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【GANG PARADE 短期集中連載 Vol.4】テラシマユウカ編「不安定だからこそ面白い」

StoryWriter

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動するWACK所属の13人組アイドル・グループGANG PARADE(以下、ギャンパレ)の1人1人のパーソナルに迫る短期集中連載がスタート。毎回1人ずつ、どんなファッションを好み、どんな音楽や漫画やゲームなどに影響を受けてきたのか、ギャンパレでの歌詞や振り付けについてなど、これまでの単独インタビューとは違った切り口からメンバーに迫る。

第4回は、2016年11月にGANG PARADEに加入したテラシマユウカ。BiS公式ライバル・グループSiSで活動を始め、お披露目ライヴ翌日に活動休止という絶望のどん底に叩き落とされるも諦めず、ユイ・ガ・ドクソン、ココ・パーティン・ココとともにギャンパレに電撃加入。現在は、作詞がギャンパレ楽曲で多く採用されるほか、映画コラムの連載など文化的な才能を多く発揮している彼女のパーソナルに迫った。

取材&文:西澤裕郎
写真:まくらあさみ


暗い髪色の時期があまりなかったので、いろいろな色に挑戦してみたかった

──だいぶ雰囲気が変わりましたね。

金髪をやめたんです(笑)。

──トレードマークだった金髪をどうして変えたんでしょう?

ギャンパレに加入して半年後に髪色を変えてから5年間ぐらい微妙な変化はありつつも金髪を続けていたんですけど、そろそろ他の面も見せていってもいいかなと思って。あと、13人体制になって、セイ(カ能セイ)も金髪になったし、そこまでこだわらなくていいかもと思ったのもあります。実は暗い髪色だった時期があまりなかったので、いろいろな色に挑戦してみたかったんです。すぐ黒にすると髪がめっちゃ痛むんで、ちょっとずつトーンダウンしていこうかなっていう気分で変えました。

──いまの髪は何色なんですか?

ちょっと色落ちしたんですけど、赤とピンクとパープルっぽい色と、若干ブラウンが入っているみたいな感じです。

──気分も変わりましたか?

変わりました。メイクとか着る服も全部変わるなと思って。金髪は肌を明るくしないとくすんで見えるからとか、いろんなことに気を遣っていて。あと金髪は痛んでいるように見えやすいんですけど、この髪だと意外と楽だなと思っています(笑)。

──StoryWriterではいつも私服で撮影させてもらっているので、普段の洋服のポイントだったりどんなものが好きかみたいなところも教えていただけますか。

加入当初とはだいぶ変わって、大人になりました(笑)。ワンピースとかガーリーな服を着ている印象がお客さんは強いと思うんですけど、ちょっと落ち着いた服が多くなりましたね。あまり夏服が好きじゃないので、夏は手を抜きがちっていうところもあるんですけど、これから秋冬とかいい女っぽい服を着たいと思っています(笑)。

──新メンバーがどんどん入ってきたことは、ユユさんの変化に繋がっている?

それもあるかもしれないです。服の流行とかもあると思うんですけど、どんどん新しい子が入ってくることによって、自分の立ち位置とか内面も大人として見られていくし、それが服装にも紐づいてくるところが無意識にあるのかもしれない。あと、活動をはじめたときが子供過ぎたから、見られ方的に振り幅が大きいのかなと思うんです。本当にお披露目ライヴとかはノーメイクだったし、リップを塗るぐらいで出てたから。

──それはギャンパレのお披露目のとき?

はい。本当に化粧をしたことがなかったので、わからなくて。SiSのお披露目のときは、上京して2週間くらいしか経ってなかったから、母親と化粧品を買いに行った記憶がめっちゃありますね。全部選んでもらって。これ何に使うんだろう?と思いながら、なんとなく塗ってみるけど、なんも変わらないみたいな(笑)。それに比べたらめっちゃ大人になりました。だから今、新しく入ってくる子がメイク初めから上手いから、びっくりしています。

映画館に行くことが私の中ですごく大事

──ユユさんはコラムをはじめ、パンフレットのコメントを書いたり、映画好きというのが仕事にも繋がった活動をされていますが、最初に記憶に残っている映画は何でしょう?

一番昔の記憶であるのは、グザヴィエ・ドランの『Mommy/マミー』ですね。私が反抗期真っ只中の中学生くらいで、ママと喧嘩して家出をしていたとき、おばあちゃんが気分転換に映画館に連れていってくれたんです。それが親子の映画で。ちょっと障害を持ってる子供と、シングルマザーの映画だったんですけど、そのときは反抗期なんでめっちゃ響いたかって言われたらそうじゃなくて、ちょっと退屈だなぐらいに思っていて。でも、大人になればなるほど、あのときあの映画を観に行った意味が出てきたなと感じていて。何回も見返したりとかはしてないんですけど、ずっと記憶に残ってる映画ですね。

 

──大人になるにつれて、どういうふうに意味が変わってきたんでしょう。

子供視点で見るか親視点で見るかで、めっちゃ変わってくる映画だなと思っていて。環境は違えど、当時は親に反抗して喧嘩したとき見にいっていたので、親の気持ちは全くわからなかったんです。でも大人になるにつれて、私は早めに上京して親と離れて暮らしていたこともあって、今まで自分がやってこなかったことを親が全部やってくれてたありがたみとかが、その映画を通してわかるっていうか。親と子供って理解し合える存在だけど、理解し合えないことも多い不思議な存在、関係性だなと思って。それは上京したことをきっかけに映画に深みが増した感じがしています。

──そこから映画自体にのめり込んでいくきっかけがあったんでしょうか。

そこは、DVDが家に大量にあったり、ちっちゃいときから、人より映画が身近にあったからかもしれないです。元々、家族全員ハリーポッターシリーズが大好きで一緒に見に行ってたり、4人兄妹だったので誰かしら勉強とかしたくないからDVDを流しているような状況もあって、「トランスフォーマー」とかハリポタとかの大作系が常に流れていたんです。

──映画館にも足を運んでいた?

中高生の時、怖いもの見たさで友達とホラー映画にどハマりして。その時期めちゃくちゃホラーが公開されてたから、週末遊びに行くって言ったらホラー映画ありきみたいな感じで。その延長線上ではあると思うんです。そこから上京して友達がいない状況になって、1人の時間をどう過ごすかってなったとき、映画を見に行くのが一番手っ取り早く自分の時間を満たせることだと思って。なので、自分がそんなに映画好きっていう自覚もなかったんです。ただ暇な時間を潰すものの手段みたいな感じというか。家でテレビとか配信を見るのはそこまで好きじゃなかったので、映画館に出向く行為が自然になっていたんだと思います。マネージャーさんから映画のコラムやらない?って言われて、映画好きなんだって気づいたくらいで、他の人がそこまで映画館に行かないことも知らなかったんですよね。

──やっぱり映画館で見る映画は、配信やテレビで観るのとは違う感覚がある?

全然違いますね。映画館に行くことが、私の中ですごく大事というか。映画館に行くことって、私にとって身近なんですけど身近じゃないっていうか。あれだけ大きなスクリーンで見ることって非日常じゃないですか? ただ何かを視聴するじゃなくて、映像体験をしに行くっていう意味で、映画館に行くことがめっちゃ大事だなって思います。わざわざ電車に乗って、映画館に行って、チケットを買う。時間も決められてるし、いろいろな制約の中、自分でスケジュール調節してっていうのが楽しいポイントなのかなと思っています。

自己投影できない映画の方が好き

──映画以外に、それに近い熱量で好きなものとかチェックしているものはありますか?

それが、ないんです(笑)。最近気づいたんですよ。映画は仕事に繋がってるから趣味と言っていいのか微妙な大きな趣味であるんですけど、本当にそれ以外の趣味がないなと思って。ゲームをやるわけでもないし、アウトドアとかも別にしない。映画以外ないんです。

──本を読んだりは?

本はたまに読みます。けど、あまり小説とかは読まないかも。ちっちゃいときは趣味は読書って言っていたかもしれないです。小学生のときは20分休みとか他の子がドッジボールとかをしに外に行く中で、図書室にいたりとかして。小学校あるあるの江戸川乱歩とか読んでました(笑)。でもそのときからミステリーとか怖い系が好きでした。

──どうして、ミステリーとかホラーに惹かれるんだと思います?

それが一番程遠い存在やと思っているからかも。ラブストーリーとかSFも好きなんですけど、絶対ありえへんやん!みたいなもののほうが見たいんです。少女漫画の実写化映画とかは日常でもありえない展開ではあると思うんですけど、どこか身近にありそうだから、そんなに求めてないというか。次何が起こるかわからないホラーとかが好きなんです。

──自分の脳内の想像を超えてくるようなものを求めている。

それが起こったとき、自分がどんな反応をするかわからないじゃないですか? 声が出ちゃったり、びくってしちゃったり。そこのびっくりが好きです。ドMなんですかね(笑)?

──あははは。映画を見ているとき、映画自体を楽しみつつも、自分自身を振り返るというか内省するような瞬間みたいなのもありますか?

映画の種類によっては自己投影とかはありますね。でも、自己投影できない映画の方が好きなんですよ。やっぱり切り離したいというか。私はGANG PARADEっていう日常があって、背中を押してくれたり熱い気持ちにさせてくれる映画ももちろん観に行ったりするんです。でも、そういうことを全部置いといて、日常にない世界を提供しますっていう映画が好きなので、日常と切り離されてれば離されてるほどいいと思っちゃいます。

──ちっちゃい頃からそういう映画が好きだったんですか。

そうかも。ミニシアター系の日常っぽいテイストの映画を見に行っていた時期もあったんですけど、一周回ってホラーとかに行き着いた気がします。本当に親に心配されるぐらいTSUTAYAとかでホラー映画を大量に借りていたので、普通にキモがられてました(笑)。私がリビングで見るから、本当にそういうの見ないでほしいみたいな。

──日常から切り離されていればいいって話でいくと、映画コラムで力を入れて紹介していたクリストファー・ノーランとかがやっぱり刺さるというか。

刺さりますね。本当にありえない物語じゃないですか? でも、それが人間から生まれた物語っていうのが面白い。そういう概念だったり魔法とかもそうなんですけど、存在していないはずのものが、どうやって生まれたんだろうっていうことにめちゃくちゃ興味が注がれる。物語もそうだし、それを作った人がどういう脳みそをしてて、どんな時間を過ごして、これを生み出したんだ、っていうところに好奇心があるのかも。

──自分には考えつかないものを生み出した人にも興味があると。

ノーランとかも何回見ても理解できないじゃないですか。いろんなパンフレットとかインタビューとかめちゃくちゃ読んで、精一杯情報を入れた状態でもう一回映画館に行って、やっと少し繋がるというか。

自分のちょっと皮肉なところを書いた「Dreamer」

──ユユさんがギャンパレで書かれている歌詞と、そうした監督たちが作品を生み出すプロセスには、どこかしらリンクするような部分はあるんでしょうか?

私が好きな監督たちって、どこかひねくれているというか、ストレートじゃないことが多いんですけど、そういうところはあるのかもしれない。私の歌詞は抽象的っていうか。伝えたいことを、めちゃくちゃ違う言葉を被せに被せて、すっごく遠まわしに言う。映画の考察とかもそうだと思うんですけど、歌詞って自分の込めた意味と別の意味が生まれることも面白いなと思って。聞いた人によって捉え方が違うものが生まれたらいいなぐらいの遠さで書いてる歌詞が多いかもしれない。

──どういうシチュエーションで歌詞を書いているんでしょう。

スマホかノートに書くかなんですけど、曲によります。最初にデモを聴いたときに言葉がポンポンポンって浮かぶから、それをちゃんと書き出せる状況で落ち着いてやりたくて。ファーストインプレッションで浮かんだ言葉をバーッて書き出して、そこからだんだん輪郭を作っていく感じが多いかもしれないです。なんとなく入れた言葉がだんだん書き進めていくうちに、自分の書きたかったこととずれていくから、一番最初に当てはめた言葉も変えることが多いですね。最終的にそこを修正するみたいなことがめっちゃ多いかも。

──自分で書いた歌詞の中で特に思い入れのある楽曲をあげるとしたら?

えー! 「Dreamer」かな。メジャーデビューシングル『ブランニューパレード』のカップリング曲なんですけど、自分の中で思い入れがあって。初めて父親に褒められた歌詞だったんです。その記憶がめっちゃ強くて。私の作詞をチェックしていたんだと思って。それまで母親はライブに来てくれたり、店舗特典のポスター付きCDまで買って、「ユウカ当たらんかったわ」みたいに連絡をくれていたんですけど、父親は仕事もあるし、チェックしないかなとか思っていたから、そこのびっくりと嬉しさを実感した曲でしたね。

 

──それはすごくいい話ですね。

あと、これは本当にいままで質問されても言ってこなかったことなんですけど、「Dreamer」を書いた時期がメジャーデビューするタイミングで。インディーズでGANG PARADEを長くやってきたので、メジャーデビューするときに、すごい沢山の大人の人が関わるんだなとびっくりしたと同時に、怖いって思ったんですよね。

──メジャーデビューする際は、関わる人が本当に一気に増えますからね。

もちろん本当に嬉しいことではあったんですけど、メジャーって大きい世界だから、気を抜いたら落とし入れられることもあるかもしれないとか警戒している気持ちもあって。嬉しい気持ちや前に進んでいく気持ちは「ブランニューパレード」が歌ってくれていると思っていたから、自分のちょっと皮肉なところを書いたんです。その当時は言えなかったけど(笑)。

──ギャンパレとして活動していく中で、どういうものを表現していきたかったり、この活動を通してどんなことを実現していきたいなと思っていますか?

言ったら、アイドルを好きになることって娯楽の一つじゃないですか? 本当に地球が危機的状況になったら、一番初めに切り捨てられる存在ではあるなと思うんです。だからこそいいなと思ってるところがあって。人生をかけてのめり込んでくれている方もめちゃくちゃいてくれるし、軽い気持ちでこの曲いいやんとか、ライブに行ってみようかなとか、日常のちょっとした楽しさにもなれるのが本当にすごいことだと思っていて。コロナ禍もあったからこそ、当たり前じゃなくて、本当に素晴らしいことなんだなと実感したし、心の余裕がないとできないことだとも思ったんですね。この5年半活動をしてきて、それが当たり前になってきていたけど、当たり前だと思いたくないなと強く思っていて。

──どうしてそこまで音楽や芸能の世界に強い想いを持っているんだと思いますか。

私の親が医療系の仕事をしていることもあって、このお仕事を始める前は国家資格を取りなさいってずっと言われていたんです。世界恐慌とかになっても最後まで生き延びれる仕事をしなさいってずっと言われてたけど、それと真反対の仕事に就いてるんですよ、今。その言葉が私の人生の中でずっと記憶に残っていて。でも、そうじゃない仕事に就いたからこそ、それを全うしたいんです。不安定だからこそ面白いっていうのはずっとあるし、反発したかった面もめちゃくちゃあって。なんでこんなに勉強して何年後まで未来が決まってることをしなきゃいけないのって思ってたから。そういう意味で、いま私がやっていることは本当にいつ何が起こるかも、いつ終わるかもわからないハラハラ感も含めて本当に面白いなと思っています。


GANG PARADE 短期集中連載 一覧

Vol.1 ヤママチミキ編「1人ぐらいは自分のことを必要としてくれる人がいるんだよ、って伝えたい」
Vol.2 ユメノユア編「自分を救ってくれた、支えてくれたのは音楽だった」
Vol.3 キャン・GP・マイカ編「常に憧れられる存在でありたい」


■リリース情報

GANG PARADEメジャー4thシングル『Priority』
2022年11月16日(水)リリース
価格:1,100円(tax in)
品番:WPCL-13427
収録内容:
1. Priority
2. MELT

購入リンク:https://GANGPARADE.lnk.to/4thSG

メジャー4thシングル「Priority」
9月19日(月)各配信サイトにて配信開始
https://gangparade.lnk.to/Priority

■ツアー情報

〈EVERYTHING MUST GO TOUR〉

2022年10月8日(土)@福岡 DRUM LOGOS
開場/開演 16:00/17:00
お問い合わせ:BEA 092-712-4221

2022年10月17日(月)@大阪 BIGCAT
開場/開演 17:30/18:30
お問い合わせ:サウンドクリエーター 06-6357-4400

2022年11月2日(水)@宮城 Rensa
開場/開演 17:30/18:30
お問い合わせ:G/I/P https://www.gip-web.co.jp/t/info

2022年11月10日(木)@東京 Zepp Haneda
開場/開演 17:30/18:30
お問い合わせ:KM MUSIC 045-201-9999

■イベント詳細

〈Even without BiSH, this is WACK〉
2022年11月23日(水祝)@千葉 幕張メッセイベントホール
時間:Open/Start 13:30/14:30
出演:ASP/BiS/ExWHYZ/GANG PARADE/豆柴の大群
[問] KM MUSIC 045-201-9999

料金:【通常チケット】全席指定 7,000円(税込)(入場時にドリンク代別途必要)

WACK 公式WEBサイト:https://www.wack.jp/

オフィシャルサイト:https://www.gangparade.com/

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