【連載】ロビンの青い卵より vol.29「奥深い養生の世界」

最近、楽しそうなイベントがあると、ついつい参加してしまう。

漢方が1包から買える渋谷の漢方入門薬店さんでやっていた「養生祭」。

この漢方屋さんを知ったのは数年前の人間ドックの後、ゆらゆら揺れる暖簾に引き込まれて入ったのがキッカケ。

「人間ドックを受けたばかりの体にコーヒーは刺激が強そうだから、ハーブティーかなにか飲みたいなぁ」と思っていたところにハーブティー以上・漢方未満の漢方茶を飲めるお店を見つけるという、うれしい偶然。

しかも聞くところによると、お店の店主の女性は、私の姉のマッサージに来てくれてるお客さんだったのだ。どんな偶然（私の姉はセラピスト）。

漢方と聞くと、種類がたくさんあって何を飲めばいいか分からないし、少しハードルが高いイメージがあったが、ここはまるでカフェのような空間で問診をしてくれて、その人に合う漢方を出してくれる。

日常生活のアドバイスもしてくれるのだが、なんともまぁ心地のいいお店で、それ以来通うようになった。すると今度そのお店で「養生祭」というイベントをやるとのこと。

正直そのときは「養生」とは何かまったく分かっていなかったが、なんとなくビビッときたので、迷うこともなく申し込み。

限られた人数だったので、チケットはすぐに完売。

「養生とは？」

あえて何も調べることなく当日を迎えた（映画も何も調べずに、そのときの直感で心に引っかかったものを何の情報を入れずに見るのが好き）。

お店に入ると、私以外に5名の女性のお客さん。それぞれ1人で来ている模様。

店主の松浦さんとアシスタントの方。そしてゲストに、国際薬剤師の方と養生家の方もいらっしゃって、精進ちまきと薬膳ケーキ、薬膳黒胡麻ぜんざいが振る舞われる。

準備をしながら、日々の生活で気をつけていること、気づいたこと、健康のあれこれ。いろんなお話をされてる間、ずっと蒸されていたちまきが立ち上がる湯気の中から見えたとき、なんとも幸せな気持ちになった。

愛情たっぷりの食事を頂きながら、目の前にある大きなせいろの話題で盛り上がる。

以前「湯気」というタイトルの連載でも書いたが、横浜までせいろ蒸しを買いに行った私は

「21cmも使いやすいですよ〜」

と語り、ついついお喋り好きな母の血が騒いだが

「いかんいかん、ココはラジオの自分のコーナーじゃないんだぞ」

と、すぐさま落ち着いたトーンにして、自分の話はほどほどにして切り上げた。

仕事柄、はじめましての方と話すことには慣れているが、相手の年齢や職業などを聞かずに話せるのはなんだか新鮮で、うれしいたのしいイベントだった。

“養生”とは、養生テープではないことをしっかり学んだ私は（本当はもっと深く学んでます）、その日以来、本屋さんに行くと表紙に「養生レシピ」と書かれているのが目に止まるようになった。

そして、後日、養生祭で出会った養生家の方のイベントにも参加することに。

精進ちまきのレシピを教えていただき、自分で包むことに。悪戦苦闘しながらなんとか包めたちまきの、愛おしいこと。

そのイベントには外国の男性の方も参加していて

「私、日本語があまり上手ではありません。誰か英語話せる方はいますか？」

と、真向かいに座っていた私とガッツリ目があったが

「スミマセン、ワタシハ、ハーフデスケド、エイゴハ、シャベレマセン」

と、なんとも情けない返事をしてしまったことだけが心残りだ。

その日以来、教わった精進ちまきを自宅でもよく作るようになって……はいないのだが（テヘ）、そのとき一緒に教わった季節のポタージュはレシピを見ないで作れるようになるくらい、我が家の定番の味になっている。

美味しくって身体にいいって、最高。もっともっと養生の世界を深掘りしたいと思う、今日この頃です。

そうそう。

ほかにも、いろんなイベントになんの躊躇もなく一人で行った話をラジオで話すと、10年近く一緒にやっている相方の土谷さんに「本当にすごいよね！」と言われるが、果たして褒められているのか、いじられているのかは、分からない。