
取材&文:西澤裕郎
写真:Kazu Tanaka
GANG PARADE、ASP、ExWHYZ、豆柴の大群などのマネジメントを行う株式会社WACKが、2025年3月22日(日)~3月28日(土)にかけて6泊7日わたり開催する合宿型合同オーディション「WACK合同オーディション2026」。
今回の合宿オーディションには、書類審査と2次オーディションを通過した21名に加え、ASPからナ前ナ以が参加する。
その様子は最終日までニコニコ生放送ですべて中継される。
StoryWriterでは合宿の様子を連日に渡り現地からレポートする。
合宿4日目、観察者からプレイヤーへ

合宿4日目。私は、これまでの「俯瞰する記録者」という立場を捨てざるを得なくなった。
3月24日の夜、伝えられたパフォーマンス審査の課題曲は、BiSの「LOVE」。唯一の候補生であるタテ・マエのペアはWACKスタッフの山口。そして、急遽参戦が決まったGANG PARADEのココ・パーティン・ココとペアを組むことになったのは、他でもない私、西澤メロディだった。
43歳、ダンスも歌も未経験。2016年の第二期BiSオーディションからWACK主催の合宿オーディションを追い続けてきた自分が、ついにプレイヤーとして、WACK第1章の終わり、そして第2章への端境期に身を投じることになった。
24日 23:00
郷ノ浦港に到着したココ・パーティン・ココを車で迎えにいく。彼女は2016年、第2期BiSの合宿で脱落しながらもSiS、そしてGANG PARADEへと這い上がってきた、まさにWACK第1章の体現者だ。2026年での解散を発表しているGANG PARADEで活動しているココと、10年近く彼女を取材してきた私がペアを組む。この奇妙な巡り合わせの概念を伝えると、ココは「そんなことまったく考えてなかった」と笑った。
合宿の舞台である太公望に到着後、猶予はない。ココの就寝時間は24時。わずか数十分で歌割りを作り、基本の振り付けを確認する。「明日までに振りと歌詞をできるだけ覚えておきます」とココに伝え、23時40分、到着から就寝ギリギリまで明日のことを話し、ココは部屋へと戻った。
ロビーでは、恒例のスタッフの酒席が始まっていた。楽しげな笑い声が響く中、私は素面で鏡の前に立ち、慣れないステップを繰り返す。しかし、声が出せない。どうしても気恥ずかしさが勝ってしまう。それを見た渡辺淳之介から「歌いながらフリを入れないと覚えられない」と鋭い指摘が飛ぶ。
結局、深夜3時の腕相撲大会、そしてなぜか始まった相撲対決でスタッフの牛島に投げ飛ばされ、泥のように眠りについたのは深夜3時半だった。
25日 09:00

翌朝、ココと合流。彼女たちが料理対決をしている間も、私は一人で「LOVE」を反復する。しかし、12時30分。さらなる宣告が行われた。
「課題曲にGANG PARADEの『BREAKING THE ROAD』を追加します。振り付けはオリジナルで考えてください」
「LOVE」すら未完成の私にとって、それは絶望に近い宣告だった。だが、隣に立つココにとっては別の意味で過酷な要求だったはずだ。彼女が何千回と踊り、体の一部となっているはずの自グループの曲。それをあえて壊し、素人の私に合わせて再構築しなければならない。私たちの背後にはGANG PARADEという看板が重くのしかかっていた。
体育館に移動し、発表まで残り5時間。私が必死に「LOVE」をさらう横で、ココは新曲の構成を練る。「ここの歌詞が、どうしても飛んでしまう」という泣き言のような私の相談に、ココは「そこは私が引き受けます!」と即座にカバー案を出してくれた。
ふと、彼女のスマホにLINE電話が入る。画面の向こうにはGANG PARADEのメンバーたちが揃って我々に笑顔で話しかけてくれた。2017年の合宿時、候補生やニコ生視聴者からの知名度が低く、辛酸を嘗めた当時のメンバー(ユア、ユユ)に動画でエールを送ったのも、合宿に参加せずニコ生で応援しているギャンパレのメンバーたちだった。今、その温かな結束が私にも向けられる。家族に会ったような底知れない安心感が湧いた。
16:00

突如、渡辺から中間発表を行うと告げられた。結果は散々だった。歌詞は飛び、動きはバラバラ。
渡辺からのアドバイスは「『LOVE』なんだから、もっと2人の距離を近く」ということだった。そこから私たちは「LOVE」の振り付けをチューンナップ。お互い向き合い、視線を交わすフォーメーションを組み込んだ。
続く「BREAKING THE ROAD」の振り入れ。ココが何千回と踊ってきたであろう曲をあえて崩す作業は困難を極めた。そんな中で、私は一つだけリクエストをした。「綺麗さではなく、第1章として大事にしてきた『泥臭い全力』を出したい」。
ココはそれを受け入れてくれた。そして、壱岐に来ていないギャンパレメンバーたち考案のテーマを取り入れつつ、ギャンパレらしいユーモアをスパイスに、私が限界まで暴れられるフリを完成させてくれた。
18:20

本番。スピーカーの不具合で開始が数分遅れたことは、体力の底を突いていた私にとって救いだった。スピーカーの接続を待つ間、隣でココが「大丈夫! 楽しみましょう!」と声をかけてくれた。それが心強かった。
「LOVE」では、腕が取れるほど大きく振った。かつてBiSを担当していたクラウンの吉川氏に連絡した際、「フリは大きく、元気にお願いします」「腕がちぎれるくらい振り回してきてください」という返事をもらっていた。その言葉を胸に、できるだけ大きく踊った。

続く「BREAKING THE ROAD」では、ココが私のために削ぎ落とし、練り上げてくれた「泥臭い全力」を爆発させた。息が上がり、頭が真っ白になりかけていたが、ココのさりげないジェスチャーに導かれ、私は狂ったように踊った。最後、手を握りしめ二人で回転するパート。ココのエネルギーは練習の比ではなかった。遠心力で靴が脱げ、私は派手に転倒した。それでも立ち上がり、回りきった。
その後の結果は、ニコ生投票、渡辺淳之介の審査ともに1位だった。

渡辺は「『BREAKING THE ROAD』に助けられた感じ。俺の歌詞がいいね」と、彼らしい言葉でココに釘を刺したが、続けて放たれた「ココは苦しんでるところはあるよね。超えなきゃいけないところ」という言葉。それは、10年ココを見続けてきた私にとっても、彼女が今なお「WACKの現役」として戦い続けていることへの、最大級の激励に聞こえた。

そして、「第1章」の終わりを告げる合宿で、私が10年見てきた「WACKらしさ」を体当たりで表現し、それが認められた。しかし同時に、痛感した。この瞬発的な熱狂を「日常」として継続するには、今合宿のテーマである「毎日の積み重ね」や「目標の分解」という地道な筋力が不可欠なのだ。渡辺淳之介は、大切にしている魂を変えないために、あえてシステムを「変え続けている」のだと、体中の痛みが教えてくれた。
満身創痍で太公望に戻ったあとも、ココは休む間もなく候補生への助言やPR活動に奔走し、一度も笑顔を絶やさなかった。彼女の凄みを、私は記者という立場ではなく、はじめて同じ目線で知ることができた。エネルギーに満ち溢れた太陽のような存在なのだなと強く感じた。
そして一晩明けた26日、朝9時。早朝マラソンを終え、朝食をたべ、候補生たちへのアドバイスを終え、壱岐港へ。

乗船までのわずか10分。私たちは再び「表現者」と「記者」に戻った。
そんな中で行ったココへのインタビューをここに記す。
Interview:ココ・パーティン・ココ

──合宿お疲れ様でした。嵐のように過ぎ去った1日半だったと思いますが、今、壱岐を離れる船を前にして、どんなことを感じていますか。
ココ: 正直、前準備も何もない「青天の霹靂」でここに来たので、最初は心づもりもクソもなかったんです(笑)。「私、マジでどうしよう」って不安で、初日の夜は全然眠れなくて。でも、結果としては、本当に来て良かった。候補生の子たちが何かを感じ取ってくれたかはわからないですけど、自分自身のことで言えば、最初は「最後だし、WACKに少しでも貢献できればいいな」という気持ちだったんです。でも、それ以上にこの合宿の空気……合宿ってやっぱり異質じゃないですか。その渦中で自分自身が感じたものの方がずっと大きかった。呼んでいただけて、本当にありがたかったです。
──パフォーマンス審査でペアを組ませてもらって、ダンス未経験の僕に対しての指導が驚くほど的確で助けられました。
ココ: 本当ですか? 私、人に教えるのはすごく苦手意識があるから、大丈夫だったかなって心配で。
──ココさんが壱岐に到着したタイミングで、「僕たちはWACK第1章象徴的存在でもある」と話させてもらいました。だからこそ技術を超えた「全力さ」や、第1章が大切にしてきた泥臭い部分を出したかった。それをココさんが受け入れてくれたことが嬉しくて。実際にステージに立ってみて、どうでしたか。
ココ: 壱岐に入ってすぐ、映像カメラマンの岩淵さんや宮地さん、西澤さんと喋っていた時に「第1章の最後」と言われて、ハッとした部分があったんです。この1日半、自分が何を見せるべきか。第2章がどうなるかはまだ誰にもわからないけれど、「今まで自分たちが積み上げてきたものを見せたい」という強い気持ちになれた。それがこの1日半を過ごす大きな指標になったんです。あの言葉がなかったら、ただなんとなく終わっていたかもしれない。だから、私にとっても腑に落ちるというか、すごくありがたい言葉でした。
──僕もここに来て、初期BiS時代から苦楽を共にしてきたスタッフ陣と再会し、SiSの話なんかが出る中で、改めて自分たちのルーツを再確認できた感覚があります。
ココ: 本当にそうですね。「第1章が終わる」と宣言されている以上、終わっていくものと始まろうとしているものの間で、自分に何ができるんだろうってずっと考えていました。でも、渡辺さんに対しても、お客さんに対しても、候補生に対しても、「こういう泥臭いマインドって、やっぱりいいじゃん!」って。私はそれを信じて今までやってきたから。もちろん時代は変わるし、やり方も色々ある。昨日西澤さんとやったパフォーマンスは、間違いじゃなかった。もっとできたことはあったかもしれないけれど、誇りを持って立っていたんだなって、改めて気づけたことが大きな収穫でした。
──誇りをもって然るべきくらい、GANG PARADEは全力で駆け抜けてきたグループだと思います。
ココ: 楽曲でも「意地と誇りを」と歌っているんですけど、今のアイドルシーンと比べて、自信をなくすことも正直あったんです。でも、パフォーマンスに正解はないかもしれないけれど、「私が目指しているもの、やりたいことはこれだったんだ」って思い出させてもらえた。残りのギャンパレの期間、昨日のパフォーマンスみたいに、すべてを出し切りたいなって思っています。
──今回、面談のシステムも評価基準も大きく変わりました。そんな中で、あえて第1章的な全力をぶつけて、どう評価されるのか。僕も正直怖かったです。でも、渡辺さんもやっぱりそのマインドを大切にしているんだなと感じました。
ココ: 「全力を出す」という方向性が、少しずつ変わってきているんだと思うんです。単なるフィジカルだけじゃなくて、もっと多角的な意味での全力に。でも、渡辺さん本人が言っていた通り、根本は変わっていない。渡辺さんと話して、渡辺さんが大事にしているものが今もそこにあると感じられたのは、すごく嬉しかったです。
──候補生たちからも、アドバイスを求められる場面が多かったですね。
ココ: 難しかったですね。自分の記憶を掘り起こさないといけないし、私自身、誰かに偉そうに言えるような人間でもないから。でも、求めてくれる子には全力で返したいと思って、言葉を絞り出しました。ただ、候補生の子たちもこの数日間、自分と徹底的に向き合ってきたからこそ、質問がすごく明確だったんです。渡辺さんが提示した「目標を分解する」というやり方が生きていた。漠然とした不安じゃなく、進むべき道筋が見えているからこその質問。自分と向き合い続けられる子なら、本当に「超人」になれるんじゃないかなって、シンプルに感銘を受けました。
──第1章が終わっても、WACKの根底にあるものは続いていくんじゃないかと。
ココ: 表現の仕方は変わるかもしれないけれど、渡辺さんがいる限り、根っこにあるものは変わらない。そう思えた合宿でした。
──GANG PARADEを駆け抜けたその先、ご自身のその後のマインド部分で考えることはありましたか?
ココ: 候補生たちを見ていて、立場は違うけれど、私も同じだなって思ったんです。ギャンパレは終わってしまうけど、私の人生が終わるわけじゃない。私もまた、新しい何かを始めなきゃいけない。その意味では、彼女たちと私は同じ状況なんだと思いながら過ごしていました。その後の人生も恥じないものでありたいと思っています。

■イベント情報
2026年3月22日(日)13:00~
【前半】全て見せます!WACKオーディション合宿2026完全密着6泊7日の死闘
https://live.nicovideo.jp/watch/lv350108688
2026年3月25日(水)12:00~
【後半】全て見せます!WACKオーディション合宿2026完全密着6泊7日の死闘
https://live.nicovideo.jp/watch/lv350108689
WACK 公式WEBサイト:https://www.wack.jp/



