2019年5月に解散した第2期BiSのメンバーであるパン・ルナリーフィとYUiNA EMPiRE、WACKが運営する育成ユニットWAggを卒業したウルウ・ル、オーディションに合格したユメカ・ナウカナ? の4名で構成されたアイドルユニット、CARRY LOOSE。松隈ケンタ率いる音楽クリエイターチーム・SCRAMBLES所属のT.S.Iサウンドによるプロデュースの元、CARRY LOOSEメンバー自ら作詞した楽曲を含む全13曲収録のセルフタイトルアルバムで10月22日にデビューを果たした。
11月2日、3日には、第3期BiSとのグループ対抗200km駅伝〈BiS vs CARRY LOOSE対抗駅伝〉を行い、11月4日には初ワンマン・ライヴ〈ゆるくはこんでください〉を渋谷GARRET udagawaで開催。歩みを始めたばかりの彼女たちのソロ・インタビュー連載がスタート。第2回は、2017年にEMPiREのメンバーとして活動をはじめ、2018年に第2期BiSへ完全移籍するもグループ自体が2019年5月に解散してしまい、3度目のスタートを歩み始めたYUiNA EMPiREへのロング・インタビューをお届けする。
取材&文:西澤裕郎
写真:大橋祐希
個人的にはすごい悔しい
──11月4日開催の初ワンマン・ライヴ〈ゆるくはこんでください〉において、YUiNAさんのMCが、他の3人のメンバーに比べてさっぱりしていたと感じたんですけど、どういう気持ちからの言葉だったんでしょう。
YUiNA EMPiRE (以下、YUiNA):最初は「解散という結末を生んでしまった原因はこうだった」みたいな話をしようと思っていたんです。ライヴ直前に渡辺(淳之介/WACK代表)さんにMCの確認をしていただいたとき、ネガティブなことじゃなくて、EMPiREとBiSを経てCARRY LOOSEではどうしたいのか、思ったことを話したほうがいいんじゃないかと言っていただいて。そこからいろいろ考えたんですけど、全然まとまらず泣いてしまって……。だから、すごくあっさりしたMCになってしまったんです。ライヴ自体は全体的にはよかったと思ったんですけど、個人的にはすごく悔しいものになっちゃったなと思って。
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──もっと伝えたいことや、言いたいことはあったけど、うまく言葉にできなかった?
YUiNA:言葉にできない部分もあったし、MCのことでパフォーマンスもつられちゃった部分があったんです。今もライヴ映像を見返すだけで涙が出てくるくらい悔しい。準備不足だったなというのもあるし、もっと自信を持ってMCでの話を考えていられたらよかったなって。
──YUiNAさんは、EMPiREで活動をした後、BiSに完全移籍しました。そのBiSも2019年5月に解散してしまったわけで、WACK所属メンバーの中で1番不遇な道を辿っていると言っても過言ではないと思います。考え方によっては、諦めようと思ってもおかしくないですが、どういう考え方を経て、続けようと思ったのかを訊かせてもらえますか?
YUiNA:本当に何度も心が折れることはありました。WACKに残るか残らないか返答する10分前くらいまで悩んでいて。結局、渡辺さんに続けさせてくださいという電話をしたんです。いろいろな挑戦をしてみたいとか自分を強くしたい。そういう希望を持ってWACKに入ったけど、自分はまだ何も成し遂げられていないな、と。ここで諦めたら、この先ずっと後悔したまま終わっちゃうなと思って。私の中でも三度目の正直という気持ちがあるし、これが最後という覚悟で今、CARRY LOOSEにいるんです。
──思い返してみると、YUiNAさんはWACK合宿オーディション2017も脱落してしまいましたが、諦めずにEMPiREのオーディションを受けて合格を果たしました。WACKで1番諦めないメンバーでもあると思います。その原動力はどこから湧いてくるんでしょう。
YUiNA:たしかに、なんだろう……? オーディションのときに頑張った気持ちと今では、また違いますね。自分が持っている夢もそうだし、応援してくれている人がいるということもそうなんですけど、1番は音楽が好きだからかもしれない。WACKに入ってから泣いてばかりなんですけど、それは悔しい気持ちがあるからで。今までは悔しくてたまらないからといって、泣くことはなかったんです。もし、WACKやYUiNA EMPiREがなくなってしまったら、本当にどう生きていけばいいんだろうってなると思います。苦しいことだけじゃなくて、嬉しいことも知れたからこそ、この場所がなくなっちゃったら困るんです。
気を遣いすぎず本音でぶつかり合おうと思って
──現在、WACK合宿オーディション2019を舞台にしたドキュメンタリー映画『IDOL-あゝ無情-』が公開されています。第2期BiSの解散が生々しく描かれていて、YUiNAさんにとって見られたくない映像でもあると思うんですけど、どういう気持ちなんでしょう。
YUiNA:最初見たときは言葉が出なかったし、この場面を放送しちゃうんだって。でも、今となっては映画にしていただいた自分の姿を客観的に見れてよかったなとも思います。そのときは必死だし、一生懸命動いて発言したつもりだったけど、もっとこうすればよかったという後悔も見えて。あとは、ムロ(パナコ)のことがめっちゃ恋しくなりました。1番近くで励まし合ったし、素直なまま戦ってくれる姿を見せてくれたのはムロだったなと思って。
──東京組のメンバーたちは解散を受け入れて話し合いに臨んでいました。その中で、1番ピュアにBiSを続けていくんだと信じていたのは、YUiNAさんのように見えました。
YUiNA:ムロと私?
──ムロさん以上に、YUiNAさんはBiSが続くことだけを信じてやっているように見えたんです。だからこそ最後に「何の意味もなかった」という言葉が出てきたのかなって。当時を振り返ってみて、どんなことを想っていたんでしょう?
YUiNA:メンバーに対する怒りというか、なんでもっとこうしてくれなかったの? という想いはありました。合宿に参加するまで、いっぱい話し合いを重ねてきて、誰が脱落しても絶対に最後まで諦めないと気持ちを1つにまとめたはずなんです。でも、話し合いのときには、みんなの意見がまるっきり変わっちゃっていた。他グループがメンバーと合流するときと、BiSがメンバーと合流するときで全然雰囲気が違ったのも感じていて。人数が多いというのもあるんですけど、そういう小さいこととかも気にしちゃっていました。だから、メンバーにも怒りの感情が出ちゃったり、みんなのことを信じられないみたいなことを言っちゃったんです。でも、あのときの言葉は本心でした。今は、ありのままに発言するのもダメだったなと反省していて。あのときは「もうアイドルはやらない」と思っていたので言ってしまったんですけど、渡辺さんがインタビューでいろいろ言っていたように、次に繋がらない発言はしない方がいいなって。だからこそ、初ワンマンのMCもそれを考えきれていなかったことが悔しいんです。
──BiS解散を経て、メンバーやいろいろなものを信じられなくなった時期もあったと思うんですけど、CARRY LOOSEではどのような意識を持って活動しているんでしょう。
YUiNA:今まで変に相手を気遣い合っていたと思うんです。パンちゃんに対しても、私は言えなかったことがあった。最低限の礼儀はあるけど、BiSのときと同じことにならないよう、気を遣いすぎず本音でぶつかり合おうと思って。パンちゃんも同じ気持ちでいてくれていると感じます。言わなきゃいけないことを言い合おうって。
──パンさんも同じことを言っていました。言いづらいことも言わないといけない、と。特に、CARRY LOOSEには遠慮して言わないようなメンバーたちが集まっているからって。
YUiNA:そうなんですよね。全員が気を遣っちゃう子たちだなって、この間メンバー間で話したんです。あと、BiSと200km駅伝をやったときに、BiSのメンバーとも2日間一緒にいたので分かったんですけど、いい意味で遠慮せず、みんな言いたいことを言えている仲なんだなって。それがすごくいい関係だなと思ったんですよ。みんな同期だからというのもあるのかもしれないけど、CARRY LOOSEも気を遣いすぎないようにみんなでぶつかり合いたい。
今のBiSのよさを見つけられた
──BiSとの対決に関してはどんな気持ちだったんでしょう?
YUiNA:最初、絶対に負けられないと思って。正直に言うと、なんでBiSと対決しなきゃいけないんだろうって。だけど、対決するからには負けられなかった。パンちゃんと私もすごく燃えていて、ウルちゃんとユメカちゃんにめちゃくちゃプレッシャーを与えちゃっていたかなと思うんですよね。絶対負けられないみたいな。そんな中で終わってみて2人も同じ気持ちでいてくれたのかなと思います。
──第2期BiSが解散した後すぐ、第3期BiSが始まっていることに対しては複雑な気持ちもあったんじゃないですか?
YUiNA:最初はやっぱり曲が聴けませんでした。でも200km駅伝をやって一緒に過ごしたとき、正々堂々と戦ってくれるし、みんな人懐っこいいい子たちだなって。今のBiSのよさを見つけられたし、2日間で好きになっちゃいましたね。でも、負けないぞって気持ちはあります!
──BiSの「primal.」の歌詞じゃないですけど、WACKは「繰り返す思い出」を感じることの多い事務所でもあります。構造としては、かつてBiSHとPOP(GANG PARADEの前身グループ)が行なった200km対抗駅伝と近いと思うんですね。そういう歴史をどれだけYUiNAさんは意識していますか?
YUiNA:そのときもストーリーがちゃんとあったじゃないですか? 一生懸命やっていれば自然とストーリーになっていくんだなと、過去のレポートを見て思っていて。でも駅伝はやってみるまで全く想像できていなかったです。
──ちなみに当時、(カミヤ)サキさんは駅伝でゴールした後、勝利したのにめちゃめちゃ泣いていたし悔しがっていました。今回、CARRY LOOSEは勝負では勝ったわけですけど、YUiNAさん的にはどう感じていますか?
YUiNA:メンバー全員で反省会をしたんですけど、どっちのグループもいいところを知ってもらえたんじゃないかなとは思っていて。ただ、Twitterで感想を見ると、応援してくれている人の気持ちを心から動かせたのはBiSだったのかなって。CARRY LOOSEでもそういう人を増やしていきたいなと思いました。
4人でCARRY LOOSEの土台をしっかり作っていかなきゃいけない
──200km駅伝を通して、メンバー4人の関係値は縮まった感触はありますか?
YUiNA:今回、苦しいことを一緒に乗り越える機会が初めてだったんです。そこで同じ苦しみを味わって、みんなで力を合わせたからこそ勝てたという達成感もあって。2日間一緒に過ごしたというのは大きいし、これからに繋がっていくのかなと思います。
──200km駅伝中に話したことで印象に残っていることはありますか?
YUiNA:最後にウルちゃんと走ったんですけど、それが私にとっては初めてのメンバーとの並走だったんですよ。それまでは全部スタッフさんと走っていて。スタッフの古木さんも小嶋さんもCARRY LOOSEのために弱音を吐かず最後まで走ってくれてすごく感動しました。ウルちゃんはアンカーだったから、もう前しか向いていないみたいで。私は、ウルちゃんに自由に好きなように走ってもらいたいと思ったから、必死でついていきました。めちゃくちゃ速くて、話しかけても冷静にずっと前を向いていました。すごく頼もしいなと思いました。
──YUiNAさんは並走のとき、走っている人も自分自身もちゃんとカメラで撮りながら、楽しませようとしていましたね。
YUiNA:そうですね。逆にたくさん喋っちゃいました(笑)。
──YUiNAさんはBiSのときと、CARRY LOOSEでの臨み方は違いますか?
YUiNA:違うかも。BiSは歴史があったし、先輩から学びながらついていく部分もあった。歴史をどう繋げていくかということを意識しながら活動していたけど、CARRY LOOSEは私たちから始まっているグループだから、1からみんなで作り上げることができるのは嬉しいです。その分、先輩もいないし正解もないから、私たち4人でCARRY LOOSEの土台を作っていかなきゃいけない。特に私とパンちゃんは経験があるから、しっかりしなきゃいけない。責任感を持って頑張りたいなと思うし、その気持ちはパンちゃんからも伝わってきます。
──EMPiREも一から作り上げていったグループでしたが、それとはまた違う感覚ですか?
YUiNA:ちょっと違いますね。EMPiREのときは本当にみんな何もかもがまっさらで、私たちも何も知らなかった。スタッフさんから教えてもらうことも多かったし、BiSHさんと帯同させてもらったときに学んで1つ1つ吸収していったんです。そうした経験があってこその今だから、また違いますね。それを活かさなきゃって思っています。
みんな尊敬し合えるグループにしたい
──CARRY LOOSEの楽曲制作はSCRAMBLESで、渡辺さんが歌詞を書いている曲も多いですよね。CARRY LOOSEの楽曲に関して、YUiNAさんはどう感じていますか?
YUiNA:もともと松隈さんの曲も大好きだったし、井口(イチロウ)さん作曲も大好きだったのですごく嬉しいです。BiSHさんの「Primitive」はすごく好きな曲なんです。CARRY LOOSEの楽曲は、シンプルなバンドサウンドで、今まで自分的にあまり聴いてこなかったような曲なんですけど、だからこそそれを歌ってチャレンジできることが嬉しい。全曲かっこいいなと自信を持ってみんなに届けられる歌ばかりです。
──ここまでいろいろなことがあっても続けているYUiNAさんには、叶えたい何か夢のようなものがあるんでしょうか?
YUiNA:ゴールはないとは思うんです。でも、大きな壁をグループで乗り超えたい。「みんなと一緒にやってきてよかった」と思える景色を見てみたいんです。EMPiREのときも、BiSのときも、「さあ、ここからだ!」みたいなときに完全移籍してしまったり、解散したりしてしまって。グループで大きい景色を見てみたい。三度目の正直で頑張りたいです。
──この先、CARRY LOOSEをどんなグループにしていきたいですか?
YUiNA:みんな、それぞれ背負っているものがあるんです。ユメカちゃんも前のグループを経て加入して、ウルちゃんもWAggから昇格してきて、たくさん希望を持っていると思うんですよ。パンちゃんも私も、今までのグループを経て今に至っている。それをみんな活かして表現できるグループにしたい。エモい感じは伝わると思うから、そこを突き詰めていきたいです。あと、尊敬し合えるグループにしたい。私自身、みんなに対して尊敬できるところはたくさんあるんです。だから、私自身も尊敬してもらえるような人になりたい。エモかっこいいというのがテーマで、みんなでその共通認識を持って活動しています。
──ゆるくない過去があるからこそ、ゆるさを表現できるのかもしれないですね。
YUiNA:WACK5周年の関係者ライヴで、サキさんに会ったんですよ。そのとき、「今楽しめてる?」って言われて。ギャンパレにも始めから色があったわけでもないし、一からグループを作るのは本当に難しいよねって、めっちゃ話を聞いてくれたんです。そうやって気にかけてくれている方や、スタッフさん、メンバーが側にいてくれるので、前を向いてCARRY LOOSEで活動していきたいです。
CARRY LOOSE PROFILE
2019年結成。パン・ルナリーフィ、YUiNA EMPiRE、ウルウ・ル、ユメカ・ナウカナ? の4人からなるアイドルグループ。 2019年10月22日にアルバム『CARRY LOOSE』でデビュー。
■ツアー情報
〈ルーズに場所はずしてみましたツアー〉
2019年12月1日(日)@京都VOX hall ※SOLD OUT
OPEN/START 16:00 / 17:00
[問] 京都VOX hall 075-255-1596
2019年12月15日(日)@長崎DRUM Be-7
OPEN/START 13:00 / 14:00
[問] 長崎DRUM Be-7 095-827-7020
2019年12月22日(日)@岩手Club Change ※SOLD OUT
OPEN/START 13:00 / 14:00
[問] 岩手Club Change 019-652-7182
2020年1月5日(日)@静岡・浜松Force ※SOLD OUT
OPEN/START 16:00 / 17:00
[問] 浜松Force 053-415-9988
2020年1月25日(土)@埼玉・HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3 ※SOLD OUT
OPEN/START 17:00 / 18:00
[問] HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3 048-858-7251
※ダイブ・リフト・サーフ禁止
■チケット料金/(税込)
通常チケット スタンディング 3,800円(税込)※別途ドリンク代