2019年5月6日に開催された文学フリマにて販売されていた『風俗大好きお姉さん』。そのポップな表紙と「風俗大好きお姉さん」というパワーワードに惹かれ、内容もわからず購入し読んでみると、あまりにおもしろく一気に読み終えてしまった。風俗に関する本はたくさんあるが、ここまで自発的に風俗の世界に飛び込み、特別な世界という形ではなく風俗の世界を主観的に描写したエッセイを読んだのは初めてだ。17歳から5年間、風俗のお仕事に恋をし、風俗のお仕事を愛して生きてきた一人の女の子の笑いあり涙ありの風俗エッセイ。なぜこのエッセイが生まれたのか、本書を書いたやよいちゃんにインタビューを行なった。
取材&文:西澤裕郎
風俗をやっている中でも私は特殊なタイプだと思う
──5月6日の東京文学フリマで出店されていた『風俗大好きお姉さん』、反響はいかがですか?
やよいちゃん:ありがたいことに通販で買いたいと言ってくださる方もいらっしゃって、いま増刷をかけているところなんです。
──やよいちゃん自らブースに立って販売されていましたけど、どういう方が買っていかれるか、傾向ってありました?
やよいちゃん:男性がメインなんですけど、意外と若い女の子、10代の女の子でも読んでくれている方が多いみたいです。アンケートフォームを設置していたんですけど「パンチがある感じかと思ったら、わりとほっこりしたお話なんだね」と言われることも多くて。風俗と言うとトゲトゲしたイメージがあると思うんですけど、風俗をやっている中でもどちらかと言うと私は特殊なタイプだとは思うんですね。共感してもらえるかと言うと微妙なところではあるんですけど。
──『風俗大好きお姉さん』は、実話に基づいた物語です。どうして文章に書こうと思われたのかなというのが、1番知りたいところです。
やよいちゃん:前回の文学フリマで同人誌に寄稿させていただいたことがきっかけなんですけど、ものを書くのが初めての体験だったんです。文章とかむちゃくちゃなんですけど、書くのっておもしろいなと思って。(インタビュアー西澤の運営する)サイト(「StoryWriter」)を拝見させていただいたんですけど、「嬢と私」って連載されてますよね? 前回の文学フリマで隣のブースで私の寄稿した同人誌も売っていたんですよ。
──本当ですか? 僕もそのとき売っていましたよ。
やよいちゃん:あ、じゃあお会いしていたんですね。
──びっくりです(笑)。たしか、オーバードーズとかそういう感じの本でしたよね。
やよいちゃん:そうです。自殺未遂とかに関する本です。その経験を経て、おもしろいなと思ってTwitterのアカウントを作ったんですけど、ブログとかを書いてみているうちに、もうちょっとしっかり書いてみたいなと思ったんですよね。私は昔から俗に言うメンヘラなので、いつ死んでも後悔しないようにと思って生きていて。自分が生きていた証を残しておきたい気持ちは前からあるから、書いたものが話題になって自分に発信力がついたら、もうちょっと違う形で風俗に関わっていけるんじゃないかなと思ったのが理由の1つでもあります。
──違った形というのは偏見みたいなものを解消できるということですか?
やよいちゃん:偏見は逆に無くならない方がいいと思っていて。たしかに楽しい世界だし、自分に自信が持てたりいいことはたくさんあるんですけど、やっぱり通らないで生きていけるのならその方がいいのかなという気もするんです。完全にクリーンな世界として見られちゃいけないもののような気もしていて。風俗で働く女の子たちをサポートしたり、焦点を当ててくれる人が増えたり、そういうことになったら素敵だなと思って、今、心理カウンセラーの学校に通っているんですけど、カウンセラーの資格がとれたら風俗の女の子たちメインにお話を訊いて回りたいんです。その子にどういう人生背景があるのかとか、勉強したことと繋げてアドバイスというよりは話が訊けたらいいなって。
いっぱい何かをあげるといっぱい返ってくる
──風俗の世界で見てきた女の子たちは悩みを抱えていたりとかするんですか?
やよいちゃん:基本的に風俗をやる子って自分にあまり自信がない子と、自信たっぷりでやっている子と両極端に分かれているような気がしていて。だいたい風俗をやっていて病んじゃう子って自分に自信がない子なんですよね。それはなんでかっていうと、家庭環境だったり、昔の彼氏にトラウマがあったり、100人いたら100人が何かしら抱えていて。それをちょっと改善できたら、もうちょっと上手く仕事できるのになと思うような女の子が多いんですよ。
──やよいちゃんが、そうやって周りの人対して気持ちを向けられるようになったのってなんででしょうね。
やよいちゃん:10代の頃はすごくトゲトゲしていたんですよ。でも風俗の仕事を始めてから、威圧感のない人って素敵だなと思ったんです。それまでは自分に自信がなかったから、威圧感がほしいとか、ちょっと人と違うと思われたいとか、1人でも大丈夫そうだよねという部分がほしかったんです。だけど風俗の仕事を始めて、男の人、女の人、みんなそれぞれ一生懸命生きているなと思ったんですよね。いろいろなタイプの人を見たことがきっかけだったと思います。
──たしかに風俗で働いている方は、職業とか年齢とかもバラバラですもんね。
やよいちゃん:あとは人に愛情をたくさんあげることで、自分もいい思いをしてきたというか。結局それって、愛情をあげたいという以上に、見返りがほしいだけかも分からないんですけど。本の中でもストロークの話が出てきますけど、いっぱい何かをあげるといっぱい返ってくるんですよ。そういうのがすごくいいなと思ったんですよね。
リストカットやドラッグを覚えたのは全部Twitter
──本の中では「ごく普通の高校生でした」って書いてあるんですけど、空き教室でタバコを吸い、中庭で脱法ハーブを吸うのは、普通の高校生なんですか(笑)。
やよいちゃん:すごく荒れた中学にいたんですよね。本当にみんなリーゼント、パンチパーマみたいな。
──2010年代にですか?
やよいちゃん:そうなんですよ。刺繍ランを着てパラリラパラリラみたいな中学校にいたので、そういうのがかっこいいと思っていたんですよね。高校は進学校だったんですけど、周りの頭良さそうな子たちとのギャップについていけなくなっちゃって。中学校では1番でも進学校ではビリだったんですよ。馴染めない具合を自分で認めたくなくて突っ張った感じでいたんですよね。結局、馴染めなさに緊張していて学校の授業を受けられなくなっちゃったところから精神的に落ち込んでいったんです。当時から、人をすごく欲していた部分はあります。
──あまり友だちもいなかったと書かれていたんですけど、心許せる人があまりいなかった?
やよいちゃん:心許せる人がいなかったのもありますし、入学式の日に金髪だったんですよ、私。ルーズソックスを履いて。若気の至りじゃないんですけど、結構オラオラした態度で入学式に出ちゃったもんで、その後友だちになろうみたいなキャラでいけなくなっちゃったんですよ(笑)。それに何年も後悔するんですけど。結局寂しがりだし、昔からすごくかまってちゃんなんですよね。すごくおしゃべりだし、人と話したいけど、話せなかったのがモヤモヤしていました。
──出身は東京ではないんですか?
やよいちゃん:川崎です。
──なるほど。
やよいちゃん:これを言うと、みんなからなるほどって言われます(笑)。
──(笑)。リストカットにも明け暮れる毎日っていうのも、高校に入ってからですか?
やよいちゃん:入ってからですね。リストカットやドラッグを覚えたのって全部Twitterなんです。腹鳴恐怖症ってご存知ですか? 緊張をすると、お腹がぐーっとなるのがあって。お腹が空いていないのにお腹が鳴っちゃうんですよ。授業中に鳴ると恥ずかしいからお腹が鳴らないように、ものをたくさん食べる。食べると、太っちゃうのやだから、吐き始めて。それを共有できる人はいないか探すのに、Twitterで調べたら、過食嘔吐しているような子って大体リストカットとかをしていたりするので、それからどんどん覚えちゃってという感じでしたね。
──傷に残る分、ご両親にも心配されますよね。
やよいちゃん:はい。本には書かなかったんですけど、私ずっとTwitterでメンヘラだったり、風俗だったりってちょっと変わったツイートをしてきたんですけど、ほとんど全部のアカウントが親にバレているんですよ。
──名前を変えてやっているのに、ご両親もよく調べて行き着きますね。
やよいちゃん:バレちゃうんですよね。アカウントを変えても、文体でバレちゃったりとかして。親はたぶん相当悩んだと思います。
なんでもなれー! みたいな自暴自棄だった
──高校2年生のときにキャバクラで働いたり、援助交際の経験もあったり、かなりいろいろなことをやられていたんですね。
やよいちゃん:援助交際は高校2年生ぐらい。風俗を始める直前とか半年ぐらい前なんですけど、キャバクラ自体は中学3年生のときだったんですね。未成年の子たちしかいないキャバクラがあるんですよ。今は規制が厳しくて、ないとは思うんですけど。13歳とか14歳がゴロゴロ転がっているみたいな。
──そんなとこあるんですか……。それもTwitterで知った?
やよいちゃん:それは地元の友だちというか、悪いことをしている友だちから。「金なくね? キャバクラやらん?」みたいに(笑)。
──何かタブーを犯しているという意識もそこまでは大きくなかったですか?
やよいちゃん:そうですね。本当にヤンキーみたいな感じだったので。
──逆に、さそわれて怖気づいてられっかみたいな感じ。
やよいちゃん:グレ始めた理由というのが、中学のときに1人の女の子と喧嘩をしてから、クラスの女子にハブられたんです。悔しいし、負けたくないじゃないですか。それで、学校に行かない子たちとつるみ始めたんですけど、悪いことをするのって正直性に合わなかったんですよ。内心はビビリなので。でもそこを失ったら居場所がないと思って、親に反抗しながらも悪いことをし続けて。
──風俗の仕事に惹かれた理由は「悪な響きに憧れた。それだけの理由でした」って書いていますよね。やっぱり人と違うことがしたかった?
やよいちゃん:人と違うことがしたかったです。あとはTwitterで目立ちたいという気持ちもありました。当時は本当に精神的にズブズブで、なんでもなれー! みたいな自暴自棄だったんです。だから変な方向に進んでいった方がなんとかなるんじゃね? みたいな。
男の人が好きなんですよ
──本の中では、風俗で働き始めてからのことをメインに書かれているわけですけど、学校や家族とかとは別の社会がそこにはあった?
やよいちゃん:なんて言うのかなあ。小学校のときからそうなんですけど、男の人が好きなんですよ。やらしいことでからかわれたり、そういうのが嬉しいタイプだったんです(笑)。あとは昔から注目を浴びたいとか、構ってもらいたいという気持ちが強かったので。結構バシッと当てはまる場所だったのかなと思います。
──男性というものの描き方が結構さらっとしていたので、男性に対してどういう感情を持っているんだろうと思ったので、それは意外な答えですね。
やよいちゃん:昔からファザコンなんです。今でも一緒にお風呂に入れちゃうぐらいお父さんのこと大好き。あと性被害にあった経験があるんですね。ちょっと不思議な体験だったんですけど、拉致されて半年ぐらい呼び出され続けて、最終的に仲良くなっちゃったんです。だから全然憎くないんですよ。当時ももちろん怖い思いをしたし、なんで私が…… と思ったんですけど、いまは全然憎くない。根っから男の人が好きなんだと思います。小さい頃お父さんが出張で家にいなかったから、男性を欲しているんですかね(笑)。存在自体が憧れみたいな部分があったのかもしれない。
──それでも怖いですよね。拉致なんて。
やよいちゃん:次の文学フリマでそのことを書こうと思って、拉致監禁ってなかなか人生でされないじゃないですか(笑)。
──こんなに笑いながら話せることじゃないですよね(笑)。
やよいちゃん:ヤクザの人だったんですけど、最初のうちとかひどいわけですよ。服を脱がされて、車からバーンって出されたりとか、運転したこともないのに「車運転しろ!」とか言われて。
──…… それいくつの話ですか?
やよいちゃん:私が15歳のときの話ですね。
──すごいですね……。
やよいちゃん:でも、最終的にご飯を食べていたら仲良くなって。1回レーズンのチョコレートをもらったときがあって、それがめっちゃおいしかったんですよ。「これめっちゃおいしいですね!」って言ったら、毎回買って来るんですよ。だから変な関係だったんです。お互い恋愛感情でもないし、どちらかと言うと、お父さんと娘みたいな感じの空気感だったかなと思います。
──はたから聞いていると、恐怖としかないですけどね。そういう小さいことでもそれが嬉しかったってことですよね。
やよいちゃん:私は昔から、この人嫌いとか、嫌とか思うことがあまりなくて。人から不快感を感じることってほぼないんですよ。例えば、怒鳴られたら怖いですし、叩かれたら痛いんですけど、だからといって嫌いってならなかったんですね。歴代の彼氏とかもめちゃくちゃなんですけど本当に嫌って思ったことってないし、お客さんとかでもNGってこともほとんどなかったですし。
体を重ねる瞬間があるからこそより密度が増す
──自殺未遂のシーンも何回も出てきますよね。
やよいちゃん:最初のオーバードーズは完全に薬の飲み合わせで調子が悪かったんです。練炭のときとかは、むしろ人生やりきった感が出ちゃって、気持ちが盛り上がっちゃって。逆に高まりすぎちゃった気力を元に戻してくれるのが風俗のお仕事だった気がしますね。
──風俗がやよいちゃんを現実に引き戻してくれるみたいな。
やよいちゃん:そうですね。ちゃんと生きている価値があるよって言われているような気がしたんです。
──他者と関わり合うことに重要性があった。
やよいちゃん:本の中に、人ってワードがたくさん出てくると思うんですけど、もしキャバクラだったら、こうはいかなかったと思うんですね。話すだけだとお互い通じ合えないものがあって、体を重ねる瞬間があるからこそより密度が増すというか。よくあるパターンとしては、無口で緊張しているのかぶっきらぼうなのか分からないお客さんが、体を重ねた後でめっちゃお喋りになったりとか。お互いコミュニケーションみたいなものだったんですよね。気持ちいいとか、気持ちよくさせてあげようとか、そういうのもたしかにあるんですけど、楽しいコミュニケーション。私の中の性的な貞操観念がぐちゃぐちゃなので、本当に握手するみたいな感覚というか。初めて会った人と、こうやってお話をするだけでは伝わらないけど、握手してもっと通じ合えるぐらいの感覚なんです。
──今の話してくださった気持ちを共感してくれる人は周りにいたんですか?
やよいちゃん:いや、いなかったです。いなかったんですけど、Twitterを始めてみたら、女の子から共感しましたって連絡が来たりするんですね。そう言われると嬉しいなと思ったりもします。あとは、私がきっかけになって、風俗を始めた女の子も結構たくさんいて。前のアカウントが結構大きなアカウントだったので、それを見て始めた女の子がいっぱいいる。みんな口を揃えて言うのは「嫌なこともたくさんあったけど経験してよかった。ありがとう」みたいな内容で。
──その連絡をもらって、やよいちゃんはどういう気持なんですか?
やよいちゃん:複雑です(笑)。いいのかな? みたいな。実際に怖い思いをしなければいいとは思うんですけど。冷たい言い方かもしれないんですけど、私が勧めて「やりな!」と言ったわけではないので。嫌な思いをしたとしても、いい思いしたとしても、何かしらの経験になっていればいいのかなとは思うんですけどね。18歳ぐらいの子に「憧れて始めました」とか言われると、ちょっとドキッとしちゃいます(笑)。大丈夫かなって。
──この本を書かれたことを、お母さんはご存知ですか?
やよいちゃん:知らないです。でも今通っている心理カウンセラーの養成学校のクラスメイトの人はみんな知っています。
──それは、心を開くことが、授業の学びと繋がっているからですか?
やよいちゃん:それもありますし、昔はすごく隠したかったんですよ。恥ずかしいし、嫌な風に思われたらどうしようって。でも今は逆にフラットな感じになった。失うものもそんなにないなって(笑)。なにより、この5年間で自分に自信がついたんですよね。私こういう生き方しているよって人にちゃんと言えるようになったかなという。
ちゃんと見本にならなきゃってどこかで思っている
──この本で大きな転換期は、恋人になるミチさんとの出会いです。たくさんのお客さんと会っている中で、ミチさんは他の人と何が違ったんですかね。
やよいちゃん:これと言った理由ってあまりなくて。ずっとでへーって笑っているような人だったんです。威圧感がないし、すごーく柔らかい人だなと思って。あとはすごい綺麗に遊んでいく人なんですよね。男の人って風俗も行ったら絶対に「本番いい?」とか「入れていい?」って挨拶代わりに訊くんですけど、ミチさんは素直にプレイしていって。今一緒に住んでいるんですけど、私が本を出すことに影響を受けたって言って、最近、Kindleで1冊本を出したんです。「私がシングルファーザーになったわけ」っていう本です。なんで娘のリカちゃんと2人で暮らすことになったかとか、前の奥さんってどうしてたの? みたいなことを書いているので興味があったらぜひ。
──検索します! 名前は何でやってらっしゃるんですか?
やよいちゃん:前川道でやっていますね(笑)。
── (笑)。ミチさんとの物語は純愛というか、ピュアなお話ですよね。
やよいちゃん:そうですね。ちょっとノロケ臭くて後半(笑)。
──やよいちゃんが風俗を辞めたのは、ミチさんというパートナーができたことが大きい理由なんでしょうか。
やよいちゃん:それももちろんありましたけど、リカちゃんが大きいですよね。恥ずかしい仕事をしているとは思っていなかったけど、仕事が終わって帰ってきて、リカちゃんが来て触れ合うのにちょっと抵抗があったんですよ。お風呂に入ってからの方がいいかなとか。あとは、どうしてもお客さんからもらった差し入れだったり、プレゼントを一緒に住んでいる家に持ち帰って、このお菓子を食べさせるのはまずいよなとかいろいろ考えていたときでもあったので、いいタイミングだったなというのが1番ですね。
──風俗を辞めてからの生活というのはどうですか? 何か変わりました?
やよいちゃん:しばらく無職だったんです。その間に本を書いたり、1人で山登りに行ったり、無職ライフを充実させていて。家でご飯を作って、おいしいねって食べている毎日で、子どもがすごく懐いてくれているんですよ。どちらかと言うと、自分の安定がというよりは、ちゃんと見本にならなきゃってどこかで思っているんでしょうね。今はフラットな自分でいれている気がします。
一生何かの奴隷でいたいんですよ(笑)
──本を1ヶ月で書かれたってすごいですよね。
やよいちゃん:途中でストップができないタイプなんです。パソコンを持っていないのでiPadで書いていたんですけど、簡易キーボードをつけても書きにくくて。漫画喫茶にこもるようになったら、すごく居心地がよくて(笑)。
──1日どれくらいこもっていたんですか?
やよいちゃん:8〜10時間ぐらいはいましたね。コンビニで3000円分ぐらいのご飯とおやつと、タバコを3箱ぐらい買って行って、コーヒーを飲みながらひたすら書いていました。
──1つのことに対する集中力がすごくあるんですね。
やよいちゃん:ですかね? 完璧主義ではないけど、ハマるとハマるタイプかもしれないです。
──ここは絶対に書きたいみたいなところがあって、書き始めた感じですか? 闇雲に最初から書き始めた感じなんでしょうか?
やよいちゃん:闇雲にですね。終着点も分からないし、構成を組むわけでもないまま「お手に取って頂きましてありがとうございます」って書き始めました。だから、分量もどれぐらいになるか分からなくて。私すごい機械音痴なんですよ。パソコンとかも全然使えないので、表紙を描いてくださったメリさんにどれくらいの文字の感じでにしたらいいか相談して、2段構成にしたら読みやすいと思うし、文字数もこれぐらいだったらページ数多くならないから安く仕上げられるしとか教えてもらって。
──表紙のイラストもいいですね。
やよいちゃん:そうですね。後ろ似てません?
──似てますよね(笑)。さっきお話に出ましたけど、すでに次作を書き始めているんですか?
やよいちゃん:ちょっと書いています。
──まだまだ書きたいことがある?
やよいちゃん:ありますね。あと、注目を浴びたい気持ちもあります。私本を読めないんですね。精神の調子を崩してから、本とか漫画とかを読めなくなっちゃって、インプットしないままアウトプットし続けているだけなので、いずれネタ切れするんですけど。気力があるうちはやってみたいなというところですかね。
──影響を受けた作家さんがいるとかそういうことではなく。
やよいちゃん:昔は本が好きで、読んでいたんですけど、病んでいる子が好きっぽいもの。中島らもとか読みましたね。いっぱい持っていました。「アマニタ・パンセリナ」とかに影響を受けて、ドラッグに手を出すのに抵抗がなかった部分もあったりしました。あと、本にも書いてあるんですけど、自己表現をしている人たちがかっこいいなと思っていたんですよ。私って基本自分の意思がなくて。働くのも、誰かを使ったりとかって絶対も向いていなくて。主導権を握るのは苦手なタイプなので、一生何かの奴隷でいたいんですよ(笑)。そうやっていろいろ発信したりとかしている人たちって自分の意思があるってかっこいいなって。
──でも「風俗大好きお姉さん」はすごく発信力の強い本だと思いますよ。
やよいちゃん:よかったです。嬉しいです。作ってよかった。
──次の文学フリマで新作が読めることを楽しみにしています。
やよいちゃん:そうですね。出せればいいなと思っています。