音楽プロダクションWACKが、イギリス現地時間2024年8月28日(水)、3度目となる海外公演〈WACK in the UK vol.3〉を、英国ロンドンのライブハウスThe Underworldにて開催した。
WACKは、昨年11月16日、今年3月27日に「WACK in the UK」を同会場のThe Underworldで開催。Vol.1では、同プロダクション所属のExWHYZ、ASP、アイナ・ジ・エンドとダンサー兼モデルのアオイヤマダによるスペシャルユニット「AiNATOAOI(アイナトアオイ)」が、Vol.2では、GANG PARADE、ASP、KiSS KiSSが熱演を繰り広げた。
3度目となるWACKによるロンドン公演に密着した様子をレポートする。
〈WACK in the UK vol.3〉現地レポート
WACKにとって、今回で3度目となるイギリス公演。WACK自ら会場のブッキングをはじめ現地でのセッティングなどを行っている、まさにDIYな興行だ。
今回の出演者は、全公演出演しているASPに加え、初のロンドン公演となるBiS、豆柴の大群都内某所 a.k.a MONSTERIDOLの合計3組がラインナップされていた。
8月26日(月)。3組は日本から出発し、イスタンブール空港で乗り継ぎ、ロンドンを目指すこととなっていた。しかし、飛行機の出発時刻が遅れ、乗り換えに間に合わない事態に。急遽、3組はトルコのホテルに一泊することとなった。
空港からバスに揺られてトルコ内を40分近く移動。ホテルで軽い食事をとり、数時間の睡眠ののち、再びバスでイスタンブール空港に向かった。チェックインし出発、予定より約半日遅れてロンドンに到着した。
本来であれば空港からはチャーターしたバスでの移動であったが、スケジュールがズレてしまったため、3組は地下鉄でロンドンを移動することに。これまでの2公演はまったくトラブルがなかったが、今回は思わぬ事態に見舞われることとなった。しかし、3組は疲れを見せるというより、初めての体験を楽しんでいるようでもあった。
到着した27日(火)、各々がロンドン観光をするなど自由時間を楽しんだ。
筆者は同日夜、現地のWACKファンたちとともに現地のカラオケに参加することに。地下室を改装したスタジオのような個室に日本のカラオケシステムを持ち込んだ簡易的なカラオケ施設だ。WACKファンたちは日本のカルチャーに対する知識が深い人が多く、日本のヒット曲を新旧問わずに歌い楽しんでいた。
そのあと、近くのPUBへ移動。それぞれがどのグループが好きか、推しは誰かなどを尋ねると、時より日本語を交えながらも嬉々とWACKグループについて熱く語ってくれた。ASPはもちろん、今回初上陸となるBiSと豆柴の大群都内某所 a.k.a MONSTERIDOLへの期待値も高く、翌日また会場でと挨拶をして、宿泊先へ戻った。
8月28日(水)。ライブ当日。メンバーたちはVIPチケット購入者と軽食をつまみながら話をしたり、チェキを撮るなど特典会を実施。リハーサルを行い、ライブを迎えた。物販では、BiSのメンバーが個別で交代しながら商品を渡すシーンも見受けられた。
日本から本公演に足を運んでいる熱心なファンも見受けられたが、これまでと同じく、多くが海外の観客たちだ。開演時間前になると、ロンドンに在住している元WACK代表の渡辺淳之介が登場し英語で挨拶をした。
ライブの一番手は、豆柴の大群都内某所 a.k.a MONSTERIDOL。TBS系バラエティ「水曜日のダウンタウン」の企画「MONSTER IDOL」から2019年に誕生した豆柴の大群と、2022年に「MONSTER LOVE」から誕生した都内某所が、さらなるMONSETRIDOLになるため合併。アイカ・ザ・スパイ、ナオ・オブ・ナオ、レオナエンパイア、モモチ・ンゲールからなるWACK所属の4人組アイドルグループだ。
クイーンの「We Will Rock You」が流れ、しばらくしてメンバー4人が登場すると、リズムがシームレスに繋がり「豆んJOY」でライブをスタート。モンスターアイドル的なギターロックだ。「レッツ豆豆トゥゲザー!」という掛け声から、「豆柴の大群-お送りするのは人生劇場-」へ。ファンたちのコールがロンドンの地下に鳴り響く。「FLASH」では手拍子も起こり、盛り上がりは増していった。
日本語でグループの自己紹介をすると、英語で1人ずつ自己紹介。拙いながらも英語を使って、ロンドンに来られた感謝を伝えた。そして低音が心地よい激しいビートにユニークなロデオダンスが乗る「イカサマダンス」、ハードなロック曲「LiGHTS CAMERA ACTiON」。「Shout out to good show!」と続け、かわいい面とハードな面の両方を見せた。一転、ミドルテンポの四つ打ち曲「ByeBye」をじっくり聞かせると、豆柴の大群時代の初期楽曲「大丈夫サンライズ」を披露。
再び英語で、日本のアイドルカルチャーで有名なコールがあると伝え、「俺の◯◯!」とメンバーの名前ごと練習し、「MUST GO」へ、ハイトーンの同楽曲を、歌の主軸となるナオ・オブ・ナオとレオナエンパイアが熱唱。最後は、クロちゃん(安田大サーカス)が作詞を手がけた豆柴の大群はじまりの楽曲「りスタート」へ。落ちサビ前には、現地ファンもガチ恋口上を大声で叫ぶシーンも見られ、大きな盛り上がりの中、ステージを後にした。
二番手で登場したのは、BiS。4月から「自給自足アイドル」として活動している最中だが、2025年に解散することが発表されており、最初で最後のロンドン公演に挑むこととなった。
トギー、ナノ3、ヒューガー、イコ・ムゲンノカナタ、クレナイ・ワールズエンドの5人がステージに登場すると「はじめまして、私たち新生アイドル研究会BiSです!」と挨拶をし、初期楽曲「STUPiD」でライブをスタート。お馴染みとなった組体操も落ちサビで決めると、「エビバディ、ダンス!」と「DADADA DANCE SONG」へ。ダンスロックチューン「LAZY DANCE」を披露すると、日本でもお馴染みの「超可愛い」というコールが客席にこだました。
改めて自己紹介をし、1人ずつ英語で自己紹介。ここからさらに熱は増していく。USロック調の「BASKET BOX」、「STiLL BE CHiLD」、全編英詞のエモーショナルな楽曲「HiDE iN SEW」をパフォーマンス。すべてに全力で立ち向かう姿は気合いが入っている。初めてのロンドン公演とは思えないくらい堂々としたステージだ。
「R.U.N」では、メンバーとともに研究員(※BiSファンの総称)たちも拳を突き上げて一体感を生み出すと、初期楽曲「BiS -どうやらゾンビのおでまし-」、そして最後は「CURTAiN CALL」と最初から最後まで全身全霊で走り切った。
3度目のロンドン公演のトリとして登場したのは、ASP。ユメカ・ナウカナ?、ナ前ナ以、モグ・ライアン、マチルダー・ツインズ、ウォンカー・ツインズ、チッチチチーチーチー、リオンタウンの7人の姿はこれまで以上にオーラを発しているように見える。
1曲目「拝啓ロックスター様」では、肩を組みながらヘッドバンキング。もちろん現地のならず者(※ASPファンの総称)たちもだ。続けて、ファストチューン「the MAN CALLiNG」、The Prodigyのマキシムが原曲を提供したデジタルチューン「TOXiC iNVASiON」と立て続けに披露。ユメカが英語で「今日最後の出演者です、楽しんでいきましょう!」と投げかけ、メタル要素も感じるミクスチャーロック「Black Nails」、デジタルハードコア「NO REASON」と駆け抜ける。会場の湿度が非常に上がるくらい盛り上がっている。「Next song is kiss song!」という紹介とともに「Blueberry Gum」へ。ならず者たちから「ちゅっちゅっちゅっちゅ!」というコールが沸き起こった。
ここで改めて挨拶をし、1人ずつ自己紹介をした。そして、「おーおー!」という掛け声をならず者と一緒に練習をし、壮大なロックソング「SAKEBE」を大合唱。続けて、ロンドンを拠点に活動する2人組ロック・ユニット”WARGASM”のプロデュース楽曲「MAKE A MOVE」、メジャーデビュー曲「Hyper Cracker」を披露すると、「最後まで全力を尽くします。またみなさんと一緒にロンドンでライブができたら嬉しいです!」と語り、ポップパンク曲「M」をパフォーマンスし、熱狂の中、ASPはライブをやり遂げた。
3組のライブが終了すると、渡辺が再び登場。「Did you enjoy?」という投げかけに、会場からは大きな声援が沸き起こった。メンバー全員をステージに呼び、1組ごと感想を述べた。ASPは「3回目のロンドン、とても幸せです」と語り、BiSは「ロンドンが大好き!」、MONSTERIDOLは「またここに来たいです。本当にありがとう!」と思いを伝えた。
渡辺がBiSは今回がロンドン公演ラストタイムであることを語ると、客席からもそれを寂しがる声が。渡辺も「さみしいですね」と語り、トギーは「やっと会えてうれしかったです! I love you!」とファンたちに感謝と愛を伝えた。
そして渡辺は4回目のロンドン公演開催を発表。会場はこれまでと同じThe Underworldで、日時は11月27日。「出演は……」と渡辺が口にすると、客席からは様々な声があがったが、中でも一際大きかったのがExWHYZの声。渡辺は、「Of course」と前置きをし、ExWHYZの出演を発表。そして、ASPの出演も発表した。さらに「and more」と、追加の出演者の発表は後日行うことを伝え、〈WACK in the UK vol.3〉は大団円を迎えた。
ライブが終わり、会場前で現地のファンにたまたま声をかけられた。彼はもともとはBiSHのファンで〈WACK in the UK〉に足を運んだが、それ以降、すべての公演に来ているという。「ASPは毎回来ているので、ほとんどの曲がわかるよ」。彼は笑いながらそう話した。その言葉通り、今回の公演では圧倒的にASPのライブ時の盛り上がりの熱が高かった。一度ではなく、定期的に公演を行うことでWACKの音楽がイギリスに浸透し始めている。そんなことを感じる今回の公演だった。そして、彼はこう言い残して、颯爽と自転車でその場を去っていった。「もちろん、次回も足を運ぶよ!」。WACKのイギリス挑戦はまだまだ続いていく。
取材&文:西澤裕郎
WACK in the UK vol.3
2024年8月28日(水)@The Underworld
セットリスト
豆柴の大群都内某所 a.k.a MONSTERIDOL
1. 豆んJOY
2. 豆柴の大群-お送りするのは人生劇場-
3. FLASH
4. イカサマダンス
5. LiGHTS CAMERA ACTiON
6. Shout out to good show!
7. ByeBye
8. 大丈夫サンライズ
9. MUST GO
10. りスタート
BiS
1. STUPiD
2. DADADA DANCE SONG
3. LAZY DANCE
4. BASKET BOX
5. STiLL BE CHiLD
6. HiDE iN SEW
7. R.U.N
8. BiS -どうやらゾンビのおでまし-
9. CURTAiN CALL
ASP
1. 拝啓ロックスター様
2. the MAN CALLiNG
3. TOXiC iNVASiON
4. Black Nails
5. NO REASON
6. Blueberry Gum
7. SAKEBE
8. MAKE A MOVE
9. Hyper Cracker
10. M
【Performance information】
WACK in the U.K. Vol. 3
DATE:WED. 28th AUG. 2024
VENUE:The Underworld (London)
Details will be announced at a later date.
APPEARANCE : ASP,BiS, MAMESHiBA NO TAiGUN TONAi BOUSYO a.k.a. MONSTERIDOL
【公演情報】
WACK in the U.K. Vol. 4
日程:2024年11月27日(水)(ロンドン現地時間)
会場:The Underworld (London)
詳細は後日発表