
取材&文:西澤裕郎
GANG PARADEの最初で最後のイギリスツアー〈GANG PARADE in the UK Tour〉が、2026年8月21日(金)、ロンドンのThe Underworldでファイナルを迎えた。
カムデンの地下に構えるThe Underworldは、WACKが2023年から〈WACK in the UK〉を重ねてきた、いわば英国のホームだ。GANG PARADEがこのステージに立つのは3回目、WACKのグループとしては通算9度目の公演にあたる。マンチェスターの劇場、ブリストルのライブハウスと、初めての土地を巡ってきたツアーは、最も勝手を知る場所へと帰ってきた。

The Underworldの入口付近
会場前には、開演を待つ遊び人たちが長い列をつくっていた。ここはファンにとっても馴染みの場所で、列には現地の見慣れた顔がいくつもある。そのあいだで交わされる何気ないやりとりが、この会場の空気をつくっている。(※余談だが、記事用の写真を撮る際、現地のファンが声をかけて足場を貸してくれることもある。この場を借りて感謝します!)

リハーサルの様子
リハを終えると、メンバーの何人かは、1階のパブカウンターでThe UnderworldのTシャツを買い求めている。初日の劇場、2日目のロックな熱気とも異なり、この日に流れていたのは、どこか自然体の、親密な空気だ。3回目のメンバーにとっても、通い慣れた遊び人にとっても、いい意味で肩の力が抜けている。それでいて、熱はしっかりと満ちていた。

ユイ・ガ・ドクソン

どのTシャツにしようか話し合うメンバーの後ろ姿

ココドクで相談

それぞれこちらのTシャツを購入

2人は悩んだ末、購入を見送り

バックステージ

バックステージのユメノユア

ライブ前の円陣
オープニングSEが流れ、ステージ脇からメンバーの掛け声が漏れ聞こえると、歓声とともに11人が姿を現す。「はじめまして、私たち、エンジョイプレイ! みんなの遊び場、GANG PARADEです!」という挨拶から、ライブは幕を開けた。「KIMI☆NO☆OKAGE」「Happy Lucky Kirakira Lucky」「Gang Gang Disco」と冒頭3曲を走り抜けるフロアには、前方で身体をぶつけ合う密集した熱量と、後方で一緒に振りをなぞる一体感とが、同居していた。

キャ・ノンのMCが、英語でフロアを煽る。「来てくれてありがとう、今夜は最高の時間を一緒に過ごそう!」。そう呼びかけ、「Are you OK?」「Are you ready?」のコール&レスポンスで会場を温めると、自己紹介ソング「So many members」へ。KOTONOHOUSEによる「躍動」、ユメノユアが作詞した2016年の楽曲「sugar」と続き、7曲目は他2公演では披露していない「SUPER PARTY PEOPLE」。ココ・パーティン・ココが作詞を務めたパーティーチューン。東京ゲゲゲイが振付を担当したエレクトロ・スウィング調の曲で、フロアはパリピの熱狂へと塗り替えられた。

続く月ノウサギのMCには、ファイナルならではの感情が滲んでいた。「楽しんでますかー!」という日本語の呼びかけに大きな歓声が返ると、「Thank you for the best time, best night!」と英語で感謝を告げる。そして、「ちょっと待って、MCに緊張してる。ドキドキしてる」と正直な胸の内を明かした。「だって、ファイナルだからね」と語り、ライブも残りわずかだと英語で伝えると、フロアから「No!」と声が上がる。「I’m so sad」という言葉に、メンバーたちも「Me, too!」と応じる。月ノは、「みんなにありったけの愛をぶつけて、GANG PARADEらしく愛をめちゃくちゃ残していきたいと思います!」と語り、「Are you ready!?」の掛け合いから、本編最大の山場へとなだれ込んでいく。



「CAN’T STOP」ではメンバーと遊び人が手を繋ぎ合って飛び跳ね、「BREAKING THE ROAD」ではステージ上を11人が生き生きとした表情で駆け回る。筆者は以前、WACK合宿オーデ2026でこの曲をココ・パーティン・ココと踊ったことがあるのだが、この日のココは、そのときの振りを途中に入れ込むなど海外公演ならではの遊びごころも。続けて、「GANG RISE」まで、エネルギーを解き放つように駆け抜けた。
「皆さん、今日は来てくれてありがとうございました! 最後一緒に、歌って! 踊って! 笑って! Let’s sing together!」というチャンベイビーの一言から、「ROCKを止めるな!!」へ。遊び人たちの歌声が幾重にも重なり、フロアはひとつの大きな声に満ち溢れた。
11人がいったんステージを去ると、フロアからは大きなアンコールの声が沸き起こった。その声に応えて再び姿を現した11人。ユメノユアがマイクを取ると、しっかりと気持ちを伝えたいと手紙を手にとり、今回が初めてのUKツアーで、3つの街を回れたこと。デビュー以来、自分にとっても初めてのUKツアーで、どれだけの人が来てくれるのか緊張と高揚が入り混じっていたこと。ふたを開ければ、世界中から人が集まってくれた。こんなにも待っていてくれた人がいて、こんなにもGANG PARADEを知って愛してくれる人がいる──それを実感できたことが、たまらなく嬉しかった、と語った。

数えきれないアーティストのなかから自分たちを選び、ファンになってくれたことへの感謝。UKの、そして世界中のみんなが待っていてくれたからこそ、このツアーは実現できたのだという思い。会えない時間も変わらずGANG PARADEを愛し続けてくれたこと。GANG PARADEは今年で解散するけれど、最後にこうして一人ひとりと直接会えたことが、本当に幸せだと英語で伝えた。

ユメノユアの手紙
そして、最後にこう続けた。
「これから、リリースしたばかりの最後の新曲を歌います。この先の人生でずっと、“遊び人”であることを、そしてGANG PARADEを誇りに思えるように、心を込めて歌います」
そのまま解散前最後の新曲「GANG PARADE SO LONG!!」へ。ココ・パーティン・ココの指揮のもと、メンバーが合唱するように歌い上げる姿からは、11人でここに立っていることの重みが強く伝わってくる。そして海外での最後を締めくくったのは、前身グループのプラニメ時代から歌い継いできた「Plastic 2 Mercy(GANG FINALE ver.)」。遊び人たちは出身も国籍も関係なく、大きく飛び跳ね、肩を組み、全力で、熱いっぱいにこの一夜を楽しみ尽くした。



こうして、最初で最後のUKツアーは幕を閉じた。マンチェスター、ブリストル、ロンドンと、バスで移動しながら巡った3日間。初めての土地に新鮮さと緊張を抱えながらも、11人はこれまでの経験と積み重ねで、ハプニングにも動じることなくツアーを完遂した。同じ流れを踏襲したセットリストでも、場所が変われば雰囲気は大きく変わる。そのなかでロンドンには、圧倒的なホーム感が生まれていた。WACKがこの地でツアーを重ねてきた時間が、そこにはしっかりと刻み込まれていた。
GANG PARADEは10月に解散する。それまで、日本各地でもこうした遊び場をつくり続けていくだろう。そして、その遊び場からは、また必ず何かが生まれていくはずだ。11人がUKに蒔いた遊び場の種は、これからどんな芽を出していくのだろう。そんな未来を想像させる、最初で最後のイギリスツアーだった。




