「みんなの遊び場」をコンセプトに活動するWACK所属の13人組アイドル・グループGANG PARADE(以下、ギャンパレ)がベストアルバム『WELCOME TO GANG PARADE (COMPLETE EDITION)』を11月21日に配信リリースした。
同作には、これまで発表してきた楽曲を現体制で再録し新たなエディットとマスタリングを施して収録した137曲(!?)が収録。前身グループのプラニメ、POP時代から歌われてきた楽曲からインディーズ時代の曲、ギャンパレが分裂して生まれたGO TO THE BEDSとPARADISES名義で発表された楽曲、ライヴのSEとして使用されたインスト曲、新曲「Beautiful Days」、アニメ「僕とロボコ」のテーマソング「lol」のPVバージョンが8時間以上にわたって収められている。
本作のリリースを記念し13人のメンバーが13曲入りのプレイリストを1人ずつ作成。どのような想いやテーマを持って楽曲を選んだのか、そして各楽曲にまつわる思い出やエピソードなどを加入時期にわけ4回に渡りインタビューを実施していく。第2回は、2016年10月にギャンパレに電撃加入したココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、テラシマユウカ、3人のプレイリストをもとに楽曲について読み解いていった。
取材&文:西澤裕郎
写真:まくらあさみ
ココ・パーティン・ココのテーマは「喜怒哀楽」
──まず、ココさんはどんなテーマでプレイリストを作成したんでしょう。
ココ:私は「喜怒哀楽」をテーマに選びました。このアルバムが出た日に4時間くらいかけて半分くらい聴き直したんですけど、改めてすごく好きな曲ばかりだなと思って。プレイリストに入りきらなかった曲もめちゃめちゃあるんですけど、改めていいなと思った曲を選んで「喜怒哀楽」の流れで入れてみました。
──順番に喜怒哀楽になっている?
ココ:はい。3、4曲ずつ選出して流れを作ったんですけど、「楽」ってちょっと「喜」と似ているじゃないですか? だから私的に最後の方ちょっとエモーショナルな曲にしていて。
ドクソン:喜怒哀エモ?
ココ:あははは。みたいな感じで選びました。
──「お願い」は喜怒哀楽のどの感情になるんでしょう?
ココ:この中では「哀」の方ですね。「そんなんじゃベイビー」までの3曲が喜で、「POISON」までが怒、「WINTER SONG」までが哀で、そっからは「楽=エモ」にしています。「GANG 2」も怒にしたのかな? どっちだっけな…。
ドクソン:喜怒哀怒エモ。
一同:あははは。
──「GO TO THE BEDS SE」が4曲目に入っているのがかなり特徴的ですよね。
ココ:他の子と結構曲がかぶっちゃっていたのでSEを入れたんです。GO TO THE BEDSのSEってパワフルでエネルギーがあって、ちょっと怖い感じのイメージもある。怒りとまでは言わないんですけど、人間の負のエネルギーみたいなものもコロナ禍で感じて、そういうマイナスな感情もぶつけてライヴをしていた部分もあったので、「怒」のところはSEで始めた方がいいかなと思って。
ドクソン:怒りのはじまり?
ココ:怒りっていうか強さみたいな。そこからの3曲はそれがありますね。
作詞曲を歴史順に並べたテラシマユウカ
──続いて、ユユさんはどういうテーマで作成したんでしょう?
テラシマ:私はシンプルに自分の作詞した曲を選んで、作詞した順に並べていきました。その中でも、自分的にちょっと節目っぽい曲を入れました。「WINTER SONG」から始まり最新の「Period」で締めるみたいな。
──泣く泣くプレイリストから漏れてしまった楽曲は?
テラシマ:「I need you I love you I want you」と「キモチイイコトシタイ!」とか、3、4曲選べなかった気がします。
──改めて自分の書いた歌詞を並べてみて、どんなことを思いましたか。
テラシマ:その時々のブームがあって。まっすぐな歌詞を書いていないかなと思ったんですけど、意外と「PALET」とかはそれが書けてたりして、自分もこういう純粋な歌詞を書けるんだなって。あと、最初は言葉のはめ方とか音の気持ち良さを気にしながら書いていなかったので、今だったらこういう書き方はしないなみたいな部分とかもあります。
ユイ・ガ・ドクソンのテーマは「ゾンビ映画」
──続いてドクソンさんはどんなテーマでプレイリストを作成したんでしょう。
ドクソン:私のテーマは「ゾンビ映画」です!
──詳しく教えてもらえますか(笑)?
ドクソン:私はアルバムの曲順って映画っぽいなと感じることがあるので、プレイリストもストーリーがいいなと思って頭の中に流れる映像の裏で鳴っていて欲しい曲を選びました。そこに自分の作詞させていただいた曲も織り交ぜつつ、自分が普段めっちゃ聴いている曲とかも入れつつ、1本のフィルムのようなゾンビ映画を想定しています。
──大まかにどんなストーリーの映画なんでしょう。
ドクソン:「GORI GORI」から始まるんですけど、ゾンビが生まれたときのハプニングをイメージしています。そこからいきなりシーンが切り替わって「GANG PARADE」になるんですけど、激しさの予兆ですね、その次が日常パートです。ゾンビがきえーーって生まれて、場面が切り替わって普通の生活がスタートする。「シグナル」が新体制初の楽曲で、GANG PARADEとしても聴いて欲しい曲として入れています。そこから感情が入れ替わるジェットコースターみたいになっておりまして、ゾンビに会ってしまうけど最初は逃れてほっとする要素も入れつつ、途中で恋人が食べられてしまう悲しみもあったり、それでも諦めないぞっていう意味での「Beyond the Mountain」があったり。
ココ:ちょっとエモくなるんだ。
ドクソン:そう。1回気持ちが折れるけど、親友や周りの仲間に助けられて、また前を向く。そして反撃のターンですね。さらに、その先の新たな出会い「3rd FLOOR BOYFRIEND」。
──反撃のターン短くないですか(笑)?
ドクソン:一発奮起みたいにいくぞ!っていう気持ち奮い立たせたときに新たな出会いがあって、完全に頑張れるモードになっていくんです。この後「RATESHOW」と「正しい答えが見つからなくて」でゾンビと入り乱れる。いろんなゾンビが殺されて、食われて、逃げたり、闘ったりというクライマックスですね。そして全てが終わった後の「CAR RADIO」。エンディングです。
一同:(笑)。
ドクソン:私はハッピーエンドの映画が好きなんですけど、「CAR RADIO」を聴くと「2」を見たい気持ちになるんですよ。まだ続く余韻がある終わりにしたくてそうしました。
13SOUL ver.を聴いて、元のバージョンを聴くと印象が変わる
──3人それぞれ解説してもらいましたけど、他のメンバーのプレイリストを見て、どんなことを感じましたか?
ココ:その人らしさが出ている感じが出ていて、メンバーの人となりが表れたセットリストになっていて楽しかったですね。
テラシマ:月のプレイリストは、めっちゃ月っぽい(笑)。
ドクソン:ココのプレイリストもココっぽいなと思った。
ココ:ほんと? 他の子の制作意図を読んでから聴くとまた解釈が変わりそう。
──せっかくなので、普段なかなか焦点の当たりづらい曲についても教えてください。
ココ:私は最初にプレイリストを考えてから、他の子と被らないように何曲か変えたんですけど、「Plastic 2 Mercy」を誰も入れていなくて(笑)。
テラシマ:こういうとき、変わった曲を入れたくなっちゃうよね。
ココ:本当に焦点の当たっていない曲を詰め込みたくなって、逆にそれが被るっていう。
ドクソン:どのあたりが被ったの?
ココ:私は「MELT」と「Season Song」「Barely Last」を入れていたんですけど、それを変えました。
ドクソン:「Season Song」結構いたもんな。
ココ:「WINTER SONG」も結構いた。私はずっと言っているんですけど、「Season Song」「お願い」「BOND」がめっちゃ好きなんです。「BOND」はライヴでも3、4回ぐらいしかやってないんですけど、ユアちゃんの歌詞もよくて、すごい好きですね。あと数少ない私の作詞曲「POISON」と「GO TO THE BEDS is my life」を入れました。「GO TO THE BEDS is my life」はGO TO THE BEDS名義なんですけど、7〜8割は私が書いていたので。
──ココさん作詞曲の特徴ってどういう部分にあると思いますか?
ココ:これもしかしたら使われるかも?と思った歌詞は使われていて。絶対に使われるだろうなって歌詞が数年に1回ぐらいあるんですよ。
テラシマ:そういう勘ってあるよね。
──ユユさんは、この機会に話しておきたい曲はありますか?
テラシマ:私、本当に「MAYDAY」が好きで。
ココ:ずっと言ってるよね。
テラシマ:なんでこんなに好きなんかわからないんですけど、振りありきでめっちゃ好きで。私がGO TO THE BEDSにトレードしていたときにはやる機会がなかったので一番やりたい曲です。
ココ:たしかにこの体制でやりたいよね。
テラシマ: GO TO THE BEDS最初の3曲の中の1個なんですけど、初めて聴いたときからずっと刺さっていて。なので、やりたいですね。
──PARADISESでメインに活動していたユユさんがGO TO THE BEDSの曲を選ぶのが意外というかおもしろいですね。
ココ:それでいうと、私もPARADISESの曲がめっちゃ好きなんですよ。アイドルっぽい曲が好きでなのでPARADISESの曲も結構入れようと思って。
テラシマ:あと、「Jealousy Marionnette」は野音のライヴの記憶がすごくある。
ココ:わかる!
ドクソン:私は「Dreamer」も野音のイメージ。
テラシマ:たしかに「Jealousy Marionnette」「PALET」「Dreamer」は野音の記憶が強いんですよ。なので、現体制の13人でやってみたいです。
──ドクソンさんはこの機会に触れておきたい曲はありますか?
ドクソン:「GORI GORI」はライヴではまじでやりたい。夢です。
──「GORI GORI」は13人体制になってから、ライヴでやったことがない?
ドクソン:ないです。
ココ:リリースからPARADISESにトレードになるまでの期間が短かったからね。
ドクソン:なので、日常的に踊ってました(笑)。13人バージョンはかっこいいと思うんですよね。迫力ありそう。
テラシマ:最初聞いたとき、「GORI GORI」は衝撃で。曲が終わったあと1分半ぐらい次の曲が鳴らなくて。再生画面見て見たらまだ「GORI GORI」になっていて。
ココ:終わってから1分半から2分くらい(音量を上げないと)無音なんだよね。
テラシマ:これ、どうやってライヴやっているんだろうって(笑)。
ドクソン:あとこれはコアな楽しみ方だと思うんですけど、1曲に数バージョン存在するので、13SOUL ver.を聴いて、元のバージョンを聴くと印象が変わったり、今の体制の面白さを感じたりすると思います。1曲でも楽しみ方が無限に広がって面白いので、だいぶ聴き込んだ方はそういう楽しい方も試してみてほしいです。
音楽的にもグループ的にもアイドル業界の時代の流れも感じられる137曲
──新メンバーの声が入って曲がアップデートしていくのは、どんな気持ちなんでしょう。
ココ:私たちが入ったときも、自分たちがいなかった時代の曲の中に自分たちの声が入って繋がりをすごく感じたんです。グループの一員なんだなって実感したので、自分たちの声が入るのは感慨深いものがあると思います。逆に、新しい子たちが入ってきて、自分たちが慣れ親しんだ曲に新鮮さが加わるので、13人ver.が音源化されてすごく良かったなと思います。
ドクソン:私は今までより客観的な気持ちで聞けて、おもしろ!って感じます。全体的にかわいい曲やキュンってする曲が増えたところも面白いですね。曲に新たな色が加わったような気持ちになります。
テラシマ:これまで、私達の声が入った曲で配信されていなかった曲もあって。私達がライヴでやる以外聞くすべがなかったんですけど、お客さんに今の体制の声を聞いてもらえるのはすごく嬉しいです。新しくギャンパレを知った人も、音源では知ってる声がないぞってことがあったと思うので、こうやって大々的にリリースさせてもらえたのは嬉しいことですね。
──改めて137曲を聴いてみて、楽曲から見えるギャンパレの歴史みたいなものは感じれれましたか?
ココ:それは感じましたね。その時々のブームみたいなものがあって。音楽的な時代の流れもすごく感じるし、グループ的な時代の流れも、アイドル業界の時代の流れも感じられました。この7年でもこんなに違うんだなって面白いなと思いましたね。K-POPとかロックの流行とか、時代時代の音楽要素がちょっとずつ私達の曲にも反映されているので、そういう部分も感じられるんじゃないかな。
ドクソン:思い出も蘇ってきちゃうというか。歴史が見えます。加入したてで聴くのと、今聴くのも歌うのも、気持ちが一新された感じがして。面白いです。
テラシマ:「MELT」とか「lol」は、仮歌が来たときから今どきっぽい曲だなと思って。最近は音楽の移り変わりがすごく速いので、そういう部分でも曲で攻めれるのが嬉しいなって。いまは、TikTokとかで一部だけ切り抜かれて聞かれる曲とかも多いから、この先もギャンパレの曲も時代に合わせて変わっていくのかなと思って。来年どんな曲が出せるんだろうってすごく楽しみです。
ココ:好きなジャンルがなんであれ、何かしら刺さる曲があるんじゃないかなと思います。お気に入りの曲を探してみてほしいですね。
ドクソン:あとお気に入りの声も!
──最後にそれぞれのプレイリスト、どのように聴いてほしいか教えてください。
ドクソン:私のプレイリストは、何かしながらでもいいので1回つるっと聴いてみてほしいです。それで何を思うかは自由です。あと、全員のセットリストも楽しんでほしいですね。聴いたことのない曲がたくさんあると思うんですけど、推しがオススメしている曲だから聴いてみようとか、きっかけは何でも知らなかった曲を聴いてもらったら嬉しいです。それで好きな曲とかお気に入りとかが増えたらめっちゃ嬉しいですね。
テラシマ:いまってシャッフル機能があるから、アルバムもシャッフルで聴きがちだと思うんですけど、いろんな意味を込めて曲順も考えているので頭から聴いてほしいなと思います。私は作詞させてもらった曲を順番に選んでいるので、GANG PARADEの歴史もなぞれるかなと思って。WACKで歌われている「いかなくちゃ」が「Are you kidding?」の歌詞に入っていたり、「命短し乙女たち」とか「ALIVE」はコロナ禍で家から出られなくて悶々と活動できないときの心情を書いていたり、「アレキシサイミア」と「merry bad end」はPARADISESと GO TO THE BEDSで続きの物語として書いていて。友達の話なんですけど、たまたま並びになっているので、歌詞がリンクするところとかも楽しんで欲しいです。
ココ:私はわかりやすく13曲を4種類に分けて作ったので、そのときの気分に合わせて聴いていただけたらなと思います。シャッフルにしたら情緒がぐちゃぐちゃになるので(笑)、怒っているときは怒ってもらったりして聴いてほしいです。感情に寄り添える楽曲がGANG PARADEの曲には本当にたくさんあるし、そのときの感情にベストマッチの曲が絶対あると思うので、気分によって使い分けて聴いていただけたらと思います。
https://gangparade.lnk.to/COCOPARTINCOCO_1214
■リリース情報
GANG PARADEメジャー4thシングル『Priority』
2022年11月16日(水)リリース
価格:1,100円(tax in)
品番:WPCL-13427
収録内容:
1. Priority
2. MELT
購入リンク:https://GANGPARADE.lnk.to/4thSG
オフィシャルサイト:https://www.gangparade.com/