2016年のBiS合宿オーディションに合格した人生楽勝担当のペリ・ウブ。現在は、BiS楽曲の振り付けを担当したり、WACK写真同好会の一員として写真を撮ったり、渡辺淳之介(WACK代表)が手がけるアパレルブランド「NEGLECT ADULT PATiENTS」のランウェイショーに参加するなど、歌やライヴ以外でも活躍の場を広げている。そんなペリ・ウブは2018年に開催していた47都道府県ツアー中にBiSを辞めようか悩んでいた時期があったという。ペリは何を考え、そしてどうして踏みとどまることができたのか。インタビューで迫った。
インタヴュー&文:西澤裕郎
写真:大橋祐希
BiSの代表的な振り付けを入れることにした
──新曲「Are you ready?」の振り付けは、ペリさんがつけたそうですね。
ペリ・ウブ(以下、ペリ):すごく苦戦しました。普通、曲の振り付けって1番を考えたらおおよそ完成なんですけど、この曲は全部サビのような感じなので、振り付けの種類をたくさん作らなきゃいけなくて。
──曲調がどんどん変わっていきますけど、どのように考えていったんでしょう。
ペリ:基本、私は寝ながら振り付けを考えていて。目を瞑って頭の中に浮かんだものを踊ってみるんです。BiSが2つに分かれてからも、「Don’t miss it!!」、「YPP」、「アゲインストザペイン」の振り付けを考えていたので、今回、振りの引き出しが空っぽで。だから、いろんなアーティストの動画を観てインスピレーションを受けて考えたんです。それでもフリの数が全然足りなくて。それで、再始動してからのBiSの代表的な振り付けを入れることにしたんです。
──そういう理由から、BiSの他楽曲の振りも取り入れることになったんですね。
ペリ:そう。それで「BiSBiS」、「SOCiALiSM」、(YUiNAが在籍していた)EMPiREの振り付け、「WHOLE LOTTA LOVE」、「Don’t miss it!!」と、体制が変わったり人が増えるタイミングの振り付けを入れています。
音を見えるようにするのが魅力
──2018年はプー・ルイさんの脱退から始まり、47都道府県ツアーやメンバーの脱加入など本当にいろいろな出来事がありました。ペリさんにとって2018年はどんな1年でした?
ペリ:一瞬でした。長かったのか短かったのか本当に分からない。遠い昔のようにも感じるし、ずっと今の9人でやっていたんじゃないかと思ったりもする。辛いこともいっぱいあったし、いっぱい悩んだんですけど、今はこれでよかったのかなって思います。
──ペリさん自身、振り付けをはじめ、「Amazon Fashion Week TOKYO」でのランウェイモデルや、写真同好会での活動など、新しいことをたくさん始めましたよね。
ペリ:それまで、好きなことを言うのが恥ずかしかったんです。振り付けも、写真やファッションに関しても、突出してすごい訳でもないし、私なんかよりもすごい人がいるから…… と思っていたんですけど、ものは言っていくものだなと思って。そしたら私自身それをより好きになれるし、周りも好きだってことを認めてくれて、お仕事の機会もいただけるようになって。積極的にどんどん言っていこうと思うようになりました。
──BiSの振り付けも、自分からやりたいって話したのがきっかけなんですよね。
ペリ:振り付けは、ずっとやりたかったんですよ。最初は何の経験もなかったので、ただ振り付けを当てはめるみたいな感じだったんですけど、サキちゃんがレンタルトレードでBiSに来てから、振り付けだけじゃなくフォーメーションのことも知ったし、いろんなことを目で盗んだし教えてもらったんです。
──振り付けの魅力って、どういう部分にあるんでしょう?
ペリ:参加している感じがするんですよね。曲を作る、歌詞を書く、MVを撮るとか、参加の方法っていろいろあるんですけど、提供された曲の良さを出せるのが振り付けだなと思っていて。曲って耳で聴くものだと思うんですけど、目で表現するっていうことがすごい楽しい。音を見えるようにするのが魅力です。
──そういう意味だと、ファッションも写真もビジュアルで表現するものだから、ペリさんは目に見える形での表現に惹かれているのかもしれないですね。
ペリ:たしかに! たしかに私目に見えるものが好きなのかもしれない。
BiSにも貢献しながら辞めたい
──写真集『IDOL』限定BOXでのインタビュー集で、写真家の外林(健太)さんが「ペリさんが岡山公演のとき辞めようと思っているんじゃないかと感じた」と語っていました。実際のところ、どうなんでしょう。
ペリ:びっくりしましたよ、写真集のインタビューを読んで。でも、それは本当で。実際、すごく悩んでいたんです。今となっては何に悩んでいたかよく分からないんですけど、唯一無二な存在になりたくてBiSのオーディションを受けたのに、誰でもいいんじゃないかと思ってしまって。それがすごく辛かった。ここにいるより、私にしかできないことってあるんじゃないか、必要に思ってくれるところがあるんじゃないか、みたいに思い始めてしまったんです。
──そこで思いとどまって、BiSを続けられたのはなんでだったんでしょう?
ペリ:そこで辞めてもまた同じことになると思ったんです。今までの人生、学校もあまり行かなかったし、ずっと逃げてきた。人生を変えるための就職でBiSのオーディションを受けたのに、この状況で辞めるのは逃げだから。今までと変わらないし、これまで頑張ったことも無駄になっちゃう。やりきって辞めないと、私自身に対しても、お客さんにも失礼だなって。絶対的にBiSに必要な存在まで私が行かないと、ただ辞めた人になっちゃう。プーちゃんみたいに、BiSにも貢献しながら辞めたいんですよ。いなくなったらやばいって思ってからじゃないと、意味がないなと思って。
──それに気付けたのはよかったことですよね。
ペリ:でも、それは最初からずっと気づいていたんですよ。だからBiSを始めたときに、絶対に3年は続けると決めていて。今年の9月で3年が経つんですけど、それを分かっていても、もう無理かもってなってしまっていたんです。
これはBiSとしてのチャンスだって
──新メンバーが入ったことや、〈BiS.LEAGUE〉の投票結果も影響していたんでしょうね。
ペリ:同じBiSなのに、BiS1stと会うこともなかなかないし、メンバー内でもBiS2nd内でも戦っているような雰囲気があって。グループの中で1番輝くぞっていうのはいいことだと思うんですけど、BiSを輝かせるよりも、自分が1番にならなきゃいけない制度が私は辛かった。
──〈BiS.LEAGUE〉が始まったときから、ペリさんは全員が1番だってことを言っていましたもんね。
ペリ:私はそれを思いながら、1位を獲ることを目指していたんです。1位を獲った人の言葉って説得力があると思うし、その人の言うことだったら賛同してくれると思ったから。でも結果、私は1位にはなれなかった。だから自分が間違っていたのかなとか思ってしまって。
──2回目の投票では4位と、かなり順位が上がりましたよね。
ペリ:ありがたいことに。嬉しいんですけど、私が上に行くと誰かが下がるのわけじゃないですか? そういう制度で仕方なんですけど、世の中難しいなって。
──12月29日のZepp Tokyoで行われた47都道府県ツアーのファイナル公演で〈BiS.LEAGUE〉の廃止がアナウンスされました。どういう気持ちでしたか?
ペリ:本当は私たち自身の手で廃止にしたかったなと思っていて。あのときは3回目の体制の発表だったんですけど、みんなの投票で順位も新体制のメンバーも決まったのに、ここで廃止になったらみんなが入れてくれた票がどうなってしまうんだろうって気持ちが1番あって。素直に喜べなかったんですよ。
──メンバーの戦力外通告の発表もありました。どんなことを思いましたか?
ペリ:BiSのほとんどの人が戦力外通告っていう意味の意味を知らなくて……。私もよく分からなかったんですけど、良くなさそうな言葉だなとは思っていて。正直、誰が呼ばれてもおかしくなかったと思うんです。その中で、アヤが呼ばれたことは衝撃で。同期で一緒にやってきたし、すごい場を明るくしてくれるので、なんて言葉をかけたらいいのかわからなかった。あと、私がステージから捌けた瞬間にハナが泣き崩れて。その場で背中を撫でることしかできなかった。その時は何も言えなかったんですけど、徐々にみんなで理解を深めていって、戦力外通告の意味についても考えて、前向きに頑張ろうと思うようになりました。戦力外通告を受けた人が頑張るんじゃなくて、これはBiSとしてのチャンスだって。これを乗り越えて、みんなが戦力になったら、BiSはとっても強くなると思うので。
もうメンバーは変えないつもりでいます
──年明けにはネル・ネールの脱退発表もありました。
ペリ:びっくりしたし…… 悲しかったです。でも、仕方ないなって思いますよ。自分が戦力外って言われたら傷付くだろうし、ネルにもいろいろあったんだろうと思います。この経験を糧にして生きていってくれたらいいなって。
──BiS自身、1月3日に9人体制初ライヴがあったので、感傷に浸る間もなく動き続ける状況でしたよね。
ペリ:リーグ廃止って言われた次の日から練習が始まって。最初は10人のフォーメーションを作って練習したんですけど、ネルがいなくなってしまったので9人のフォーメーションを新たに作って。だからBiSにはお正月もなかったんですよ。逆にそれがすごく良かったなと思います。毎日毎日、朝から晩までメンバーに会って、ひたすらBiSのことだけを考えて踊って練習した。ギリギリの状況だから、気持ちも固まったのかなって思います。
──そうして迎えた1月3日の〈WACKなりの甲子園〉。9人でのライヴの手応えはいかがでしたか?
ペリ:私はすごい楽しかった。練習のときから人が多いのが嬉しかったんですよ。人が多いと目立てないから嫌なんですけど、ずっと2つにわかれていたBiSが合体したことで力が倍になるなと思って。鏡にBiS全員が映っているのが嬉しかった。9人で初めて同じステージに立てるのは嬉しかったし、楽しかったです。
──3月末に行われるWACK合宿オーディションでは、戦力外と言われたメンバーが合宿に参加します。ペリさんは合宿には行かないですが、どうやって参加したいと思いますか?
ペリ:みんなで話しているんですけど、動画を観たり、LINEとかもしたりして励ましあいたい。合宿の場では、心が落ち込むことは分かるので。
──ペリさんにとって、いまのBiSらしさってどんなものだと思いますか?
ペリ:やっぱりBiSってへんてこなことだったり、おもしろいことを格好よくやっちゃうところがいいと思うんですよ。私たち、アナーキー・イン・ザ・アイドルなんですけど、それを突き詰めていくのが今のBiSかなって思います。もっと変なことをやりたいなって。
──11分超えの曲もやっちゃうし、グループも2つに分かれたりするし、この先も何があるか分からないですけど、やりきった先に何か見えてくるのかもしれないですね。
ペリ:がんばります! どの時代のBiSも最高なんですけど、今は今のBiSを作り上げることに専念しているし、もうメンバーは変えないつもりでいます!
──誰でもいい訳じゃないですからね。
ペリ:そう、みんながBiSに必要で、唯一無二な存在になれたらなと思います。
■【連載】BiSソロ・インタビュー
>>Vol.1──ゴ・ジーラ「BiSの曲を聴いて生きてくれたらいいなって」
BiS PROFILE
2010年に結成し、2014年に解散、2016年9月に再始動したWACK所属グループの原点的アイドル・グループ。全裸PVや水着ライヴなど過激なプロモーションが話題となり、インディ・ロックの要素を取り入れた楽曲や非常階段とのコラボなどが評価を得た。2018年3月、「Jリーグ方式」を取り入れBiS 1stと2ndに分裂したが、12月にZepp Tokyoで行われた47都道府県ツアーのファイナルにて1つに統合。現在のメンバーは、ゴ・ジーラ、アヤ・エイトプリンス、キカ・フロント・フロンタール、ペリ・ウブ、パン・ルナリーフィ、ミュークラブ、YUiNA EMPiRE、ムロパナコ、トリアエズ・ハナの9名。
■リリース情報
BiS 『Are you ready?』
2019年3月20日(水)発売
・完全生産限定盤(豪華BOX仕様)
CD+Blu-ray+PHOTOBOOK (100P)+T-Shirts
CRZP-39 / ¥10,000+税(税込¥10,800)
・初回生産限定盤(スリーブケース仕様)
CD+DVD
・CRCP-10423 / ¥3,000+税(税込¥3,240)
・CRCP-10424 / ¥1,000+税(税込¥1,080)
2019年4月6日(土)沖縄・output OPEN 16:00 / START 17:00
2019年4月14日(日)福岡・DRUM Be-1 OPEN 16:00 / START 17:00
2019年4月21日(日)埼玉・HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3 OPEN 16:00 / START 17:00
2019年4月27日(土)神奈川・F.A.D YOKOHAMA OPEN 13:00 / START 14:00
2019年4月28日(日)香川・高松MONSTER OPEN 16:00 / START 17:00
2019年4月29日(月・祝)広島・SECOND CRUTCH OPEN 16:00 / START 17:00
2019年5月1日(水・祝)愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO OPEN 14:00 / START 15:00
2019年5月2日(木・祝)宮城・SENDAI CLUB JUNKBOX OPEN 16:00 / START 17:00
2019年5月4日(土)大阪・UMEDA CLUB QUATTRO OPEN 14:00 / START 15:00
2019年5月6日(月・祝)北海道・BESSIE HALL OPEN 16:00 / START 17:00
2019年5月11日(土)東京・マイナビBLITZ赤坂 OPEN 17:00 / START 18:00
BiSオフィシャルHP:https://www.brand
受付URL:http://w.pia.jp/t/bis/