(今回の記事は一部映画の内容に触れますので本作を見る予定の方はご注意を。)
皆さん、こんにちは。毎週更新の本連載も第4回目、早1ヵ月になります。
就活も始まり、インターンやバイトの合間に原稿を書いて… 息つく暇もなく、映画や本、音楽に興じる時間も作れないので、ムリヤリ睡眠時間を削っている僕です。満身創痍。
さて、そんな忙しくしている僕ですが、最近いわゆる「名画座」という場所に行くようになりました。ちょっと空いた時間に行ってみているのですが、そこで出会ってしまった最高にセンスのある映画があります。それがタイトルの「Baby Driver」。(2017年公開)
簡単にあらすじを話しますと、強盗グループの逃走用ドライバーである主人公ベイビーは幼い頃の交通事故の後遺症で常に耳鳴りに苦しんでいるが、自分のiPodから流れる音楽にノっている時だけ驚異的なドライビングテクニックを発揮する。そんなある日、彼はとあるレストランのウェイトレスであるデボラと恋に落ち、裏社会から手を引こうと考えるが… といった感じです。日本では大々的には公開されなかったようですが、これがなかなかの良作。
この映画の素晴らしさといえば、その音楽のセンスと楽曲のリズムに合わせてテンポ良く繰り広げられる派手なアクションシーンです。そういった事もあって楽曲にノっているだけで作品が終わっていたと錯覚するようなテンポの良さ。そして、音楽の流れていないシーンでは主人公の状況に則って微かに響く耳鳴り…ミュージカル映画ではもちろんありませんが「お洒落なミュージック・アクション」といった感じです。ヒップホップやロックが好きな人には特にたまらない作品じゃないですかね?劇中では数多くの楽曲が使われているのですが、特に僕がグッと来たのは1番の見せ場で流れるFocusのHocus Pocusです。階段を上る足音、銃声のテンポやパトカーのサイレン、エンジン音など全てが同曲の楽器の音やリズムに則っており、効果音が楽曲のサンプリングになっているようなマッチ具合で素晴らしいのです。
アクションシーンの素晴らしさは一見に如かず、という事で是非劇場で観て頂ければ幸いです。早稲田松竹座で3月16日(金)まで公開で1日3回やっています。是非。
ところで、この主人公ベイビーと僕自身に僭越ながら1つ共通点を見つけてしまいました。それは「常にイヤホンで音楽を聴いていること」。
僕は主人公と違って大きな事故に遭ったこともないので後遺症もありません、ピンピンした耳ですが、それでも常にイヤホンに”逃げている”理由があります。電車や街中の雑音や話し声を聴きたくないんです。ベイビーにとっては耳鳴りですが、僕にとってそれらの音が耳鳴りのようにイヤな物に感じられるのです。我ながら、これは苦手なこと・イヤなことから目と耳を塞ぐ性格の比喩のような気がしております。
映画では特にベイビーのそういった性格は明示されていませんが、意中の相手デボラと会う時のベイビーはイヤホンをしていません。一方、組織として行動している時、強盗団のボスが強盗のプランを説明している時はやはりイヤホンをしている…。
そういった場面を見て、ベイビーも僕と同じく嫌なことから目を背けて生きているのかなと感じました。そして、好きな物や人に対してだけ目や耳を傾けようと思える。
映画の中ではベイビーのiPodは破壊されてしまいますが、そのまま遮二無二抵抗を続けて危機を突破。その後の様子も僅かに描写がありますが、イヤホンを付けている様子は見られません。これはベイビーが自分の好きな物のみならず、これからの明るい人生に対して希望をもっており、それに耳を傾けることができる未来の表れではないかと思います。
僕はまだ弱い人間なので何でも目を背けてしまいます。他人の意見に左右されてしまいたくないから音楽や自分の好きな物の世界に興じてばかりで周りに耳を貸せない。そうして結局、独りよがりな事しかできなくなってしまい、自分の考えに依ったことしか主張できなくなってしまう。
いつか自分もイヤホンを外して良し悪し関係なく色んな物事を正面から受け止められる人間になりたいな、なんて考えてしまいました。
毎度自分の話ばかりですみません。
ダイナミックで爽快感のあるアクション映画1つにここまで考える必要はないと思います! 単純に映画そのものとしてかなりのセンスの良さですし、主演のアンセル・エルゴートが本当に母性をくすぐるタイプのイケメンです。まだ出演本数は少ないですが、かなり将来が期待できるアクターさんだと思います。是非、この作品から彼の可能性も感じていただけたらな、と。
今回はこんなところで。また来週の木曜日! よしなに。
1993年生まれ、青森県出身。進学を機に上京し、現在は大学で外国語を専攻している。中国での留学などを経て、現在では株式会社WACKで学生インターンをしながら就職活動中。趣味は音楽関係ならなんでも。