天津飯放浪記 〜完成されたエセ中華の代表格を求めて〜「第1回 ラーメン王が提供する最強天津飯」

今日は2月14日、バレンタインデー。

学生の頃は妙にソワついて、校内で無意味に友達を避け1人で声を掛けてもらいやすいタイミングを作っていたであろう世の男子もやがては社会に出る。僕の会社は男3人というムサ苦しい環境……。チョコがどうこうなんて文字通り甘いことなんて言ってはおられん、おられんのよ。ハッ、時刻は12時37分のお昼時。グウッ…… ま、まただ……。アイツを抑えきれねえ!  ヤバイ! うわあああぁあぁ!!!!

「へ、へへ…… 食いてェ…… 食いてえのよ……。黄金に輝くおまん丸なアイツをさァ!」

どうも無類の天津飯好き、火鍋栄光です

今日の天津飯はこちら。ドン。

ラーメン王 後楽本舗」さんです。いや、天津飯の連載初回から店名”ラーメン王”て。

場所は渋谷駅の井の頭線の入り口付近。24時間営業の町中華屋さん。そしてこの年季の入った店の佇まい…… 只者ではない! おもしれえ…… 拳ボキボキ。

・いざ店内へ
「黄金に輝くおまん丸なアイツをさァ!」なんて言いましたが、お店への道中にはオムライス屋さんも発見。しかし、オムライスなど軟派な食べ物は言語道断。”漢”は天津飯と決まっているのだよ明智くん。オムライス屋なんて目にもくれず、ズンズクズンズクとお店の入り口の券売機まで進むさ。

ヌゥ……。なんとも言えぬ。まさに世の中の認識通りであろう天津飯の扱い。

お分かり頂けただろうか?

では、もう一度ご覧いただこう。

世の中には2通りの人間しかいない。「天津”飯”」と呼ぶ者と「天津”丼”」と呼ぶ者。ここは丼タイプか。経験則的に天津”丼の名称を使う店はアタリが多い。迅る気持ちを抑えて、まず食券を店の親父さんに渡そう。さて、水でも汲んで午後の仕事の内容でも確認しt……。

∧( ‘Θ’ )∧ヘイオマチ!

ええええええええええ!!!!!! 早い! ご提供が早すぎて何がなんだか分からなかったよ!! 店内は満席で忙しそうなのに早すぎるよォ! うわああああああん!! なにこれえええ!!!!! すごすぎる!!!

ちなみにタイムは↓

1分23秒48

天津飯界隈でのご提供TAではベストレコード更新……。ゴクリ

・関西風の天津飯のお出まし
落ち着こう。お皿を覗くとおやおや…… こんな曇り空のお昼なのにもう満月なのかい? 水面に浮かぶ綺麗な黄金の満月さながら。これが古文なら、いとをかしな一句でも読まれんばかりのビューティフォーさ。そしてこの餡の色…… キサマ関西風だな!? まずは丼の卵基準で南東の方角からスッとレンゲを差し込んでみると……。

オォ! 毛布のように優しく包んでいるふわふわ卵の下には、細切れチャーシューちゃんと蟹肉、葱ちゃんが仲良くおねんねしてやがる! こんにちは! 一般的なグリーンピースと卵、ご飯の組み合わせとは異なる豪華な具材ラインナップ! 勝負所かってくらい力の入った具材達……。豪華。

喋ってばかりいる場合じゃあないんだ。一口食べてみると……。

蟹肉という海からの使者と肉界のグレネードランチャーことチャーシューさん。どちらも味が付いていて、ご飯と一緒にすくって食べて美味い! なんなら蟹肉とチャーシューとご飯全部一緒でも美味いぞ! 三位一体とはこのこと! 卵もふわふわで、それでいて厚みもある! 牛丼のような重さもなくパクパク食べられちまう! 天津丼って飲み物だったのかァ

そして、このご飯と蟹肉とチャーシューという三人一組(スリーマンセル)を優しくまとめあげるのはリーダー格の関西風の優しくアッサリめの餡。優しいよォ。お出汁が効いた優しい味。しかし、ただ優しいだけじゃない。ここで飛び道具の紅生姜ちゃんも一緒にすくってみると……。

あー、いい感じの刺々しさが味に加わる。いい変化球。んまー。優しいだけじゃダメだし、とんがっててもイヤ。女心をよく理解したような逸品なんだね、お前さんは。

・ラーメン王のダークホースであり目玉
ふと横を見ると、スーツのおじさんは中華丼を頼んでいる。ノンノン、違うのよ。ここのお店は天津丼なのよ。中華丼も他のメニューも美味しいだろうけど、世間からうっかり見落とされてしまっている天津丼こそがこのお店のダークホース目玉なのよ。騙されたと思って一回食べてご覧なさいよ、もう。

なんて思っているうちに完食。ごちそうさま。

ぷはーっ。お腹いっぱい、肉も蟹も米も食べれてあたしゃあ満足だよ。まだ少し早いけど会社戻って仕事しよっと。あー、でも甘いものもちょっと食べたくなってきたな。チョコとか…… チラッ。

今日の天津飯豆知識:
実は日本発祥の中華料理(もはや中華なのか?)で、ケチャップで甘酸っぱくした餡がかかった関東風と、あっさり薄味の餡がかかった関西風がある。


⭐︎今日のお店⭐︎

「ラーメン王 後楽本舗」
住所:〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2丁目7−4 清水ビル 1F
24時間営業
電話:03-3464-1650

火鍋栄光(ひなべ・えいこう)
大学時代には中国に留学、何度も旅行で現地に赴いては中国各地の料理に舌鼓を打ってきた若武者。現在はネオン輝く大都会トーキョーで、本場の味が楽しめる中華料理屋を彷徨う神出鬼没のゾンビ。普通の中国人はチンプンカンプンの日本発祥中華料理の代表格「天津飯」に人生を狂わされかけている。記事中の写真は©︎Photo by Kopei。