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StoryWriter

中華を無性に食べたくなるときがある。

一人で食べるランチの定食も、皆で食べる夜の中華も、なんであんなに美味しいんだろう。元気がないときも中華を食べたら大抵の悩みは解決するんじゃないか?というくらい(大袈裟)火の通った食材にたくさんのパワーを頂いてる気がする。

実は最近、中華熱が密かに高まっている。

つい先日、素敵なお店に出会ってしまったのだ。

それは仕事帰り、ぷらぷらお散歩をしていたら、お腹が空いてきたときのこと。

しかし、場所は六本木。いつ来ても大人な街だなぁと、あまりお店を開拓してこなかったが、大通りから外れ、駅から離れた住宅街を歩いていると、下町情緒溢れる小さな中華屋さんを発見。

店内に足を踏み入れると満席。しかし、ちょうどサラリーマンの方が帰る所だったので無事座れることに(ラッキー)。

入り口には券売機がどーんと待ち構えている。

お腹が空いてるところにとてつもないメニューの多さ。これは優柔不断が炸裂してしまいそうだったので、一旦両手に抱えた荷物を置くことに。

そして目を細めながら皆が食べてるものをさりげなくチェックをし、どれが人気か確かめる(怪しい)。

そんなことをしていると

「大丈夫? やり方わかる?」

奥からお店のおばちゃんが出てきてくれた。

「ゆっくり決めてね」

優しい言葉をかけてくれた。

ラーメンと回鍋肉にも惹かれながら、無性に食べたくなったレバニラ定食のボタンを押した。

席に座るとお水を持ってきてくれたさっきの優しいおばちゃんが

「何にした?」

と、にんまりと聞いてくる。

なんだろう。このあたたかい感じ。実家に帰ったきたときのような安心感。

「レバニラにしました!」

と気持ち悪いくらいニコニコで答えてしまった。

横には家族連れのお客さん。

小学校低学年くらいの男の子が

「やっぱりラーメンとご飯の組み合わせは、最高だなぁ」

と言葉通り、ラーメンとチャーハンを交互に大きな口で頬張っていた。か、かわいい。店内に響き回ったその声に店内が和やかな雰囲気に。

帰るときも「ごちそうさまでした。おいしかったです。またきまーす!」と、元気よく挨拶。

えらいぞ、少年。どうかそのまますくすく育ってくれ。そう思いながらレバニラをものすごい勢いで完食すると

「美味しかった?」

お水のおかわりを注ぎながら、またまたさっきのおばちゃんが聞いてくれた。

「美味しかったぁ」と言ってしまいそうなくらいの全てを包み込んでくれる空気感。おばちゃんの笑顔、恐るべし。もちろん「美味しかったです!」と口角が天井につきそうなくらいの笑顔で答えた。

食べ終わったあとも少しだけのんびりしてるとちょうど忙しいピークが過ぎたのか、店内には私とおばちゃんと二人きりになった。

「お姉さん、あったかいお茶でも飲んでく?」

と聞いてくれたので、そんな図々しいことできませんと思いながら、お言葉に甘えさせていただいた。

再開発が進んで高層ビルがどんどん増えていくこの街で、こんなあたたかい雰囲気を味わえるなんて。

数日経った今もあの日のレバニラの美味しさと、おばちゃんの笑顔が忘れられない。

岡田ロビン翔子(おかだ・ろびん・しょうこ)

1993年生まれ。2006年から2018年8月2日の解散まで、チャオ ベッラ チンクエッティ(THEポッシボーから改名)のリーダーとして活動。 頭の回転の良さからくるトーク力には定評があった。解散後はラジオDJを中心に、MC、モデル、自身のアコースティックライブ「ロン喫茶」など、マルチに活動中。 様々なジャンルに興味を持ち、多方面にアンテナを張りめぐらせ、スキルアップのために努力を欠かさない向上心の持ち主。

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