
TEXT:Hiroo Nishizawa
PHOTO:Kenta Sotobayashi
ExWHYZ が2026年8月15日(土)、オールナイトイベント<ExWHYZ presents ‘CLUB Ex FINAL’>を東京・Spotify O-EASTにて開催した。
ゲストは、8月26日にリリースされるラストアルバム『zION』にも楽曲を提供している80KIDZ、ohayoumadayarou、そして大沢伸一の3組。8月31日のラストライブ<ExWHYZ LAST LIVE ‘光’>を残すのみとなった彼女たちにとって、朝まで踊り明かす夜としては、最後のイベントとなった。
深夜2時半。渋谷のクラブ街に位置するO-EASTは、開演を前に会場いっぱいの観客で埋まっていた。「朝まで踊る準備できてますか?」というメンバーの影ナレーションに、フロアが大きな声援で応える。普段のライブとは声量も熱量も明らかに違う。昼間のライブが持つ整った高揚とは別の、夜そのものが背中を押してくるようなテンションがそこにはある。眠るはずの時間に集まって踊る。その選択をした人間だけが集う空間の密度。
そこには、ExWHYZを見に来ただけでなく、音楽を浴びに来たという空気が満ちている。彼女たちが掲げてきた「DANCE YOUR DANCE」というテーマが、この場所には素直な形で染み込んでいた。終わりが近いことへの寂しさも、まだ実感の湧かない戸惑いも、感謝も、この夜は身体の動きに変換され、ビートの上で処理されていく。ダンスミュージックを鳴らしてきた彼女たちとマスターにとって、必然とも言える一夜がスタートした。
80KIDZ

2時30分、逆光の中に80KIDZが登場、ノイズがかったVJを背に「Energeia」でライブがスタートした。打ち込みのシーケンスの上で、2本のギターとベースの演奏が絡み合う。客席の手拍子を促して「Neqw」を演奏すると、繊細なギターリフとドラムンベースの絡み合いが多幸感を生む、シンガーソングライターのSagiri Sólをフィーチャーした「Don’t Cry」へ。青い照明に包まれる中、地を這うような重低音のベースとともに「Field」で幻想的な世界が広がる。
「最後のCLUB Ex。トップバッターをやらせてもらって楽しいです。みんなも楽しんで、最後まで踊って楽しんでいきましょう!」というフロアへの投げかけから、向井太一をフィーチャーした最新曲「Keep Moving」へ。ここで本人がスペシャルゲストとして登場するサプライズに客席が沸いた。向井は「Are you ready Shibuya?」という投げかけとともに、伸びやかで艶のある歌声を聴かせる。縦乗りで飛び跳ねる観客たち。大きな拍手の中、向井がステージを去ると、シンセ音とビートがポップに絡み合う「With You」へ。シームレスに鳴り響いた「Weekend Warrior」では、客席のクラップの中、ギター、ベース、キーボードの生演奏が有機的に混ざり合い、フロアを熱く盛り上げて、メンバーはステージを後にした。

ohayoumadayarou

続いて登場したのは、chelmicoのRachelによるソロプロジェクト、ohayoumadayarou。バックDJがトラックを鳴らし、Rachelが軽快に姿を見せると、「気持ちよく揺れていこう!」と投げかけて「Crawl」へ。続けて、〈玉ねぎ切って泣いてたら 本当に悲しくなってきちゃった〉という印象的なフレーズから始まる「玉ねぎ」。やわらかなトラックの上で、丁寧に言葉を紡いでいく。
「やばくない? 今日!」とレゲエホーンとともに叫び、「オープン、遅くない?」と深夜2時半スタートにツッコミを入れながら、「この時間じゃ、盛り上がるしかないじゃん!」と語ると、大きな歓声に包まれる。「みんな音楽好きな感じで、それぞれ楽しんでいるのが伝わってきて、すごく嬉しい」と語った。ExWHYZとは『zION』収録の「00:00」をShin Sakiuraとともに手がけた縁の話から、楽曲を渡した際に「ラップできんのか?」と挑戦状のような気持ちだったこと、それを4人がバリバリ乗りこなしてきたことを振り返った。
この日は、すぐ近くにあるclubasiaでDJをしてからの出演だったという。「音楽をどっぷりで楽しませてもらっているので、いっぱい曲をやらせてもらおうと思って」と「西澄寺」へ。跳ねるビートの上で、ステージを左右に歩きながらラップしていく。大きな歓声に驚きと喜びを見せて「ねえ、声デカすぎ」「最高すぎ」「声がデカすぎて次の曲に入れなかったの、10年やってて初めてです」と笑いながら「紙飛行機」へ。
続くMCでは、レコーディング中のExWHYZについても触れた。ずっとはしゃいでいる4人がかわいすぎて、Shin Sakiuraとふたりで目を細めて見ていたこと、大好きになったこと。「ファンの人がどんな感じかと思ったら、大丈夫すぎた。幸せだって改めて思った」と感謝を伝え、ソロで初めて作ったという「mo osoi」へ。「この機会にあえて」と最後に選んだのは、普段はセットの最後に置かないという「惑星」。仕事がしんどく、いいオファーもタイミングよく来ず、つらいという時期に作った曲だという。「いろんなものが重なって、いまがあるというのを感じた。こういう全部が噛み合った瞬間、めっちゃ大事じゃんって。ポップスってそういうものじゃんと思った」。そう語り同曲を歌い上げ、「こんな素敵な夜をありがとうございました! 夜をめちゃめちゃ楽しんでいくぞ!」と叫び、ステージを後にした。

ExWHYZ

3時40分。「zION」が流れ、星の輝くVJとマスターたちのクラップの中、新衣装に身を包んだyu-ki、mayu、maho、mikinaが一人ずつ登場する。マスターたちを見つめ、それぞれ自然と笑みがこぼれた。シームレスに「WHERE」へ。遠く遥かへと手を伸ばすような振り付けと、4人のフォーメーションが夜のフロアに広がっていく。
大沢伸一との最後のタッグ曲「NOT ENOUGH」では、〈一回じゃ足りない〉というフレーズをマスターたちも振り付けとともに合唱し、飛び跳ねながら盛り上がり、大きな歓声に包まれる。4人が縦に位置を取り、80KIDZプロデュースの「iD」へ。ビッグビート調の太いベースが深夜のフロアに鳴り響く。後半、yu-kiは帽子を手に持ち、飛び跳ね、頭を左右に振りながら歌った。
自己紹介をし、「みなさん元気ですか?」と問いかけると、yu-kiは「こんな時間にこんな大勢のみんなといられることは、なかなかないからね。豪華なゲストのみなさんと一緒に私たちも楽しむので、みなさんも朝までよろしくお願いします!」と語った。そこから高速ブレイクビーツの「Floating Romance」へ。4人のキレのあるダンスが新しい衣装とマッチしてスタイリッシュだ。この曲もまた80KIDZの提供で、mahoが作詞を手がけている。続く「FADED」は、mahoが解散前の素直な想いを書き上げた1曲。ステージの背景にMVが映し出される中、サビでは4人の声がユニゾンで重なる。mikinaのオクターブ下のヴォーカルが楽曲を立体的にする。落ちサビのmayuのロングトーンのあとには、大きな歓声が沸き起こった。
mayuが「今日出演してくれているゲストのみなさまには、楽曲を作っていただいていて。特別な夜で嬉しいです」と語り、Rachelが話していたことが、おもしろかったと笑った。yu-kiが、「本当にかっこいい方たちとお仕事させていただいているんだなって。同時に、負けたくないと思った。それは『上等!』って感じじゃなくて、こんなかっこいい方が書いてくださっているからこそ、私たちもかっこよくないと、と思った」と想いを語った。

「8月26日にラストアルバムをリリースします。その中から、今日のゲストさんに書いていただいた曲を歌いたいと思います」。mayuの「自由に楽しんでください」という言葉から、Rachel(ohayoumadayarou)とShin Sakiuraの共作「00:00」へ。手拍子が起こる中、4人がラップを聴かせる。手を振って盛り上がる観客や、ステージ上の4人を映像や写真に残そうとするマスターなど、それぞれが思い思いに過ごしている。
そしてDONGROSSO提供曲「DON’T CRY」のイントロが鳴ると、会場いっぱいに響き渡る大音量。MVをバックに、観客たちの〈泣いて〉という合唱により、フロアの声はこの日一番の大きさに包まれた。mayuが「みんな、まだまだ楽しめるよね?」と投げかけ、大沢伸一のアンセム「Our Song」へ。落ちサビ前の合唱は、解散を控えているとはまったく感じさせない盛り上がりたった。yu-kiの「ラスト、みんな騒いでいこうぜ!」という言葉から、80KIDZによる提供曲「TONIGHT TONIGHT」へ。さらに熱を帯び、サビでは飛び跳ねて盛り上がっていく。
この日のセットリストは全10曲。うち7曲が、この夜のゲスト3組の手による楽曲だった。作り手を招き、その人たちの曲を本人の前で鳴らす。ExWHYZが選んだ最後のオールナイトの組み立ては、そういうものだった。
「私たちがこうしてライブができるのも、ラストライブのみになりました。一番最後のライブの前に、みなさんと一緒に楽しい夜明けを迎えられて本当に幸せ者だと思っています」。yu-kiがこの日のゲストへの感謝を伝え、「こうして楽しんでくれるマスターがいてくれて、誇らしいです」と続けた。「このあとも大沢さんがかっこいいライブを見せてくれるので、朝まで一緒に踊っていきましょう。今日は本当にありがとうございました。まだまだ楽しもう!」。そう告げて、4人はステージを後にした。
大沢伸一

ステージ中央にDJセットがセッティングされ、4時28分、大沢伸一が登場した。
大沢とExWHYZの関わりは、グループの出発点にまで遡る。ExWHYZとしての1曲目「Wanna Dance」を手がけたのが大沢だった。「Our Song」はShinichi Osawaの原曲をExWHYZがカバーしたもの。そして、どんぐりずとのユニットDONGROSSOとして、「DON’T CRY」に楽曲提供と客演を果たしている。最新アルバムでは「NOT ENOUGH」を提供し、ダンスミュージックのグループとして立ち上がり、走り続けてきたExWHYZの横に、常に大沢の音があった。
硬質なサウンドからDJタイムがスタートする。マスターたちも体を揺らす。サウンドが融解するように混ざり合い曲が繋がれていく。音を自在に司り、掌握していく姿は圧倒的だ。フロアの揺れは次第に大きくなっていく。まさにDANCE YOUR DANCE。
クラップを促し、大沢が酒を煽ると、四つ打ちのビートが会場を包む。その様子はライブ感に溢れている。音楽は生き物であることを、その手つきが示していた。ステージ後ろの映像とも連動し、照明と相まって、深夜の一番深い時間から朝へ向かっていく高揚感が、フロアをトランス状態へと運んでいく。
客電がついても、アンコールの拍手が鳴り止むことはなかった。

外に出れば、渋谷はもう朝だった。数時間前まで存在していた熱が、明るくなった街の中で急速に遠のいていく。オールナイトイベントとは、そういうものだ。夜のあいだだからこその雰囲気に満ち溢れ、朝が来れば消える。ExWHYZの<CLUB Ex>も、この日をもって終わった。もう二度と、この4人と朝まで踊ることはないという事実が急に襲ってくる。
しかし、この夜のフロアにあったのは感傷ではなかった。寂しさも、名残惜しさも、すべて踊ることに使われていた。悲しむ代わりに身体を揺らし、惜しむ代わりに跳ねる。それが彼女たちの選んだ終わり方であり、マスターたちが応えた方法だった。
ExWHYZに残されたステージは、8月31日、Zepp Haneda (TOKYO)での<ExWHYZ LAST LIVE ‘光’>のみ。「DANCE YOUR DANCE」。最後まで彼女たちはマスターたちとともに自由に踊るのだろう。果たして、どのような「光」を導き出すのか。踊り続けた先に見える光が眩しいほど輝いていてほしい。オールナイト明けに文章を書きながら、心からそう願っている。
■リリース情報
ExWHYZ
LAST ALBUM『zION』
先行配信開始
Streaming & DL:https://lnk.to/ExWHYZ_zION
収録曲:
1. zION
2. WHERE
3. TONIGHT TONIGHT
4. DON’T CRY / ExWHYZ feat. DONGROSSO
5. 00:00
6. SONNET
7. NOT ENOUGH
8. iD
9. FADED
10. GIVE YOU MY WORD
■ライブ情報
ExWHYZ LAST LIVE ‘光’
8月31日(月)Zepp Haneda [Tokyo]
OPEN 18:00 / START 19:00
詳細:https://www.exwhyz.jp/news/detail/78573
インタビュー動画:https://youtu.be/kreYlT7DqH0
チケット:https://eplus.jp/sf/detail/3713290001-P0030002P0030003P0030004?P6=001&P1=0402&P59=1&block=true
ExWHYZオフィシャルHP: https://www.exwhyz.jp/



