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【現地レポ】WACK英国ロンドン公演初の2DAYSーーロンドンの地に「primal.」が刻まれた衝撃のDAY2、PIGGS、MAPA、ZOCXが共演

StoryWriter

取材&文:西澤裕郎

日本の音楽プロダクションWACKが、イギリス現地時間2025年6月5日(木)、6日(金)、6度目となる海外公演〈WACK in the UK vol.6〉を、英国ロンドンのライブハウスThe Underworldにて開催した。

これまでWACKは、2023年11月16日、2024年3月27日、8月28日、11月26日、2025年3月26日に「WACK in the UK」をThe Underworldで開催。Vol.1は、同プロダクション所属のExWHYZ、ASP、アイナ・ジ・エンドとダンサー兼モデルのアオイヤマダによるスペシャルユニット「AiNATOAOI(アイナトアオイ)」が出演。Vol.2は、GANG PARADE、ASP、KiSS KiSSが、Vol.3はASP、BiS、豆柴の大群 都内某所 a.k.a MONSTERIDOL、Vol.4はASP、ExWHYZ、豆柴の大群 都内某所 a.k.a MONSTERIDOL、Vol.5はASP、GANG PARADE、KiSS KiSSが熱演を繰り広げた。

6度目にして、初の2DAYS開催となったWACKによるロンドン公演をレポートする。


〈WACK in the UK vol.6〉現地レポート DAY2

会場のThe Underworld

WACKが主催するイギリスでのライブ公演「WACK in the UK」は、今回で6回目の開催となる。

同公演は、JPU RecordsのTom Smith氏の協力のもと、WACK自らが会場のブッキングをはじめ、現地でのセッティングも行うという、まさにDIYな興行。初開催時から300人以上の観客がライブに訪れ、日本人観光客以上に、現地イギリスや他の国から訪れる観客が多い。

Tom Smith氏

また、WACKの代表であった渡辺淳之介は、イギリスの大学院進学のため代表を退任し、現在はイギリス在住で大学院に通っている。2025年1月6日には、渡辺が名誉編集長を務める英語メディア「DiG YOUR OWN IDOLS」をオープン。WACKのアイドルだけでなく、日本のアイドルグループやアイドルカルチャーを英語で立体的に発信している。

今回で6回目となる「WACK in the UK」は、初の2DAYS開催。

DAY2には、WACK所属ではない3組のアイドルグループが初出演。プー・ルイがプロデューサー兼メンバーを務める6人組アイドルグループPIGGS、古正寺恵巳を中心に結成された6人組アイドルグループMAPA、大森靖子がプロデューサー兼メンバーを務める6人組アイドルグループZOCXが藍染カレンを迎えての特別編成で出演を果たした。

渡辺淳之介

開演の19時30分直前になると、ステージに渡辺淳之介が登場。この日の出演グループの名前を改めて発表すると、フロアから大きな歓声が起こった。英語で注意事項を説明し、「初めてのロンドンでのパフォーマンス(する3組)、楽しんで!」と渡辺は英語で語り、ステージを後にした。

MAPA

オープニングSEとしてピアノの旋律が流れ、観客たちの手拍子が起こる中、古正寺恵巳、宇城茉世、紫凰ゆすら、神西笑夢、刀歌くる美、翠山みさ姫の6人が登場。「Calling box」でライブをスタートさせた。ユニゾンで「Calling」と歌うヴォーカルが美しい。楽曲の途中で古正寺のポエトリーリーディングが挟まるのが、他のアイドルグループにはない彼女たちの特徴のひとつだ。MAPAのライブは「演劇を見ているようだ」と評されるれるように、1曲の中にストーリーがある。続けて、ポストロック調のギターロック「雨の城」を披露し、MAPAの世界観に染め上げる。

古正寺恵巳

紫凰ゆすら

宇城茉世

神西笑夢

刀歌くる美

翠山みさ姫

自己紹介をし、「楽しむ準備はできてますか?」と英語で投げかけると、神西の「きりんさんが好きです、でもきみのほうがもーっと好きです」、そして宇城の「比べないでよ」というセリフからはじまる「麒麟♡タイム」へ。キュートでユニークな同楽曲で、グループの持つ楽曲の幅広さを示すと、「Father’s father? Father’s Mother? Mother’s father? Mother’s mother? That’s all」と語り、「四天王」へ。楽曲中に、<おじーちゃん><おばーちゃん><ひいじいちゃん><ひいばーちゃん>と連呼するオリジナリティに溢れた楽曲だ。楽曲の後半に進むにつれ、多幸感が溢れていく。

続けて「SUMMER SHOOTER」、「怪獣GIGA」とパフォーマンスし観客たちを魅了すると一転、ピアノの旋律の上で古正寺の心のこもったポエトリーが乗りはじまる「アイドルを辞める日」へ。楽曲が進むにつれ、サウンドとメンバーたちの歌声が重なっていく劇的な展開を魅せる楽曲だ。日本語で歌っていても、観客たちはじっくりその歌に聴き入っている。そして、最後はメロディアスな「絶対運命ごっこ」を力一杯歌いステージを後にした。

PIGGS

豚の鳴き声のBGMから、PIGGSの軽快なオープニングSEが流れると、観客たちの「オイ!オイ!」というコールが起こり、プー・ルイ、SHELLME、BAN-BAN、KINCHAN、BIBI、SU-RINGの6人が登場。のっけから会場を包む大きな歓声の中、初期パンク調の楽曲「Fleeting」で攻撃的なスタートした。その勢いに呼応するように手を挙げ飛び跳ねる観客たち。

続く「NAKED BORN NAKED DIE」では、メンバーたちが肩を組みながら左右に身体を振っていく。観客たちもその勢いを加速させるように盛り上がる。楽曲後半に進むにつれ、会場の温度が一気にあがっていく。メンバーの煽り声とともに「LINK EMOTION」へと続ける。勢いは止まることを知らない。ロック調のアッパーな楽曲と、一緒に真似しやすい振り付けにより、会場の一体感は増していく。

「Hello, London! PIGGSです! よろしくおねがいします!」と挨拶をし、1人ずつ自己紹介。BAN-BANは自慢の上腕二頭筋を見せつけ、KINCHANは「おもちパンチ」を披露するなど、日本のアイドルカルチャーの挨拶を英語を駆使しながら披露した。

プー・ルイ

BAN-BAN

SHELLME

KINCHAN

BIBI

SU-RING

「Do you like party?」「Next song is dangerous, because it’s very, very, very exciting. ダレデモデキル!レッツダンシング!」とシェルミーが煽ると、キャッチーでソウルフルなダンスチューン「デジャブー」へ。さらに、メロディックな「生きて帰る、」、エモーショナルなロック曲「1ミリでも」、そしてPIGGSの代表曲「とらえる」、「PIGGS-モナ・リザ-」と立て続けに駆け抜け、最後まで熱気が上がり続け、会場の温度と湿気が最高潮に達する中、ライブは幕を閉じた。

ZOCX

和とデジタルサウンドが融合したオープニングSEとともに、大森靖子、荼緒あいみ、千椿真夢、天國3ゅ姫、猫猫猫はう、この日限定の特別メンバー藍染カレンが登場(※戦慄かなのは今回の公演は不参加)。ハードなギターリフとともに、「オイ!オイ!」とアジテートしながら、「ZOC実験室」でライブがスタート。大森の叫び声が聴きてを惹きつける。力強くもアーティスティックなヴォーカルが絡み合い、サビの「ZOC! ZOC!」というフレーズがキャッチーかつ強烈だ。大森が「日本のアンダーグラウンドカルチャーを持ってきた。準備はできてるか?」と英語で力強く投げかけると、「AGE OF ZOC」へ。

荼緒あいみ

千椿真夢

猫猫猫はう

天國3ゅ姫

MCでは、日本語で簡潔に自己紹介。次の楽曲が「very very sexy song」と曲紹介すると、ソウルフルな楽曲「LiBiDo FUSION」へ。妖艶なダンスとともに歌い上げる。「人生が可愛くないと 生きてる価値なくない?」というセリフとともに始まったのは「GIRL’S GIRL」。1曲の中で様々な展開を見せ、聞き手を惹きつける。大森の歌唱からはじまる「①④才」では、その強烈な個性に聴きいる観客たち。サビに至るドラマティックな展開とヴォカールの絡み合い、ステージ上のメンバーたちの動きに息を呑む。「FLY IN THE DEEPRIVER」では、<クソ クソ クソ クソ>と強烈な歌唱が会場に響きわたる。

大森靖子、藍染カレン

続けて、ZOCXのメロディアスでパンクで個性的ですべてを内包するような「CUTTING EDGE」を披露。大森が「You decide your sex, gender, age, and your life」と伝えると、初期楽曲にして代表曲でもある「family name」をパフォーマンス。圧倒的なアーティスト性を誇示し、メンバーたちはステージを後にした。

プー・ルイ、古正寺、大森による、まさかのパフォーマンス

再び渡辺淳之介がステージに登場し、「楽しんでますか?」と英語で投げかけると、大きな声援が起こる。「Do you knoe first BiS?」と渡辺が尋ねると、一際大きな歓声が。「So, I was the maneger of 1st bis」と、渡辺が初期BiSのマネージャーであることを改めて語ると、初期BiSメンバーでもあったプー・ルイと古正寺、そして大森をステージに呼び寄せた。多くを語ることなく、渡辺は「enjoy」と一言残し、ステージを後にした。

すると、プールイがタイトルコール。

「primal.」

一瞬の間を置きつつ、驚きと喜びの歓声がフロアに鳴り響いた。

「primal.」は、初期BiSの代表曲。エモーショナルなギターサウンドと、サビで後ろを向きながら両手を上げる振り付けで、日本のアイドルカルチャーに大きな影響を与えた楽曲だ。また、かつて、日本のアンダーグラウンドなライブハウス・新宿LOFTで、初期BiSとともに大森靖子も、この楽曲をパフォーマンスしたことがある。

渡辺淳之介、そしてWACKの象徴とも言える楽曲がロンドンの地に鳴り響く。

とはいえ、2011年にリリースされた楽曲だ。そして、ここはロンドンの地。しかし、音楽に国境はない。曲が進むにつれ、観客たちもサビで両手をあげて後ろを振り返る。少しずつその振り付けが伝播していく様は、かつてBiSが日本のアイドルシーンで観客たちを掴んでいった光景を想起させた。

あっという間の約4分だった。楽曲を終えると、プー・ルイ、古正寺、そして大森も、どこか嬉しそうでやり切った顔をしているように見えた。

そして、再び渡辺がステージに登場すると、「How wonderful primal. is!」とパフォーマンスに賛辞を送った。

3人に感想を求めると、大森は「アンダーグラウンドカルチャーとライブミュージックを持って来れた。ありがとうございます」と英語で感謝を述べた。プー・ルイは、「音楽は国境を越える! 私の心はホットです!」と英語で、古正寺は「もう、みんな大好き! 嬉しいです。みんな泣いてくれたりして、待ってくれていて嬉しいです。ありがとうございます」と感慨深く挨拶をした。

そして、この日の出演者たちが再登場。渡辺は、天國3ゅ姫が元WACKメンバーであることを紹介。さらに、シェルミーは「人生楽しんだもん勝ち! Life is enjoy。かなしいときは思い出して。PIGGS、MAPA、ZOCX。渡辺さん。We are family!!」とジャパニーズギャルらしいテンションで挨拶。そして、この日のスペシャルメンバー、藍染カレンも英語で感謝を述べた。

最後は全員で写真を撮影し、「Thank you! See you again!」と渡辺が語り、DAY2は幕を閉じた。

MAPA
1. Calling box
2. 雨の城
3. 麒麟♡タイム
4. 四天王
5. SUMMER SHOOTER
6. 怪獣GIGA
7. アイドルを辞める日
8. 絶対運命ごっこ

PIGGS
1. Fleeting
2. NAKED BORN NAKED DIE
3. LINK EMOTION
4. デジャブー
5. 生きて帰る、
6. 1ミリでも
7. とらえる
8. PIGGS-モナ・リザ-

ZOCX
1. ZOC実験室
2. AGE OF ZOC
3. LiBiDo FUSION
4. GIRL’S GIRL
5. ①④才
6. FLY IN THE DEEPRIVER
7. CUTTING EDGE
8. family name

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