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StoryWriter

皆さんこんにちは。

先週実家で不幸があり、初めて連載に穴を開けてしまいました。申し訳ございません。

祖母が亡くなったのですが、ずっと家族5人で一つ屋根の下で生活してきていた祖母が亡くなったということが未だに信じられません。祖母は身体が不自由なので、僕が小さい頃からずっと家族でサポートしてきましたが、それ以上におばあちゃんに元気付けられてきました。いつも優しく声をかけてくれ、思い出話をしてくれたおばあちゃん。早くに旦那を亡くしてしまっても、女手一つで色々な仕事をこなしながら子供2人を育て上げたおばあちゃん。要介護だった為に、家庭内に介護疲れが出ると祖母にも辛くあたってしまったあの時の悲しい顔。それでも親戚や外の人には自慢の孫であると、僕と兄を誇っていた話を聞いてどうしても何もやる気にならないです。大好きなおばあちゃんは、僕ら家族のことをどう思って旅立ったんだろう……。そう思うだけで夜も眠れなくなります。おばあちゃん、あの時はごめんね。ずっと大好きだったよ。42年ぶりにおじいちゃんには逢えたかな。

おばあちゃんの話は無限に出てくるので、また何か作品の話でもしましょう。とは言っても、今浮かんでくる作品はどうしてもお爺ちゃん・お婆ちゃんの話ばかりになってしまいます。今日は映画の方の『佐賀のがばいばあちゃん』。

 

原作の自伝小説を書かれたのは漫才師の島田洋七さんで、幼少期から預けたれた佐賀に住む貧乏な「おさのおばあちゃん」の家で生活を描いた作品です。実は貧乏で苦労人の「おさのおばあちゃん」で、たくましくも前向きなばあちゃんの放つ言葉は人生の本質というか、金言にも感じられます。笑えたり、考えさせられる言葉が数多く出てくるこの作品、作品背景も相まっておばあちゃん子だった僕にはいつ見ても胸がジュワッとなる作品なんです。

「悲しい話は夜するな。つらい話も昼にすれば何ということもない。」、「通知表は、0じゃなければええ。1とか2を足していけば5になる!」、「人がこけたら笑え。自分がこけたらもっと笑え。人はみんな、こっけいだから」ちょっとクスッと来るようでも、言われたら「うん!」と頷きたくなる言葉が、散りばめられた作品です。素敵。おばあちゃんの家で8年間過ごし、中学卒業とともに地元に帰る洋七に対して「早く帰れ。」と言い放つも、姿が見えなくなりかけた頃に「行くなーーーー」と叫ぶおばあちゃんの姿はか涙なしでは見れません。

うちのおばあちゃんは、息子(僕の父)と娘が中高生の頃に、元々身体が弱く入退院を繰り返していた旦那(僕にとってのおじいちゃん)に先立たれました。2人の子供の学費や生活費をどうにか稼ぐ為に、建物の清掃員や惣菜屋さんの売り子、不動産屋の受付など色々な仕事をしてどうにかお金を集めて、やっと生活をしてきたらしいです。そうやって立派に子供を育て上げて、60近くの歳になると原因不明の病気で手が不自由になってしまって介護生活になってしまうのですが、僕がばあちゃんの部屋でゲームをしている時によくお小遣いをくれました、そして言っていたのが、「じぇんこのねめぐせおどごにはなるなよ(お金のない、みっともない男にはなるなよ)」、「ひとさはやさしぐしなさい(人には優しくしなさい)」、「歯だけは大事にせ、めものかえねぐなるはんで(歯は大事にしなさいよ、美味しいもの食べれなくなるから)」でした。100万や200万なんてはした金、緊急で必要な時にお金を出せないのは一番みっともないからという風にも親に言っていたようです。お金で苦労してきたおばあちゃんだからこそ、子供を育てるお金をサラッと出せないことがきっと辛かったのかもしれません。おばあちゃんの生い立ちを知っていると、僕も守らないといけない気がしています。

おばあちゃんが旅立ってから実家で母の手伝いをしていると、何をしていてもおばあちゃんの声が聞こえてきました。箸は利き手を考えて丁寧に並べる、夕方5時になったら居間のカーテンは半分閉めるとか、小さい頃から毎日言われていたのに、いつからか忘れていた事がふと蘇ってきます。ばあちゃん、小さい頃から何でも教えてくれてありがとう。今まで何も返せなくてごめんなあ。立派な人間になれるように何でも頑張ってみるから、何十年後かもしれないけど、また会えたら一緒に朝の散歩行こうね。

まだおばあちゃんロスから抜けられず、こんな感じになってしまました。すみません。

来週からしっかり書きます。

また来週、一つよしなに。

※「【連載】なにが好きかわからない」は毎週木曜日更新予定です。

エビナコウヘイ(えびな・こうへい)
1993年生まれ、青森県出身。進学を機に上京し、現在は大学で外国語を専攻している。中国での留学などを経て、現在では株式会社WACKで学生インターンをしながら就職活動中。趣味は音楽関係ならなんでも。

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