WACK所属のアイドルグループGANG PARADEとKiSS KiSSによるツーマンライブ〈KiSS PARADE〉が2024年7月16日(火)、東京 Spotify O-WESTにて開催された。
本イベントを持って、両グループのメンバーとして活動してきたカ能セイがグループを脱退、WACKを退所することが発表されていた。チケットはSOLD OUT。GANG PARADEにとって13人最後のステージとなった本イベントをレポートする。
6人のメンバーで駆け抜けた、KiSS KiSS現体制ラストライブ
梅雨のじめっとした湿気、大粒の雨が降る渋谷。ライブハウスとホテルが密集する円山町の中心にあるライブハウスSpotify O-WESTは、特別な熱気に包まれていた。
この日をもって、カ能セイが脱退する。
GANG PARADEに2022年3月に加入、2年強活動してきたカ能セイ。メンバーの脱加入の多かったギャンパレだが、ここまで長く同じメンバーの体制が続いたことはグループ史上初だ。同時に、セイはWACKの中ではオルタナティブといえる正統派アイドルKiSS KiSSの初期メンバーとしてもグループを兼任して活動を続けてきた。
13人体制最後のギャンパレ、そしてKiSS KiSSの姿を目に焼き付けようと、会場いっぱいの遊び人(※GANG PARADEファンの呼称)とKiSSERS(※KiSS KiSSファンの総称)が会場に詰めかけた。
19時過ぎ。まずはKiSS KiSSがライブを行った。
ギャンパレメンバーでもある、キラ・メイ、キャ・ノン、チャンベイビー、ナルハワールド、アイナスター、カ能セイが、かわいらしいSEに乗せて手拍子とともに登場。グループ初楽曲「KiSSES」でライブをスタートさせると、KiSSERSたちの精一杯のコールが会場に響く。正統派の可愛らしいアイドル衣装で「フランケンシュタイン」、「Twilight」とパフォーマンスすると、メンバーカラーのペンライトが会場を彩った。
「渋谷にお集まりのみなさん、こんばんは。KiSSをあなたにお届けChu!私たち、KiSS KiSSです。よろしくおねがいします!」と全員で挨拶し、1人ずつ自己紹介すると、グルーヴィーなダンスチューン「KiSS KiSS SUNSET」、「Cake!」、「チョコキス!!」とかわいらしくも複雑なビートを取り入れた楽曲を続けてパフォーマンス。キャッチーで疾走感のある「いないいないばー」では、KiSSERSたちの大きな声援が沸き起こった。
そして、セイがMCで気持ちを伝えた。
「KiSS KiSSが出来てから1年ちょっと経ったんですけど、最初のころを思い出すと、1からグループを作るのが初めての経験で。毎日が新鮮な経験でワクワクドキドキでした。土台を作ってくれたKiSSERSのみんなや、新しくKiSSERSになってくれた人も、みんなが来てくれるから、私たちはこうやって活動できています。ありがとうございます。
みんなの声が本当に嬉しくて。例えば、セイのダンスが好きだよとか、振り付けも褒めてくれる人もいて、すごく甘やかされていて、こんな恵まれていていいのかなと、ありがとうの気持ちしかないです。
一緒にやってきた5人のメンバーとは、いろんなことを乗り越えてきたんですけど、KiSS KiSSメンバーでしか話せないこともあって。夜通し語り合ったり、深夜練をしたり、この1年ですごく絆が深まりました。大変なことがあって弱音を吐いちゃうときも、この6人だと最終的にはがんばろうって前向きになれました。心強くて、かっこよくて、かわいくて、たくましいメンバーと仲間になることができて、私は幸せ者だなと思います。
KiSS KiSSメンバーもKiSSERSも心の底から愛しています。今日はここに集まってくれてありがとうございます。これからもKiSS KiSSの未来をよろしくお願いします! みんなと観てきた景色も、かけがえのない景色も、一生忘れません」
そして、バラード曲「あの日のメロディ」を心を込めて歌うと、ロック調の「雨天決行」で再びKiSSERSの大声援とともに一体感を生み出し、最後はメンバーとKiSSERSによるクラップとともにハッピーなバイブスに包まれた「ファンファーレ」を披露し、6人はステージを後にした。
GANG PARADE、13人体制ラストライブ「愛とか勇気とか、心の中にずっと置いて一生懸命頑張ります」
19時52分。お馴染みのSEが会場に流れると、ピンクの衣装に身を包んだヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、テラシマユウカ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノン、ナルハワールド、アイナスター、カ能セイ、13人が登場。横ならびで「はじめまして! 私たち、エンジョイプレイ、みんなの遊び場GANG PARADEです! よろしくお願いします!」と挨拶すると、13人体制で初のシングルとなった「シグナル」でライブをスタートさせた。湧き上がる遊び人たち。続く「pretty pretty good」ではメンバーカラーのライトとともに、サビでは海老反りの振り付けで、これまで以上の遊び人たちのコールが会場を包んだ。さらに、デジタルチューンの「GANG PARADE」で盛り上がりは加速していく。
「あらためまして、私たちエンジョイプレイ、みんなの遊び場GANG PARADEです! よろしくお願いします!」と挨拶すると、1人ずつ挨拶。セイの挨拶では、より一層大きな「セイ!」という遊び人の声が沸き起こった。ベビが「次やる曲は隣の人と肩を組んで誰よりも高く飛ぶぞという曲をやります!」と紹介すると、メンバーから「新鮮な曲紹介だ」と突っ込みが入った。サビのジャンプを全員で練習する斬新な準備をし、最も長く歌い継がれる「Plastic 2 Mercy」へ。強い一体感を生み出した。そして前身グループPOP時代の楽曲「NEON」、疾走感あるWACKらしさ溢れるロック曲「don’t forget me not」と続け、「FOUL」では〈BODY & 13 SOUL〉と13人のメンバーたちと遊び人たちで大きな声で叫んだ。
MCではセイが「遊び場、大好きだなって噛み締めています。脱退を発表してから、ずっとみんなには泣かないようにとか、強がった言葉ばかり言ってしまっていたし、私も我慢しようと思っていたけど、素直な気持ちを話そうと思います」と想いを伝えはじめたが、何を話そうか飛んでしまった、セイ。
アイナスターが横でささやき、内容を思い出させようとする前代未聞の展開に。隣のミキが背中を叩き勇気づけると、セイは「全部真っ白になってしまったんですけど、みんなのことが大好きです」と感謝を伝えるも、やはり内容が思い出せないよう。「一回、裏に行ってきたら」というココの突っ込みを素直に受け、本当に走ってステージ裏へ行ったセイに、メンバー12人が突っ込み、遊び人たちも笑って見守る。脱退の最後の挨拶にも関わらず、枠にとらわれないのもセイらしいし、それを笑顔に変えてしまうのもギャンパレらしい。
ステージに戻ってきたセイは、「発表してから無茶をして駆けつけてくれた人もたくさんいて。遊び人ってあったかいって、ずっと前から言っているんですけど、そんな遊び人が本当に大好きです。脱退発表の文に「これから先は1人で進んでいきます」って書いていたけど、間違っていたなと思って。みんなからこの2年間でもらってきた言葉とか愛は、心の中にあるので、私は1人じゃないなと実感しています。愛とか勇気とか、心の中にずっと置いて一生懸命頑張ります」と想いを伝えた。
そして「グダグダになってしまったけど、最後にみんなと一緒にやりたいことがあります」と、セイが「出会えた奇跡に感謝!」と言った後に続けて、全員で「ありがとう!」とレスポンスを返し、感謝の気持ちで会場がいっぱいになった。
「次の曲は、みんなに愛と感謝を込めて精一杯届けたいと思います。最後までよろしくおねがいします」というセイの曲紹介に続け、「Beautiful Days」をしっとりと歌うと、ギャンパレの初シングル曲「Happy Lucky Kirakira Lucky」で再び会場の熱はさらに盛り上がる。落ちサビ前ではセイのメンバーカラーであるターコイズブルーのライトの中、「セイセイセイセイヤー!」という掛け声が会場いっぱいに包まれた。
ココが「ラスト! 歌って、踊って、笑っていきましょう!」と遊び人に投げかけると、13人体制のギャンパレ時代に生まれた、THE イナズマ戦隊プロデュースによる新たなアンセム曲「ROCKを止めるな!!」へ。〈さぁ歌って踊って笑って これを青春とよばずなんと言う〉〈さぁ歌って踊って笑って これをギャンパレとよばずなんと言う〉という歌詞を、遊び人たちと大合唱し13人体制最後のライブは幕を閉じた。
客電がついても「まだ足りない」という遊び人たちによるアンコールは鳴り止まなかった。
13人体制で駆け抜けたギャンパレの青春。カ能セイが残したギャンパレでの日々は色褪せることなく残り続けるだろう。そして、ギャンパレは12人になっても走り続けていく。
取材&文:西澤裕郎
写真:田中和宏
KiSS KiSS セットリスト
1. KiSSES
2. フランケンシュタイン
3. Twilight
4. KiSS KiSS SUNSET
5. Cake!
6. チョコキス!!
7. いないいないばー
8. あの日のメロディ
9. 雨天決行
10. ファンファーレ
GANG PARADE セットリスト
1. シグナル
2. pretty pretty good
3. GANG PARADE
4. Plastic 2 Mercy
5. NEON
6. don’t forget me not
7. FOUL
8. Beautiful Days
9. Happy Lucky Kirakira Lucky
10. ROCKを止めるな!!