢問わずですね。

──今後、muddlerをどう大きくしていきたいと考えていますか?

mizuki : お金の周りがもう少しよくなってきたら、hiroto、kaiya、maoがやりたいことの援助はしたいなとは思ってます。そうやって古着以外のところにも広げていきたいとは思います。中途半端だなって思われるかもしれないですが、今、俺たちは服に関しては極めていて自信があるから、今後違う自信が出てくることは全然あると思っています。それをやれる環境をmuddlerが作っていきたいとは思いますね。

イギリス便から今月到着予定の商品(写真はイギリスより)

歴史とストーリーを感じさせる個性豊かなアイテムを紹介

60s Champion ドリズラージャケット

 

mizuki : これは60sのChampionのブラックタグ、ランタグと呼ばれるアイテムですね。タグに走っている人のデザインがあるのが目印。まず魅力の一つが、白のドリズラージャケットで、古いのにこれだけ綺麗で状態がいいものは珍しい。普通のドリズラージャケットとは違って、チェーンステッチっていう後付けの刺繍が入っているのもポイント。愛を語っちゃてるちょっと痛いやつ、当時からしたら。実際どういう思いでこの人がこの刺繍を入れたのかとか、この人たちが結局結婚したのかとか、11月17日って入ってることとか、結構色々なストーリーを想像させる一着になっています。こういうストレートな愛の表現ってやっぱり海外の人だなって思いますね。

80s Levi’s La Olympic anniversary tee

 

mizuki : 1984年のロサンゼルスオリンピックのリンガーTシャツですね。このアイテムは実はLevi’sがスポンサーで、ちゃんとLevi’sのロゴが入っていて、コピーライトも入ってる。本物であることは間違いないですね。あと実は、オリンピックのロゴや名前を使って収益化をしてよくなったのがロサンゼルスオリンピックからなんですよ。だから収益化できるようになってからの最初のLevi’sのTeeってことですごく歴史がある一着ですね。それに加えて、Levi’sという古着の王道ブランドが作っているTシャツだし、80sで汚れなし。サイズ感は175cmの僕が着てジャストな感じです。ちょっとテロテロな感じの生地で、夏とかすごい着易いんじゃないかなと。個人的には、あえてこの5色の五輪マークが入っているのがめっちゃかっこいいなと思って惹かれましたね。

80s le coq sportif leather shoes

 

mizuki : 次はLe Coq Sportif。Le Coq(ルコック)というブランドはフランスで一番古いスポーツメーカーで、フランス代表のサッカーチームのユニフォームにもなっていたりする歴史あるブランドですね。これはそのメーカーのリングシューズ。用途はレスリングやボクシングなど。アイテムの特徴として、まず驚くのが思った以上に軽いところ。リアルレザーで年代も70s。リングだからソールが綺麗なのはもちろん、見た目の汚れもない。あと注目すべきは中のタグ。靴でこのタグはあまり見ないですね。サイズが26.5。ルコックのレザーシューズ履いてたらまず人と被ることない。今まで見てきたスニーカーのなかでも一番くらいにテンション上がる一足ですね。

70s Levi’s bell bottom

 

mizuki : こちらがLevi’sの60sのビッグE。多分69年、70年とかに作られたベルボトムですね。なんと言っても履き潰したなって感じの柔らかい生地。ビッグEとかってサイズが大きいのしかない中で、このアイテムはレギュラーサイズでビッグEの19番。もう買うしかないんじゃないかなっていうアイテムです。

60s J.C.penney pajama shirt

 

mizuki : ラストはmuddlerでよく置いてるJ.C.penneyっていうアメリカの百貨店系ブランドの総柄のシャツですね。アイテムとしてはパジャマシャツ。これをタンプトックの上に羽織ったり、ショーツと合わせたりしたらいい感じにカッコよくキマると思います。あとやっぱりJ.C.penneyと言えば最強なブランドで、TOWN CRAFTや BIG MACなどの大元の会社でもあります。それこそ『ストレンジャー・シングス』で出てくるショッピングモールの中に入っているような百貨店系のブランドがJ.C.penneyですね。このブランドの凄いところは、生地とかディテールのこだわりが凄まじい。ポケットの襟返しの生地が別になっていたり、襟も付け加えていたり、ディテールがめっちゃ凝ってますよね。ここのブランドは売るとかよりも本当に良いものを届けようとしているなと感じますね。


■ショップ情報

muddler
東京都渋谷区神宮前6-14-16 / 明治神宮前徒歩4分
営業時間 : 12時〜19時

公式Instagram
https://instagram.com/muddler.official

北村蒼生(きたむらあおい)
2000年生まれ、東京出身。大学ではロシア語を専攻している。株式会社SWで学生インターンをしながら、就職活動をしている。好きなものは音楽、ファッションなどカルチャー全般。

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