本連載は、メンズ・アイドル「others」を運営しているプロデューサー、ゴン・チョクによる連載です。これまで、ゴンチョクを含め全員がメンズ・アイドル未経験者で、0からアイドルを学び、ダンス、歌、特典会などを実際に経験する中で成長していく様子を記録してきました。そんな中、「いまメンズ地下アイドル業界で何が起きているのか」(http://plus14.hateblo.jp/entry/2019/03/16/044428)という記事を書いているめりぴょんさんの存在を知り、対談をオファーして話した内容が下記記事となります。メンズ地下アイドル運営をしているゴン・チョクと、お客さんとしてメンズ地下アイドル現場に通っていためりぴょんさんによるそれぞれの実体験を元にした内容であり、メンズ地下アイドル業界すべてを内包して結論づけることを意図したものではないことをご了承ください。
ゴン・チョク×めりぴょん対談シリーズ第1回
ゴン・チョク×めりぴょん対談シリーズ第2回
エンタメの川か、独自の第3の川か
──ここからはROYAL小生の今後の方向性の話をしましょう。ゴン・チョクさんは、この川(ホスト源流のメンズ地下アイドル界)では戦えないということがわかった。
ゴン・チョク:そうなんですよ、多分、この川では僕戦えないと思うんですよね。現場に行く度に、アルコールで自分の心を偽ってやっていますから。
──そうなると、エンタメを軸にした大きな川なのか、はたまた第3のオリジナルの川を開拓していくか。もうどっちかしかないですよね。
ゴン・チョク:もちろん会社にお金があってバカバカ使えるんだったら、CUBERSとかの正統派アイドルの川がいいですよ。地道に話題作っていければいいかなと思うんですけど、うちの会社ではそんな余力はない。長い目で三年後に売れたらいいなっていう川はちょっと…… 目の前にお金が流れてないから。
──ゴン・チョクさんはノウハウと経験があるから、女性アイドルの運営をやればいいんじゃないかと思っちゃうんですけど。
めりぴょん:たしかに、メン地下で儲けながらもやりたいことを表現するとなると難しいんじゃないかな……。ヴィジュアル系バンドとかも、女性を洗脳するという要素を入れ込むことで継続的な収入があるのでバンド活動を継続できると思うんですよ。ゴン・チョクさんがやりたいのは、それとはちょっと違うじゃないですか。
ゴン・チョク:やっぱ難しいよね! やっぱね! 薄々気づいてたけど(笑)。
──ゴン・チョクさんがうまくやっていくためには、女性をコントロールするやり方、そのノウハウみたいなのを学ばないといけない、と(笑)。
めりぴょん:メン地下で売れたかったら1回ホントに女性のコントロール方法とかは学びに行かないと……(笑)。例えばあるグループのメンバーは、ずっとヒモで食ってきた人間なんですよ。それが彼の稼業なんで。そのレベルからメンバーの童貞的な面を漂白して、そこにホスト的な方法論を叩き込むと現金が入ってくるんじゃないですかね。
ゴン・チョク:なるほどね、なるほど。
めりぴょん:二択ですよね。CUBERSみたいに正統派の川を渡ってホスト的な方法論を叩き込まずに行くのか、それとも現金を調達するためにオタクを洗脳するのか。
──ゴン・チョクさん的にはどうなんですか、今の話を受けて。
ゴン・チョク:そりゃ、川渡りたいですよね。やっぱり…… なんていうんですかね。一応エンタメっていうことを考えると、華やかな方に行くべきなのかなとは思うんですけど。結局ぼくも関西出身で、お客さんのことをあまり考えずに自分が面白いことをやっちゃいたくなっちゃう人間なので。「ワンマンライブやります!」って行って客集めて、曲1曲もせんと一時間劇とかやって帰らしたりとかしたい(笑)。たぶん、どっちの川でもないかもしれないですね、ぼくは。この間、YouTubeに、これからこういう風にしますって動画を上げたんですけど、8回くらいチンコって言ってて。見た人に「チンコ多すぎていいや」って言われたんですよ。
めりぴょん:ゴン・チョクさんがやりたいことって、どっちかっていうとパンクなんですかね。
ゴン・チョク:あぁ〜、なんかそうなのかな。
めりぴょん:それをメン地下でやってウケるのはめっちゃむずいと思います。女性地下アイドルだとそういうコンセプトを体現しているグループって多いと思うんですけど。お客さんが音楽的な文脈とか背景とか無いと、オモロイ!って思わないんで、一切ウケないと思いますよ。女のオタクにウケるための方向に振れたグループのプロデューサーに「偏屈なことやらないの?」って聞いたら、「やりたいけど、それをやると誰も喜ばない」って言われて(笑)。そこの前身グループはテクノとかエレクトロニカとかやってたんですけど、客がみんな冷めてたらしくて。それで方針転換したって言ってました。
ゴン・チョク:なるほどね……。
配信者からアイドルへ回帰?
──ゴン・チョクさんがやろうとしてることって、今のメン地下の世界を、ある意味破壊しかねないことじゃないですか。だって、今来ている人は、疑似恋愛として満足してるわけですから。メン地下の世界をお客さんとして経験しつつ、俯瞰して捉えてもいる、めりぴょんさんからするとゴン・チョクさんがやろうとしていることは建設的なことなんですか?
めりぴょん:んー、そのエネルギーが強ければ世界を変えられるかもしれないですけど、現状そのエネルギーがなくて変えられていないとは思います。疑似恋愛より音楽が勝つためには、音楽の方により魅力を感じるお客さんを増やさないといけないですよね。CUBERSとかはその比率で勝って今があるんじゃないかなーと思いますよ。
ゴン・チョク:あー、確かに。こっち側の熱量と根気が必要な感じなのかなー。
めりぴょん:まあでも難しいですよね。メン地下に限った話じゃないですけど、良い音楽を作ったからって世間に見つかるわけではないですからね。まずはホスト由来の川の出るのをやめて、路上ライブとかやった方がまだ身になる気がしますよ。今はそれこそメンズ地下アイドル戦国時代みたいになってて、去年の段階でテレビとかメディアとかでもメン地下の世界でむっちゃお金が回ってるって紹介されて。そうやって取り上げられて、他の世界の人たちがメン地下にどんどん参入してきたんですね。今メン地下界隈は、ツイキャスで配信してる配信者とか、ネットでちょっと有名な子とか、読モ系の子が運営にスカウトされてアイドルになるっていうのが結構流行ってて。それで実際グループもできていますし。
ゴン・チョク:へーー。
めりぴょん:ツイッターに自撮りとか載せて、ちょっとでもフォロワーが多いとすぐメン地下の運営からDMくるとかよく聞きますね。ツイッターでも#美男美女さんと繋がりたい、みたいな自撮りを載せたりするアカウントがあって、そういうところにスカウトかけているメン地下のグループがめっちゃ多い。私も3秒くらいだけメン地下の運営やりたいなって思った事あるんですよ。でもメンバーを集める段階で、顔のいい男の子はもうどっかから声がかかってたりして。人材の取り合いが激しい。
ゴン・チョク:うちでオーディションしてもあまり応募こなかったもんな、配信者が地下アイドルに逆輸入してきてる流れがあるって話が出たみたいに、うちらは逆転の発想で、ROYAL小生で動画配信をしていこうと考えていて。
めりぴょん:配信者の方に行くんですか? それはもう別の何かですよね(笑)。
ゴン・チョク:そう。別の何かから、またアイドルに戻ってくるっていう。
めりぴょん:あー、でも方法論としては合ってると思いますよ。元々YouTuberやってた子をスカウトしてアイドルグループを作って、そこのメンバーがYouTubeの配信もやったりしている例もあるので。いわゆるキッズ層、茶の間人気みたいなのを集めるのって、いまはYouTubeとか配信が有効なんじゃないかなと。ただ、YouTuberは層が厚くなっているから、面白くないとすぐ消えてしまうととは思うんですけど。
何かを打ち破りたい
──この世界を知れば知るほど、ROYAL小生はどうすればいいのかっていう。
ゴン・チョク:まあでも1回修行ですよ。ペニスを鍛えるのから始めて。
めりぴょん:そう(笑)。勃起しない訓練と、女性を上手くコントロールする方法を学んだらいいと思います(笑)。
ゴン・チョク:女性のコントロール術を学びながら修行をし、勃起もしない。で、YouTubeや配信で人もそこそこ見てくれるようになったときに、メン地下の対バンに戻ってきて、お客さんの数の暴力を得てフォーマンスできれば、ちょっとはこの業界をざわつかせられるかもしれない。ルールを壊したり、もしかしたらできるのかなって。
めりぴょん:話題にはなりますよね。ある程度、配信でファンもいればグループでも話題になりやすいのはあると思いますね。
──それにしても今回の対談の元になった、めりぴょんさんが書かれた文章(http://plus14.hateblo.jp/entry/2019/03/16/044428)は、2010年代を代表する考察文だと思うんですよ。CDを出してないグループがリキッドルームを埋めてしまう、それは音楽の敗北だっていう考察は衝撃的でした。
ゴン・チョク:あれは本当にすげーよかった。
めりぴょん:音楽オタクからすると信じ難いことが実際に起きていて。音楽オタクとTRANPのオタク層の間に大きな断絶がありすぎて、見つかってないことがすごいなと思って書いたんです。私が言ったことで見つかって、音楽オタクが若干ザワザワしてくれたのは、よかったと思ったんですけど。
──そういう状況の中、ゴン・チョクさんみたいな異端児的運営が何か起こしてくれるのは、側から見てるとちょっと期待しています。
めりぴょん:それが成功したらシーンが面白いなと思えるようになるかも。
──そういえば、ゴン・チョクさん、次のオーディションを考えてるんじゃなかったですっけ?
ゴン・チョク:応募者全員合格のオーディションしようと思っていて。ブサイクだろうがなんだろうが。でも、めりぴょんさんとお話して、ひとつ判断基準を追加しました。勃起しなければ合格(笑)。
めりぴょん:あと、いかに女性をコントロールできるかというところに重点を置くのがいいんじゃないですかね。
ゴン・チョク:でも、全員合格とか言っておきながら候補生的なものになるとは思うんですけどね。
──メン地下でやっていくのであれば、やっぱりビジュアルは必要ですよね?
めりぴょん:とっつきやすい要素でいうとビジュアルは必要なんですけど、ビジュアル以外でも逆転できる要素ってメン地下にはいっぱいあって。接触していく中でおもんなかったらやっぱり行かなくなるので。顔が100点のおもんなくないやつよりかは、顔が50点のコントロール能力すげー人の方が売れると思います。
ゴン・チョク:でもやっぱり50点は必要?
めりぴょん: 50点ていうのは、生理的嫌悪感との境界線だと思いますよ。女性特有の現象に「生理的に無理」っていうのがあって。それはたぶん男性のロジックでは理解しづらいところなんじゃないかな。たぶん童貞的な一面も「生理的に無理」にカテゴライズされると思うんですよ。
──童貞はやっぱりランクが低いんですか……。
めりぴょん:童貞というか、童貞的なマインドというか? 「なにこいつキョロキョロしてんのキショい!」みたいになっちゃうとダメですよね。これは生理的かつ漠然としていて、言葉で男性に対して説明するのが難しい概念だと思うんですよね。
ゴン・チョク:シビアだー。
──聞けば聞くほど、僕がもしゴン・チョクさんだったらメン地下業界辞めてますよ。
ゴン・チョク:(笑)
めりぴょん:だから、ゴン・チョクさんってすごいハートが強いなって私は思ってます。
ゴン・チョク:みんなに言われますね、「なんで辞めないの?」って。まあ僕もいつまでもつか。でも面白いからやりますけどね!
めりぴょん:がんばってください!
対談シリーズこれにて完結です! 見て頂きありがとうございました!!
32歳独身のおじさんは独自の道を爆走していきたいと思います。
あっ、開催しようとしていたROYAL小生の候補生、応募者全員合格オーディションですが、何をどう考えても事故るのでもうちょい考えてから何かしらのオーディションやります!
そして、次回のイベントも決まりました!
8月1日の夜に新宿レッドノーズでお酒無限に飲み放題イベント〈無限の夜。〉を開催します。これで4回目くらいの開催ですが完全に赤字です。でも怒られるまでやります。
お酒も無料ですし入場も無料ですので良かったら見に来てください!
死ぬほど気軽に来てもらって大丈夫です!
そんなROYAL小生の曲はこちらで全曲聞けますので良かったら聞いてください!
https://soundcloud.com/othersmusic
あぁ今回こそはグッズ作らなきゃな。。。
ROYAL小生「無限の夜。」
2019年8月1日(木)新宿レッドノーズ
時間:OPEN 19:00 / START 19:30
入場無料。酒無料。再入場可。ライヴ中の撮影可。
出演:ROYAL小生
予約:準備中
整列順入場
※マネージャーより泥酔したら退場。
ゴン・チョク
満32歳のおじさん。関西にてプラニメの現場マネージャー、イベント制作などを経て、何でも屋として上京。タレントの送迎、チェキ撮影、音響、ステンレスの溶接などを経験し、このたび株式会社リーディよりメンズ・アイドルをデビューさせることとなった。現在は「ROYAL小生」を運営。前身グループ「others」を経て、音無奏翔、山下修、立花類の3人で構成されており、ゴンチョクを含め全員がメンズ・アイドル未経験者。0からアイドルを学び、ダンス、歌、特典会、などを経験する中で成長していくことが期待される。毎週金曜日20時よりYouTubeにて「ろいやるちゃんねる」(http://bit.ly/2G5PO4S)更新。
・ゴン・チョク Twitter
https://twitter.com/yajinokano73
・ROYAL小生 official site
https://others-idol-official.amebaownd.com/
・ROYAL小生 official Twitter
https://twitter.com/others_staff
某哲学塾在学中。ライター、ブロガー。山野萌絵としても活動。若手俳優の元オタクであり、現在はマイナー乙女ゲームのショタの夢女子。個人企画PLUS14を立ち上げ、地獄のオタク女オールジャンルトークライブ〈外道ナイト〉の不定期開催を行っている。現在、日刊サイゾーにて記事を執筆中。