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現役風俗嬢リカのオトナ的コラム トーキョー・フリーティング Vol.13 この仕事が好きな理由

StoryWriter

前回、初めてのお店に入店し、デビューしたときのことをお話ししました。
とにかくちゃんと教わったことをやって、射精させなくては……!と必死だった初めてのお客さん。
最初のうちはしばらくそんな感じで、よくわからないけどとにかく必死に教わったことをやる、お店がつけてくれた仕事をひたすらしっかりやる、という感じでした。
周りがどんな感じで自分はどうなのかとか、そんなことを考える余裕もありませんでした。

少し慣れてきたある日。
“ダミー”という概念に気づきました。
ホームページ上は出勤になっているけど、実際には出勤していない女の子のことです。ダミーとか、カラ出勤などと言います。
これは、出勤人数を多く見せるために、多くの風俗店が使うやり方です。

それに気づいたころから、少しずつ、いろんなことがわかってきました。
自分は新人であるのに、この仕事の量は暇である、ということ。
出勤扱いの女の子は結構ダミーが多くて、実際に出ている子は数人である、ということ。
来客もそれほど多くない、そんなに忙しいお店ではないようである、ということ。
しかし、そのなかでも忙しい子というのはいて、そういう子は本指名のお客さんというのを抱えているということ。
本指名の数で人気ランキングが決まり、お客さんはそれを参考にして女の子を選んでいる……などなど。

実は、最初のころの私は、目の前の仕事を必死にやっていたものの、風俗のお仕事そのものに対しては、正直、ナメていました。
若い女の子が脱ぐんだから、ちんこしゃぶるんだから、そりゃカネになるだろうよ、みたいな。世の中の半分は男なんだから、放っておいてもお客さん来るだろうと。
つまり出勤さえすれば、たいした努力はせずともお客さんは勝手に来て、おカネを落として行くものだと思っていました。
無知だったこともありますが、そういう気持ちがあったことは、しっかり覚えています。

そんな、甘くないんだ……!
ただ出勤しているだけじゃ、だめなんだ……!

あるとき、ようやく私は気がつきました。
それからは、一気に意識が変わりました。

場数を踏んで慣れてきたこともあり、いろいろ考えながら接客できるようになりました。
1カ月ほどで本指名でお客さんが戻ってきてくれて、一層やる気も出ました。
今思えば、よくわからないながらも1カ月で本指名取れ始めたワタシ、やっぱりこの仕事向いてるわ。

この頃は本当に一生懸命だったので、他の女の子たちが「キスがキモい、本当にイヤ」とか言っているのを聞くと「は? それが仕事じゃん!」と思っていました。
私は、イヤだからという理由で手を抜くという発想はそもそもなかったですが、“みんなイヤなのか、だったら私はそこを皆よりしっかりやれば人気になれるのでは?”ということにも気づき、より一生懸命接客しました。
この頃は、本当に別にキモいとか思ってなかったしね。

そして、“このお客さんは何を求めているのか”を考え、察し、実現させてあげられるように努力しました。
最初はとにかく、教わった通りに全部やらなきゃ!と頭でっかちに思っていたのですが、お客さんは一人ひとり求めるプレイが違うわけで、それに合わせたプレイをしないと、満足してもらえません。
それにもやっと気づいて、それからは、かなり意識するようになりました。
ちょっと考えればわかる当たり前のことなのですが、私には難しくてなかなか気づけなかった……。
見た目もお客さん受けを意識するようになりましたね。

それから、最初からつけていた“お客さんノート”をより充実させ、あとから思い出せるようになるべく詳しく記録し、指名率や稼働率も計算し、曜日や時間帯や季節ごとの傾向なんかも見るようになりました。
そして見返せるときはなるべく見返して、ついたお客さん全員を覚えるようにしていました。
もちろん本指名で戻ってきてくれたときも見返し、あたかも覚えているかのように前回のプレイや交わした話を自然に持ち出せるようにしました。

これだけでも、かなり変わりました。
本指名率はどんどん上がりました。

私みたいな、特に可愛いわけでも若いわけでもないごく普通の女の子でも、意識を変えて、きちんと努力をすれば、結果はちゃんと出るんだ……!
そう思うととても嬉しく、これはとても面白い仕事だ……!と思いました。

今思えば、このころの私の強みは「どんなキモいお客さんでもめちゃくちゃいちゃいちゃできる、とにかく一生懸命」だったのかなあと思います。
この頃はそれが当たり前だと思っていたので強みとは思っていませんでしたが、きっと、慣れてる女の子はだんだんスレて来て、そういうのができなくなるのかもしれません。
私も、いまなら、もうできないと思う(笑)。

当時、自分の強みやセールスポイントとか、お客さんが“私”に求めているものは何なのかとか、そういうところまでわかってやっていたら、もっと売れていただろうと思います。さすがにそのころそこまではわからなかったけどね。

入店して2カ月後くらいから写メ日記が始まって(Vol.910参照)、それも頑張ってやっていたら、新規のネット指名のお客さんも増えました。そしてそうやって来てくれたお客さんをしっかり接客して本指名を取っていく……。好循環が生まれます。

そして、半年くらいでNo.3になり、1年後にはNo.1になっていました。

もうこうなってくると、仕事が面白くなってしまいました。
実は本当は、Vol.11でお話した当初の目的――まとまったおカネをつくって資格を取って転職する、は、最初の数カ月で達成しています。
でも、もちろん収入面もありますが、仕事が面白くなってしまったので、辞めずに続けていました。

それでもう、9年目。
面白くて、辞められません。

私がこの仕事が好きな理由は、こういうふうに、努力した結果がちゃんと出るから。
まあもちろん、相応の報酬があるからというのもありますが。
でも、もし私が全然稼げなくなったとして、時給1000円レベルになったとしても、コンビニで働くよりも風俗やるかもなあ(笑)。
特殊な仕事かもしれないけど、普通の仕事と同じように、頭を使って努力すれば、ちゃんと結果が出るのです。
他の昼の仕事でも努力して結果を出すということはできましたが、どの仕事よりもわかりやすく――それは収入面でもそうだし、忙しさやランキングなどでも――結果が出ました。
わかりやすく結果が出るからこそやりがいもあるし、面白さもある。
こういう仕事でやりがいとか言ってるのヤバいですかね? 所詮高収入だからでしょ、とか思いますよね? でも、それ別に何も悪くないですよね??

私はまだまだ、この仕事を続けたいです。

リカ
東京都出身。都内の風俗店で働く現役風俗嬢。小説はミステリーと恋愛ものが好き。ロキノン厨。

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