2019年9月からグループ史上最大規模の全国10箇所12公演〈PARADE GOES ON TOUR〉を開催する10人組アイドルグループ、GANG PARADE。9月4日には東阪野音ツアーの映像作品『CHALLENGE the LIMIT TOUR at 日比谷野外大音楽堂』、11月13日にはメジャー1stアルバム『LOVE PARADE』のリリースも控える彼女たちのソロ・インタビュー・シリーズ。
8回目となる今回は、2016年10月にGANG PARADEに電撃加入したユイ・ガ・ドクソンのロング・インタビュー。第2期BiS合宿オーディションに参加し、BiSの公式ライバルグループSiSとして動き出したもののグループが1日で消滅、同じ境遇だったココ・パーティン・ココとテラシマユウカとともにギャンパレへの電撃加入を決めた彼女。その独特なユーモアセンスと、場を和ませる雰囲気でグループになくてはならない存在の彼女の現在について話を訊いた。
インタヴュー&文:西澤裕郎
写真:宇佐美亮
虎を召喚できそうな複雑な手の動き
──最近は『プレイハウス』(※GANG PARADEが舞台初出演&初主演を務める、演出家の根本宗子による新作ミュージカル。2019年8月25日~9月1日東京芸術劇場 プレイハウスにて上演)の舞台稽古で毎日忙しそうですね。ギャンパレのライヴと並行して、頭がこんがらがったりしないですか?
ユイ・ガ・ドクソン(以下、ドクソン):ギャンパレの楽曲を使ってくださるミュージカルなので、ギャンパレらしさもありつつやれているし、程よく別の自分になれて楽しいです。
──ミュージカルということでダンスもされるんですよね。
ドクソン:東京ゲゲゲイのMARIE先生が全部振り付けをしてくださっていて。もともとゲゲゲイさんが好きでライヴ動画を観ていたんですけど、ダンスがすごいんですよ。虎を召喚できそうな複雑な手の動きをする振り付けを考えてくださって、素人目で観ても、すごい! と思うパフォーマンスになっています。
──ギャンパレのダンスとはまた違う感じですか?
ドクソン:全然違います。なので、今までのギャンパレを知っている人が舞台を観ても楽しいと思います。まだ完全にダンスをマスターできていないので、毎日、沈んで帰っているんですけど(笑)。でもやればやるほどできるようになっていくのが嬉しいです。自分、こんな動きできるんかい! って(笑)。
──ギャンパレメンバーは風俗嬢を演じるわけですけど、演じてみてどんなことを思ったりしますか。
ドクソン:これまでいろいろなバイトをしてきたんですけど、風俗は通ってこなかったお仕事なので。なんとなくは知っている程度で、深く風俗嬢のことをインプットできていないので、風俗嬢のブログとかを読んで、どんな気持ちでやっているのか想像したりしています。いろいろな理由を持った人がいると思うんですけど、譲れない何かのために風俗という道を選んだ人に特に興味がありますね。
インタビューがおもしろい人って人間もおもしろい
──ドクソンさんは人に対しての好奇心は強い方なんじゃないですか?
ドクソン:興味が湧く人はいっぱいいます。いきなり興味が湧いてくるので、有名な人とかは夜中にGoogleで調べたり、インタビューを読んだりするんです。あ、最近、興味が湧いて調べた人いました!
──誰ですか?
ドクソン:山口一郎さん。サカナクションの新作アルバムを聴いたのがきっかけで、バックグラウンドというか、人となりの興味が湧いて。記事とか、どういう考え方で音楽をやっているのかというのを夜中に調べました。
──そうやって調べることで、その音楽に対してだったり、ミュージシャンに対する気持ちは深まりますか?
ドクソン:やっぱり素晴らしい音楽だったり、心で感じる音楽やものを作れる人って常人ではないと思うんです。私が好きになる音楽を作っている人は全員インタビューがおもしろい。大槻ケンヂさんとか椎名林檎さんとか。インタビューがおもしろい人って人間もおもしろいという持論を持っていて。
──そういう意味では、GANG PARADEに興味を持って、ドクソンさんのインタビューを読んでくれた人が同じ感想を持ってくれたら嬉しいですよね。
ドクソン:私は脳がそこまで働かないから。だけど、考えれば考えるほど、おもしろい考えは生まれると思っているので、ずっと考え続けていますね。
私は限界を超えることを無意識に避けてきた
──それこそ、ラーメンのコラム(WEB媒体「SCRAMBLE」にて週1で連載中)も長いこと続けているじゃないですか。いろいろなことに興味がある人なのかなって思うんですよね。
ドクソン:たしかに、好きなものが増えてきています。
──最近は、どんなものを好きになったんでしょう。
ドクソン:路上のケンカとかYouTubeで観たりしていて。
──そんな動画があるんですか?!
ドクソン:はい(笑)。どうやら私は、一線を越えた人のことが気になっているみたいで。あと、アメリカにすごく有名な逆バンジーがあるんですけど、それで失神する人を繋ぎ合わせた動画があるんです。恐怖でイヤーーーっていうのは私も経験があるんですけど、それ以上というのを経験したことがないから、気になっちゃうんです。
──一線を越える瞬間みたいな?
ドクソン:そうです、そうです。
──ギャンパレの活動をしていて、そういう瞬間はないですか?
ドクソン:〈CHALLENGE the LIMIT TOUR〉が、限界を超えるみたいな意味で、限界を超えるということを調べ出したんです。ギャンパレの活動で、物理的に倒れるとか、意識失うというまではいかなくても、なにかがポンって超えた瞬間みたいなものは感じたことがあります。
──それは、いつぐらいに感じたか覚えています?
ドクソン:ギャンパレに入ったばかりの頃、最初から終わりまで全力でライヴをしたら、自分は意識を保てないんじゃないかという怖さみたいなものがあったんです。メンバーが「楽しかったー!」って言うのがうらやましかった時期があって。いきなり私にも楽しいと思える瞬間が来たんですよ。そのときは限界すれすれのヒーヒーで、どうなっちゃうんだって思ったけど、いったれーって思ってやったら、パンって拓けた感じがして。そこで初めて笑顔で踊っているお客さんがパッと目に入ってきて。それまでちゃんと見えていなかったんですけど、それが見えたときに楽しいって思ったことは覚えています。
──最初の頃は、ライヴ中、心配な気持ちで立っていたんですね。
ドクソン:怖くて、毎日今日は大丈夫、今日は大丈夫って言い聞かせて立っていました(笑)。もともと私は、限界を超えることを無意識に避けてきた人間なんだなって気がついて。それは、ココ(・パーティン・ココ)とユユ(※テラシマユウカの愛称)と受けたBiSオーディションのときに感じたことで。そこがダメだと思って、ずっと心の中にあって。
──でも、その限界を超えた瞬間があったわけですよね。どうしてそのときは踏み出せたんでしょうね。
ドクソン:踏み出さざるをえない状況だったというのもあるし、周りのメンバーを見ていたからできたのかなって。その頃から全員1つ1つ必死でやっているのを見ていたから、自分もそんなに考えずにできたのかなとは思いますね。
──〈CHALLENGE the LIMIT TOUR〉というタイトル自体が、ドクソンさんの抱えていたテーマとも一致していたんですね。
ドクソン:そうですね。もはや、永遠のテーマなんじゃないかと思います。
滋賀はニューオーリンズ
──大阪城野外音楽堂が、9人体制最後のワンマンとなりました。ドクソンさんは滋賀県出身ということもあって、大阪で大きなワンマンをやることに対しては特別な気持ちはありましたか?
ドクソン:私にとって、東京と大阪って同じような存在というか、ワシントンD.Cとニューヨークみたいな存在なんです(笑)。
──あはははは。その例えでいくと、滋賀はどこなんですか?
ドクソン:滋賀はニューオーリンズ(笑)。そんなに地元的な特別さというのはなかったです。いい意味で、よき緊張感で迎えられたというか。
──どういう気持ちで迎えたんでしょう?
ドクソン:これは自分の中でのポイントだったんですけど、オリンピックの閉会式と開会式で考えていて。それぞれ開催都市が違うんですね。大阪城野音は、閉会式を意識していて。9人体制終わりというのは事実ではあったんですけど、寂しいというより10人になることが嬉しくて。もちろん9人のギャンパレが最後で寂しいというお客さんもいたと思うんですけど、10人体制がもっと楽しみになったという感想も多かった。オリンピックの閉会式って、次回への期待を演出したものになるので、そういうところは特に意識していました。
──その1週間後には、東京の日比谷野音で10人体制初のワンマンが開催されました。ナルハワールドさんが加入して10人体制になるということに対して、ドクソンさんはどんな気持ちでいたんでしょう?
ドクソン:ワクワクした気持ちが1番ありました。体制が変わって初めてのライヴって、これから何かが生まれる瞬間なので、自分でも予想できない部分が楽しいんです。もちろん不安な部分もあるんですけど、練習とかリハーサルをナルハとしたときに、野音のライヴが悪いものになる気が全くしなくて。そこは変に怖がらずに、自分も楽しみな部分を見て臨むことができましたね。
──ナルハさんも、めちゃめちゃ頑張って練習していたそうですね。
ドクソン:ナルハは、めっちゃ頑張り屋さんなんですよ。もともとWAggで何曲かギャンパレの曲をやっていたのもあるんですけど、明日はこの曲をフォーメーション込みでやろうってなったら、動画で振りを全部覚えてきて。私がギャンパレに加入したときのことを思い出すと、本当にすごいなと思って。簡単にできることではないので、めちゃめちゃキワキワのところでナルハは頑張り続けていたんだろうなって。
──ナルハさんに話を訊いたとき、ドクソンさんがいろいろ気にかけてくれてって話してくれました。ドクソンさんは、人一倍気にかけていたのかなって。
ドクソン:そんなに意識しまくっていたわけじゃないんですけど、やっぱり緊張していたし、もともと大人しいところはあるので。ナルハは1人で加入してくるので、自分以上に大変な部分があったと思うので、どうしてあげようということは考えたりしました。ナルハは弱音を吐かないタイプなので、より気になりましたね。大丈夫かなって。
──ドクソンさんは、悩みがあったときはどうしているんですか。
ドクソン:私は悩みがあったらすぐ周りに言って、聞いてもらってすっきりというか。だから、言わないと、しんどいんじゃないかって。
──どちらかと言うと、(ヤママチ)ミキさんとかも耐えしのぐタイプですもんね。
ドクソン:人それぞれで、耐えしのぐ方が楽な人もいるんですけど、結局ダムみたいに崩壊するときは来るから。本当に溜めるのが1番いいということはあまりないのかなって。でも、言える、言えないというのが人それぞれあるじゃないですか。なら言いやすいようにとか、そういう風にしてあげたいなって。
──ナルハさんが入って3ヶ月ぐらい経ちますが、今の10人の雰囲気はどんな感じなんでしょう?
ドクソン:1人1人がギャンパレのことを今までで1番考えられているし、もっとそうなっていくんじゃないかという雰囲気を実感しています。
──なんで今1番みんながギャンパレのことを考えられているんでしょうね?
ドクソン:ナルハの加入という要素もありつつ、メジャー・デビューさせていただいたり、野音のステージでワンマンをさせてもらったり、全部重なっていると思うんです。そこから、じゃあ自分は何ができるかというところに関して、それぞれが1番濃く考えているんじゃないかな。
LOVEって言葉をタイトルにするのは初めて
──2019年11月13日には、メジャー1stアルバムのリリースも予定されています。まだ早いかもしれないですけど、どんな雰囲気になりそうですか?
ドクソン:まずは、『LOVE PARADE』というタイトルで想像してほしいです。WACKで見ても、SEXとかFUCKとかSHITとかはありましたけど、LOVEって言葉をタイトルにするのは初めてで。もちろん全部一種の愛なんですけど、今回はストレートにLOVEって言っていて。
──確かに、直接的に言うことはなかったですもんね。
ドクソン:そうなんです。だから、楽しみにしていてほしいです。
──2019年9月からは全国10箇所12公演を巡る〈PARADE GOES ON TOUR〉が始まります。ファイナルは中野サンプラザですが、どんなツアーにしたいと思っていますか?
ドクソン:10人で初めてのツアーなんですけど、今まで以上に「続きはもっと大勢で見ていきたいな」という部分を広げていきたい。そのために、知らない人にも好きになってもらえるツアーにしたいです。あと、10人だからできることがあると思っていて。見た目でも楽しめて、気持ちでも感じてもらえるように、ツアー自体を作りたいです。
──ドクソンさんは、最後に言いたいことを思い出すことが多いですけど、言い残したことはないですか?
ドクソン:あ、私〈NUMBER SHOT 2019〉のことが最近の思い出キャパシティの大半を占めていて。普段、あまり涙もろくないし、パフォーマンス中に自分の気持ちが私情に支配されることってないんですけど、〈NUMBER SHOT 2019〉の1曲目「ブランニューパレード」でいきなりグッときちゃって。他のバンドさんの物販に並んでいるお客さんからも観てもらえるステージでやらせてもらったんですよ。朝早いから、グッズを買う人も多くて、いろいろなバンドのTシャツを着たお客さんがこっちを観てくれている景色と、楽しんでくれている遊び人(※GANG PARADEファンの総称)をひっくるめて見たときにグッときちゃって。〈NUMBER SHOT〉自体、やっと立てた念願のステージの1つだったので、そういうのもあってすごく嬉しい体験でした。
──そういう機会がこれからもっと増えていくといいですね。
ドクソン:まだ会えていない人に好きになってもらえるように、みんなに楽しいって感じてもらえるようにやらなきゃなって。そういうツアーにしたいですね。
GANG PARADE PROFILE
「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、カミヤサキ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、テラシマユウカ、ユイ・ガ・ドクソン、ハルナ・バッ・チーン、月ノウサギ、ナルハワールドの10人からなるアイドルグループ。 2014年に結成されたプラニメが前身ユニットで、2度の改名とメンバーの増減を経て、その翌年4月17日にワーナーミュージック・ジャパン内新レーベル「FUELED BY MENTAIKO」よりシングル『ブランニューパレード』でメジャーデビュー。 同年5月に東阪野音ツアーを成功させ、5月26日より同事務所所属グループWAggよりナルハワールドが加入し、現体制での活動をスタートさせる。 PCゲーム「マジカミ」の主題歌および挿入歌を担当し、その楽曲を収めた配信限定EP『THE MUSIC AND THE GAME CREATES MAGIC』を6月19日にリリース。9月より全国ツアー〈PARADE GOES ON TOUR〉を開催する。
■ライヴ情報
PARADE GOES ON TOUR
2019年9月7日(土)神奈川 横浜Bay Hall
2019年9月8日(日)神奈川 横浜Bay Hall
2019年9月14日(土)愛知 DIAMOND HALL
2019年9月15日(日)静岡 浜松窓枠
2019年9月21日(土)福岡 DRUM LOGOS
2019年9月22日(日)広島 CLUB QUATTRO
2019年9月29日(日)大阪 なんばHatch
2019年10月5日(土)北海道 PENNY LANE24
2019年10月6日(日)北海道 PENNY LANE24
2019年10月12日(土)宮城 仙台Rensa
2019年10月20日(日)新潟 NEXS NIIGATA
2019年11月4日(月祝)東京 中野サンプラザ
チケット料金(税込)
【通常チケット※ライブハウス】
スタンディング 4,000円(税込)※入場時にドリンク代別途必要
2階指定席 5,000円(税込)※なんばHatchのみ
【通常チケット※中野サンプラザ】
全席指定 5,000円(税込)
年齢制限/スタンディングチケットの未就学児童入場不可
チケット一般発売日
2019年7月13日(土)AM10:00〜
■ミュージカル情報
PARCOプロデュース2019プレイハウス
2019年8月25日(日)〜2019年9月1日(日)
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
作・演出:根本宗子
音楽:GANG PARADE
出演:GANG PARADE
(カミヤサキ/ヤママチミキ/ユメノユア/キャン・GP・マイカ/ユイ・ガ・ドクソン/ココ・パーティン・ココ/テラシマユウカ/ハルナ・バッ・チーン/月ノウサギ/ナルハワールド)
磯村勇斗
栗原類 鳥越裕貴 富川一人 ブルー&スカイ 猫背椿
料金:8,500円(全席指定・税込)
プレイガイド
チケットぴあ
http://w.pia.jp/t/nemoto/
【発売日特電】0570-02-9501
【6/23以降】0570-02-9999(Pコード:493-949)
セブン-イレブン、チケットぴあ店舗
ローソンチケット
https://l-tike.com/nemoto/
【発売日特電18:00まで】0570-08-4639
【6/22 18:00以降】
0570-00-0407(オペレーター対応 / 10:00~20:00)、0570-08-4003(Lコード:33875)
ローソン、ミニストップ店内Loppi
イープラス
https://eplus.jp/nemoto/
ファミリーマート(店内Famiポート)
LINE TICKET
https://ticket.line.me
東京芸術劇場ボックスオフィス
0570-010-296(10:00~19:00 休館日除く) ※窓口販売有り
http://www.geigeki.jp/t/ (パソコン)
http://www.geigeki.jp/i/t/ (携帯)
■リリース情報
Live Blu-ray
『CHALLENGE the LIMIT TOUR at 日比谷野外大音楽堂』
2019年9月4日(水)発売
【初回生産限定盤】WPXL-90204~90205 15,800円+税 Blu-ray2枚組
100P写真集ブックレット+スリーブケース付トールサイズ・デジパック仕様
【通常盤】WPXL-90206 7,000円+税 Blu-ray1枚組
予約購入リンク
https://GANGPARADE.lnk.to/CtLTAW
Major 1st Full Album
「LOVE PARADE」
11月13日(水)発売
【初回生産限定盤】WPZL-31666~31668 12,000円+税 CD2枚組+Blu-ray1枚組
(100P写真集ブックレット+スペシャルBOX仕様)
【通常盤】WPCL-13110 3,000円+税 CD1枚組
予約購入リンク
https://GANGPARADE.lnk.to/LOVEPARADEAW
WARNER MUSIC JAPAN/FUELED BY MENTAIKO