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【GANG PARADE】ハルナ・バッ・チーン、初インタヴュー「生命をかけて合格した」

StoryWriter

BiSBiSHGANG PARADEEMPiREのマネジメントを行うWACKが、201831218日にかけて開催した合宿型合同オーディション「WACK合同オーディション2018」。毎日脱落者が出る過酷な環境のなか、早朝マラソンや学力テスト、ダンス審査などを経て、合宿最終日の318日、大阪城音楽堂で開催されたフリー・イベント「WACK EXHiBiTiON」にて合格者発表が行われ、GANG PARADEには2名の新メンバーが加入することとなった。

その合格者の1人である、リソリソこと、ハルナ・バッ・チーン。料理審査で「ジャングル」をテーマにした食事と飾り付けで頭角を現し、最終のニコ生視聴者に向けたPRでは童謡「森のくまさん」のメロディに合わせて少し複雑な家庭環境を歌い大きなインパクトを残した。これまでの人生は大人から否定されることばかりだったハルナ。生死をかけてWACKオーデに臨み、合格を勝ち取った彼女への初インタヴューをお届けする。

インタヴュー&文:西澤裕郎
写真:外林健太


おじいちゃんの車にはねられかけた

──ハルナさんは、どんな子ども時代を送ってきたんでしょう?

ハルナ・バッ・チーン(以下、ハルナ):学校が嫌で授業中にダッシュで逃げたり、家出をしたり、あまりちゃんとした人間ではなかったです。

──学校の何がそんなに嫌だったんですか?

ハルナ:先生が気持ち悪かった。見た目もそうだけど、すごいウザい先生だったから嫌になって、ダッシュで授業中におばあちゃんちまで逃げて行きました。

──それは何年生のときの話?

ハルナ:初めて学校からダッシュをしたのは小学3年生。小1、2くらいの時は周りから浮きすぎていたみたいで、足を引きずりながら学校に行ったり、ランドセルの持ち方がキモいって言われて、いじめられたりしていました。そのときは「自分はランドセルの持ち方が気持ち悪いんだ」と思っただけで、なにも感じていなくて、後々、悪口だったんだなって気づきました。

──それでも学校は行っていたんですね。

ハルナ:学校は行っていたけど、ずっと保健室にいました。高学年のときは保健室登校みたいな。おしゃべりして、昼寝して、給食食べて帰るみたいな。

──習い事はなにかしていた?

ハルナ:公文です。でも楽しくなくて泣いていました。

──その時期、1番楽しかったことはなんだったんでしょう?

ハルナ:楽しかったことは… うーん… 中学生のとき花やしきに行ったこと。中学1年生で友達が2人できて、3人で花やしきに行って。2人に見られながら1人でジェットコースターに乗っていました。

──その友達はどんな子なの?

ハルナ:ひとりはアンパンマンみたいな顔していて。もうひとりは、たぬきみたいな顔をしている。

──(笑)。顔の特徴はすごくわかったんだけど、どんな性格なの(笑)?

ハルナ:あ、性格… ひとりは超話す子で、もうひとりは全く話さない子です。

──なんでその2人は仲良くなれたんでしょうね。

ハルナ:なんでだろう… 話しかけてくれたのかな? それで話して、お家も近かったから、よくお家で遊んでいました。花やしきにも行きました。

──花やしきの思い出が強いんだ。

ハルナ:思い出せる程度の想い出です。

──(笑)。中学校に入って、少しは変化があったんですか?

ハルナ:中学校生活は、もう最悪です。まず学校の先生にいじめられて不登校になりました。学校でずっと携帯をいじっていたのがバレて、「お前は生きている価値がない」って言われて病んで。あと、吹奏楽部に入っていたんですけど、コンクールで私が音を間違えちゃったら練習中に先生から呼びだされ、「お前のせいでコンクール受からなかった」って言われて、部活もやめました。そこから学校に行かなくなり、ヤンキー化しはじめて。

──ヤンキー化しはじめた?

ハルナ:金髪とか、赤髪とかで学校に行っていました。なんかで喧嘩して、私がブチ切れたときがあって。夜8時に学校に乗り込んで教室の机とか全部外に投げて、先生に悪口を書いた手紙を送りつけたりとか(笑)。

──あまり信用できる人がいなかったんだね。

ハルナ:いなかったです。

──さっきの友達2人とはどうなったの?

ハルナ:荒れて学校に行かなくなってからは全くしゃべらなくなりました。学校に行かないからしゃべることもなくなって。

──ちなみに家族との関係はどうだったんですか?

ハルナ:最近は仲良いけど、前まで仲良くなくて。家出して帰っていなかったので怒られたし、おじいちゃんおばあちゃんちに行っても怒られたりして。1回、おじいちゃんに「8万円ちょうだい」っていったら、おじいちゃんの車にはねられかけたんですよ。

──合宿で言っていましたよね(笑)。合宿最終日、「森のくまさん」に載せて家族のこと歌っていましたけど、家族はニコ生を見ていたのかな?

ハルナ:ちょっとは見ていたみたい。でも、おじいちゃんも親戚の人とかも、今GANG PARADEに入ったことも知らないんですよ。おばあちゃんは応援してくれているので言いました。他の家族はアイドルになることをOKしていなかったので、言っていないです。オーディションに参加することも言っていなかったし、ちゃんとしていない家庭だから。ちっちゃいときからそうだった。

私の後ろにはひいおばあちゃんの霊が憑いているらしいんです

──なんでWACKのオーディションに参加しようと思ったんですか?

ハルナ:最初は受けるか悩んでいたんですけど、「受けたい!」ってママのお兄ちゃんに言ったら、「お前は受からない」って言われたんですよ。それにムカついちゃって火がついて受けました。見返してやろうと思って。

──いろんな大人にそうやって否定されてきたんですね。

ハルナ:5ヶ月くらい家に帰っていなかったから信頼されていないんですよ。捜索届け出すよって言われたし、まじで連絡とかしていなかったし。

──その5ヶ月は何を考えて生活していたの?

ハルナ:何を考えていたんだろう… そのときいろいろあったんですよね。それでつまんないな、やだな、みたいなことを考えて、帰ってアイドルになった。

──アイドルは好きだったの?

ハルナ:みんなは「◯◯に憧れて」とか、「◯◯さんが大好きで」みたいに言っているけどそれがまったくなくて。人前に出るのも好きじゃなかったし。

──他にもオーディションがある中で、なんでWACKだったんでしょうね。

ハルナ:影響力がある人たちだし、何千人とかの中で数人しか選ばれないのに、受かったらすごいなと思って。周りと同じことはしたくなかった。ある意味、変なことばっかりしているところがいいなと思って受けました。

──応募するときって、ギリギリまで悩む人も多いけど、悩まなかった?

ハルナ:「早く送った方が渡辺さん見てくれるかな」と思って告知を見た数日後には送っていた気がする。最初はメールで結果がくるんですけど来なくて落ちたと思って諦めていたんですけど、過去のメールをずっと見ていったら、合格メールが来ていたんです。

──そもそも自信はあった?

ハルナ:ゼロです。だから「本当かな?」と思って。次の審査は結構手ごたえがあったんですよ。ずっと渡辺さんがわたしのことを見ていて、「ちゃんと評価をしてくれるかな」と思っていました。でも緊張しちゃって「わたしは肉じゃがを作れます」とかずっと変なこと言っていました(笑)。

──合宿でも料理がポイントになりましたけど、料理が得意なんですか?

ハルナ:何にも考えないで済むから料理が好きなんですよ。私はすぐにメンタルが落ちてしまうから、それを料理で保っている。料理している間って、「人参をこの幅で切ろう」とかを考えているので、嫌なことを考えないで済むんですよ。毎日夜20時からメンタルブレイクがくるの、いやでも病み時期が来ちゃう。

──20時を越えるとどうなるの?

ハルナ:すべてが嫌になるんです。うまくいった日でも、それが恥ずかしくなっちゃって全部ダメになっちゃうんです。逆シンデレラみたいな。ずっとネガティブ少女みたいなんですよ。

──それを抑えるための行為が料理なんだ。

ハルナ:夜中にクッキーとか焼いてましたもん。泣きながら。自己紹介をするとき、みんなは「~~です、◯◯からきました、宜しくお願いします」しか言わなくて。でも渡辺さんは、なにか目立つことを言わないと見てくれないだろうなと思って、自分の特技を言ったんですよ。みんなと同じことを言ったら落ちると思ったし、必死だったので、受かるのに。

──受かりたかった?

ハルナ:受かりたかったですね。落ちていく人たちの映像とかも見ていて。こんな人たちと同じ立ち位置になったら嫌だなあって。でも、アイドルはあまり向いていないと思う。絶対向いていない職業に就いてしまったと思っています。

──何が向いていないの?

ハルナ:めちゃ評価されるじゃないですか。どんなに頑張っていても、何かを言われる。いいことも悪いことも。それがムカついてムカついてしょうがない。

──例えば、いいことをいわれてもムカつくの?

ハルナ:「あなたは~~だから良いよね」って言われても、「あなたはわたしの1%しか知らないのよ」って思っちゃう。何も知らないじゃんって。もっと見えないところを探してよって。

──そういう意味だと、合宿なんて評価されっぱなしじゃないですか。

ハルナ:だから、本当に嫌でしょうがなかったですよ。なんでまったく知らないおじさんたちにいろいろ言われなくちゃいけないんだろうって。

──そういう細かな経緯や気持ちは、家族にはしゃべってないんですか?

ハルナ:「受かりたい」とは言ったかな。お母さんの言うことって当たるというか、魔女なんですよ。お母さんが霊媒師のところに行ったら、「あなたにはそういう能力がある」って言われたらしいんです。地震とかも当たるんですよね。それでママから「あなたは、ステージに立っている姿が見えるから、受かると思うよ」って言われて。本当に魔女なんで信じられました。私も合宿前に毎日神社に行って、絵馬とかおみくじ毎回引いて、「オーディションに受かりたいです」「力を貸してください」って毎日同じお願いをして。運気の強い神社とかも調べて回りました。全部の神社に同じお願いをしに行ったし。

──ハルナさんは超自然的な力を信じている?

ハルナ:私も見えるんですよ、幽霊とか。だから信じています。ちっちゃいとき、森の中にあるボロい家に住んでいたんですけど、そのリビングに白いのがいたんですよね。近くの公園に遊具があって、そこにぶら下がっていたりもしたし。危害を加えてくるとかはないんですけど見えますね。お母さんに言われたんですけど、私の後ろにはひいおばあちゃんの霊が憑いているらしいんです。ひいおばあちゃんは、めっちゃ強いんです。おばちゃんが守ってくれている。

私はその子たちとは違う気持ちというか、生命をかけて受けに来ていた

──合宿がはじまる前、博多港で集まったときは、どういう気持ちだった?

ハルナ:こんなにたくさんの知らない人の中で1週間も生きていくなんて「無理!」と思っていました。最初の1、2日目はすごくつらかった。渡辺さんに「落ちる」って言われたし、落ちたくなかったし。本当に合宿のときは大変でした。

──初日に脱落者が出たときはどんな気持ちだった?

ハルナ:同年代の子たちが目の前で落ちたんですけど、「うわあ… 本当に落ちるんだ」って。でも私はひたすらステージに立つ姿を想像し続けて、帰る自分を想像しなかったんですよ。落ちた子に聞いたら、「もう帰りたい」とか「わたしはもう帰るよ」ってみんな諦めていて。私はその子たちとは違う気持ちというか、生命をかけて受けに来ていたので。終わったら死んでやろうかなくらいのレベルだった。そういう子たちを見て、「そんな感じで受けているんだ」と思ったし、諦めなければ受かる! って。ずっと想像していたら受かりました。

──そこまでオーディションに賭けていたんですね。

ハルナ:本当に落ちたら死んでいた気がする。何にもしたくなかったし、本当にもう人生に飽き飽きっていう感じだったんですよね。

──飽き飽きってまだ若いのに。

ハルナ:本当にいろいろあったんですって! 不良化したときにしゃべれないようなことばっかりやってきたので。精神的にもやばかったから、落ちたら博多港から飛び込んで泳いで遠くに行こうって。落ちたら本当にやばかったです。

──合宿期間は、人生最大限にがんばった日々だったんじゃないですか。

ハルナ:がんばりました。合宿より辛い時期もあったので、そのときを思い出してがんばりました。もともと運動もしていなかったし、ほぼ最下位の方にいたから、マラソンでいろんな人に抜かされたのは悲しかったです。でも、過去が最大限につらかったから、それと比べれば全然平気だった。

──合宿中のいい思い出はありますか。

ハルナ:ジャングルを作れたこと。合宿が終わってからアユナ・Cと話したんですけど、私たちがジャングルを作っていなかったら、今こういうことになってなかったよねって。ジャングルを作ったことは不正解じゃなかったって。

──なんであそこでジャングルが生まれたんですか?

ハルナ:2人で話していたときに、「ジャングルつくろう!」ってアイデアが出て、アユナ・Cが賛成してくれたんです。アユナ・Cが「かわいいジャングルにしよう」って言って一緒に靴下とかポンポンとかも買ってジャングルを作って。結果すごく可愛くなって。ジャングルを作れたのはアユナ・Cのおかげです。1人じゃ楽しくなかった。アユナ・Cが、一緒に作り上げてくれたから。

──BiSH、BiS、GANG PARADEと、実際に活動しているメンバーと接したときはどんな気持ちだった?

ハルナ:プロだと思いました。本当に。特にマイカ(キャン・GP・マイカ)さんは、人類の中で1位2位を争うくらい優しい人なんです。それがびっくりしました。こんなに全てに関して優しい人がいるんだと思って。

──最後のPRタイムで歌った「森のくまさん」は最初から決めていたの?

ハルナ:なにも決まっていなくて。なんかやらなきゃと思って、歌をうたおうと思ったんです。みんな演劇とかすると思っていたんですけど、私しか歌ってなくて。とりあえずジャングルだけ持ってきて、ジャングルに誓おうと思いました。追い詰められていたので出てきたんだと思います。

爆弾的な人間になって欲しいのかなって

──最終日、大阪に移動して、約3000人の前でステージに立ちました。

ハルナ:人がたくさんいてびっくりしました。でも、誰も信用できねえって思っていました(笑)。ニコ生で「wwwww」とか書いている人たちは信用できないなって。

──合宿を通して淳之介さんはどんな人でしたか?

ハルナ:サイコパスのふりをするのが好きなんだろうなと思いました。本当はすっごく人間味のある良い人なのに、そういう風に楽しむのが好きなんだろうなって。考えていることはおかしいけど、人間味があって、感情をあらわにできる人。尊敬しています。

──ステージ上でギャンパレに加入を言われたときはどう思った?

ハルナ:呼ばれると思っていなかったので、びっくりしました。人生変わっちゃったなって。新たな可能性を感じました。ダンスも歌もできないし、根はあまりポジティヴじゃないのに入れてもらえ、「渡辺さんは何を期待しているんだろう?」って思いました。絶対、渡辺さんはいろいろ考えている気がする。

 

──自分がギャンパレに入る意味も考えたんだ。

ハルナ:考えました。爆弾的な人間になって欲しいのかなって。合宿の中でもできないランキング最下位だったから、そこからの爆発を待っているのかな。

──ギャンパレのイメージは?

ハルナ:わちゃわちゃしている。でも、それにすごく意味があるし、歴史があるグループ。

──ハルナさんは、ギャンパレに入ってどんなことがしたいですか?

ハルナ:私と月ノウサギちゃんが入ったギャングパレードに期待してくれている人が多いので、意味のある加入になればいいなと2人で話しました。同じことを経験してきたので、ウサギちゃんとは合宿のときのつらかったこととかも話しています。ただ入って終わりたくはないです。

──ハルナ・バッ・チーンとしてはどんなことがしたい?

ハルナ:やってみたいことはケーキ屋さんです。それはおばあちゃんになってからでいいんですけど、ギャングパレードとしては大きいステージに立ちたいです。きっと大変だけど、頑張らないとなって思っています。

■GANG PARADE リリース情報

ニューシングル『GANG 2』
発売日:2018年5月29日(火)
収録曲:
M1 GANG 2
M2 タイトル未定
M3 GANG 2(inst)
M4 タイトル未定(inst)【初回限定盤】
CD+DVD 価格:3700円+税
品番:TPRC-0200
DVD収録内容:
2018年2月23日開催マイナビBLITZ赤坂公演 GANG PARADE『MAKING THE ROAD』ライヴ映像

【通常盤】
CD only
価格:1,000円+税
品番:TPRC-0201

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GANG PARADE(ぎゃんぐぱれーど)

2014年、WACK設立と同じタイミングで結成された現在9人組のアイドル・グループ。メンバーの結束力の強さと、ダンス・パフォーマンスに定評がある。2014年、元BiSのメンバーだったカミヤサキが2人組ユニット・プラニメを作り活動をはじめ、メンバーの脱加入とともに、POP、GANG PARADEと3度のグループ名を変えながら猪突猛進、前へ前へと歩みを進めてきた。現在のメンバーは、カミヤサキ、ユメノユア、ヤママチミキ、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、テラシマユウカ、ハルナ・バッ・チーン、月ノウサギ。

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